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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

パラアミノサリチル酸

para-aminosalicylic acid

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬
商品名(日本)
ニッパスカルシウム
商品名(EU)
Paser
科目
Pharmacology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs
承認適応
結核
標的微生物
Mycobacterium tuberculosis
副作用
食欲不振悪心嘔吐下痢黄疸
影響検査値
TSHアミノトランスフェラーゼ
相互作用
プロベネシド
対象疾患
多剤耐性結核

🧠 全体像:(PAS)は、1940年代にとほぼ同時期に登場した最初期のの一つでありながら、今日ではもっぱら()の後方選択肢として生き残っている薬である。1日10g超という大量のを要し、消化器症状の頻度が高くに劣るため、より有効で飲みやすい薬(・リネゾリドなど)が使える限り優先されない。⚠️ の結核治療指針での扱いは「Group Cの後方選択肢」で止めずに、推奨に付いた限定まで込みで覚える——2026年の第2版 Module 4 の推奨B3.13は、PASを・リネゾリド・・が使われない場合、またはより良い組み合わせが組めない場合に「限って」組み込んでよいとする条件付き推奨(エビデンスの確実性は非常に低い)である1。同じGroup Cでも、・・・・にはこの限定が付かない。もう一つの顔はとの関係で、⚠️ ここは日米で答えが違う——日本の電子添文はの効能・効果に「ペニシリン・の血中濃度維持」を今も掲げるが2、米国PASERの添付文書は「以前はそう報告されたが、は血中濃度を上げない」と明示的に否定している。

薬効群の中での位置づけ

を「第一選択(RIPE)」「第二選択・用」で整理すると、PASは後者の中でもさらに優先度が低い層に位置づけられる。

分類 代表薬 のグループ分け 特徴
第一選択(薬剤感受性結核) リファンピシン・・・ — RIPEの標準治療
MDR/の優先薬 ・リネゾリド Group A の中核
MDR/の追加薬 ・ Group B Group Aに追加して組み立てる
MDR/の後方選択肢 ・・・/・(または)・/・PAS Group C Group A・Bだけでレジメンを組めないときに足す群3。⚠️ この群は推奨の扱いが2層に分かれ、PAS(B3.13)と/(B3.12)だけが「他に組めない場合に限る」限定付きの条件付き推奨である1

⭐ PASはGroup Cの中でも代表的な「最後の一手」の薬である。 大量投与・消化器の低さ・1日複数回投与という実務上の負担が大きく、・リネゾリドなど新しいが使える限りレジメンには組み込まれない。

WHO指針での推奨の強さ——潰さずに3段階で覚える

⚠️ 「Group Cに入っている」だけでは推奨の扱いが分からない。 2026年の第2版 Module 4(Treatment and care)の長期レジメンの推奨は、同じGroup Cの中で3段階に分かれる1。

推奨 薬剤 原文の書き方 強さ・確実性
B3.7〜B3.11 ・・・/・(または) may be included(組み込んでよい) 条件付き推奨(のみ確実性 moderate、他は very low)
B3.12 / may be included only if ・リネゾリド・・が使われない場合、またはより良い組み合わせが組めない場合 限定付きの条件付き推奨・確実性 very low
B3.13 PAS B3.12と同文 限定付きの条件付き推奨・確実性 very low
B3.14 should not be included 強い推奨・含めない(確実性 low)——一段強い

💡 表の脚注も、PASと/は・リネゾリド・・を含まないレジメンでしか有効性が示されなかったため、他に組めないときに限って提案すると説明している1。2025年の第1版まではB3.12・B3.13の強さに「conditional recommendation against use」という表記が付いていたが4、第2版の表記は conditional recommendation, very low certainty of evidence で、狭める向きは推奨文の「限って」という条件で示されている。

⚠️ 「条件付き推奨(conditional)」は「強い推奨(strong)」ではなく、「限って」は「使用禁止」ではない。 B3.13は条件を満たせば組み込んでよい余地を残しており、明確に含めないとしているのはB3.14のだけである。逆に「Group Cだから普通に採用してよい」と読むのも誤りで、使う場面は他の選択肢が尽きた場合に限られる1。

⚠️ PASには短縮レジメンという逃げ道が無い。 はの推奨B2.1(9か月)のRemarksで構成薬として名指しされているが、同レジメンの構成薬にPASは挙がっていない(・/・・・高用量・・)。本章でPASが登場するのは長期レジメンの推奨B3.13、Group Cの一覧、有効薬剤数の数え方、髄膜炎の項などである1。のノートの「9か月レジメンの構成薬」という書き方をPASへ写さないこと。

