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Drug Atlas · A22 Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬

アポモルヒネ

apomorphine

分類
Antiparkinson drugs / 抗パーキンソン薬
商品名(日本)
アポカイン
商品名(EU)
Dacepton
科目
NeurologyPharmacology
トピック
G3-11: Treatment of Parkinson's diseaseA22: Drugs of neurodegenerative diseases (extrapyramidal motoric system, nootropic drugs)
承認適応
パーキンソン病
副作用
低血圧悪心嘔吐傾眠
相互作用
オンダンセトロン

🧠 全体像:は唯一のD1/D2非選択的ドパミン受容体作動薬であり、・のような経口の維持療法薬ではなく、皮下注射によるの治療薬としてパーキンソン病の「オフ」症状に使う。半減期が約40分と極端に短いこの薬理学的特性そのものが、頓用(単回皮下注)にも(の3本柱の1つ)にも使える理由になっている。(など)との併用が重度低血圧・を起こすため禁忌という、他のには無い際立った相互作用を持つ。

ドパミン作動薬の中での位置づけ

項目 ・
D2/に選択的 D1・D2受容体サブファミリーに幅広く作動(D4への親和性が特に高い)1
経口()・() 皮下注(頓用または)のみ
用途 早期〜の維持療法 の「オフ」症状に対する治療
半減期 は約8〜12時間 約40分と極端に短い1
特有の禁忌 特になし との併用(重度低血圧・)1

⭐ 半減期の短さがの用途そのものを決めている。 頓用では10〜60分でピークに達し作用が短時間で切れるため「オフ」時のに向き、では常にオン状態を維持する目的で使える。のように長い半減期を持たないことが、かえって2つの投与法(頓用・)を両立させる。

機序

線条体のドパミンD1・D2受容体サブファミリーに幅広く結合し、(、Go方向)・(D2受容体、No-go方向の抑制)の両方の出力を修飾してドパミン神経伝達を模倣する2。と異なり神経終末での取り込み・変換・貯蔵を必要としない。

💡 D4受容体への親和性が最も高いという特徴は、他のとの薬理学的な違いの一つだが、臨床効果の主体は線条体のD1/D2サブファミリーを介した運動症状の改善である1。

薬物動態

項目 値・特徴
皮下注(頓用または用ポンプ)
約40分(範囲30〜60分)
ピーク血中濃度到達 投与後10〜60分
血圧への影響 で最大90分持続

1

適応・用法・用量

適応:パーキンソン病で、含有製剤の頻回投与や他のの増量でも十分な効果が得られない「オフ」症状(wearing-off・予測不能なon/off現象)2。

  • 頓用():1回1mgから開始し、以後経過を観察しながら1mgずつ増量して(1回1〜6mg)を定める。は少なくとも2時間、1日投与回数の上限は5回
  • :パーキンソン病で内服最適化やデバイス手術が難しい患者に対する療法の選択肢の1つ(経腸ゲル、・皮下注と並ぶ)

実際の用量は年齢・腎肝機能・で変わるため施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 禁忌:(・グラニセトロン・ドラセトロン・など)およびアロセトロンとの併用。 併用により重度低血圧・が報告されている1
  • 禁忌:・添加剤(亜硫酸水素ナトリウムを含む)への過敏症
  • ⚠️ 悪心・嘔吐対策にはを使わない。 はを刺激し悪心・嘔吐を起こしやすいが、対策にはではなくトリメトベンズアミドなど別系統のを用いる(初回投与の3日前から開始し、原則2か月を超えて継続しない)1。日本ではの使用も選択肢とされる
  • ・QT延長のリスクがあり、投与開始時は座位・臥位から立位への変化に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心・嘔吐、注射部位反応、傾眠
注意 低血圧(起立性を含む)、、増悪
重篤・まれ 併用時の重度低血圧・、QT延長

まとめ

  • 唯一のD1/D2非選択的ドパミン受容体作動薬で、皮下注射でしか投与できない。
  • 半減期約40分という短さが、頓用・の両方の用途を可能にしている。
  • 適応は・他のでも制御できないパーキンソン病の「オフ」症状。
  • (など)との併用は禁忌——重度低血圧・のリスクがあり、悪心・嘔吐対策には別系統の(トリメトベンズアミド、日本ではなど)を用いる。
  • パーキンソン病の療法3本柱(皮下注・経腸ゲル・皮下注)の中で、最も古くから使われている。

出典

  1. 1.APOKYN (apomorphine hydrochloride) injection — full prescribing information(US WorldMeds, LLC / U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載、2022年6月改訂)・2022)アポモルヒネがドパミンD4受容体への結合親和性が高くD2・D3・D5受容体にも中等度の親和性を持つ非麦角系ドパミン作動薬であること、5-HT3拮抗薬(オンダンセトロン・グラニセトロン・ドラセトロン・パロノセトロンなど)およびアロセトロンとの併用が禁忌であり両者の併用で重度低血圧・意識消失が報告されていること、成分・亜硫酸水素ナトリウムへの過敏症も禁忌であること、消失半減期が約40分(30〜60分)でピーク血中濃度到達が投与後10〜60分であること、悪心・嘔吐対策として初回投与の3日前からトリメトベンズアミドを1回300mgを1日3回投与し原則2か月を超えて継続しないとしていることを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.アポモルヒネ皮下注射製剤(販売名:アポカイン®皮下注30 mg)―レボドパ治療に伴う運動症状の日内変動に対するレスキュー療法―(日本薬理学雑誌・2013)アポモルヒネがドパミンD1・D2受容体サブファミリーに対し幅広い作動活性を持ち線条体の直接路・間接路の出力を修飾して抗パーキンソン作用を示すこと、日本での承認適応が「レボドパ含有製剤の頻回投与及び他の抗パーキンソン病薬の増量を行っても十分な効果が得られない場合」のオフ症状改善であること、専用の電動注入器により患者自己注射でのレスキュー投与が可能であることを確認した閲覧 2026-09-16