薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A22 Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬

イストラデフィリン

istradefylline

分類
Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬
商品名(日本)
ノウリアスト
科目
Pharmacology
トピック
A22: Drugs of neurodegenerative diseases (extrapyramidal motoric system, nootropic drugs)
承認適応
パーキンソン病
副作用
幻視幻覚傾眠ジスキネジア便秘衝動制御障害
相互作用
リファンピシン

🧠 全体像:イストラデフィリンは、パーキンソン病治療薬の中で数少ない非ドパミン系の機序を持つ薬である。・・阻害薬・阻害薬がすべて「ドパミンを増やす、または長持ちさせる」ことを狙うのに対し、この薬はアデノシンA2A受容体という別の神経伝達系を遮断して大脳基底核の出力を調整する。日本では2013年から承認されている一方、(EMA)は2022年に販売承認を拒否した——同じ薬でも地域によって評価がここまで割れる薬は、このトピックの中でも際立っている。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序 ドパミン系への関与 日本での承認状況
イストラデフィリン アデノシンA2A受容体拮抗 非ドパミン系(間接的に基底核出力を調整) 2013年5月から承認1
(トレリーフ) 阻害+Na/T型Ca遮断 ドパミン系(分解抑制) 補助薬として承認
サフィナミド(エクフィナ) 阻害+Na遮断による抑制 ドパミン系(分解抑制)+非ドパミン系() 補助薬として承認

⭐ 「非ドパミン系」という一言がこの薬の存在意義そのものである。 ドパミン系を標的にする薬をどれだけ足しても効果が頭打ちになった患者に、まったく別の経路から手を入れられる、という発想がこの薬をこのトピックに位置づける理由になる。

機序

flowchart TD
    A["大脳基底核の線条体・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='globus pallidus'>淡蒼球</span>で<br>アデノシンA2A受容体を遮断"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indirect pathway'>間接路</span>(線条体→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='outer (external) segment'>外節</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='globus pallidus'>淡蒼球</span>)の<br>過剰な抑制性出力を弱める"]
    B --> C["視床への抑制が緩み<br>運動出力が改善する"]
    D["ドパミン受容体には<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct action'>直接作用</span>しない"] --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dopamine agonist'>ドパミン作動薬</span>と<br>異なる経路で症状を改善する"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levodopa'>レボドパ</span>併用下での<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='wearing-off'>ウェアリングオフ</span>を短縮"]

💡 アデノシンとドパミンは大脳基底核ので「綱引き」をしている。 アデノシンA2A受容体はと共存し、A2A受容体の活性化はドパミン系の作用と拮抗するように働く。この受容体を遮断すれば、ドパミン系を増やさなくてもの出力を弱め、の効果を側面から支えられる2。

薬物動態

項目 値・特徴
経口
代謝 主にCYP1A1およびCYP3A(・CYP3A5)で代謝される。同時にCYP3AとP糖蛋白に対して阻害作用を示す2
肝機能の影響 中等度肝障害では血中濃度上昇のおそれがあり用量上限が設けられる。重度肝障害は日本の電子添文では禁忌2、米国の添付文書では禁忌ではなく「使用を避ける」3(→「禁忌・注意」)

相互作用は「受ける側」と「与える側」の両方向にある

⭐ この薬はCYP3Aの基質でありながらCYP3AとP糖蛋白の阻害薬でもあるので、相互作用を片方向だけで覚えると半分を落とす。 電子添文16.7の実測値(いずれも外国人データ)は次のとおり2。

向き 相手 影響
本剤が受ける (CYP3A阻害) 本剤40 mg単回のAUC0-∞が2.47倍、t1/2が1.87倍
本剤が受ける リファンピシン(CYP3A誘導) 本剤のAUC0-∞が19.2%へ低下(約8割が失われる)
本剤が受ける 喫煙(CYP1A1・誘導) 喫煙者のAUC0-24は非喫煙者の58.4%
本剤が与える (CYP3A基質) のCmaxが1.61倍、AUC0-∞が2.41倍へ増加。⚠️ ただしこれは本剤80 mg/日での成績で、電子添文自身が注2で「本剤の承認用量は、1日40mgまでである」と付している
本剤が与える (CYP3A・P糖蛋白基質) 本剤40 mg/日でCmaxが1.53倍、AUC0-∞が1.54倍へ増加
本剤が与える ジゴキシン(P糖蛋白基質) 本剤40 mg/日でCmaxが1.33倍、AUC0-∞が1.21倍へ増加