💡 なお、6か月レジメン(・BDLLfx/C。では重症度に応じてBPaL・BPaLC・BDLC)が9か月・長期レジメンより優先して提案されるようになったため、PASを組み込む長期レジメン自体の出番がさらに縮小している1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='para-aminosalicylic acid (PAS)'>パラアミノサリチル酸</span>を投与"] --> B["構造が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='para-aminobenzoic acid, PABA'>PABA</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='para-aminobenzoic acid (PABA)'>パラアミノ安息香酸</span>)に類似"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Mycobacterium tuberculosis'>結核菌</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='folate synthesis pathway'>葉酸合成経路</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='para-aminobenzoic acid, PABA'>PABA</span>と競合"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dihydropteroate'>ジヒドロプテロイン酸</span>合成が阻害される"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='folate synthesis'>葉酸合成</span>が障害される"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleic acid synthesis'>核酸合成</span>に必要な葉酸が不足"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriostatic'>静菌的</span>に増殖を抑制"]
    A --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mycobactin'>ミコバクチン</span>(鉄輸送に関わる菌体成分)の<br>合成阻害への関与も想定されている"]
    H --> G

💡 という機序はと共通する発想だが、標的菌種がに限られる点が異なる。 競合という古典的な説明に加え、(が鉄を取り込むために使う成分)の合成阻害説も提唱されており、正確な機序は完全には確立していない5。💡 日本の電子添文も両論を併記しており、は抗菌スペクトルが著しく狭く、とPASの共存下でもの発育が抑制されることを根拠に、競合説を否定する考え方もあると明記している6。単剤ではな効果にとどまるため、必ず他のと併用する。

適応

資料 適応の書き方
日本の電子添文(顆粒100%) 〈適応菌種〉に感性の/〈適応症〉肺結核及びその他の結核症。に限定されていない。「他のと併用することが望ましい」6
米国添付文書(PASER) 他の有効な薬剤と併用した結核の治療。「最も多く用いられるのは、あるいは耐性・の組み合わせによりとリファンピシンでの治療ができない場合」5

つまり添付文書の適応は「結核」であって「だけ」ではないが、実際に選ばれるのは他剤が使えない耐性例である。MDR/RR-TBの長期レジメンでは、・リネゾリド・・が使われない場合、またはより良い組み合わせが組めない場合に限って組み込む(推奨B3.13。前述のとおり他の選択肢が尽きた場合に限る)13。単独で用いることはなく、必ず他のとする56。

⚠️ 中枢神経系への移行は乏しい——ただし「まったく移行しない」ではない。 は髄膜炎の項で、PASとは中枢神経系へよく移行せず(do not penetrate the CNS well)、MDR/髄膜炎で有効薬剤として数えてはならないと明記している(よく移行するのは・・/・/・リネゾリド・-)1。一方、米国PASERの添付文書は “Penetration into the cerebrospinal fluid occurs only if the meninges are inflamed.”=髄膜に炎症があるときに限り髄液へ移行すると述べている5。⭐ 実務上のは両者で同じ——髄膜炎のレジメンでPASを有効薬剤として数えない。ただし「一切移行しない」と丸めて覚えると、この2つの記述が食い違って見えてしまう。

⚠️ がPASの血中濃度を上げる、という古い記述は現行の添付文書が否定している。 米国PASERの添付文書は “Aminosalicylic acid is excreted by glomerular filtration; although previously reported otherwise, probenecid, a tubular blocking agent, does not enhance plasma concentration.” と明記する5。⭐ PASの排泄はではなくによる、というのが米国ラベルの立場である。⚠️ ただし日本の電子添文は今もの効能・効果に「ペニシリン・の血中濃度維持」を掲げており、上の区分としては生きている。 用法・用量にもこの適応の項が独立して置かれ、として1日1〜2gを4回に分割すると定められている2。 第二次大戦期に貴重な薬を「節約」する目的で併用された歴史も事実である。米国のラベルだけを根拠に日本の適応を消さない——日米で書き分けて覚える。

