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Drug Atlas · A22 Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬

サフィナミド

safinamide

分類
Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬
商品名(日本)
エクフィナ
商品名(EU)
Xadago
科目
Pharmacology
トピック
A22: Drugs of neurodegenerative diseases (extrapyramidal motoric system, nootropic drugs)
承認適応
パーキンソン病
副作用
幻視幻覚傾眠ジスキネジア衝動制御障害起立性低血圧
相互作用
アンフェタミン誘導体イミプラミンセレギリンフェンフルラミンマジンドールリスデキサンフェタミン

🧠 全体像:サフィナミドは、同じ「選択的阻害薬」である・とは一線を画す二重機序を持つ薬である。ドパミン分解を抑える阻害作用に加えて、を阻害してを抑えるという、非ドパミン系の作用を併せ持つ。ドパミン系だけでなくにも手を入れるという発想は、がNa/T型Ca遮断と阻害を併せ持つ構造と似ているが、狙う神経伝達物質が違う。日本では2019年承認と比較的新しく、2018年のパーキンソン病診療ガイドラインには一度も登場しない。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 阻害 もう一つの機序 代謝物の性質
選択的・不可逆的 なし 様代謝物(L-等)
選択的・不可逆的 なし (中枢刺激作用なし)
サフィナミド 選択的・可逆的 Na⁺チャネル阻害による抑制 中枢刺激性代謝物は生じない
イストラデフィリン なし アデノシンA2A受容体拮抗(非ドパミン系) —

⭐ サフィナミドだけが「可逆的」阻害薬である。 ・のは酵素の新規合成を待つまで作用が続くのに対し、サフィナミドは可逆的なのでどおりに作用が消退しやすいという違いがある。

機序

flowchart TD
    A["サフィナミドが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoamine oxidase B'>MAO-B</span>へ可逆的に結合"] --> B["ドパミン分解が抑制され<br>内因性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>由来の<br>ドパミン濃度が上昇"]
    C["同時に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated Na+ channel'>電位依存性Na⁺チャネル</span>を阻害"] --> D["グルタミン酸の放出が抑制される"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>効果の増強・延長"]
    D --> F["グルタミン酸過剰による<br>神経<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excitotoxicity'>興奮毒性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='motor complications'>運動合併症</span>の<br>関与を弱める(理論的機序)"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>併用下での<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='wearing-off'>ウェアリングオフ</span>改善"]
    F --> G

💡 「なぜドパミンを増やす薬にNa⁺チャネル阻害作用まで足したのか」がこの薬のである。 阻害だけでドパミン濃度を上げる方法は・で既にある。サフィナミドはそこにへの作用を重ね、理論上はなど過剰なグルタミン酸伝達が関わるとされるへの影響も期待して設計された、二重機序を持つ唯一の阻害薬という点が試験で問われやすい1。

薬物動態

項目 値・特徴
経口
阻害の性質 選択的・可逆的(・は不可逆的)
代謝物 様・中枢刺激性の代謝物は生じない
用量帯 併用下で50〜100 mg/日1

適応

領域 使いどころ
日本 含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善。単独では用いず必ずと併用する補助薬1
エビデンス SETTLE試験(24週、549例の)で、「煩わしいを伴わないオン時間」がサフィナミド群で1.42時間増加(プラセボ群0.57時間、群間差0.96時間、P<0.001)と有意に改善した2
ガイドライン上の扱い 日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」には一度も登場しない——2018年時点では未承認であり、ガイドライン刊行後に加わった薬であることを意味する3

⚠️ 「ガイドラインに載っていない」を「エビデンスが無い」と読み違えない。 SETTLE試験自体は2017年に公表されている国際的なであり、日本の承認・ガイドライン改訂のタイミングが後追いになっているだけである。

用法・用量

  • 含有製剤と必ず併用する。単独療法としての用法は無い1
  • 通常、成人にはサフィナミドとして50 mgを1日1回し、症状に応じて100 mgを1日1回できる1
  • ⚠️ では重症度で扱いが3段階に分かれる。 電子添文2.4は重度(分類C)を禁忌とし、7.2は中等度(分類B)では1日50 mgを超えて投与しないと定める(=増量オプションが使えない)。軽度については用量の上限規定は置かれていない1。米国の添付文書も同じ線引きで、中等度は50 mg/日を上限とし、投与中に中等度から重度へ進行した場合は投与を中止するとしている4

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 (3.2%)、(SETTLE試験で14.6%、重度1.8%)2
注意 (1.1%)、傾眠(1.9%)、(0.4%)、(0.2%)
重篤・まれ (頻度不明)、(頻度不明)1

⚠️ の頻度がプラセボ群の約3倍(14.6% vs 5.5%)である。 これは効果を増強する薬に共通する現象であり、「オン時間が延びる=良いことずくめ」ではなく、の悪化とセットで評価する2。