⚠️ 上の「与える」側の数値は、承認用量で得られたものとそうでないものが混ざっている。 の2.41倍だけが本剤80 mg/日(承認用量の2倍)での試験で、電子添文もその行に注を付けて承認用量が1日40 mgまでであることを断っている2。米国の添付文書は本剤20 mgではの曝露に影響がなく、40 mgでが1.5倍になったと書き分け、基質の監視を求めるのは40 mgのときとしている3。でのCYP3A阻害は、この表の「2.41倍」が与える印象より弱い。

⚠️ CYP3Aの扱いは国で違う。 日本の電子添文はリファンピシン・カルバマゼピン等を併用注意に置くだけだが、米国の添付文書は強い(カルバマゼピン・リファンピシン・フェニトイン・)との併用を避けるよう求めている23。

⚠️ との併用での発現頻度が上昇したことが併用注意に明記されている(機序は不明)2。阻害薬はの治療で同時に使われやすいので、実地で最も当たる組合せである。

適応

領域 使いどころ
日本 含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるの改善。2013年5月から承認されている補助薬21
米国 2019年に/へのとしてOFFエピソードの治療薬として承認(約20年ぶりの非ドパミン系新規承認薬)4。現行の添付文書の適応は「オフエピソードを有する成人パーキンソン病患者における/への」で、成人に限定されている3
欧州 2022年1月6日付で、EMAが販売承認を拒否(初回意見2021年7月22日、再審査でも2021年11月11日に拒否を維持)。提出された8件の主要試験(3,245例)のうちオフ時間の短縮を示したのは4件にとどまり、増量しても効果は増大せず、圏の患者を含む2試験——とくに最大限かつ最適な治療を受けている患者を対象とした最新の試験——では効果が認められなかった。再審査でも「利用可能な結果からは有効性が確立しているとは考えられない」とし、がリスクを上回らないと判断した5

⚠️ 同じパッでも、地域によって評価が正反対になりうる。 日本神経学会2018年ガイドラインもイストラデフィリンの推奨を2C(弱い推奨・エビデンスの質「低」)にとどめ、「本邦のみでの承認薬剤であるため海外での評価は定まっていない」と付言している1。EMAの拒否はまさにこの懸念が現実になった例であり、上の位置づけは執筆時点で凍結された情報であって、今後変わりうる。

用法・用量

  • 含有製剤と併用する。単剤では用いない
  • 効能・効果に関連する注意は、含有製剤の投与量および投与回数を調節してもなおが認められる患者に使うと定めている——の調整より先に足す薬ではない2
  • 通常、成人には20 mgを1日1回し、症状により40 mgまで増量できる2
  • ⚠️ 40 mgへの増量が意味を持つのはオン時の改善であり、オフ時間の短縮効果自体は20 mgを上回らない。 電子添文7.1は逐語で「患者のオン時のの改善を期待する場合、40mgを1日1回できる。ただし、40mgでは、20mgを上回るオフ時間の短縮効果は認められていない。」と定めている2。日本神経学会2018年ガイドラインが引用するでは1日平均オフ時間の短縮が20 mg/日で1.31時間(p=0.013)、40 mg/日で1.58時間(p<0.001)と報告されているが1、この2つを並べて「40 mgのほうが効く」と読まない。
  • ⭐ 電子添文が載せている国内(373例、12週間)の数値のほうが、この点をはっきり示している。 プラセボ群との1日平均オフ時間の差は20 mg群で-0.76時間、40 mg群で-0.74時間(いずれもp=0.003)とほぼ同じで、40 mg群だけがオン時のUPDRS part III(運動能力検査)をとして改善させた2
  • 中等度肝障害、またはCYP3Aを強く阻害する薬剤(一部の抗真菌薬・等)を併用中の患者では、1日1回20 mgを上限とする2
  • ⚠️ 喫煙者の扱いが日米で違う。 喫煙はCYP1A1・を誘導して本剤の血中濃度を下げ、喫煙のCmax・AUC0-24は非喫煙者の79.3%・58.4%である。日本の電子添文はこれを併用注意として示すにとどまるが2、米国の添付文書は1日20本以上の喫煙者(他のたばこ製品で同等量を含む)の推奨用量を最初から40 mg 1日1回と定めている3