用法・用量

日本:通常成人にはカルシウムとして1日10〜15gを2〜3回に分割する(年齢・症状により適宜増減)。電子添文は「他のと併用することが望ましい」と付記する6。高齢者は一般に生理機能が低下しているため減量を検討する6。米国(PASER):成人は1回4g(1包)を1日3回、酸性の食品・飲料に混ぜて服用し、1日総量は12gになる5。いずれも1日量が10gを超える大量投与になる点が、他のと比べた実務上の負担になる。⚠️ 冷所保存が要るのは米国のPASER顆粒であって、日本の顆粒は室温保存(有効期間2年)である56——「PASは冷蔵する薬」と丸めて覚えない。いずれの製剤も必ず他のと併用する。実際の用量・投与方法は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

💡 1日量を2〜3回(米国は3回)に分ける理由は半減期の短さにある。 日本の電子添文は、にカルシウム物4gをすると約1時間で90 μg/mLに達し、以後0.91時間の半減期で減少すること、24時間までに投与量の約98%が尿中へ排泄されそのうち約57%はアセチル化体であることを記している(電子添文はこのデータに「本剤の承認された剤形は顆粒である」という注を付している)6。⭐ の半分以上がアセチル化体であるという点が、米国ラベルがを避ける理由に挙げる「不活性なアセチル体の蓄積」とつながる。

⚠️ 米国での入手可能性は添付文書の存在とは別問題である。 DailyMedに掲載されているPASERのラベルは “Revised: 12/2022”(version 3、effective time 2022-12-16)だが、同じ記録の包装欄はANDA074346の marketing end date を2022年10月31日としている。DailyMedの製品名検索でもopenFDAのラベルAPIでも、2026年9月時点でaminosalicylic acid/PASERに合致する現行の記録は返らない5。「米国添付文書にこう書いてある」は「米国で今その製剤が流通している」を意味しない——本ノートが米国ラベルを引くのは記述の比較のためであって、供給の裏づけではない。日本の顆粒100%は2025年12月改訂の電子添文が現行である6。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌の中身が日米で違う。 平坦に並べず、資料ごとに分けて読む。

