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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

リファブチン

rifabutin

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
ミコブティン
商品名(EU)
Mycobutin
科目
Pharmacology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs
承認適応
結核多剤耐性結核非結核性抗酸菌症HIV感染症・AIDS
標的微生物
Mycobacterium tuberculosisMycobacterium avium-intracellulare complex / MACHelicobacter pylori
副作用
黄疸視力低下
影響検査値
絶対好中球数ビリルビン
相互作用
エファビレンツエンシトレルビルクラリスロマイシンボリコナゾールロナファルニブ

🧠 全体像:を理解する軸は「リファンピシンが使いにくい場面の代替」である。同じで機序も同じだが、半減期が長くCYP3A誘導が弱いという上の性格の違いが、臨床上の住み分けを決める。米国では進行例ののみに適応が絞られているのに対し、日本では結核症そのものにも使え、添付文書に「リファンピシンの使用が困難な場合に使用すること」と明記されている——強すぎる相互作用を避けたい場面(・併用中の患者など)で主役に回る、控えめだが他剤に代えがたい薬である。

薬効群の中での位置づけ

3剤は、半減期と誘導の強さで住み分ける。

薬剤 半減期 CYP3A誘導 米国での主な適応 日本での主な適応
リファンピシン 約2〜5時間 最も強い 結核・・曝露後予防など幅広い 同左
約45時間と長い 弱い 進行例ののみ 結核症・(を含む)・患者の
さらに長い 中間的 週1回投与を活かした短期レジメン(3HP等) —

⭐ 「弱いCYP3A誘導」がの存在理由そのもの。 陽性の結核患者では・一部のとリファンピシンを併用するとの血中濃度が大きく低下するが、は誘導が弱いためだけで両立させやすい。一方、抗菌薬感受性が不明なH. pyloriの経験的除菌でが選択肢に挙がる理由は、誘導の弱さとはである。の2024年ガイドラインは、未治療で感受性が不明な例では14日間のを優先しつつ、ペニシリンアレルギーの無い患者では(またはによる二剤療法)14日間を経験的な代替として位置づけ、またはを含むは感受性が確認された場合にのみ用いるべきだとしている1。

💡 「感受性を確かめずに使ってよい薬」と「確かめてからでないと使えない薬」に分かれている、という並びが手がかりになる。 感受性のデータもこの並びと整合する——TALICIA ので治療前に分離されたH. pyloriでは、のが1 µg/mL以上のものが17.4%、メトロニダゾールのが8 µg/mL超のものが43.6%を占めたのに対し、は全のが1 µg/mL未満だった。⚠️ ただし添付文書自身が「これらの値の臨床的意義は不明である」と付記しており、この数字はそのまま「耐性率」ではない2。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rifabutin'>リファブチン</span>が細菌の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>依存性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>ポリメラーゼ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta subunit'>βサブユニット</span>に結合"] --> B["プロモーターからの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcription initiation'>転写開始</span>を阻害"]
    B --> C["mRNA合成が止まる"]
    C --> D["蛋白合成ができず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>に作用"]
    E["肝細胞の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>を誘導"] --> F["リファンピシンより誘導は弱いが<br>ゼロではない"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='protease inhibitors'>プロテアーゼ阻害薬</span>など併用薬の<br>血中濃度がある程度低下しうる"]

リファンピシンと同じくヒトのポリメラーゼには作用せず、が成り立つ。が高く、特に肺・骨髄に高濃度で分布するため、のように菌が組織内に潜む病態にも有効である。

薬物動態

項目 値・特徴
半減期 約45時間(リファンピシンの約2〜5時間よりはるかに長い)
誘導 誘導作用を持つがリファンピシンより明確に弱い
代謝 (25-O-desacetylrifabutin)を生じる
分布 脂溶性が高く良好。肺・骨髄で血漿より高濃度になる

