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Drug Atlas · B9 Other / その他

マジンドール

mazindol

分類
Other / その他
商品名(日本)
サノレックス
科目
Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
禁忌疾患
閉塞隅角緑内障
副作用
めまい睡眠障害
相互作用
サフィナミドセレギリンラサギリン

🧠 全体像:マジンドールは、日本で唯一「症」という数値基準(肥満度+70%以上またはBMI35以上)付きの適応を持つである。類に類似した薬理学的特性(視床下部のへのと再取り込み抑制)を持ち、この類似性がそのまま「依存性」「投与期間は3ヵ月を限度」というに直結している。⭐ 米国ではSanorexとして1973年に承認されながら1999年に販売中止(安全性・有効性とはと2008年にが確認)となり、現在は市場に存在しないのに対し、日本ではサノレックスとして今も症の適応で処方され続けている——同じ薬が国によって「過去の薬」と「現役の薬」に分かれた好例である。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 標的・機序 位置づけ
リパーゼ阻害(非全身性) 低コスト・第一世代
受容体作動薬 等 中枢の食欲調節 第二世代・体重減少幅が大きい
(類似) マジンドール 視床下部への+ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニンの再取り込み抑制 日本で症(数値基準あり)に承認。米国は1999年に販売中止

💡 「類似」という位置づけが、他のB9薬とは違うの重さを生んでいる。 や受容体作動薬にはない・(第三種)・習医薬品という3つの区分が同時に付いており、依存性への留意が添付文書のの筆頭に置かれている1。

機序

flowchart TD
    A["マジンドールを内服"] --> B["視床下部の摂食<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regulatory center'>調節中枢</span>(VMH・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral hypothalamic area'>視床下部外側野</span>)へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct action'>直接作用</span>"]
    A --> C["神経終末での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoamine'>モノアミン</span>再取り込みを抑制"]
    C --> D["ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニンの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>濃度↑"]
    B --> E["摂食行動の抑制(1回・1日の摂餌量減少)"]
    D --> E
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='energy intake'>摂取エネルギー</span>↓"]
    C --> G["グルコース利用促進・熱産生促進"]
    G --> H["消費エネルギー↑"]
    F --> I["体重減少"]
    H --> I

💡 「食べる量を減らす」と「使うエネルギーを増やす」の両方に働きかける二正面の機序である。 添付文書は、摂食へのと再取り込み抑制による抑制(摂食抑制・消化吸収抑制)に加え、骨格筋等へのグルコース取り込み促進や熱産生促進による消費エネルギー増加も機序として挙げている1。

適応

日本の添付文書が定める適応は数値基準を伴う——「あらかじめ適用した及び運動療法の効果が不十分な症(肥満度が+70%以上又はが35以上)における及び運動療法の補助」であり、・遺伝性・など症候性(二次性)肥満では原疾患の治療を優先する1。

⚠️ 米国ではこの適応そのものが市場から消えている。 SANOREX(マジンドール)錠1 mg・2 mgは1973年6月14日にで承認され「食事制限による減量療法における短期のとしての外因性肥満の管理」に用いられたが、1999年に販売中止となりOrange Bookの「販売中止医薬品リスト」へ移された。2008年、は市民請願を受けた記録精査の結果「安全性・有効性を理由とする販売中止ではない」と正式に決定し、この決定によりSANOREXを参照する(ANDA)が理論上は承認されうる状態にあるが、は現在もSANOREXを「販売中止医薬品リスト」に掲載し続けている——つまり販売中止の理由は安全性ではないものの、実際に市場に流通する製品は無い2。

用法・用量

通常、成人には0.5 mg(1錠)を1日1回昼食前にする。1日最高投与量は1.5 mg(3錠)までとし、2〜3回に分けて食前に投与するが、できる限り最小を用いる1。

⚠️ 投与期間はできる限り短期間とし、3ヵ月を限度とする。 本剤投与中にがあらわれたとの報告があり、また海外で剤の長期投与によりの発症リスクが増加するとの報告があるため、3ヵ月を超えて投与しない。1ヵ月以内に効果がみられない場合は投与を中止する1。

  • 睡眠障害を引き起こすことがあるため、夕刻の投与は避ける(昼食前投与という用法そのものがこれを反映している)1
  • 急激な減量による合併症のリスクを避けるため、投与中は体重の推移に注意する1

実際の用量・投与継続の可否は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への過敏症、(のおそれ)、重症の心障害、重症の膵障害(抑制作用を有する)、重症の腎・肝障害、重症高血圧症(のを増強する)、、不安・抑うつ・異常興奮状態および等の精神障害、薬物・歴、(塩・メシル酸塩・サフィナミドメシル酸塩)投与中または投与中止後2週間以内、妊婦または妊娠している可能性のある女性、小児1
  • ⚠️ 阻害薬とのは双方向の記載として確認できる。 の項で述べたとおり、日本の電子添文はの禁忌欄にマジンドールを名指しし、逆にマジンドールの添付文書も(・・サフィナミド)をに挙げている。理由は「本剤は交感神経刺激作用を有し、の作用を増強すると考えられる」こと——を起こすことがあるため、投与中または投与中止後2週間は本剤を投与しない1
  • ⚠️ 依存性への留意がの筆頭に置かれている。 本剤の主要な薬理学的特性は類と類似しており、サルの薬物自己摂取試験で摂取頻度の増加・精神依存の形成が、イヌの22ヵ月経口投与慢性毒性試験で様がみられている1
  • 併用注意:昇圧アミン(アドレナリン・ノルアドレナリン等、作用増強)、グアネチジン系薬剤・ラウオルフィア製剤・・(効果を減弱)、インスリン・(必要量が変化)、アルコール(中枢神経刺激の増強)、ハロゲン系剤(不整脈のおそれ)、中枢神経刺激剤(・睡眠障害の増強)、甲状腺ホルモン(中枢神経刺激作用の増強)1

