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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬 · 必修

バルプロ酸

valproate

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬Mood stabilizers / 気分安定薬
商品名(日本)
デパケン
商品名(EU)
Depakine
科目
Pharmacology
トピック
A20: Non-reuptake-inhibitor antidepressants. Agents used for treatment of manic phase of bipolar disordersA21: Antiepileptics. Adjuvant analgesicsA13: Drugs used for treatment of gout. Drugs for headache syndromes
禁忌疾患
肝硬変
副作用
振戦
監視検査値
アンモニア
相互作用
イミペネムシラスタチンエルタペネムオキシベート製剤スティリペントールドリペネムフェノバルビタールフェルバマットメロペネムラモトリギン大麻
対象疾患
Dravet症候群Lennox-Gastaut症候群てんかん気分障害(うつ病・双極性障害)片頭痛・一次性頭痛症候群
原因となる疾患
Fanconi症候群急性膵炎神経管閉鎖不全(二分脊椎・無脳症)

🧠 全体像:バルプロ酸はの中で唯一「からから全般までほぼ全部に効く」である。GABA↑・Na遮断・T型Ca遮断という複数機序を持つことがこの広さの理由だが、同じ妊娠中曝露による重大な催奇形性・神経発達障害という最大の弱点も生む。「効く範囲の広さ」と「妊娠可能な患者では第一選択にしない」という相反する評価を同時に持つ薬、という理解がすべての土台になる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 系統 スペクトラム 弱点
バルプロ酸 ⑦広域(GABA↑・Na遮断・T型Ca遮断) 〜全般まで広域 妊娠中曝露のリスク・肝毒性・
⑦広域(Na遮断・GABA増強・AMPA/拮抗・ てんかん・ 腎結石・体重減少・
⑦広域(Na・T型Ca遮断+弱い (補助) 腎結石
②T型Ca遮断のみ 単独の第一選択 他の発作型には無効

単独ならが第一選択だが、に他の発作型(・全般)が併存するならバルプロ酸のような広域薬を選ぶ。この「単独か併存か」が両剤の使い分けのになる。

機序

flowchart TD
    A["バルプロ酸"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GABA transaminase'>GABAトランスアミナーゼ</span>阻害<br>→GABA分解↓"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated sodium channel'>電位依存性Naチャネル</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='use-dependent block'>使用依存性遮断</span>"]
    A --> D["視床<span class='jp-term jp-term-diagram' title='T-type calcium channel'>T型Caチャネル</span>遮断"]
    B --> E["GABA↑によるCl⁻流入増加"]
    C --> F["高頻度発火の抑制"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thalamocortical oscillation'>視床-皮質振動</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='absence seizure'>欠神発作</span>の回路)の抑制"]
    E --> H["全般的な神経興奮性の低下"]
    F --> H
    G --> H
    H --> I["焦点性〜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='generalized'>全般性</span>まで幅広い発作型を抑制"]

💡 3つの機序を同時に持つため「どの発作型にも一応効く」広域薬になるが、逆にどれも決定打ではなく、単独ならT型Ca遮断に特化したの方が切れ味がよい。

薬物動態

項目 値・特徴
高い(ほぼ完全)
分布 が高く、高用量域では(遊離型が増える)
代謝 肝で。CYP450の誘導と阻害の両方の性質を併せ持つ
相互作用の型 を強く阻害など薬の血中濃度を大きく上げる
排泄 代謝物として
半減期 約9〜16時間

⭐ バルプロ酸はCYP450ではなく、むしろ他薬の代謝(特に)を阻害する側に回る点が、カルバマゼピン・などと対照的。

適応

領域 使いどころ
てんかん 広域スペクトラム。・全般を含むてんかん。妊娠可能な患者では第一選択にしない
精神科
頭痛 片頭痛の予防(妊娠可能な患者では避ける)

用法・用量

てんかんでは少量から開始し血中濃度と効果をみながら漸増する。の躁でも同様に個別化する。妊娠可能性のある患者に処方する場合は、有効な避妊と定期的なリスク説明(現地の妊娠予防プログラム)を伴わせる。 実際の用量は適応・年齢・体重・肝機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌肝硬変・重度(肝毒性の
  • ⚠️ 妊娠中曝露は重大な胎児リスクを持つ。 を含むと、児の神経発達障害(・知的障害)のリスクが他のより明確に高い。妊娠可能性のある患者では臨床的に可能な限り避け、他に十分な発作抑制手段がない場合のみ、妊娠予防措置のもとで専門医が管理する
  • ⚠️ との併用:バルプロ酸がを阻害し、半減期がほぼ2倍に延長する。併用時はの増量をより緩徐にし、通常より低い用量で維持する
  • との併用:バルプロ酸がの代謝を阻害し血中濃度が上昇しうる。の減量を要することがある
  • ・肝毒性のリスクがあるため定期的な監視が必要

副作用

頻度 内容
高頻度 振戦、体重増加、消化器症状、脱毛
注意 アンモニアモニタリング)、血小板減少
重篤・まれ 肝毒性(特に乳幼児)、、妊娠中曝露による・神経発達障害

まとめ

  • GABA↑・Na遮断・T型Ca遮断の3機序を併せ持つ唯一の広域スペクトラム
  • が単独なら、他の発作型が併存するならバルプロ酸を選ぶ。
  • CYP450ではなくを阻害する側。の血中濃度を大きく上げる。
  • 妊娠中曝露による・神経発達障害のリスクが最大の弱点。妊娠可能な患者では避ける。
  • というの枠を超えた適応を持つ。
  • ・肝毒性を定期的にモニタリングする。