資料 禁忌の項に置かれているもの
米国(PASER) 本剤成分への過敏症、重度の腎疾患。重度腎疾患ではPASとそのアセチル化代謝物が蓄積し、活性を持たないアセチル体へ偏る5
日本(顆粒) の患者のみ(本剤がであり症状を悪化させるおそれがあるため)。過敏症は禁忌ではなく「9.1.2 薬物過敏症の既往歴のある患者」、・・血液障害はいずれも「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」に置かれる6
  • ⚠️ は米国では禁忌、日本では注意である。 日本の電子添文は「が悪化するおそれがある。また、排泄遅延により本剤の作用が増強するおそれがある」として9.2に置く6。米国のラベルだけを根拠に禁忌を外さない——逆に、日本のラベルだけを見て腎障害例に安心して投与することもしない。米国添付文書はについて踏み込んで “Patients with end stage renal disease should not receive aminosalicylic acid.” と述べる。理由は蓄積の非対称性で、遊離酸の半減期が腎障害で30.8分(健常者26.4分)とほとんど変わらないのに対し、不活性なアセチル体の半減期は患者で309分(健常者51分)に延びる。透析膜は通過するものの、透析の頻度は遊離酸の半減期50分に見合わない5
  • ⚠️ 妊婦には投与しないことが望ましい。 日本の電子添文は、アミノとを併用投与された患者で奇形児の出現率が高いとする疫学的調査があることを理由に挙げている6。ではヒト母乳中への移行報告がある6
  • ⚠️ 投与開始後3か月間は慎重に観察し、発疹・発熱など不耐の初期徴候が現れた時点で直ちに中止する。5 の頻度0.5%(7492例中38例)は急速吸収型の旧製剤でのの数字であり、(PASER)にそのまま当てはまる値ではない点に注意する5
  • ⚠️ 甲状腺機能への影響。 よく引用される「甲状腺ホルモン合成を約40%抑制」という数字は、1954年の研究で、PASERの顆粒剤ではなくナトリウム塩を投与の1時間前に与えたという限定的な条件下のもので、しかも低下したのは合成のみでヨウ素取り込みは低下していない——PAS一般の性質としてこの数字を持ち出さない5。添付文書が実務的に述べているのは、時折生じる甲状腺腫は投与で予防できるがでは予防できない、という点である5
  • ⚠️ 臨床的に重要なのは治療中の甲状腺機能低下症である。 患者30研究・6241例ので治療中の甲状腺機能低下症のは17.0%(95% CI 13.0–20.0)に達し、関連薬として最も多く報告されたのがとPASだった7。日本の電子添文もその他の副作用に「甲状腺機能障害又は甲状腺腫」を挙げる6。レジメン全体として甲状腺機能()を定期的にモニタリングする。⚠️ このは「とPASを併用すると頻度が上がる」という推定は行っていない——原著自身が調整済みの関連指標が得られず効果量を推定できなかったと述べており、「関連薬として多く報告された2剤」という以上のことは言えない7
  • ⚠️ ビタミンB12の吸収が低下する。 米国添付文書は競合の結果としてPAS 5 gでビタミンB12の吸収が55%低下し、枯渇後には臨床的に意味のある赤血球異常が生じうるとして、1か月を超えて投与する患者にはB12の維持補充を検討するよう求めている5
  • を起こしうる(通常は不完全)。 完全な形では、小腸のX線像異常、、コレステロール低下、D-キシロース吸収と鉄吸収の低下を伴う。トリグリセリドの吸収は常に正常である5
  • 併用注意(日本の電子添文):ワルファリンなどの経口抗凝血剤は抗凝血作用が増強しうる(本剤の肝形成抑制作用と、ワルファリン血中濃度の上昇による)。フェニトインは(チトクロームP450)の阻害により血中濃度が上昇し作用が増強しうる6
  • ⚠️ 併用でPASの血中濃度が上がるかは日米で記述が食い違う。米国添付文書は明示的に否定するが(PASの排泄はによる)5、日本の電子添文は側の効能・効果に「ペニシリン・の血中濃度維持」を掲げている2
  • ⚠️ 「PASはリファンピシンの吸収を阻害する」という古い記述にも、現行の米国添付文書が限定を付けている。 ラベルは「以前はアミノがリファンピシンの吸収を阻害すると報告されたが、その後の報告でこの阻害はPASER顆粒には含まれていない添加剤によるものと示された。アミノとリファンピシンを含む溶液をすると、いずれも完全に吸収された」と述べる5。⭐ と同型の「古い記述が現行ラベルで訂正されている」例である——PASの相互作用は、薬物そのものの性質に由来するのか、特定の製剤・添加剤に由来するのかを分けて読む
  • 消化器が低いため、率()を下げる主因になりやすい。酸性の食品・飲料と混ぜて服用するなど工夫が必要
  • ⚠️ 保存と外観の確認そのものが安全性の項目になっている(米国PASER)。 流通・薬局向けには15℃(59°F)未満(冷蔵庫または冷凍庫)での保存を求め、患者にも冷蔵庫か冷凍庫での保存を勧める(短時間なら室温可)。⚠️ 袋が膨らんでいる、または顆粒が本来の淡褐色を失って濃褐色・紫色になっているものは使用しない——加熱でPASがしてCO₂とm-アミノを生じたしるしであり、袋が膨らんでいること自体が「保存が不適切だった」ことを示す5。💡 褐変を起こすのは熱だけではない。 日本の電子添文はの性状として「光によって徐々に褐色になる」と記し、取扱い上の注意で容器開封後は湿気と光を避けて保存するよう求めている6
  • は無い——米国添付文書(PASER)にも日本の添付文書()にも・に相当するセクションは存在しない56

副作用

頻度 内容
高頻度 ・悪心・嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状5
注意 (上昇)。日本の電子添文も「甲状腺機能障害又は甲状腺腫」を頻度不明のその他の副作用に挙げる6。治療中の甲状腺機能低下症のは17.0%で、とPASが最も多く関連薬として報告された7。時折の甲状腺腫はで予防可能5。ビタミンB12吸収低下(5 gで55%)と5。・血小板減少・蛋白尿・/上昇6
重篤・まれ ・黄疸(急速吸収型旧製剤ので0.5%)、、溶血性貧血、過敏症状(発疹・発熱)。日本の電子添文は・溶血性貧血・肝炎・黄疸を重大な副作用(いずれも頻度不明)として掲げる56

