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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬

スティリペントール

stiripentol

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬
商品名(日本)
ディアコミット
商品名(EU)
Diacomit
科目
Pharmacology
トピック
A21: Antiepileptics. Adjuvant analgesics
承認適応
Dravet症候群
副作用
傾眠
監視検査値
血算
相互作用
クロバザムバルプロ酸フェンフルラミン

🧠 全体像は、単剤では使わないという点が理解の出発点になるである。ヒトでの抗けいれん機序は実は不明で、添付文書も「可能性のある機序」として、GABA-A受容体を介したと、CYP3A4・CYP2C19を阻害してN-desmethylclobazam(norclobazam)の血中濃度を押し上げる間接効果の2つを併記するにとどまる。それでも、この間接効果が「+バルプロ酸で効果不十分なに、する」という承認された使い方の根拠になっている点は確かで、それ自体の(と推定されるもの)と、併用薬の血中濃度を底上げする効果の二本立てという構造を押さえると、単剤で承認されていない理由も、併用薬の減量が必要になる場面も一直線に理解できる。

薬効群の中での位置づけ

の治療はバルプロ酸が第一選択で、効果不十分な場合の第二選択治療の一角をが占める。

薬剤 での位置づけ 特徴
バルプロ酸 第一選択 広域スペクトラム、単剤で開始できる
第一選択に併用
第二選択(+バルプロ酸への のデータが無く、必ず併用下で使う
(カンナビジオール/Epidiolex)フェンフルラミン 代替の第二選択 それぞれ別の機序で発作を抑える

は「効く仕組み」自体が併用前提で設計されている。 GABA-A受容体へのだけでなく、濃度を上げるという間接効果が治療域の少なくない部分を担うため、を外した状態での有効性は確立していない1

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stiripentol'>スティリペントール</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["ヒトでの機序は不明<br>可能性のある機序①:GABA-A受容体を<br>介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct effect'>直接効果</span>"]
    A --> D["可能性のある機序②:<br>肝CYP3A4・CYP2C19等を阻害"]
    D --> E["併用中の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clobazam'>クロバザム</span>の代謝が抑制され<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>norclobazamの血中濃度が上昇(約5倍)"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clobazam'>クロバザム</span>の抗けいれん効果が増強される<br>(間接効果)"]
    B --> G["発作の抑制"]
    F --> G
    E -.->|"傾眠・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lightheadedness'>ふらつき</span>等が増強した場合"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clobazam'>クロバザム</span>の減量を考慮"]

💡 添付文書は「機序は不明、可能性のある機序としてと間接効果がある」と述べるにとどまるが、いずれにせよ間接効果(の底上げ)だけで治療域の少なくない部分を説明できる設計になっている。 濃度を約5倍に押し上げ、そのものの効果を底上げする1。この間接効果があるからこそ、導入後はの減量を要することが多い——増量ではなく減量が必要になる点が見落としやすい2

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 。自身もCYP1A2・CYP2C19・CYP3A4の基質であると同時に、これらを阻害・誘導する
相互作用の広がり CYP2C8・CYP2C19の基質薬全般の血中濃度に影響しうる1
強いCYPとの関係 リファンピシン・フェニトイン・・カルバマゼピンなど強いの血中濃度を下げるため、併用を避けるか、自身の用量増量を考慮する1

適応

領域 使いどころ
小児神経 ——バルプロ酸で効果不十分な発作・への療法12

米国では生後6か月以上・体重7kg以上、日本では1歳以上が適応年齢の目安となる(詳細は各国の添付文書で確認する)12

用法・用量

⚠️ のデータが無く、必ず(多くはバルプロ酸も)併用下で使う1

  • 日本:1日20 mg/kgから開始し、1週間以上の間隔をあけて10 mg/kgずつ増量する。は1日50 mg/kg(体重50kg以上の患者は500mg単位で増量し、1日50 mg/kg又は2,500 mgのいずれか低い方を上限とする)を2〜3回に分割し、食事中又は食直後にする2
  • 米国:漸増を伴わない固定用量として1日50 mg/kg(1日総量3,000 mgを超えない)を2〜3回に分割する1
  • 欧州(英国SmPC)50 mg/kg/日に達するまで年齢別に漸増する——3歳未満は1週目20 mg/kg/日→2週目30 mg/kg/日→3週目にさらに20 mg/kg/日を追加、6〜12歳未満は毎週10 mg/kg/日ずつ追加、12歳以上は臨床判断で毎週5 mg/kg/日ずつ追加する。50 mg/kg/日を超える用量の臨床安全性データは無い3
  • ⚠️ ・バルプロ酸の代謝を阻害するため、増量時に・傾眠・等が出た場合は各薬剤の血中濃度推移を確認しながら減量を考慮する2