適応

領域 使いどころ
結核(日本の適応) 結核症(150〜300 mg/日)、(300〜450 mg/日)。米国添付文書には結核治療の適応が含まれない(のみ)ため、国・地域で適応範囲が異なる点に注意34
関連 感染症・進行例におけるMycobacterium avium-intracellulare complex / MACの(300 mg/日)。米国ではこれが唯一の3。⚠️ ただしであることと、現行の診療指針で使う場面があることは別(次節)
を含むの治療(300 mg/日)。日本の電子添文の〈適応症〉に明記されており、米国添付文書の INDICATIONS AND USAGE には無い3。用法注意 7.5 が「抗酸菌に感受性を示す他の薬剤と必ず併用すること」と定めるため、の一部として使う4
消化器 H. pylori感染症(消化性潰瘍の主因)の経験的の選択肢。 2024では、未治療かつ感受性不明例ではペニシリンアレルギーの無い患者における14日間のが経験的な代替、最適化を既に受けた例では同じレジメンが代替として位置づけられる1。⚠️ 単剤のではない——欧州のSmPC(Ansatipin)5・日本の電子添文4・米国の添付文書3のいずれも、適応はに限られる。米国には・アモキシシリン・の配合剤(TALICIA)が「成人のH. pylori感染症の治療」を適応として承認されており、1回4カプセル(として50 mg)を食事とともに1日3回・14日間投与する2

HIV感染者のMAC——承認適応の中でもリファブチンは「代替」である

⚠️ 米国の唯一のがのであることから、この薬が診療で予防の主役だと読まないこと。 現行のガイドライン(の節は2026年5月27日更新)は、をここでも代替薬に置いている6。

  • そもそもを行う場面が狭い。 逐語で「Primary prophylaxis is not recommended for people with who immediately initiate ART, regardless of CD4 count」(AII)とされ、速やかにを開始する患者にはCD4数によらずを推奨しない。適応が残るのはCD4数50/mm³未満で、なおかつ①を受けていない、②治療下でウイルス血症が続いている、③完全に抑制できる治療の選択肢が無い、のいずれかに当たる場合だけである(AI)6。
  • その狭い適応の中でも、推奨薬はマクロライドである。 はアジスロマイシン1,200 mg週1回(AI)・500 mg 1日2回(AI)・アジスロマイシン600 mg週2回(BIII)で、300 mg 1日1回は「アジスロマイシンまたはにが無い患者」への代替(BI)として置かれている6。
  • ⚠️ 予防を始める前に2つ除外する。 ①臨床評価と必要に応じた血液培養でそのものを除外する(AI)——培養を出したなら、単剤曝露による耐性化を避けるため結果が出るまで予防投与を遅らせる(AI)。②を使うならを除外する(になってリファマイシン耐性を獲得しうる)6。これは米国添付文書のと同じ向きの注意である3。
  • 治療でも第3剤である。 の初期治療は耐性の出現を防ぐため2剤以上とし(AI)、第一選択は500 mg 1日2回(AI)に15 mg/kg/日(AI)を併せる組み合わせである。⚠️ アジスロマイシン500〜600 mg(AII)は対等な選択肢ではなく、「薬物相互作用・不耐・の問題でを使えない場合」に置かれた条件つきの選択肢である(AII)。いずれの場合もまたはアジスロマイシンへのが推奨される。300 mg 1日1回は、重症例・死亡リスクが高い場合・耐性化が起こりやすい状況(予防投与の失敗後など)・菌量が血液1 mLあたり2 log₁₀ CFU超・を受けていないか抑制されていない場合に加える第3剤(CI)である。治療期間は少なくとも12か月(AII)6。

💡 評定は2軸で読む。 このガイドラインは文字が推奨の強さ(A 強い/B 中等度/C 弱い)、ローマ数字が根拠の質(I 無作為化試験/II 非無作為化試験・観察コホート/III の意見)を表すと明記している6。⚠️ 予防の「BI」と治療の「CI」は、どちらも根拠の質はIで同じで、違うのは推奨の強さのほうである。

用法・用量

日本(ミコブティンカプセル150 mg):結核症は150〜300 mgを1日1回(症は300〜450 mgを1日1回)、症を含むの治療およびのはいずれも300 mgを1日1回。日本の電子添文の用法はすべて1日1回で、1日投与量が300 mgを超える場合は副作用の発現頻度が高くなるおそれがあるとして特に注意を求めている4。