副作用

頻度 内容
5%以上
0.1〜5%未満 睡眠障害、頭痛、脱力感、めまい、けん怠感、いらいら感、眠気、
重大な副作用(頻度不明) 依存性、(呼吸困難・胸痛・失神)

(頻度区分・項目は日本の添付文書「11. 副作用」による1)

まとめ

  • マジンドールは視床下部のへのと、ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニンの再取り込み抑制という二正面の機序で、抑制と消費エネルギー増加の両方を狙う。
  • 適応は数値基準を伴う症(肥満度+70%以上またはBMI35以上)で、・運動療法の効果が不十分な場合の補助に限定される。
  • 用法・用量は0.5 mgを1日1回昼食前から開始し、最高1.5 mg/日まで。リスクのため投与期間は3ヵ月を限度とする。
  • ⚠️ ・・サフィナミドなど阻害薬との併用は禁忌(のリスク)。禁忌欄は側からもマジンドール側からも相互に記載されている。
  • 主要な薬理学的特性が類と類似しており、・(第三種)・習医薬品の区分を持つ。依存性・が重大な副作用。
  • ⭐ 米国ではSANOREXとして1973年承認・1999年販売中止(2008年にが安全性・有効性を理由とする中止ではないと決定したが、市場には現存しない)。日本ではサノレックスとして現在も症の適応で使用可能——同じ薬の上の運命が国によって分かれている。

出典

  1. 1.サノレックス錠0.5mg 添付文書(富士フイルム富山化学(PMDA医療用医薬品情報検索システム)・2024)2024年8月改訂(第2版)のサノレックス錠0.5mg添付文書で、規制区分が劇薬・向精神薬(第三種、注意―習慣性あり)・処方箋医薬品であること、警告1.1が「本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、本剤を投与する際は、依存性について留意すること」と定めること、禁忌2.1〜2.12が本剤成分への過敏症・閉塞隅角緑内障・重症の心障害・重症の膵障害・重症の腎/肝障害・重症高血圧症・脳血管障害・不安/抑うつ/異常興奮状態および統合失調症等の精神障害・薬物/アルコール乱用歴・MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩・ラサギリンメシル酸塩・サフィナミドメシル酸塩)投与中または投与中止後2週間以内・妊婦または妊娠可能性のある女性・小児であること、効能・効果が「あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助」であること、用法・用量が通常成人に0.5mg(1錠)を1日1回昼食前、1日最高投与量1.5mg(3錠、2〜3回に分けて食前)、投与期間はできる限り短期間とし3ヵ月を限度とし1ヵ月以内に効果がみられなければ中止すること、7.1が肺高血圧症の報告と海外での食欲抑制剤長期投与による肺高血圧症リスク増加の報告を理由に3ヵ月を超えて投与しないよう定めること、10.1の併用禁忌がMAO阻害剤(セレギリン塩酸塩・ラサギリンメシル酸塩・サフィナミドメシル酸塩)であり、理由が「本剤は、交感神経刺激作用を有し、MAO阻害剤の作用を増強すると考えられる」こと・高血圧クリーゼを起こすことがあるためMAO阻害剤投与中または投与中止後2週間は本剤を投与しないこととされていること、重大な副作用が依存性(頻度不明。サルの静脈内薬物自己摂取試験で摂取頻度増加・精神依存形成、イヌの22ヵ月経口投与慢性毒性試験で幻覚様異常行動)・肺高血圧症(頻度不明。労作性呼吸困難・胸痛・失神等)であること、18.1の作用機序が視床下部の摂食中枢(VMH・視床下部外側野)への直接作用および神経終末におけるモノアミン(ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン)の再取り込み抑制を介すること、16.1で健康成人へのマジンドール2mg単回経口投与後の最高血漿中濃度が投与2時間後で約2.81ng/mL・血漿中半減期が約9時間であったことを確認した。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Determination That SANOREX (Mazindol) Tablets 1 and 2 Milligrams Were Not Withdrawn From Sale for Reasons of Safety or Effectiveness(U.S. Food and Drug Administration(Federal Register Vol. 73, No. 136, p. 40583)・2008)SANOREX(マジンドール)錠1 mg・2 mg(NDA 17-247、Novartis Pharmaceuticals)が「食事制限による減量療法における短期の補助療法としての外因性肥満の管理」に承認され、1973年6月14日に承認、1999年に販売中止となりOrange Bookの処方薬リストから「販売中止医薬品リスト」へ移されたこと、AAIPharmaの市民請願を受けたFDAの記録精査と市販後有害事象文献の独自評価の結果、SANOREX錠1 mg・2 mgが安全性または有効性を理由に販売中止されたことを示す情報は見当たらず、2008年7月15日付でFDAが「安全性・有効性を理由とする販売中止ではない」と決定したこと、この決定によりSANOREXを参照するANDA(後発品申請)が他の法的・規制上の要件を満たせば承認されうること、それでもFDAは引き続きSANOREXをOrange Bookの「販売中止医薬品リスト」に掲載し続けるとしていることを確認した。閲覧 2026-09-16