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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

エンシトレルビル

ensitrelvir

分類
3CL protease inhibitor / 3CLプロテアーゼ阻害薬
商品名(日本)
ゾコーバ
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
標的微生物
SARS-CoV-2
影響検査値
HDLコレステロール
相互作用
ピモジドリファブチン

🧠 全体像:エンシトレルビルは、日本で承認された()の経口治療薬で、ウイルスの複製に必須のSARS-CoV-2 3CLプロテアーゼを阻害する。この薬を語る上で外せないのが強力なCYP3A阻害作用——(パクスロビド)と同じ「効くが相互作用が多い」タイプの3CLであり、添付文書の禁忌リストは30剤近くに及ぶ。の添付文書がエンシトレルビルを名指しで禁忌とするのも、この相互作用の激しさゆえである。

位置づけ

/と同じ「3CL」というクラスに属するが、による(CYP3A阻害の外部補強)を必要とせず単剤でできる点が異なる。ただしこれはエンシトレルビル自体が強いCYP3A阻害作用を持つためで、「不要」と「相互作用が少ない」は同義ではない。

機序

flowchart TD
    A["エンシトレルビルがSARS-CoV-2の<br>3CLプロテアーゼを阻害"] --> B["ウイルスのポリタンパク質が<br>個々の機能蛋白へ切断されない"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral replication'>ウイルス複製</span>に必要な蛋白が<br>成熟しない"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral replication'>ウイルス複製</span>が抑制される"]

適応

SARS-CoV-2による感染症()に承認されている1。⚠️ 症状発現から3日目までの投与開始で有効性が推定されている。 発症後速やかに投与を開始することが求められる1。

用法・用量

12歳以上の小児・成人に、1日目は375mg、2日目から5日目は125mgを1日1回する(投与期間5日間)1。

禁忌・注意

  • ⚠️ 強力なCYP3A阻害作用により、禁忌となる併用薬が非常に多い。 ・・・・・系製剤・・・・スボレキサント・(アドシルカ)・など、血中濃度上昇によりQT延長や重篤な副作用を来しうる多数のCYP3A基質薬が禁忌である1
  • ⚠️ との相互禁忌は「本剤がを増強する」一方向の関係である。 添付文書はを本剤のCYP3A阻害作用によりの血中濃度が上昇し作用(副作用)を増強するおそれがある薬剤として挙げており、が本剤の代謝を誘導するという記載ではない。同じ表でリファンピシン・カルバマゼピン・フェニトインなどは逆に「CYP3A誘導により本剤の血中濃度が減少し効果が減弱するおそれ」がある別枠の薬剤として並ぶ——同じ「」でもとリファンピシンでは禁忌の理由が違う1。の添付文書側も、エンシトレルビルをCYP3A阻害薬として禁忌に挙げており、両者の記載は整合している2
  • 禁忌:腎機能またはのある患者での併用、妊婦または妊娠している可能性のある女性1
  • 服薬中の全ての併用薬を確認し、治療中に新たな薬剤を服用する場合は事前に相談するよう患者に指導する1

副作用

副作用発現頻度は24.5%で、主な副作用はコレステロール低下(高比重リポ蛋白減少)18.4%である1。

まとめ

  • SARS-CoV-2 3CLプロテアーゼを阻害する経口治療薬。を要さない。
  • 用法は1日目375mg、2〜5日目125mgを1日1回、5日間。発症3日目までの投与開始で有効性が推定されている。
  • 強力なCYP3A阻害作用のため禁忌となる併用薬が非常に多い(QT延長リスク薬・スタチンなど)。
  • とは「本剤の強いCYP3A阻害作用がの血中濃度を上げる」一方向の理由で相互に禁忌(リファンピシン・カルバマゼピンなどのCYP3Aとは逆に、本剤の効果を減弱させるという別の理由で禁忌になる)。
  • 主な副作用はコレステロール低下。

出典

  1. 1.ゾコーバ錠125mg 添付文書(第1部 1.8 添付文書(案)、緊急承認時)(塩野義製薬株式会社(PMDA承認審査資料。2022年11月作成・第1版)・2022)全文を確認した。「4.効能・効果」はSARS-CoV-2による感染症。「6.用法・用量」は「通常、12歳以上の小児及び成人にはエンシトレルビルとして1日目は375mgを、2日目から5日目は125mgを1日1回経口投与する」で、投与期間は5日間。「7.用法・用量に関連する注意」はSARS-CoV-2による感染症の症状発現後速やかに投与を開始すること、有効性は症状発現から3日目までに投与開始された患者において推定されたことを記載する。「18.1作用機序」は「エンシトレルビルはSARS-CoV-2 3CLプロテアーゼを阻害し、ポリタンパク質の切断を阻止することで、ウイルスの複製を抑制する」。「2.禁忌」2.2は本剤投与中の患者に禁忌となる併用薬としてピモジド・キニジン硫酸塩水和物・ベプリジル塩酸塩水和物・チカグレロル・エプレレノン・エルゴタミン系製剤・シンバスタチン・トリアゾラム・アナモレリン塩酸塩・イバブラジン塩酸塩・ベネトクラクス(用量漸増期)・イブルチニブ・ブロナンセリン・ルラシドン塩酸塩・アゼルニジピン(配合剤含む)・スボレキサント・タダラフィル(アドシルカ)・バルデナフィル塩酸塩水和物・ロミタピドメシル酸塩・リファブチン・フィネレノン・リバーロキサバン・リオシグアト・アパルタミド・カルバマゼピン・エンザルタミド・ミトタン・フェニトイン/ホスフェニトインナトリウム水和物・リファンピシン・セイヨウオトギリソウ含有食品を列挙し、2.3は腎機能または肝機能障害のある患者でコルヒチンを投与中の患者、2.4は妊婦または妊娠している可能性のある女性を禁忌とする。「8.重要な基本的注意」は本剤が併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため服薬中のすべての薬剤を確認すること、治療中に新たに他の薬剤を服用する場合は事前に相談するよう患者に指導することを記載する。「11.副作用」は副作用発現頻度24.5%(148/604例)、主な副作用が高比重リポ蛋白減少(HDL低下)18.4%(111/604例)であることを確認した。「10.相互作用」の一覧表では、リファブチンは「本剤がリファブチンの代謝を阻害しリファブチンの血中濃度上昇により作用(副作用)を増強するおそれがある」薬剤として単独区分に置かれ、リファンピシン・カルバマゼピン・フェニトイン・アパルタミド・エンザルタミド・ミトタンは「これらの薬剤のCYP3A誘導作用により本剤の血中濃度が減少し効果が減弱するおそれがある(同時に本剤のCYP3A阻害作用によりこれらの薬剤の血中濃度も上昇しうる)」という別区分に置かれており、両者は禁忌の機序方向が異なることを確認した。緊急承認時(2022年11月・第1版)の添付文書であり、その後の通常承認(2024年3月)に伴う改訂の有無は未確認。閲覧 2026-09-07
  2. 2.ミコブティンカプセル150mg 電子添文(ファイザー株式会社(PMDA 医療用医薬品情報。2026年8月改訂・第8版)・2026)全文を確認した。「2.禁忌」2.2はボリコナゾール・エンシトレルビル・ニルマトレルビル/リトナビル・ロナファルニブ・グラゾプレビル・エルバスビル・チカグレロル・アルテメテル/ルメファントリン・リルピビリン/テノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン・リルピビリン(注射剤)・イサブコナゾニウムを投与中の患者を禁忌とすることを確認した。閲覧 2026-09-07