米国(MYCOBUTIN):300 mgを1日1回。⚠️ 悪心・嘔吐など消化器症状が出やすい患者に「150 mgを1日2回、食事とともに」へ分けるという記載は米国添付文書のもので、日本の電子添文には無い。 同じ150 mgカプセルでありながら、の根拠は米国側にしか置かれていない34。

併用・腎機能による調整:併用時は少なくとも50%の減量を要しうる3。重度の(CrCl<30 mL/min)での扱いは国で強さが違い、日本の電子添文は条件を付けずに「用量を半量にすること」と指示するのに対し、米国添付文書は「毒性が疑われる場合に50%減量を考慮する」という条件つきの書き方である43。実際の用量・併用薬に応じた調整は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(両国共通):または他の薬剤(リファンピシン)に対する過敏症の既往34
  • 禁忌となる併用薬は国で中身が違う。 日本の電子添文「2.2」は・エンシトレルビル・/・・・・・/・(注射剤および /との配合剤)・を投与中の患者を禁忌とする4。米国添付文書が CONTRAINDICATIONS の節に挙げる併用薬は/持続性注射剤のみで(は相互作用表の推奨欄に CONTRAINDICATED と記される)3、⚠️ 日本では(水懸筋注)は禁忌ではなく併用注意——UGT1A1誘導での血中濃度が下がる、という効果減弱側の注意として扱われている4
  • ⚠️ ぶどう膜炎。 特に・などCYP3A阻害薬との併用で発現リスクが上がる。・眼痛を疑ったら投与を中止し眼科を受診させる3
  • ⚠️ 活性結核にしない。 米国添付文書は、活性結核の患者に 予防目的で投与してはならないこと、が・リファンピシン双方に耐性の結核を招きうることをする3。日本の電子添文も〈症を含む、結核症〉の用法注意 7.5 で「抗酸菌に感受性を示す他の薬剤と必ず併用すること」と定めており、必ずの一部として用いる4
  • 定期検査は血液と肝の2本立て。 日本の電子添文は〈効能共通〉の重要な基本的注意として、8.2 で・などの血液障害があらわれることがあるため定期的に血液検査を、8.3 でがあらわれることがあるため定期的に肝機能検査を行うよう求めている4
  • ⚠️ 薬剤反応の注意は〈結核症〉の適応にだけ課されている。 電子添文 8.4 は、本剤を含むによる治療で薬剤反応を認めることがあり、治療開始後に既存の結核の悪化または結核症状の新規発現を認めた場合は等に基づいて投与継続の可否を判断するよう定める。症・の適応にこの項は掛からない4
  • ⚠️ CYP3A の相互作用は「減らす」方向だけではない。 自身はで代謝されるため、などCYP3Aを誘導する薬剤と併用するとのが下がり、電子添文 7.2 はガイドライン等を参考に本剤の増量を考慮するよう求めている。逆にのようなCYP3A阻害薬との併用では減量側に振れる。⭐ 同じ「相互作用」でも増量と減量の両方向があるので、併用薬がにとってか阻害薬かを先に決める43
  • 重度のでは減量を考慮する。 電子添文 9.3.1 は重度ののある患者について「本剤の用量の減量を考慮すること」とし、肝機能を悪化させるおそれがあるとする(と違い、半量という数値の指定は無い)4

副作用

日本の電子添文は以下をすべて「11.1 重大な副作用」として列挙している。頻度は6%から0.03%まで開いており、「重大な副作用」=「まれ」ではないことに注意する4。

系統 内容(電子添文の頻度)
血液(最も多い) 6.06%、貧血1.74%、1.59%、0.16%、溶血性貧血0.03%
肝 1.93%、黄疸0.72%、肝炎(頻度不明)
眼 を伴うぶどう膜炎(頻度不明)
その他 0.53%、痙攣0.37%、消化管出血0.12%、ショック0.09%、0.09%、心停止0.06%、0.03%、不整脈0.03%、(頻度不明)