まとめ

  • サフィナミドは選択的・可逆的な阻害作用と、阻害による抑制作用を併せ持つ、二重機序のパーキンソン病補助薬である。
  • ・と異なり中枢刺激性の代謝物を生じず、という上の違いを持つ。
  • 含有製剤と必ず併用し、通常50 mg・症状により100 mgを1日1回投与する。
  • SETTLE試験(549例、24週)でオン時間の有意な延長(群間差0.96時間、P<0.001)を示した一方、の頻度もの約3倍に増加した。
  • 日本では2019年承認と比較的新しく、2018年のパーキンソン病診療ガイドラインには一度も登場しない。「載っていない=エビデンスが無い」ではなく、承認時期の後先の問題である。
  • 禁忌が多岐にわたる(他の阻害薬、等のオピオイド、多くの)ため、併用薬の確認がとくに重要になる。⚠️ 日本の電子添文の禁忌は6項目だが、禁忌の中身は国で違う(米国は妊婦を挙げず、・・リネゾリドを挙げる)。
  • は重症度で扱いが分かれる。は禁忌、は1日50 mgが上限で、日米の添付文書が同じ線引きをしている。

出典

  1. 1.エクフィナ錠50mg 電子添文(2024年1月改訂・第5版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2024)効能・効果が「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」であること、用法・用量がレボドパ含有製剤と併用し通常成人にサフィナミドとして50 mgを1日1回経口投与し症状に応じて100 mgまで増量できること、禁忌が他のMAO阻害剤(セレギリン・ラサギリン)投与中の患者、ペチジン・トラマドール・タペンタドール含有製剤投与中の患者、三環系・四環系抗うつ剤やSSRI等多くの向精神薬投与中の患者、重度の肝機能障害のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性であること、重要な基本的注意として日中の傾眠・前兆のない突発的睡眠のため自動車運転や機械操作を避けさせること・病的賭博や病的性欲亢進などの衝動制御障害が現れることがあること・起立性低血圧による転倒リスク増加を挙げること、MAO阻害剤や各種抗うつ剤との併用でセロトニン症候群・高血圧クリーゼの重篤な副作用の危険性があること、重大な副作用として幻視3.2%・幻覚1.1%・傾眠1.9%・突発的睡眠0.4%・衝動制御障害0.2%・セロトニン症候群(頻度不明)・悪性症候群(頻度不明)が挙がること、薬効薬理として選択的かつ可逆的なMAO-B阻害作用により内因性及びレボドパ由来のドパミンの脳内濃度を高めるとともに電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用を併せ持つことを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Assessment of Safety and Efficacy of Safinamide as a Levodopa Adjunct in Patients With Parkinson Disease and Motor Fluctuations: A Randomized Clinical Trial(JAMA Neurology(Schapira AHV, et al./SETTLE study)・2017)運動症状の日内変動があるパーキンソン病患者549例(サフィナミド群274例・プラセボ群275例)を対象とした24週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験(SETTLE試験)で、主要評価項目である「煩わしいジスキネジアを伴わないオン時間」がサフィナミド群でベースライン9.30時間から1.42時間増加、プラセボ群で9.06時間から0.57時間増加し、群間差0.96時間(95%信頼区間0.56〜1.37、P<0.001)と有意に優れたこと、ジスキネジアがサフィナミド群14.6%・プラセボ群5.5%(重度はそれぞれ1.8%・0.4%)に生じたことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.パーキンソン病診療ガイドライン2018(日本神経学会(監修)/「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会・2018)サフィナミドが第I編第3章(MAOB阻害薬)にも、運動合併症を扱う第II編第3章CQ2にも一度も現れないこと(=2018年ガイドラインの刊行後に日本で承認された薬であること)を確認した閲覧 2026-09-05
  4. 4.XADAGO (safinamide) tablets — US Prescribing Information (openFDA drug/label record)(U.S. Food and Drug Administration(openFDA drug/label API)・2026)openFDAのdrug/labelを照会し、safinamideを一般名とする米国添付文書が1件(brand_name Xadago、labeler は MDD US Operations LLC, a subsidiary of Supernus Pharmaceuticals, Inc.、SPL set id c4d65f28-983f-42b4-bb23-023ae0fe81b2、NDA207145、effective_time 20251022)であることを確認した。4 CONTRAINDICATIONS の逐語は、他のMAO阻害薬または強力なMAO阻害作用を持つ薬(リネゾリドを含む)の併用、オピオイド(メペリジンとその誘導体・メサドン・プロポキシフェン・トラマドール)/SNRI/三環系・四環系・トリアゾロピリジン系抗うつ薬/シクロベンザプリン/メチルフェニデート・アンフェタミンとその誘導体/セイヨウオトギリソウの併用、デキストロメトルファンの併用、サフィナミドへの過敏症の既往、重度の肝機能障害(Child-Pugh C 10-15)の5区分で、妊婦は禁忌に挙がらない。8.6と2.2は中等度の肝機能障害(Child-Pugh B 7-9)で1日50mgを上限とし、投与中に中等度から重度へ進行した場合は投与を中止するとしている。⚠️ このレコードに含まれる印刷上の改訂表示は患者向け情報の Revised 8/2021 のみで、処方情報本体の改訂年は確認できなかったため、yearには照会年を記した閲覧 2026-09-13