禁忌・注意

  • 日本の電子添文の禁忌は3項目:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性、重度の肝障害のある患者2
  • ⚠️ 禁忌の範囲は国ごとに別の当局文書が決める。この薬はその差が大きい。 米国の添付文書は「4 CONTRAINDICATIONS」を逐語で None(禁忌なし)とし、重度肝障害は禁忌ではなく「使用を避ける」(2.4・8.7)、妊娠は「特定の集団への使用」の8.1で、臨床的に意味のある曝露で動物に催奇形性が認められたと記載する3。「禁忌は3項目」は日本についてのみ成り立つ
  • ⚠️ 米国の添付文書は、大きなのある患者への投与を禁忌ではなくの側で止めている。 5.2は「精神病を悪化させうるリスクがあるため、大きなのある患者を本剤で治療すべきではない」とし、・精神症状が出たら減量または中止を検討するよう求める3。日本の電子添文にはこの記載が無く、精神障害は重大な副作用(11.1.1)として扱われる2
  • ⚠️ のない・・・傾眠・めまい・・失神等が起こりうる。 自動車の運転、機械の操作、高所作業など危険を伴う作業に従事させない2
  • ⚠️ のある患者では、を悪化させることがある。 悪化した場合は減量・・中止を検討する。のある患者では不整脈が悪化する可能性がある(いずれも「特定の背景を有する患者に関する注意」)2
  • ・呼吸困難・が出現した場合は胸部X線検査等を行い、必要に応じて減量・・中止する2。💡 この注意の根拠は「非において」マクロファージを主体とする肺のが認められたことで、ヒトの重大な副作用としてが挙がっているわけではない。 動物では臨床の3倍程度の用量から生じ、により回復性を示したと記されている2
  • 日本の電子添文の「非に基づく情報」(15.2.2)は、の試験で強化効果が陽性であったと記載している2。これは動物試験の所見であり、電子添文の本文に「依存」「乱用」の語は出てこない
  • CYP3A阻害薬との併用で血中濃度が上昇しうる一方、喫煙・CYP3Aは血中濃度を低下させる——禁煙・喫煙開始やリファンピシン等の開始・中止のタイミングで効果が変動しうる2
  • 💡 ドパミン系を介さない機序のため、・精神症状への寄与を単純に「のせい」と決めつけない。 添付文書は精神障害を重大な副作用の筆頭に挙げており、この薬自体が原因になりうる2

副作用

電子添文は「重大な副作用(11.1)」と「その他の副作用(11.2)」を別の枠で集計している。11.1の数値は重篤な事象の内訳であって頻度区分ではないので、両者を混ぜて「高頻度」と読まない2。

枠 内容
重大な副作用(11.1.1 精神障害) 4.5%、 3.2%、 0.8%、せん妄 0.6%、 0.5%、うつの悪化・抑うつ 0.5%、 0.3%、 0.2%、体感 0.2%、躁病 0.2%、 0.2%、 0.2% 等
その他の副作用:5%以上 16.9%、便秘 5.1% ——この欄にあるのはこの2つだけ。便秘は米国の添付文書でも主な副作用の1つで、対照試験4件の併合で20 mg群5%・40 mg群6%・プラセボ群3%3
その他の副作用:1〜5%未満(主な例) 傾眠、パーキンソン病増悪、、悪心、性疾患、、、体重減少・血中増加などの異常
その他の副作用:0.5〜1%未満(主な例) 性・心房細動・、胸部不快感、体位性めまい・・頭痛・失神、胃炎・・、、、睡眠障害、咳嗽、じん麻疹
その他の副作用:0.5%未満(主な例) 心筋梗塞・、高血圧、倦怠感・・口渇・、ジストニー・振戦、不安、頻尿・、腹部膨満・嘔吐・上腹部痛

