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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

クロファジミン

clofazimine

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬
商品名(日本)
ランプレン
商品名(EU)
Lamprene
科目
Pharmacology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs
承認適応
ハンセン病結核
標的微生物
Mycobacterium lepraeMycobacterium tuberculosis
副作用
皮膚乾燥腹痛消化管出血
対象疾患
多剤耐性結核

🧠 全体像:を理解する軸は「なぜ体がするのか」である。この薬は系という特殊な化学構造を持ち、脂溶性が極めて高いために体内(特に脂肪組織・)に結晶として蓄積する——これが治療効果の持続と、皮膚・体液の橙〜褐黒色へのという特徴的な副作用の両方を生む共通の物理化学的な性質である。にはの(MDT)の一角を占めてきたが、近年はの6か月(BDLLfx/C、BPaLC)の構成薬としても再評価され、全般で使われる薬へと役割が広がっている。

薬効群の中での位置づけ

文脈 併用薬 の役割
MDT() リファンピシン+ に加え、(ENL)に対する抗炎症作用を併せ持つ独自の位置づけ
MDR/RR-TB(BDLLfx/C) ++リネゾリド+ 6か月の構成薬。非重症のではが外れ、が残る(BDLC)。重症のにBDLCは用いない
重症の(BPaLC) ++リネゾリド 2026年指針で新設。のをに置き換えた4剤

⭐ では「殺菌」と「抗炎症」の二役を担う点が他の抗酸菌薬と一線を画す。 に対する直接的なに加え、好中球の遊走・機能を抑える抗炎症作用があり、治療中に生じやすいENL(発熱・を伴う免疫反応)の予防・治療にも用いられる——単なる「抗菌薬の一つ」ではなく、疾患そのものの免疫病態にも介入する薬である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clofazimine'>クロファジミン</span>が高い脂溶性により<br>菌体膜・宿主脂肪組織に取り込まれる"] --> B["菌体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanine'>グアニン</span>塩基に結合"]
    B --> C["抗酸菌の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory chain'>呼吸鎖</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redox reaction'>酸化還元反応</span>を撹乱"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive oxygen species (ROS)'>活性酸素種</span>(ROS)が産生され菌体膜を傷害"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal effect'>殺菌作用</span>"]
    A --> F["好中球の遊走・機能を抑制する<br>抗炎症作用も並行して発揮"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythema nodosum leprosum, ENL'>らい性結節性紅斑</span>(ENL)の炎症を鎮める"]

💡 と抗炎症作用が同じ「膜・脂質親和性」という性質から派生している。 高い脂溶性ゆえに菌体膜にも宿主のにも入り込みやすく、菌体ではによる殺菌、細胞では過剰な炎症反応の抑制という、一見矛盾する二つの作用を同時に発揮する。

薬物動態

項目 値・特徴
脂溶性・分布 極めて高い脂溶性——脂肪組織、(マクロファージ、リンパ節)、皮膚に結晶として蓄積
半減期 数週間〜数か月と非常に長い(組織からの緩徐なによる)
排泄 主に糞便中(未変化体・代謝物とも)

⭐ 組織へのという的特徴が、有効性の持続・皮膚・腸管合併症のすべてに共通する土台になっている。 半減期が極端に長いため治療中断後も体内に長期間残留し、逆に高用量・長期投与では腸粘膜へのによる腸閉塞などの重篤な合併症につながりうる。

適応

領域 使いどころ
感染症 ()——リファンピシン・との MDTの一角。の治療にも用いる
呼吸器・感染症 結核のうちMDR/(を含む)——の有無を問わず開始できる6か月BDLLfx/Cの構成薬、および重症の肺に用いるBPaLCの構成薬1

