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Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

ロナファルニブ

lonafarnib

分類
Farnesyltransferase inhibitor / ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬
商品名(EU)
Zokinvy
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
2-28: Molecular and cellular aging
副作用
嘔吐下痢悪心
影響検査値
AST・ALT
相互作用
リファブチン
対象疾患
Hutchinson-Gilford早老症候群

🧠 全体像:は、候群(HGPS)に対する唯一の承認薬である。HGPSはLMNA遺伝子ので異常な蛋白「」が蓄積し、全身の急速な老化様変化と重度の動脈硬化により若年で心血管死する疾患だが、はこのの(ファルネシル化)を止めることで異常を軽減し、無治療で平均14.5歳の生存を約18.7歳へ延ばす1。この機序(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害)がCYP3Aと絡み合い、多数のを生む——の添付文書がを名指しで禁忌とするのもこの相互作用のためである2。

機序

flowchart TD
    A["LMNA遺伝子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='de novo mutation'>de novo変異</span>"] --> B["異常なプレラミンA(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progerin'>プロジェリン</span>)が産生される"]
    B --> C["本来はファルネシル化された後に<br>プロテアーゼで切断され成熟ラミンAになる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progerin'>プロジェリン</span>は切断部位を欠くため<br>ファルネシル基が残ったまま<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear envelope'>核膜</span>に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fixation'>固着</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuclear envelope'>核膜</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='structural aberration'>構造異常</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='senescence'>細胞老化</span>"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lonafarnib'>ロナファルニブ</span>がファルネシルトランスフェラーゼを阻害"] -.->|"ファルネシル化を防ぐ"| D

💡 「ファルネシル化を止める」だけでそのものは無くならない。 はの産生を止めるのではなく、産生された異常蛋白がにするを防ぐ薬である。だから治療は疾患を治すのではなく、進行を遅らせて生存を延ばす対症的・進行抑制的な治療にとどまる3。

適応

生後12ヵ月以上・0.39 m²以上のHGPS患者における死亡リスク低減、およびLMNA変異による様蛋白蓄積またはZMPSTE24・変異によるプロセシング欠損型プロジェロイド・ラミノパチーの治療に承認されている3。

⭐ 生存延長効果は無治療との比較で示されている。 HGPSは非投与では平均死亡年齢14.5歳(範囲6〜20歳、死因は主に心血管・脳血管)だが、投与で平均生存が約18.7歳へ延びる1。

用法・用量

115 mg/m²を1日2回、朝夕の食事とともに投与開始し、4ヵ月後に150 mg/m²・1日2回へ増量する(1日総量は25mg単位に丸める)3。

禁忌・注意

  • 禁忌:強いCYP3A阻害薬、強いまたは中程度のCYP3A、、・・との併用3
  • ⚠️ CYP3A基質であるため相互作用が非常に多い。 はCYP3Aであり、日本の電子添文はを名指しで禁忌に挙げている2
  • ⚠️ 延長に注意。 ・・の患者や延長を来す薬剤との併用を避ける3

副作用

では消化器症状が高頻度で、嘔吐90%・下痢81%・悪心56%に生じた。も頻度が高く、上昇35%・上昇27%が報告されている3。

まとめ

  • HGPSに対する唯一の承認薬。ファルネシルトランスフェラーゼを阻害し、異常蛋白のへのを防ぐ(の産生自体は止めない)。
  • 無治療の平均死亡年齢14.5歳を、投与により約18.7歳まで延ばす。
  • 用法は115 mg/m²・1日2回で開始し、4ヵ月後に150 mg/m²・1日2回へ増量。食事とともに投与。
  • CYP3A基質のため、強いCYP3A阻害薬・強いまたは中程度のCYP3A(を含む)・・一部のスタチンとの併用が禁忌。
  • 延長と消化器症状(嘔吐・下痢・悪心)、肝機能検査値上昇に注意する。

出典

  1. 1.Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome(GeneReviews (University of Washington, Seattle / NCBI Bookshelf)・2025)Hutchinson-Gilford早老症の最初の徴候が生後1年以内に現れること、原因がLMNAの c.1824C>T でプロジェリンを産生すること、98%が de novo の病的バリアントによる常染色体優性疾患であること、有病率が生存人口2,000万人あたり約1例であること、全頭脱毛・脂肪萎縮・強皮症様皮膚所見・進行性の関節拘縮・鎖骨の短縮と遠位吸収がみられること、高度で早発のアテローム性動脈硬化により脳血管・心血管疾患を来し進行性の大動脈弁狭窄・弁異常・脳卒中のリスクが中心的であること、ロナファルニブ非投与での平均死亡年齢が14.5歳(範囲6〜20歳)で死因が主に心臓・脳血管であること、ロナファルニブ投与で平均生存が約18.7歳へ延長すること、⚠️ 白内障と糖尿病は生じないこと、腫瘍発生率が一般集団より高くないことを確認した。閲覧 2026-09-03
  2. 2.ミコブティンカプセル150mg 電子添文(ファイザー株式会社(PMDA 医療用医薬品情報。2026年8月改訂・第8版)・2026)全文を確認した。「2. 禁忌」2.2はボリコナゾール・エンシトレルビル・ニルマトレルビル/リトナビル・ロナファルニブ・グラゾプレビル・エルバスビル・チカグレロル・アルテメテル/ルメファントリン・リルピビリン/テノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン・リルピビリン(注射剤)・イサブコナゾニウムを投与中の患者を禁忌とすることを確認した。閲覧 2026-09-07
  3. 3.ZOKINVY (lonafarnib) capsules, for oral use — Prescribing Information(Sentynl Therapeutics, Inc. / DailyMed(U.S. FDA)・2024)DailyMedで添付文書を確認した。機序がファルネシルトランスフェラーゼを阻害しプロジェリンおよびプロジェリン様蛋白のファルネシル化とその内核膜への蓄積を防ぐことであること、適応が生後12ヵ月以上・体表面積0.39 m²以上でHutchinson-Gilford早老症候群(HGPS)の死亡リスク低減、およびLMNAヘテロ接合体変異によるプロジェリン様蛋白蓄積または ZMPSTE24 ホモ接合体・複合ヘテロ接合体変異によるプロセシング欠損型プロジェロイド・ラミノパチーの治療であること、用法用量が115 mg/m²を1日2回・朝夕の食事とともに開始し4ヵ月後に150 mg/m²を1日2回へ増量する(1日総量は25mg単位に丸める)ことであること、禁忌が強いCYP3A阻害薬、強いまたは中程度のCYP3A誘導薬、ミダゾラム、ロバスタチン・シンバスタチン・アトルバスタチンとの併用であること、警告としてQTc延長(症候性徐脈・低カリウム血症・低マグネシウム血症・QTc延長薬との併用を避ける)、臨床試験での消化器症状(嘔吐90%・下痢81%・悪心56%)、肝機能検査値上昇(AST上昇35%・ALT上昇27%)を確認した。閲覧 2026-09-07