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Drug Atlas · A21 Antiepileptics / 抗てんかん薬

フェンフルラミン

fenfluramine

分類
Antiepileptics / 抗てんかん薬
商品名(日本)
フィンテプラ
商品名(EU)
Fintepla
科目
Pharmacology
トピック
A21: Antiepileptics. Adjuvant analgesics
承認適応
Dravet症候群Lennox-Gastaut症候群
禁忌疾患
肺高血圧症弁膜症
副作用
食欲減退体重減少傾眠下痢便秘
相互作用
サフィナミドスチリペントールセレギリン

🧠 全体像:を理解する鍵は薬理よりも履歴にある。成人の(との併用、いわゆる「フェンフェン」として広く使われた)として登録されていたが、・との関連が判明し1997年に市場から撤退した1。その同じ分子が、2020年前後により低用量のとして・に再登場している1。この「撤退した薬の再登場」という経緯そのものが、⚠️ 定期的なによる監視が(プログラム)に組み込まれている理由であり、この薬の安全性プロファイルの中心に位置づく。

薬効群の中での位置づけ

でバルプロ酸・に反応不十分な場合の代替のとして、・と並ぶ。

薬剤 での位置づけ 心毒性モニタリング
第二選択(併用が前提) 不要(好中球減少症・の血液検査は必要)
(/Epidiolex) 代替の第二選択 不要(肝機能モニタリングは必要)
代替の第二選択 が投与前・投与中に必須

⭐ の中で心エコーによる定期監視が義務づけられている薬はだけ。 同じの肢でも、モニタリングすべき臓器がまったく違う点がこの薬を特徴づける。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fenfluramine'>フェンフルラミン</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presynaptic terminal'>シナプス前終末</span>からの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='serotonin release'>セロトニン遊離</span>を促進"]
    A --> C["代謝物<span class='jp-term jp-term-diagram' title='norfenfluramine'>ノルフェンフルラミン</span>が<br>セロトニン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT2 receptor'>5-HT2受容体</span>(5-HT2B/2C等)に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='agonism'>直接作動</span>"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sigma-1 receptor'>σ1受容体</span>の調節にも関与"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>のセロトニン濃度上昇"]
    C --> E
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inhibitory network'>抑制性ネットワーク</span>の活性化を介し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='seizure threshold'>発作閾値</span>が上昇(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticonvulsant effect'>抗けいれん効果</span>)"]
    C -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT2B receptor'>5-HT2B受容体</span>は心臓弁膜の線維芽細胞にも発現"| G["⚠️心臓弁の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrous thickening'>線維性肥厚</span>"]
    C -.->|"肺血管の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT2B receptor'>5-HT2B受容体</span>刺激"| H["⚠️<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary arterial hypertension (PAH)'>肺動脈性肺高血圧症</span>"]

💡 を生む標的()と、心毒性を生む標的が同じ受容体ファミリーである点が、この薬の安全性上の宿命を説明する。 は脳だけでなく心臓弁の・にも発現しており、な刺激が弁のやにつながりうる2。1990年代のとしての使用でこの心毒性が顕在化し市場撤退に至った経緯があるため、として再導入された現在も心エコーによる定期監視が外せない。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 ・CYP2B6・等で代謝され、を生じる
相互作用 併用でのが上昇するため、併用時は用量上限が下がる23

適応

領域 使いどころ
小児神経 ・(いずれも2歳以上)の発作に対するとの併用療法。単剤では用いない423

日本の電子添文はさらに「他ので十分な効果が認められない」患者という限定を掛けており、既存薬で発作が抑えられている段階では適応にならない3。

用法・用量

⚠️ 併用の有無で用量上限が変わる()。

  • 併用時:1日0.2 mg/kgで開始し、1日0.4 mg/kg(1日総量17 mg)を超えない範囲で漸増する23。
  • 非併用時:1日0.2 mg/kgで開始し、1日0.7 mg/kg(1日総量26 mg)を超えない範囲で漸増する23。
  • :1日0.2 mg/kgで開始し1日0.7 mg/kg(1日総量26 mg)まで。日本の電子添文はこの適応に併用時の上限引き下げを設けていない(併用の規定はの項にある)3。
  • いずれも通常1日2回に分けて投与し、1週間以上の間隔をあけて有効性・を見ながら増量する23。
  • 重度(分類C)では減量する。日本の電子添文は最大推奨を1日0.4 mg/kg(1日最大17 mg)とする3。

禁忌・注意

弁膜症・の位置づけ
EU(Fintepla SmPC 4.3) 禁忌。 「大動脈弁又はの弁膜症」「」が独立した禁忌項目として立っており、投与開始前の心エコーはこれらを除外するための検査と位置づけられている4
日本(電子添文) 禁忌ではない。「9.1.1 合併症・既往歴等のある患者」に「又は患者——増悪するおそれがある」として置かれ、欄で心エコー監視を求める3
米国(FINTEPLA PI) 禁忌欄に無い。と5.1(弁膜症・)・5.2(プログラム)で心エコー監視とを課す2