用法・用量

:(MDT)の規定用量に従い、リファンピシン・と併用して月1回のと自己管理下の連日低用量投与を組み合わせ、で標準12か月間継続する。MDR/RR-TB:6か月のBDLLfx/Cレジメンの一部として他の構成薬と併用する。フルオロキノロンのは開始を遅らせない範囲で行い、結果が出たら感受性ならを外してBDLLfx、非重症の肺ならを外してBDLCへ絞り込む。⚠️ 重症の肺(胸部X線のかつ1+以上、または空洞が無くても塗抹2+以上)にはBDLCを用いず、系ではをに置き換えたBPaLCを用いる1。いずれも実際の用量・投与期間は病型・体重・レジメンにより異なるため、施設のプロトコル・添付文書・指針で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ QT延長・Torsades de Pointesのリスク:1日100mgを超える用量や他のQT延長薬との併用で報告されており、を行い、が500ms以上に達した場合は中止する2
  • ⚠️ 消化器症状が強い場合は腸管へのを疑う:腸閉塞、、消化管出血、まれに死亡例が報告されている2。持続する腹痛・を軽視しない
  • 皮膚は治療終了後も数か月〜数年残ることがあり、開始前に患者へ十分説明する(による抑うつ・の報告があるため心理的支援も考慮する)2
  • 患者では慎重投与

副作用

頻度 内容
高頻度(75〜100%) 皮膚・・・喀痰・尿・便の橙〜褐黒色2
高頻度 ・、腹痛などの消化器症状
重篤・まれ QT延長・Torsades de Pointes、腸閉塞、、消化管出血

まとめ

  • 系の抗酸菌薬。菌体への結合とROS産生によるに加え、好中球機能を抑える抗炎症作用を併せ持つ。
  • 極めて高い脂溶性により脂肪組織・・皮膚に結晶として蓄積し、これが長い半減期・皮膚・腸管合併症という一見別々の特徴に共通する物理化学的基盤になっている。
  • ではリファンピシン・とのMDTの一角を占め、抗炎症作用によりにも有効。
  • MDR/ではBDLLfx/Cレジメン(++リネゾリド++)の構成薬。フルオロキノロン感受性ならを外し、非重症のならを外してを残す(BDLC)。重症のではBPaLCとしての代わりに加わる——側で価値が上がる薬という覚え方をする。
  • 高用量やQT延長薬併用でTorsades de Pointesのリスクがありが必要。皮膚は不可逆的ではないが数か月〜数年持続しうる。

出典

  1. 1.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: treatment and care, second edition(World Health Organization・2026)2026-09-27に第2版(ISBN 978-92-4-012512-4)のPDF本体で確認した。推奨B1.2(更新)がBDLLfx/C(ベダキリン・デラマニド・リネゾリド・レボフロキサシン・クロファジミン)をフルオロキノロン耐性の有無を問わないMDR/RR-TBに提案し、備考でフルオロキノロン感受性ならクロファジミンを外してBDLLfx、非重症の肺pre-XDR-TBならレボフロキサシンを外してBDLCとすること、B1.2b(新規)が重症の肺pre-XDR-TBにBDLCを用いないよう提案すること。B1.1b(新規)が重症の肺pre-XDR-TBにBPaLC(ベダキリン・プレトマニド・リネゾリド・クロファジミン)を提案し、備考がモキシフロキサシンをクロファジミンに置き換えると述べること。重症の定義が胸部X線の空洞性病変かつ喀痰塗抹1+以上、または空洞が無くても塗抹2+以上であること。閲覧 2026-09-27
  2. 2.LAMPRENE (clofazimine) capsules, for oral use — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2019)1日100mgを超える用量やQT延長薬併用でTorsades de Pointesが報告されておりECGモニタリング・QTcF 500ms以上での中止が必要なこと、皮膚・結膜・涙液・喀痰・尿・便の橙〜褐黒色変色が患者の75〜100%に生じること、腸粘膜への結晶沈着による腸閉塞・脾梗塞・消化管出血が重篤な合併症として報告されていることを確認した。閲覧 2026-08-10