まとめ

  • (PAS)は1940年代からの最初期ので、と競合してを阻害する薬剤(合成阻害説もある)。単剤では使わず必ずする。
  • 今日の臨床的な位置づけはのGroup C3。⚠️ 推奨の強さを潰さない——長期レジメンの推奨B3.13は「他に組めない場合に限る条件付き推奨(確実性 very low)」で、同じGroup Cの・・・・の限定の付かない推奨とは扱いが違う。一方で「使用禁止(強い推奨)」でもなく、そこに当たるのはのB3.14だけである。PASは9か月レジメンの構成薬にも入っていない1。
  • 用量は1日10g超と大量で(日本10〜15g/日、米国12g/日)、消化器の低さがの主な障壁になる。
  • ⚠️ 併用は日米で扱いが違う。日本の電子添文はの効能・効果に「ペニシリン・の血中濃度維持」を掲げるが2、米国PASERの添付文書は「は血中濃度を上げない」と否定する(PASの排泄はによる)5。
  • 発疹・発熱など不耐の初期徴候では直ちに中止する(特に開始後3か月間)。0.5%は急速吸収型旧製剤の数字である点に注意5。
  • ⚠️ 甲状腺機能低下症は治療中の17.0%に及び、とPASが最多の関連薬——「約40%抑制」という古い数字(1954年・ナトリウム塩・前投与という限定条件)ではなく、治療中に生じる甲状腺機能低下症の頻度の方を覚える(このは「両者を併用すると頻度が上がる」という推定は行っていない)7。
  • 禁忌は資料で分かれる——日本はのみ(のため)、米国は過敏症と重度腎疾患。は日本では禁忌ではなく注意扱いである65。
  • ⚠️ ビタミンB12吸収が5 gで55%低下し、1か月超の投与ではB12補充を検討する。(・鉄吸収低下など)も起こりうる5。
  • ⚠️ 妊婦には投与しないことが望ましい——アミノとの併用で奇形児出現率が高いとするがある6。
  • 中枢神経系への移行は乏しく、MDR/髄膜炎では有効薬剤として数えない1。米国ラベルは「髄膜に炎症があるときに限り髄液へ移行する」と書いており、「一切移行しない」ではない5。
  • ⚠️ 古い相互作用の記述が現行ラベルで訂正されている点が2つある——による血中濃度上昇(米国ラベルは否定)と、リファンピシン吸収阻害(PASER顆粒に含まれない添加剤によるものと判明)5。
  • ⚠️ には投与しない(米国ラベル)。アセチル体の半減期が患者で309分(健常者51分)に延びる5。保存は冷蔵庫・冷凍庫で、袋が膨らんだもの・顆粒が濃褐色や紫色にしたものは使用しない5。