まとめ

  • の一員で、機序はリファンピシンと同じ依存性ポリメラーゼ阻害だが、半減期が長くCYP3A誘導が弱いというの違いがこの薬の存在理由になる。
  • 米国のは進行例ののみだが、日本では結核症そのものにも使え、添付文書に「リファンピシンが使いにくい場面の代替」という位置づけが明記されている。
  • ⚠️ その唯一の米国適応の中でも、は代替薬である。 現行のガイドラインは、速やかにを開始する患者にはCD4数によらずのを推奨せず(AII)、予防を行う場合の推奨薬はマクロライドで、はマクロライドにが無い患者への代替(BI)、の治療では第3剤(CI)である6。⭐ 「がある」と「診療指針が第一に挙げる」は別のことである。
  • H. pyloriの経験的でも、感受性を確かめずに使える代替として位置づけられている(治療前のが全例で低いままであることと整合する)。⚠️ ただしこれはミコブティン単剤のではなく、米国でH. pylori感染症の適応を持つのはを含む配合剤(TALICIA)である2。
  • 活性結核へのは耐性化を招くため避ける。ぶどう膜炎(特にCYP3A阻害薬併用時)と好中球減少に注意が必要。
  • ⚠️ 禁忌薬・・腎機能での減量は、国によって中身と強さが違う。 併用は米国では禁忌だが日本では併用注意、150 mg分2の食後投与は米国添付文書にしかなく、CrCl<30 mL/minでの半量投与は日本が無条件の指示・米国は「毒性が疑われるときに考慮」である34。