本ノートの contraindicatedDiseases はの区分を正本として採っている。日本・米国の添付文書だけを見て「禁忌ではない」と判断しないこと。

  • ⚠️ 心エコーの監視間隔も文書で違う。 投与開始前に全例で実施する点は共通だが、は「最初の2年間は6か月ごと、以後は年1回」、米国は「6か月ごと」と定め、最終投与後3〜6か月に最終回を行う点は共通する。はを示唆する所見が出たら3か月以内に再検し、/ガイドラインの確率区分が「intermediate」なら・リスクを再評価、「high」なら投与中止を推奨する42
  • ⚠️ ・体重減少は高頻度で、など他のとの併用でに強まる。 ・の既往がある患者では投与前に・リスクを評価する。投与中は定期的に体重をする43
  • ⚠️ を来しを誘発しうる。 投与後に急激な又は眼痛が出たら投与中止を考慮する。開始前に光輪・視野のぼやけ・眼痛の既往を確認する32
  • ⚠️ 中止するときは徐々に減量する。 急な中止はの増悪・を招きうる32
  • 米国添付文書は自殺行動・、傾眠・鎮静、の監視も求めている2
  • 米国ではプログラム、では controlled access programme の下でのみ処方・調剤できる。後者は肥満に対するの防止と、処方医が心臓監視の必要性を了解していることの確認を目的としている42
  • 併用時は用量上限が下がるため、併用薬の変更時は用量を再確認する

副作用

頻度 内容
高頻度(で10%以上) 、傾眠・鎮静・、下痢、便秘、心エコーの異常、疲労・倦怠感・無力症、・2
注意 体重減少(。多くは継続中に体重増加が再開する)、、との誘発、自殺行動・423
重篤・まれ 、(いずれも心エコー監視の対象)、(他のとの併用時)2

まとめ

  • は促進とへの、調節によりを発揮する。
  • 1990年代にとして使われ、・のため市場撤退した薬が、低用量のとして再導入されたという経緯が安全性プロファイルの中心にある。
  • ・の発作に対する併用療法として承認されており、⚠️ 投与前・投与中の定期的ながである。
  • 併用時は用量上限が下がる(非併用時1日0.7 mg/kg・26 mg上限に対し、併用時は1日0.4 mg/kg・17 mg上限)。ただしこの引き下げが規定されているのはの項である。
  • ⚠️ 禁忌は3極で違う。 の投与中又は中止後14日以内と過敏症は共通だが、弁膜症・はでは禁忌、日本・米国では禁忌ではなく慎重投与・である。
  • 心臓以外では・体重減少、による、急な中止によるに注意する。

