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Drug Atlas · B9 Other / その他

オルリスタット

orlistat

分類
Other / その他
商品名(日本)
アライ
商品名(EU)
XenicalAlli
科目
Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
副作用
下痢便失禁黄疸掻痒
監視検査値
プロトロンビン時間(PT-INR)甲状腺刺激ホルモン(TSH)
相互作用
アミオダロンシクロスポリンAワルファリン
対象疾患
肥満症

🧠 全体像は血糖ではなく「食事に含まれる脂肪をどれだけ吸収させないか」を操作する変わり種のである。に不可逆的に結合して脂肪の消化を妨げ、全身にはほとんど吸収されず腸管内だけで完結するという点はの糖質版に近い。ただし位置づけは大きく変わり、AACE(米国臨床内分泌学会)の2025年版アルゴリズムは、総体重減少15%以上が期待される第二世代薬(など)を重症度の高い病期で優先する一方、比約2.9%にとどまる第一世代・低コストの薬として、重症度の低い病期や費用面のがある場面の選択肢に位置づけている。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 標的 比の体重減少幅
リパーゼ阻害(非全身性) 約2.9%、肥満成人・第一世代)
GLP-1受容体作動薬(第一世代) 中枢の食欲調節・ 約5%(SCALE試験)
GLP-1受容体作動薬(第二世代) 中枢の食欲調節・ 約12%(STEP-1試験)
GIP/GLP-1デュアル受容体作動薬(第二世代) GIP・GLP-1の二重作動 約12〜18%(SURMOUNT-1試験、用量別)
中枢性の(配合剤・第一世代) // 中枢の 数%程度

だけが「中枢に作用しない」である。 他の薬は脳の食欲・に働きかけるが、は腸管内のだけを標的にする。この非全身性が、後述する副作用が消化器症状に集中する理由でもある。表の数値は試験ごとにが異なる(STEP-1・SURMOUNT-1・SCALEはいずれも糖尿病を除くBMI基準での選定)ため、単純な横並び比較の目安にとどめる。

機序

flowchart TD
    A["食事中の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triglyceride'>中性脂肪</span>(トリグリセリド)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric and pancreatic lipase'>胃・膵リパーゼ</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active-site serine residue'>活性部位セリン残基</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orlistat'>オルリスタット</span>が共有結合し<br>不可逆的に阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triglyceride'>中性脂肪</span>の分解が妨げられる"]
    D --> E["未消化の脂肪が糞便中へ<br>そのまま排出(摂取脂肪の約30%)"]
    E --> F["摂取エネルギーの正味減少→体重減少"]
    D -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fat-soluble vitamin'>脂溶性ビタミン</span>も同時に流れる"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitamin A'>ビタミンA</span>・D・E・Kの<br>吸収も低下"]
    E --> H["⚠️ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='steatorrhea'>脂肪便</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flatulence'>鼓腸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fecal urgency'>便意切迫</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fecal incontinence'>便失禁</span>"]

💡 効かせたい反応と副作用が同じ一段階から生じる。 リパーゼ阻害で脂肪の吸収を止めることが減量効果そのものであり、同時に未消化脂肪の通過が消化器症状の原因になる。「効いている証拠」が不快な症状として現れる点はと同型である。

薬物動態

項目 値・特徴
全身への吸収 ほとんど吸収されない(腸管内で局所的に作用し、はごく微量)
代謝 吸収されたごく一部も主にで代謝される
排泄 大部分が糞便中(未吸収のまま)
服用タイミング 脂肪を含む食事の最中、または食後1時間以内

適応

領域 使いどころ
への追加治療。処方用量(120 mg)は成人の体重管理に用いる
OTC(要指導医薬品) 低用量(60 mg)が薬局で購入できる。日本では2024年に「アライ」として国内初のOTCが発売され、薬剤師の対面指導を要する

用法・用量

処方用量120 mg・OTC用量60 mgとも1回1カプセルを1日3回、脂肪を含む食事の最中または食後1時間以内に服用する。食事を抜く、あるいは脂肪をほとんど含まない食事のときは省略できる。対象年齢・用量・販売区分は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:妊娠中(減量の利益がなく胎児に不利益)、、胆汁うっ滞、過敏症
  • ⚠️ (A・D・E・K)の吸収も同時に低下する。 マルチビタミン剤をの服用から少なくとも2時間離して(例:就寝前)服用する
  • ⚠️ ・腎結石の後報告がある。 リスクのある患者は腎機能をモニタリングし、疑われれば中止する
  • ⚠️ 稀に重篤な肝障害()の後報告がありは未確立だが黄疸・掻痒があれば速やかに報告させる
  • の血中濃度を低下させうるため3時間以上離して服用しモニタリングする。ワルファリン療法中はビタミンK吸収低下で凝固能が変動しうるため凝固をモニタリングする
  • を約23〜27%低下させ、併用時も甲状腺機能をモニタリングする。併用中は痙攣の報告があり発作の変化に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 油性の(油性ガス)、・排便回数増加、下痢(未消化脂肪の排出が原因)
注意 欠乏、腎結石
重篤・まれ 重篤な肝障害(後報告)

まとめ

  • に不可逆的に結合し、食事性脂肪の消化・吸収を阻害する非全身性の。副作用もなど消化器症状に集中する。
  • 比の減量効果は約2.9%にとどまり、AACEの2025年版アルゴリズムは総体重減少15%以上が期待される第二世代薬(など)を重症度の高い病期で優先する一方、は低コストの第一世代薬として重症度の低い病期や費用面のがある場面に位置づけている。
  • の吸収も同時に低下するため、マルチビタミン剤を服用から2時間以上離して(例:就寝前)服用する。
  • ・ワルファリン・と相互作用があり、モニタリングを要する。
  • 稀に重篤な肝障害の後報告があり、黄疸等が出れば速やかに報告させる。にも注意する。
  • 処方用量(120 mg)とOTC用量(60 mg)が存在し、日本では2024年に「アライ」が国内初承認・発売された。