出典

  1. 1.ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori Infection(American College of Gastroenterology・2024)誌上版の本文は取得できていない(Unpaywall・OpenAlex とも oa_status は closed でリポジトリ版なし、journals.lww.com は 402/403、gi.org のガイドライン一覧から辿れるのは Highlights の要約PDFだけで、その全文に耐性率の記載は無い。2026-09-07 に Semantic Scholar Graph API も追加で叩いたが isOpenAccess は false で openAccessPdf の status は CLOSED、CORE API も本文を返さない。⚠️ **これら全経路を再試行しないこと**)。したがって以下は Europe PMC の抄録(PMID 39626064)で確認できた範囲である。未治療で感受性が不明な患者では14日間のビスマス四剤療法(BQT)が preferred regimen であり、ペニシリンアレルギーの無い患者ではリファブチン三剤療法またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー二剤療法の14日間が suitable empiric alternative とされる。最適化BQTを受けたことがなく感受性も不明な既治療例では最適化BQT14日間が優先され、最適化BQT既治療例ではリファブチン三剤療法14日間が代替となる。クラリスロマイシンまたはレボフロキサシンを含むサルベージ療法は感受性が確認された場合にのみ用いるべきとされる。⚠️ 以前この claim に書かれていた米国の耐性率(クラリスロマイシン32%・レボフロキサシン38%・メトロニダゾール42%・リファブチン0%)は、本文を取得できないため検証できなかったので外した。数値の裏づけは別出典(TALICIA 添付文書 12.4 の治療前分離株のMIC分布)で取り直している閲覧 2026-08-10
  2. 2.TALICIA (omeprazole magnesium, amoxicillin and rifabutin) delayed-release capsules — Prescribing Information(RedHill Biopharma Ltd. / DailyMed (U.S. FDA)・2024)全文を確認した(Revised: 5/2024)。1.1 は「TALICIA is indicated for the treatment of Helicobacter pylori infection in adults」で、適応は消化性潰瘍ではなくH. pylori感染症そのものである。2.1 は「Administer four (4) TALICIA capsules three times daily (at least 4 hours apart …) with food for 14 days」で、1回4カプセルにリファブチン50mg・アモキシシリン1,000mg・オメプラゾール40mgを含む(リファブチンとして1日150mg)。12.4 Microbiology の Antimicrobial Activity は「In the clinical trials, 6.4% of the pretreatment isolates had amoxicillin MIC values >0.125 mcg/mL; 17.4% had clarithromycin MIC values ≥1 mcg/mL; 43.6% had metronidazole MIC values >8 mcg/mL. All isolates had rifabutin MIC values of <1 mcg/mL. The clinical significance of these MIC values is unknown.」で、リファブチンだけが全分離株で低いMICにとどまる一方、臨床的意義は不明と明記されている。Mechanism of Resistance はリファブチン耐性がDNA依存性RNAポリメラーゼの変異によって生じるとする閲覧 2026-09-07
  3. 3.MYCOBUTIN (rifabutin) Capsules — Prescribing Information(Pfizer Inc. / DailyMed (U.S. FDA)・2024)全文を確認した(本文末尾の表示は Revised 11/2024、DailyMed の更新日は 2024年12月24日)。INDICATIONS AND USAGE は「prevention of disseminated Mycobacterium avium complex (MAC) disease in patients with advanced HIV infection」の1項目のみ。CONTRAINDICATIONS は①リファブチンまたは他のリファマイシン系への臨床的に重大な過敏症、②cabotegravir/rilpivirine prolonged-release injectable suspension を投与中の患者、の2項目で、ボリコナゾールは CONTRAINDICATIONS の節ではなく Table 2 の推奨欄に CONTRAINDICATED と記載されている。DOSAGE AND ADMINISTRATION は300mg1日1回で、「For those patients with propensity to nausea, vomiting, or other gastrointestinal upset, administration of MYCOBUTIN at doses of 150 mg twice daily taken with food may be useful.」と食後分割を許容し、CrCl<30mL/min では「consider reducing the dose of MYCOBUTIN by 50%, if toxicity is suspected」(毒性が疑われる場合という条件つき)。WARNINGS は活性結核への単剤投与がリファブチン・リファンピシン双方への耐性結核を招きうること、ぶどう膜炎(クラリスロマイシン等のマクロライドおよび/またはフルコナゾール併用時に注意)を挙げる。プロテアーゼ阻害薬併用時は少なくとも50%の減量を要しうる閲覧 2026-08-10