⭐ 実際に最も多い副作用はである。 国内でも主な副作用は(20 mg群12.2%、40 mg群12.1%)・傾眠・便秘・で、副作用発現頻度は20 mg群36.6%、40 mg群38.7%、プラセボ群28.6%だった2。💡 ドパミン系にしないのにが最多なのは、この薬がの効果を側面から底上げするからで、機序と副作用の並びが矛盾しているわけではない。 米国の添付文書も同じ順位で、対照試験4件の併合では20 mg群15%・40 mg群17%・プラセボ群8%、投与中止に至った副作用として最も多かったのもである3。

⚠️ が重大な副作用の精神障害に列挙されている。 で有名な副作用だが、非ドパミン系のこの薬でも報告されており、本人からは申告されにくいので家族も含めて能動的に聞く2。米国の添付文書も独立した(5.3)を置き、対照試験4件では40 mg群の1例のみだったものの、市販後には減量・中止で衝動が収まった報告があるとして、賭博・・浪費・むちゃ食いなどの衝動を処方者から具体的に尋ねるよう求めている3。

まとめ

  • イストラデフィリンはアデノシンA2A受容体拮抗薬で、ドパミン系にしない非ドパミン系の機序を持つパーキンソン病の補助薬である。
  • 日本では2013年から併用下での改善薬として承認され、通常20 mg・症状により40 mgまで増量できるが、40 mgの効果はオン時の改善に限られる(国内のオフ時間短縮は比で20 mg群-0.76時間、40 mg群-0.74時間とほぼ同じ)。
  • 相互作用は双方向である。CYP3A阻害薬で本剤の血中濃度が上がり、喫煙・CYP3Aで下がる一方、本剤自身がCYP3AとP糖蛋白を阻害して・ジゴキシンの曝露を上げる。⚠️ のAUC2.41倍は承認用量の2倍(80 mg/日)での成績で、米国の添付文書は20 mgでは影響なしと書き分けている。併用ではが増える。
  • ⚠️ 上の記述は日米で揃っていない。 日本の電子添文は禁忌を3項目置くが米国の添付文書は「禁忌なし」で、代わりに大きなへの投与をで止める。1日20本以上の喫煙者を最初から40 mgとすること、強いとの併用を避けるよう求めることは、米国の添付文書にはあり日本の電子添文には無い(はEMAが販売承認を拒否しており、比較できるが無い)。「禁忌は3つ」「傾眠に注意」といった記述は、どの国の文書の話かを添えないと成り立たない。
  • 副作用で最も多いのは(16.9%)と便秘(5.1%)で、重大な副作用は精神障害(・・・等)である。肺のは非の所見であって、ヒトの重大な副作用としてが挙がっているわけではない。
  • 米国は2019年に承認した一方、EMAは2022年に販売承認を拒否した。8件の主要試験のうちオフ時間短縮を示したのは4件、増量しても効果は増大せず、圏を含む2試験では効果が認められなかったことが理由で、日本神経学会も2018年時点で「海外での評価は定まっていない」と付言している。