出典

  1. 1.Fenfluramine for seizures associated with Dravet syndrome and Lennox–Gastaut syndrome(Australian Prescriber・2025)フェンフルラミンが成人の体重減少治療薬として登録されていたが心臓弁膜症・肺動脈性肺高血圧症との関連により1997年に市場から撤退したこと、その後より低用量でDravet症候群・Lennox-Gastaut症候群の抗てんかん薬として再登録されたことを確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.FINTEPLA (fenfluramine) oral solution — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2025)米国添付文書(本文の Revised 表示は 10/2025)を取得して確認した。適応はDravet症候群・Lennox-Gastaut症候群(いずれも2歳以上)の発作に対する抗てんかん薬との併用療法。Boxed Warningとして心臓弁膜症・肺動脈性肺高血圧症のリスクを挙げ投与前・投与中(6か月ごと)・最終投与後3〜6か月の心エコー評価を義務づけ、REMSプログラム下でのみ処方・調剤できるとする。フェンフルラミン及び代謝物ノルフェンフルラミンはセロトニン5-HT2受容体にアゴニスト活性を持つ。Dravet症候群の用法・用量は1日0.1 mg/kgを1日2回で開始し最大0.35 mg/kgを1日2回(1日総量最大26 mg)まで漸増できるが、スチリペントール併用時は最大0.2 mg/kgを1日2回(1日総量最大17 mg)に制限される。⚠️ 4 CONTRAINDICATIONS は「フェンフルラミン又は添加剤への過敏症」「モノアミン酸化酵素阻害薬の投与中又は中止後14日以内」の2項目のみで、**心臓弁膜症・肺動脈性肺高血圧症は米国では禁忌に挙がらない**(枠組み警告と 5.1 Valvular Heart Disease and Pulmonary Arterial Hypertension の対象)。5 WARNINGS AND PRECAUTIONS は 5.1 弁膜症・肺動脈性肺高血圧症、5.2 FINTEPLA REMS Program、5.3 食欲減退・体重減少、5.4 傾眠・鎮静・嗜眠、5.5 自殺行動及び自殺念慮、5.6 抗てんかん薬の中止(漸減)、5.7 セロトニン症候群、5.8 血圧上昇、5.9 緑内障(急激な視力低下・眼痛では投与中止)の9項目。Dravet症候群で10%以上かつプラセボより多い副作用は食欲減退、傾眠・鎮静・嗜眠、下痢、便秘、心エコーの異常、疲労・倦怠感・無力症、運動失調・平衡障害。閲覧 2026-09-08
  3. 3.フィンテプラ内用液2.2mg/mL 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)日本の電子添文(2026年4月改訂・第5版。第4版の2024年3月改訂で効能・用法用量が変更されLennox-Gastaut症候群が加わった)を取得して確認した。効能・効果は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群・Lennox-Gastaut症候群の患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法。⚠️「1. 警告」は本剤の投与により心臓弁膜症及び肺動脈性肺高血圧症を引き起こすおそれがあるため投与開始前及び投与期間中は定期的な心エコー検査を実施し循環器を専門とする医師との連携のもとで使用することを求める。⚠️「2. 禁忌」は2項目のみで、2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、2.2 モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩・ラサギリンメシル酸塩・サフィナミドメシル酸塩)を投与中又は投与中止後14日以内の患者であり、**心臓弁膜症・肺動脈性肺高血圧症は禁忌欄ではなく「9.1.1 合併症・既往歴等のある患者」に「増悪するおそれがある」として置かれている**。用法及び用量はDravet症候群でスチリペントール併用時が1日0.2 mg/kgを1日2回に分けて開始し1日0.4 mg/kgを超えない範囲で調整(1日用量17 mgを超えない)、非併用時が1日0.2 mg/kgで開始し1日0.7 mg/kgを超えない範囲(1日用量26 mgを超えない)。Lennox-Gastaut症候群は1日0.2 mg/kgで開始し1日0.7 mg/kgまで(1日26 mgを超えない)で、スチリペントール併用による上限の引き下げが書かれていない。重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)では最大推奨維持用量が1日0.4 mg/kg・1日最大17 mg。8.5は散瞳を引き起こし閉塞隅角緑内障を誘発するおそれがあるとし、投与後の急激な視力低下・眼痛では投与中止を考慮するよう求める(9.1.2に閉塞隅角緑内障患者の項がある)。8.6はてんかん発作の増悪・てんかん重積状態があらわれることがあるため中止時は徐々に減量するよう求める。閲覧 2026-09-08
  4. 4.Fintepla (fenfluramine) Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2026)EUの製品概要を取得して確認した。4.1の適応は2歳以上のDravet症候群及びLennox-Gastaut症候群に伴う発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法。⚠️ **4.3の禁忌は4項目で、「有効成分・添加剤への過敏症」に加えて「Aortic or mitral valvular heart disease(大動脈弁又は僧帽弁の弁膜症)」「Pulmonary arterial hypertension(肺動脈性肺高血圧症)」が独立した禁忌として挙がり**、さらに「モノアミン酸化酵素阻害薬の投与から14日以内(セロトニン症候群のリスク)」が続く。これは日本の電子添文(両者は9.1.1の慎重投与)・米国添付文書(両者は禁忌欄に無い)と食い違う。4.4は投与開始前の心エコーで既存の弁膜症・肺高血圧症を除外することを求め、監視間隔を「最初の2年間は6か月ごと、以後は年1回」、中止後は最終投与から3〜6か月後に最終回と定める(米国の6か月ごとより長期の刻みが明示されている)。肺動脈性肺高血圧症を示唆する所見が出た場合は3か月以内に再検し、ESC/ERSガイドラインの「intermediate probability」ならベネフィット・リスクを再評価、「high probability」なら投与中止を推奨する。4.4はまた食欲減退・体重減少がスチリペントールなど他の抗てんかん薬との併用で相加的に強まりうるとし、神経性やせ症・神経性過食症の既往がある患者では投与前にベネフィット・リスクを評価するよう求める。4.2の用量はスチリペントール非併用時が0.1 mg/kg1日2回で開始し7日目0.2 mg/kg・14日目0.35 mg/kg1日2回(最大26 mg/日)、スチリペントール併用(Dravet症候群のみ)が0.1 mg/kg1日2回で開始し7日目以降0.2 mg/kg1日2回を維持量(最大17 mg/日)。肥満患者への適応外使用の防止と定期的な心臓監視の周知を目的とした controlled access programme の下で処方・調剤される。本PDFの10.(DATE OF REVISION OF THE TEXT)は空欄で、9.は初回承認2020年12月18日・直近更新2025年11月17日、EMAのProduct informationページの Last updated 表示は09/04/2026である。閲覧 2026-09-08