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Lab values · Published

甲状腺刺激ホルモン

Thyroid-stimulating hormone

別名
TSH
臓器系
内分泌・代謝
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-02:甲状腺疾患の症状・診断・治療
関連疾患
バセドウ病巨赤芽球性貧血甲状腺機能低下症心房細動尋常性白斑舌性甲状腺脱毛症中毒性腺腫中毒性多結節性甲状腺腫認知症免疫関連有害事象
監視対象薬
アキシチニブアパルタミドアミオダロンアリトレチノインアレムツズマブオルリスタットカボザンチニブセルペルカチニブチアマゾールチボザニブパゾパニブバンデタニブプロピルチオウラシルベキサロテンリチウムレボチロキシンレンバチニブ
影響する薬剤
(PEG)-インターフェロンアルファアテゾリズマブアルファインターフェロンイピリムマブエチオナミドスニチニブセミプリマブデュルバルマブトレメリムマブニボルマブパラアミノサリチル酸プロチオナミドペムブロリズマブポビドンヨードレチファンリマブ

🧠 全体像は下垂体から分泌され、甲状腺ホルモン産生を調節する。原発性では鋭敏な入口だが、TSH単独では中枢性疾患、妊娠、急性重症疾患、を誤る。遊離T4を組み合わせ、値の組合せがのどこに合うかを読む。

何を測っているか

視床下部のTRHがのTSH分泌を促し、TSHは甲状腺のTSH受容体を刺激してT4・T3の合成と分泌を促す。遊離T4・T3は下垂体と視床下部へ負のフィードバックをかける。

flowchart TD
    A["視床下部:TRH"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span>:TSH"]
    B --> C["甲状腺:T4・T3産生"]
    C --> D["末梢組織で作用"]
    C -->|"負のフィードバック"| B
    C -->|"負のフィードバック"| A
    E["下垂体・視床下部障害"] --> B

TSHは遊離T4の小さな変化に対して大きく変動するため、下垂体機能が保たれたのスクリーニングに適する。一方、中枢性では「正常範囲内」のTSHでも生理的には不十分になり得る。

基準範囲

単位は通常mIU/Lで、は測定法、年齢、集団のヨウ素状態、妊娠で異なる。成人非妊娠の基準はおおむね0.4〜4 mIU/L付近の施設が多いが、報告書の測定法固有範囲を優先する。

高齢者では上限が上がる傾向があり、新生児・小児は年齢別範囲を用いる。採血時刻によるもあるため、軽度異常の再検では時刻と服薬条件をできるだけそろえる。

TSHと遊離T4の組合せ

TSH 遊離T4・T3 主な解釈
高値 遊離T4低値 原発性の
高値 遊離T4正常 、一過性上昇・干渉も確認
低値 遊離T4またはT3高値
低値 遊離T4・T3正常 、薬剤・急性疾患も確認
低値〜正常 遊離T4低値
正常〜高値 遊離T4高値 、服薬条件、

は症状の有無ではなく「TSH異常・遊離T4正常」という生化学的定義である。軽度異常は、薬剤、測定変動でも生じるため、緊急性がなければ同じ条件で再検して持続性を確認する。

高値の意味

機序 代表的状況 次に確認すること
原発性機能低下 、手術・放射線後、ヨウ素・薬剤 遊離T4、TPO抗体、既往・薬剤
一過性上昇 、甲状腺炎の低下期 臨床回復後の再検
補充不足・吸収不良 服薬不良、鉄・Ca・食事との相互作用 服薬時刻、併用薬、再検
不釣合いな高値 マクロTSH、 別法測定、希釈、PEG処理などを検査室へ相談

TSH高値だけで原発性機能低下を確定せず、遊離T4と臨床像を確認する。TSHが10 mIU/L以上で持続する場合は治療検討上の重要度が上がるが、年齢、妊娠、症状、抗体、心血管・骨リスクを含めて判断する。

低値の意味

機序 代表的状況 次に確認すること
原発性 、甲状腺炎、 遊離T4・T3、TRAb、病歴、必要時画像
下垂体抑制 重症疾患、グルココルチコイド、ドパミン系薬 病状、薬剤、回復後の再検
妊娠初期 hCGによるTSH受容体刺激 妊娠週数別基準、遊離T4
などの 、測定法、別法再検

TSH低値で遊離T4が正常でも、T3単独上昇が疑われる場合はT3を測定する。反対に中枢性機能低下ではTSH低値を甲状腺機能亢進と読み違えず、遊離T4低値と下垂体の他の軸を評価する。

妊娠・年齢・急性疾患

妊娠ではhCGがTSH受容体を弱く刺激し、特に妊娠初期のTSHが低下する。2026年ガイドラインは、検査室・妊娠時期別のTSH・遊離T4を優先する。利用できない場合に第1・第2三半期のTSH 0.1〜4.0 mIU/Lを使用できるという推奨は条件付き・低確実性であり、第3三半期には非妊娠成人ので概ね足りるとしている。固定範囲は誤分類し得るため、治療閾値と同一視しない。

高齢者では軽度TSH上昇を若年成人の上限だけで過剰診断しない。急性重症疾患ではT3低下を中心にTSH・遊離T4も変動し、にTSHが一過性に上がり得る。を強く疑わない状況で、急性期の軽度異常だけを治療しない。

測定干渉

TSHは主にで測る。と症状、遊離T4が合わないときは、まれな病態を探す前にを確認する。

要因 典型的な見え方 確認方法
一部のでTSH、遊離T4・T3 用量・最終摂取を確認し、検査室指定期間後または別法で再検
TSHまたは 別メーカー、
マクロTSH 臨床的に正常で遊離T4正常なのにTSHが持続高値 PEG処理、、別法を検査室と検討
服薬直後の採血 後に遊離T4が一時的に高くなる 採血と服薬条件を統一

⚠️ の影響は用量、腎機能、最終摂取からの時間、装置で異なる。「全員一律何日中止」と決めず、処方・を確認して検査室の手順に従う。必要な薬を自己判断で中断させない。

評価の進め方

flowchart TD
    A["TSH異常"] --> B["遊離T4を同時に確認"]
    B --> C{"組合せが原発性疾患に合うか"}
    C -->|"合う"| D["抗体・薬剤・原因を目的別に評価"]
    C -->|"合わない"| E["妊娠・年齢・急性疾患・服薬条件を確認"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biotin'>ビオチン</span>・抗体・マクロTSHなど干渉を検討"]
    F --> G{"遊離T4低値でTSHが上がらないか"}
    G -->|"はい"| H["中枢性機能低下と他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypothalamic-pituitary axis'>下垂体軸</span>を評価"]
    G -->|"いいえ"| I["別測定法・専門評価で不一致を解決"]

モニタリング

原発性症の調整は、定常状態までの時間を考えて通常6〜8週後にTSHを再検する。中枢性機能低下ではTSHをに使わず、遊離T4と臨床像で追う。妊娠中はより頻回な評価が必要になる。

まとめ

  • TSHは原発性の鋭敏な入口だが、遊離T4と組み合わせる。
  • 高TSH・低遊離T4は原発性低下、低TSH・高遊離T4/T3は原発性中毒を示唆する。
  • 遊離T4低値に不適切な低〜正常TSHなら中枢性機能低下を考える。
  • 妊娠、年齢、急性疾患、薬剤、、抗体、マクロTSHを確認する。
  • 不一致を単独値で診断せず、条件をそろえた再検と検査室への照会を行う。