出典

  1. 1.パーキンソン病診療ガイドライン2018(日本神経学会(監修)/「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会・2018)第II編第3章CQ2で、ウェアリングオフを呈する進行期パーキンソン病患者へのゾニサミド追加とイストラデフィリン追加をいずれも「2C(弱い推奨/エビデンスの質「低」)」で提案し、両者に同じ付帯事項「本邦のみでの承認薬剤であるために、海外での評価は定まっていない点に十分注意する必要がある」を付していること、第I編第9章はイストラデフィリンをアデノシンA2A受容体拮抗薬として2013年5月より本邦で使用可能になったと記し、ランダム化二重盲検比較試験で1日平均オフ時間が20 mg/日で1.31時間(p=0.013)・40 mg/日で1.58時間(p<0.001)短縮したと述べていることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.ノウリアスト錠20mg 電子添文(2022年4月改訂・第1版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2022)冒頭の作成又は改訂年月が2022年4月改訂(第1版)である電子添文の本文を取得して確認した。2.禁忌は本剤成分への過敏症の既往歴・妊婦又は妊娠している可能性のある女性・重度の肝障害の3項目。4.効能又は効果は「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善」、5.は「レボドパ含有製剤の投与量及び投与回数の調節を行ってもウェアリングオフ現象が認められる患者に対して使用すること」、6.用法及び用量は「本剤は、レボドパ含有製剤と併用する。通常、成人にはイストラデフィリンとして20mgを1日1回経口投与する。なお、症状により40mgを1日1回経口投与できる」。7.1は「患者のオン時の運動機能の改善を期待する場合、40mgを1日1回経口投与できる。ただし、40mgでは、20mgを上回るオフ時間の短縮効果は認められていない」、7.2は中等度の肝障害のある患者およびCYP3Aを強く阻害する薬剤を投与中の患者で1日1回20mgを上限とする。8.1は前兆のない突発的睡眠・睡眠発作・起立性低血圧・傾眠・めまい・意識消失・失神等を挙げ危険を伴う作業に従事させないよう求める。⚠️ 8.2の肺の炎症性変化は「非臨床試験において」マクロファージを主体とする変化が認められたという記載であり(15.2.1に詳細、臨床曝露量の3倍程度の用量から、休薬により回復性)、11.1の重大な副作用に間質性肺炎は挙がっていない。9.1.1は虚血性心疾患のある患者で不整脈が悪化する可能性、9.1.2はジスキネジーのある患者でジスキネジーを悪化させることがあるとする。10.2併用注意はCYP3A阻害薬・CYP3A誘導薬・CYP3A基質・P糖蛋白基質・喫煙に加え、エンタカポンとの併用でジスキネジーの発現頻度の上昇が認められた(機序は不明)ことを挙げる。11.1.1重大な副作用の精神障害は幻視4.5%・幻覚3.2%・妄想0.8%・せん妄0.6%・不安障害0.5%・うつの悪化/抑うつ0.5%・被害妄想0.3%・幻聴0.2%・体感幻覚0.2%・躁病0.2%・激越0.2%・衝動制御障害0.2%等。11.2その他の副作用の表は5%以上/1〜5%未満/0.5〜1%未満/0.5%未満の4欄からなり、5%以上の欄にあるのはジスキネジー16.9%と便秘5.1%の2つだけである。起立性低血圧は1〜5%未満の欄、心筋梗塞と高血圧は0.5%未満の欄にある。16.7はケトコナゾール併用で本剤40mg単回のCmaxは影響を受けずAUC0-∞が2.47倍・t1/2が1.87倍、リファンピシン併用で本剤40mg単回のCmaxが55.5%・AUC0-∞が19.2%へ低下、アトルバスタチン(本剤40mg/日17日間反復)のCmaxが1.53倍・AUC0-∞が1.54倍、ジゴキシン(本剤40mg/日21日間反復)のCmaxが1.33倍・AUC0-∞が1.21倍へ増加、喫煙健康成人での本剤40mg/日のCmax及びAUC0-24が非喫煙者の79.3%及び58.4%(いずれも外国人データ)と記す。⚠️ 16.7.3のミダゾラムだけは本剤80mg/日15日間反復投与での成績で、本文に注2として「本剤の承認用量は、1日40mgまでである。」が明記されており、承認用量の2倍での試験である(ミダゾラム10mg単回のCmax1.61倍・AUC0-∞2.41倍)。17.1.1の国内第III相試験(373例、12週間)では1日平均オフ時間のプラセボ群との差が20mg群-0.76時間・40mg群-0.74時間(いずれもp=0.003、Williams検定)であった。18.1.1の作用機序はアデノシンA2A受容体拮抗薬として線条体及び淡蒼球で当該受容体を遮断することによる。15.2.2はアカゲザルの静脈内自己投与試験で強化効果が陽性であったとし、本文に「依存」「乱用」の語は無い。閲覧 2026-09-16
  3. 3.NOURIANZ (istradefylline) tablets, for oral use — Full Prescribing Information(Kyowa Kirin, Inc.(米国添付文書。DailyMed SPL)・2023)DailyMedのSPL全文(setid a7d008cb-b273-4049-a5d2-9c6902910d58、version 6。製品名 NOURIANZ、labeler は Kyowa Kirin, Inc.)を取得して確認した。1 は「adjunctive treatment to levodopa/carbidopa in adult patients with Parkinson's disease (PD) experiencing OFF episodes」で成人に限定される。4 CONTRAINDICATIONS は逐語で None。