出典

  1. 1.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: treatment and care, second edition(World Health Organization・2026)2026-09-27に第2版(ISBN 978-92-4-012512-4)のPDF本体で確認した。推奨B3.13の原文が「P-aminosalicylic acid may be included in the treatment of MDR/RR-TB patients on longer regimens only if bedaquiline, linezolid, clofazimine or delamanid are not used, or if better options to compose a regimen are not possible.」で強さの表記が(Conditional recommendation, very low certainty of evidence)であり、エチオナミド/プロチオナミドのB3.12と同文・同じ表記であること、同じGroup CのB3.7〜B3.11(エタンブトール・デラマニド・ピラジナミド・イミペネム-シラスタチンまたはメロペネム・アミカシン)は限定の付かない「may be included」であること、B3.14がクラブラン酸を「should not be included」とする(Strong recommendation, low certainty of evidence)こと、Table 2.20のGroup Cの構成と脚注iが両薬はベダキリン・リネゾリド・クロファジミン・デラマニドを含まないレジメンでしか有効性を示さなかったと述べること、推奨B2.1の9か月全経口レジメンの構成薬にPASが含まれないこと、6か月のBPaLM(B1.1)・BDLLfx/C(B1.2)が優先して提案されること、髄膜炎の項が「P-aminosalicylic acid and ethambutol do not penetrate the CNS well, and they should not be counted on as effective agents for MDR/RR-TB meningitis.」と述べること。本書は長期レジメンの推奨が第1版から変わっていないと述べる。閲覧 2026-09-27
  2. 2.ベネシッド錠250mg 添付文書(科研製薬株式会社(PMDA掲載の添付文書)・2023)プロベネシド側の電子添文(2023年2月改訂・第1版、YJコード3942001F1040)を自分で取得して確認した。4. 効能又は効果が「痛風」と「ペニシリン・パラアミノサリチル酸の血中濃度維持」の2つであること(読点ではなく中黒で並列されている)、6. 用法及び用量に〈ペニシリン・パラアミノサリチル酸の血中濃度維持〉の項が独立して置かれ「プロベネシドとして、通常、成人1日1〜2gを4回に分割経口投与する」と定められていることを確認した。すなわち米国PASERラベルが「プロベネシドはアミノサリチル酸の血中濃度を上げない」と否定しているのに対し、日本ではこの併用が今も承認された効能・効果として存続している。閲覧 2026-09-05
  3. 3.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: Treatment — drug-resistant tuberculosis treatment, 2022 update (supplementary table)(World Health Organization・2022)多剤耐性・リファンピシン耐性結核(MDR/RR-TB)の治療薬の再分類(Group A・B・C)において、パラアミノサリチル酸がGroup C(エタンブトール・デラマニド・ピラジナミド・カルバペネム系・アミカシン/ストレプトマイシン・エチオナミド/プロチオナミドと並ぶ、優先度の低い後方選択肢群)に位置づけられていることを確認した閲覧 2026-08-10
  4. 4.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: Treatment and care(World Health Organization・2025)2025年版本文(NCBI Bookshelf 版 NBK613101「Drug-resistant TB treatment」章)を自分で取得して確認した。PASの推奨3.13の原文が「P-aminosalicylic acid may be included in the treatment of MDR/RR-TB patients on longer regimens only if bedaquiline, linezolid, clofazimine or delamanid are not used, or if better options to compose a regimen are not possible.(Conditional recommendation against use, very low certainty of evidence)」であり、エチオナミド/プロチオナミドの3.12と同文・同じ強さの「使用しない方向への条件付き推奨」であること、これに対し同じGroup Cのエタンブトール(3.7)・デラマニド(3.8)・ピラジナミド(3.9)・イミペネム-シラスタチン/メロペネム(3.10)・アミカシン(3.11)は「may be included」という組み込む向きの条件付き推奨であること、クラブラン酸の3.14だけが「should not be included(Strong recommendation against use, low certainty of evidence)」と一段強いこと、Group Cの構成が「ethambutol, delamanid, pyrazinamide, imipenem–cilastatin or meropenem, amikacin (or streptomycin), ethionamide or prothionamide, and p-aminosalicylic acid」であること、推奨2.1の9か月全経口レジメンのRemarksが構成薬としてベダキリン・レボフロキサシン/モキシフロキサシン・エチオナミド・エタンブトール・高用量イソニアジド・ピラジナミド・クロファジミンを挙げPASを含まないこと(本章でPASが現れるのは長期レジメンの推奨3.13、Group Cの一覧、有効薬剤数の数え方、髄膜炎の項、endTB観察研究の有害事象の記述である)、推奨1.1の6か月BPaLMが9か月・長期レジメンより優先して提案されること、髄膜炎の項が「P-aminosalicylic acid and ethambutol do not penetrate the CNS well, and they should not be counted on as effective agents for MDR/RR-TB meningitis.」と述べていることを確認した閲覧 2026-09-05