  4. 4.ミコブティンカプセル150mg 電子添文(ファイザー株式会社(PMDA 医療用医薬品情報。2026年8月改訂・第8版)・2026)全文を確認した。「4. 効能又は効果」は〈適応菌種〉本剤に感性のマイコバクテリウム属、〈適応症〉結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症、HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制。「5. 効能又は効果に関連する注意」は「本剤は、リファンピシンの使用が困難な場合に使用すること。」の1文のみ。「6. 用法及び用量」は結核症150mg〜300mgを1日1回(多剤耐性結核症は300mg〜450mgを1日1回)、MAC症を含む非結核性抗酸菌症の治療および播種性MAC症の発症抑制はいずれも300mgを1日1回で、いずれも1日1回投与であり消化器不耐容時に150mgを1日2回食後へ分割する規定は無い。「7. 用法及び用量に関連する注意」は〈効能共通〉7.3「1日投与量が300mgを超える場合は、副作用の発現頻度が高くなるおそれがあるので、特に注意すること」、7.4「重度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)に使用する場合は、本剤の用量を半量にすること」(条件を付けない指示)、〈MAC症を含む非結核性抗酸菌症、結核症〉7.5「抗酸菌に感受性を示す他の薬剤と必ず併用すること」。7.2 は「エファビレンツ等のCYP3Aを誘導する薬剤と併用する場合には、本剤の曝露量が低下する可能性があるので、ガイドライン等を参考に本剤の増量を考慮すること」。「8. 重要な基本的注意」は〈効能共通〉として 8.2「白血球減少症、血小板減少症などの血液障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと」、8.3「肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと」を置き、〈結核症〉限定の 8.4 で「本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断すること」と定める(MAC症・発症抑制の適応には掛からない)。「9.3.1 重度の肝機能障害のある患者」は「本剤の用量の減量を考慮すること。肝機能を悪化させるおそれがある」で、腎機能障害の 7.4 と違い半量という数値の指定は無い。「2. 禁忌」は 2.1 本剤の成分または他のリファマイシン系薬剤(リファンピシン)への過敏症の既往、2.2 ボリコナゾール・エンシトレルビル・ニルマトレルビル/リトナビル・ロナファルニブ・グラゾプレビル・エルバスビル・チカグレロル・アルテメテル/ルメファントリン・リルピビリン/テノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン・リルピビリン(注射剤)・イサブコナゾニウムを投与中の患者の2項目で、カボテグラビル(水懸筋注)は禁忌ではなく「10. 相互作用」に置かれUGT1A1誘導によりカボテグラビルの血中濃度が低下すると記載される。「11.1 重大な副作用」は白血球減少症6.06%・貧血1.74%・血小板減少症1.59%・汎血球減少症0.16%、肝機能異常1.93%・黄疸0.72%・肝炎(頻度不明)、ぶどう膜炎(頻度不明)、ショック0.09%、心停止0.06%、脳出血0.03%、溶血性貧血0.03%、消化管出血0.12%、偽膜性大腸炎(頻度不明)、深部静脈血栓症0.09%、腎機能障害0.53%、痙攣0.37%など閲覧 2026-09-07
  5. 5.Ansatipin 150 mg cápsulas duras — Ficha técnica (SmPC)(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (AEMPS)・2026)EUのSmPC(スペイン登録番号60228)を全文確認した。「4.1 Indicaciones terapéuticas」は成人のMAC感染症の予防、HIV感染患者における非定型抗酸菌(MACなど)の症候性感染症の治療、およびリファンピシンが相互作用の risk や耐性のため適さない場合の肺結核の治療の3項目のみである。本文全体で `pylori`・`úlcera`・`péptica` はいずれも0回で、H. pylori感染症・消化性潰瘍の適応は無い。すなわち欧州SmPC・日本の電子添文・米国添付文書の3者とも、リファブチン単剤に消化性潰瘍またはH. pylori感染症の承認適応を与えていない(`indicationDiseases` に消化性潰瘍を置かない根拠。次の実行が同じ調査を繰り返さないために記録する)閲覧 2026-09-07
  6. 6.Disseminated Mycobacterium avium Complex (Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in Adults and Adolescents with HIV)(NIH/CDC/HIVMA(Panel on Opportunistic Infections in Adults and Adolescents with HIV)・2026)NCBI Bookshelf 経由で全文PDF(40,376行)を取得し、播種性MAC症の節を確認した。当該節の見出しには Updated 2026年5月27日/Reviewed 2026年5月27日と表示されており、Bookshelf の写しが陳腐化していないことを確かめたうえで引いている。評定は文字が推奨の強さ(A 強い/B 中等度/C 弱い)、ローマ数字が根拠の質(I 無作為化試験/II 非無作為化試験・観察コホート/III 専門家の意見)で、両者は別の軸である。一次予防について「Primary prophylaxis is not recommended for people with HIV who immediately initiate ART, regardless of CD4 count (AII)」と逐語で述べ、適応を CD4数50/mm3未満かつ ART未実施・ART下でウイルス血症が持続・完全に抑制する ART の選択肢が無いいずれか(AI)に限る。開始前に臨床評価と必要に応じた血液培養で播種性MAC症を除外し(AI)、培養を出した場合は単剤曝露と耐性化を避けるため結果が出るまで予防投与を遅らせる(AI)。予防の Preferred Therapy はアジスロマイシン1,200mg週1回(AI)、クラリスロマイシン500mg1日2回(AI)、アジスロマイシン600mg週2回(BIII)で、リファブチン300mg1日1回は Alternative Therapy(BI)として「アジスロマイシンまたはクラリスロマイシンに忍容性が無い患者」に置かれ、併用抗レトロウイルス薬との相互作用に応じた用量調整が必要になりうること、単剤療法となってリファマイシン耐性を獲得しないよう開始前に活動性結核を除外することが明記されている。治療では初期治療を2剤以上とし(AI)、クラリスロマイシン500mg1日2回(AI)またはアジスロマイシン500〜600mg(AII)にエタンブトール15mg/kg/日(AI)を併せる。リファブチン300mg1日1回は重症例・高死亡リスク・耐性化が起こりやすい状況(予防投与失敗後など)・菌量が血液1mLあたり2 log10 CFU超・ART未実施またはART下で抑制されていない場合に加える第3剤(CI)である。治療期間は少なくとも12か月(AII)閲覧 2026-09-07