5.1 Dyskinesia は「NOURIANZ in combination with levodopa may cause dyskinesia or exacerbate pre-existing dyskinesia」とし、対照試験4件の併合でジスキネジアが20mg群15%・40mg群17%・プラセボ群8%、ジスキネジアによる投与中止が両用量1%・プラセボ0%。5.2 は「patients with a major psychotic disorder should not be treated with NOURIANZ」とし幻覚は20mg群2%・40mg群6%・プラセボ群3%。5.3 は衝動制御・強迫的行動で、対照試験では40mg群の1例のみだが市販後に減量・中止で消失した例があるとする。2.5 は1日20本以上の喫煙者(または他のたばこ製品で同等量)の推奨用量を40mg1日1回とする。2.3 と 7.1 は強いCYP3A4誘導薬(カルバマゼピン・リファンピシン・フェニトイン・セイヨウオトギリソウ)との併用を避けるよう求め、リファンピシン併用で本剤のCmaxが45%・AUCinfが81%低下したとする。7.2 は本剤20mgではミダゾラムの曝露に影響せず、40mgでアトルバスタチンのCmaxとAUCinfが1.5倍、ジゴキシンのCmaxが33%・AUCinfが21%増加したとする。6.1 の主な副作用は「dyskinesia, dizziness, constipation, nausea, hallucination, and insomnia」で、表1の便秘は20mg群5%・40mg群6%・プラセボ群3%。12.1 は「The precise mechanism by which istradefylline exerts its therapeutic effect in Parkinson's disease is unknown」と述べたうえで、in vitro・動物試験でアデノシンA2A受容体拮抗薬であることが示されたとする。⚠️ この処方情報のHighlights末尾の改訂表示は Revised: 7/2023 で、yearはこれに従う(患者向け情報は Issued 3/2023)。SPLのeffectiveTime 20250520(DailyMedの Updated May 20, 2025)は掲載側の更新日であり改訂年ではない。⚠️ 全文検索で somnolence・drowsiness・sedation・driving はいずれも0件である閲覧 2026-09-16
  4. 4.The belated US FDA approval of the adenosine A2A receptor antagonist istradefylline for treatment of Parkinson's disease(Purinergic Signalling(Chen JF, Cunha RA)・2020)Europe PMC(PMC7367999)の抄録で逐語を確認した。2019年8月27日に米国FDAがアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリン(Nourianz)を、オフ症状を伴うパーキンソン病に対するレボドパへの追加治療として承認したこと(原文は on August 27, 2019, the US Food and Drug Administration (FDA) approved the adenosine A2A receptor antagonist Nourianz (istradefylline) ... as an add-on treatment to levodopa in Parkinson's disease (PD) with OFF episodes)、および Istradefylline is the first non-dopaminergic drug approved by FDA for PD in the last two decades と述べていることを確認した。⚠️ 全文は非オープンアクセスで、確認できたのは抄録の範囲のみである閲覧 2026-09-14
  5. 5.Nouryant (istradefylline) — Refusal of the marketing authorisation(European Medicines Agency (EMA)・2022)EMAのEPARページ(Nouryant、EMEA/H/C/005308)を取得して逐語で確認した。承認状態は Refused(This medicine has been refused authorisation)で、CHMPは2021年7月22日に初回意見を採択し、2021年11月11日の再審査後も拒否の勧告を維持、販売承認の拒否(Refusal of marketing authorisation)は2022年1月6日付である。申請の根拠は、レボドパ基盤治療を受けオフ時間を経験しているパーキンソン病患者3,245例を対象とする8件の主要試験であった。拒否の理由としてEPARは、①結果が一貫せずオフ時間の短縮を示したのは8件中4件にとどまったこと(Only four out of the eight studies showed a reduction in ‘off’ time)、②用量を増やしても効果は増大しなかったこと(and the effect did not increase with an increased dose of Nouryant)、③EU圏の患者を含む2試験——とくにパーキンソン病に対して最大限かつ最適な治療を受けている患者を対象とした最新の試験——では効果が認められなかったことを挙げ、再審査でも efficacy cannot be considered established based on the available results と結論してベネフィットがリスクを上回らないと判断したことを確認した。⚠️ 原文は「用量反応関係(dose-response relationship)」という語を使っておらず、増量しても効果が増えなかったという書き方である閲覧 2026-09-14