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2
  • ⚠️ CYP阻害により相互作用の範囲が広い。 CYP2C8・CYP2C19の基質薬は減量を考慮する。リファンピシン・フェニトイン・・カルバマゼピンなど強いCYPの血中濃度を下げるため、併用を避けるか、自身の用量増量を考慮する1。欧州ではの管理においてこれらの薬剤を併用しないこととされている3
  • ⚠️ 重大な副作用として好中球減少症・があり、定期的な血液検査・肝が必須である2
  • のエビデンスが無いため、(多くはバルプロ酸も)を中止した状態での使用は想定されていない

副作用

頻度 内容
高頻度 傾眠(対照試験で群23%に対し本剤群67%)1
注意 、悪心
重篤・まれ 好中球減少症、(定期的な血液検査を要する)2

まとめ

  • のヒトでの抗けいれん機序は不明で、添付文書は可能性のある機序としてGABA-A受容体を介したと、CYP阻害による濃度上昇(約5倍)という間接効果を挙げるにとどまる。
  • 少なくとも間接効果(の底上げ)は明確に確認されており、この二本立ての構造が理解の軸になる。
  • のデータが無く、必ず(多くはバルプロ酸も)併用下で使う——でバルプロ酸・に効果不十分な場合の第二選択としてする。
  • の効果を底上げする分、増量ではなく減量が必要になることが多い点が臨床上の要点。
  • 好中球減少症・のリスクがあり定期的な血液検査を要する。
  • 日本・欧州・米国いずれもに承認されているが、年齢条件・用量の刻み方が国により異なるため添付文書で確認する。

出典

  1. 1.DIACOMIT (stiripentol) capsules and for oral suspension — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)適応が生後6か月以上・体重7kg以上でクロバザムを併用中のDravet症候群患者に限られ、単剤療法を支持する臨床データが無いこと、抗けいれん効果の機序はヒトでは不明であり可能性のある機序としてGABA-A受容体を介した直接効果とCYP阻害によりクロバザムの血中濃度を上げる間接効果が挙げられていること、クロバザム併用により副作用(食欲減退・傾眠・ふらつき等)が生じた場合はクロバザムの減量を考慮すべきこと、米国の用法・用量は漸増を伴わない固定用量50 mg/kg/日を2〜3回に分割経口投与し最大3,000 mg/日であること、CYP2C8・CYP2C19基質は減量を考慮すべきこと、強いCYP誘導薬(リファンピシン・フェニトイン・フェノバルビタール・カルバマゼピン等)との併用はスティリペントールの血中濃度を下げるため避けるか、又はスティリペントール自身の用量増量を考慮すべきことを確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.ディアコミットカプセル250mg/ディアコミット・ドライシロップ分包250mg・500mg 添付文書(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2023)日本での効能・効果がクロバザム及びバルプロ酸ナトリウムで十分な効果が認められないDravet症候群患者(1歳以上)における間代発作又は強直間代発作に対するクロバザム及びバルプロ酸ナトリウムとの併用療法であること、用法・用量が1日20 mg/kgから開始し1週間以上の間隔をあけて10 mg/kgずつ増量し1日50 mg/kg(体重50kg以上は500mg単位で増量し50 mg/kg又は2,500 mgいずれか低い方が上限)を2〜3回に分割し食事中又は食直後に経口投与すること、クロバザム及びバルプロ酸ナトリウムの代謝を阻害するため両剤の血中濃度推移を確認しながら減量を考慮すべきこと、重大な副作用として好中球減少症・血小板減少症があり定期的な血液検査・肝機能検査が必要であることを確認した閲覧 2026-08-11
  3. 3.Diacomit 250 mg hard capsules — Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic medicines compendium (UK、Diacomit販売承認者による公式添付文書)・2025)欧州(英国SmPC)の用法・用量が維持用量50 mg/kg/日に達するまでの年齢別漸増スケジュールを定めていること(3歳未満は1週目20 mg/kg/日→2週目30 mg/kg/日→3週目にさらに20 mg/kg/日追加、6〜12歳未満は毎週10 mg/kg/日ずつ追加、12歳以上は臨床判断で毎週5 mg/kg/日ずつ追加)、50 mg/kg/日を超える用量の臨床安全性データが無いこと、Dravet症候群の管理においてカルバマゼピン・フェニトイン・フェノバルビタールはスティリペントールと併用すべきでないとされていることを確認した閲覧 2026-08-11