  5. 5.PASER (aminosalicylic acid) delayed-release granules — Prescribing Information(Jacobus Pharmaceutical Company, Inc. / DailyMed (U.S. FDA)・2022)多剤耐性結核(MDR-TB)を中心に他の抗結核薬と併用して用いること、成人用量が1回4g(1包)を1日3回(1日12g)であること、機序として葉酸合成阻害・ミコバクチン(mycobactin)合成阻害による鉄取り込み低下の関与が想定されていること、ストレプトマイシン・イソニアジドへの耐性出現を遅らせる作用があること、消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・腹痛)が高頻度に生じること、**急速吸収型製剤**を投与された7492例の後ろ向き研究で薬剤性肝炎が38例(0.5%)に生じたこと、**1954年の研究で、PASERの顆粒剤ではなくナトリウム塩を放射性ヨウ素投与の1時間前に与えた条件で**チロキシン合成のみが約40%低下しヨウ素取り込みは低下しなかったと報告されていること、時折生じる甲状腺腫はチロキシン投与で予防できるがヨウ化物では予防できないこと、投与開始後3か月間は慎重に観察し発疹・発熱等の不耐徴候が最初に現れた時点で直ちに中止すべきとされていること、枠組み警告に相当するセクションが存在しないことを確認した。**エチオナミド併用・HIV合併での甲状腺機能低下症の頻度上昇についてはこの添付文書に記載が無い**ことも確認した。2026年9月5日に本文を再取得し、さらに次を逐語で確認した——髄液移行について 「Penetration into the cerebrospinal fluid occurs only if the meminges are inflamed.」(原文の綴りのまま)と述べ、移行を全否定していないこと。リファンピシンについて 「Aminosalicylic acid has previously been reported to block the absorption of rifampin. A subsequent report has shown that this blockade was due to an excipient not included in PASER granules. Oral administration of a solution containing both aminosalicylic acid and rifampin showed full absorption of each product.」 と訂正していること。末期腎不全について 「Patients with end stage renal disease should not receive aminosalicylic acid.」 と述べ、遊離酸の半減期が腎障害30.8分/健常者26.4分であるのに対し不活性代謝物の半減期が尿毒症患者309分/健常者51分であること。保存が薬局・流通向けに 「Store below 59°F (15°C) (in a refrigerator or freezer)」、患者には冷蔵庫または冷凍庫での保存を勧め短時間の室温保存は可としていること、袋が膨らんでいるか顆粒が淡褐色を失って濃褐色・紫色になったものは使用しないとしていること、加熱でPASが脱炭酸してCO2とm-アミノフェノールを生じると述べていること。ビタミンB12吸収が5gで55%低下し1か月超の投与ではB12の維持補充を検討するとしていること。成人用量が4g(1包)1日3回であること。あわせて同ページの包装欄がANDA074346のmarketing end dateを2022年10月31日としていること、ラベルの改訂表示が Revised 12/2022(version 3、effective time 20221216)であること、DailyMedの製品名検索APIとopenFDAのラベルAPIがいずれもaminosalicylic acid/PASERに合致する記録を返さないことを確認した閲覧 2026-09-05
  6. 6.ニッパスカルシウム顆粒100% 電子添文(パラアミノサリチル酸カルシウム水和物顆粒)(医薬品医療機器総合機構(田辺ファーマ株式会社)・2025)2025年12月改訂(第2版)の日本の電子添文を直接取得して確認した。効能・効果が〈適応菌種〉パラアミノサリチル酸に感性の結核菌/〈適応症〉肺結核及びその他の結核症であること、用法・用量が「通常成人には、パラアミノサリチル酸カルシウムとして1日量10〜15gを2〜3回に分けて経口投与する」で「なお、他の抗結核薬と併用することが望ましい」と付されていること、禁忌の項が「高カルシウム血症の患者[本剤はカルシウム塩であり、本剤投与により症状を悪化させるおそれがある。]」の1項目だけで過敏症は禁忌ではなく「9.1.2 薬物過敏症の既往歴のある患者」に置かれていること、9.2 腎機能障害患者・9.3 肝機能障害患者・9.1.1 血液障害のある患者が注意として掲げられること、9.5 妊婦が「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。アミノサリチル酸製剤とイソニアジドを併用投与されている患者で、奇形児の出現率が高いとする疫学的調査がある」と述べること、9.6 授乳婦にヒト母乳中への移行報告があること、10.2 併用注意が経口抗凝血剤(ワルファリン——本剤の肝プロトロンビン形成抑制作用とワルファリン血中濃度上昇による抗凝血作用増強)とフェニトイン(チトクロームP450阻害による血中濃度上昇)の2つであること、重大な副作用が無顆粒球症・溶血性貧血・肝炎・黄疸(いずれも頻度不明)であること、その他の副作用に発熱・皮膚症状・白血球減少・血小板減少・甲状腺機能障害又は甲状腺腫・AST/ALT上昇・蛋白尿・食欲不振・悪心・胃部不快感・下痢が挙がること、8.2 に薬剤逆説反応の注意があること、18.1 作用機序がPABA競合説を挙げつつ「PABA競合説を否定する考え方もある」と併記すること、警告に相当するセクションが存在しないことを確認した閲覧 2026-09-05
  7. 7.Is hypothyroidism rare in multidrug resistance tuberculosis patients on treatment? A systematic review and meta-analysis(PLoS One(Tola HH, et al.)・2019)30研究・6241例のMDR-TB患者を統合した解析で、治療中の甲状腺機能低下症の統合有病率が17.0%(95% CI 13.0–20.0)であったこと、その発生に関連する薬剤として最も多く報告されたのがエチオナミドとパラアミノサリチル酸(PAS)であったことを確認した閲覧 2026-08-10