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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

プレトマニド

pretomanid

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬
商品名(EU)
Dovprela
科目
Pharmacology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs
標的微生物
Mycobacterium tuberculosis
副作用
悪心黄疸
対象疾患
結核多剤耐性結核

🧠 全体像:は治療における近年最大の転換点そのものを体現する薬である。2019年、()に対するとして・リネゾリドとの3剤併用(BPaL)で承認され1、その後の(TB-PRACTECAL試験など)が9か月以上を要していた旧来の治療を6か月のに短縮できることを示したことで、2022年以降の指針は(BPaL+)をの第一選択に位置づけるまでになった。2026年の第2版では、の肺結核()を重症度で分け、非重症はBPaL、重症はを加えたBPaLCとする推奨が新設された2。は単剤で存在意義を持つ薬ではなく、「BPaLという構成の中でこそ意味を持つ薬」として理解するのが最も実態に近い。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 BPaL//BPaLCでの役割 機序
B:阻害 のない独立機序
Pa: +NO産生
リネゾリド L:() 、骨髄抑制・末梢神経障害の主因
(のみ) M:阻害 がなければ追加
(BPaLCのみ) C:系 重症のでの代わりに追加

⭐ 「なぜBPaLが画期的なのか」を機序で説明できることが重要。 4剤ともが異なる(・細胞壁・蛋白合成・複製)ため相互にがなく、これが注射薬を含まない全経口・短期(6か月)という旧来の18〜24か月治療からの大転換を可能にした。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pretomanid'>プレトマニド</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Mycobacterium tuberculosis'>結核菌</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deazaflavin'>デアザフラビン</span>依存性<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Ddn'>ニトロレダクターゼ</span>で活性化"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mycolic acid'>ミコール酸</span>合成を阻害"]
    B --> D["活性化の過程で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nitric oxide, NO'>一酸化窒素</span>(NO)を放出"]
    C --> E["増殖中の菌の細胞壁形成を障害"]
    D --> F["低酸素・非増殖状態の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='semi-dormant bacilli'>半休眠菌</span>にも毒性を示す"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>に作用"]
    F --> G

と同じでも共通するが、開発のが異なり(TB Alliance開発)、承認された適応レジメンが異なる。

💡 「増殖中の菌」と「非増殖の」の両方に効くという二重性はと発想が似ているが、が酸性環境という条件に依存するのに対し、はNO産生というそのものが効果の実体である点が異なる。

薬物動態

項目 値・特徴
食後投与で吸収が高まる
代謝 主に非経路(アナエロビックな還元的代謝)。関連の相互作用は・ほど顕著ではない
排泄 代謝物として糞便・
半減期 約16〜20時間

適応

:(++リネゾリド+)、BPaL(を除く3剤)、BPaLC(BPaL+)の必須構成薬として使用する。当初は・治療/不応のとして承認されたが、2022年以降の指針では適格なMDR/全般に6か月レジメンとして推奨が拡大している。単剤では用いない3。

用法・用量

PO。/BPaL/BPaLC併用レジメンの一部として6か月間投与する。心電図(QT)・肝機能・血算(併用するリネゾリドの骨髄抑制モニタリングを兼ねる)を定期的に確認する。実際の用量・期間は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:単剤使用(必ずBPaL/M/Cの一部として使用)、重度肝障害
  • ⚠️ ・BPaLCは4剤それぞれが独自の毒性を持つであり、副作用の帰属を見極める必要がある。 骨髄抑制・末梢神経障害は主に併用するリネゾリドに起因し、QT延長は主に・に起因する一方、肝毒性は自身にも明確な寄与があるとされる
  • 妊娠中の使用データは限られる。はの安全性データが限られることを理由に、・BPaL・BPaLCを妊娠・授乳中の女性には適用しないとしており、14歳未満も対象外である2

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心・嘔吐、頭痛
注意 上昇、消化器症状
重篤・まれ 肝毒性(黄疸を伴う)、QT延長(レジメン内の他剤との)

まとめ

  • 。Ddnで活性化されるで、とNO産生の二重機序を持ち、増殖中の菌にもにも作用する。
  • BPaL(++リネゾリド)/(+)/BPaLC(+)レジメンの必須構成薬——単剤では意味を持たない薬。2026年指針はを重症度で分け、非重症にBPaL、重症にBPaLCを提案する。
  • 2019年にとして承認後、2022年指針で適格なMDR/全般への6か月へ推奨が拡大した、治療の近年最大の転換点。
  • 4剤それぞれが異なりがないことが、注射薬なしの短期全経口治療を可能にした理由。
  • 肝毒性は自身の寄与が大きい一方、骨髄抑制・末梢神経障害は主にリネゾリドに起因する——BPaL全体の副作用の帰属を切り分けて理解する。
  • 同じのとはが共通するが、承認・推奨されるレジメンが異なる。

出典

  1. 1.Treatment of Highly Drug-Resistant Pulmonary Tuberculosis(New England Journal of Medicine・2020)南アフリカ3施設で行われたNix-TB試験(オープンラベル単群、109例:XDR-TB 71例・治療不応MDR-TB 19例・治療不耐容MDR-TB 19例)で、ベダキリン+プレトマニド+リネゾリドを26週投与した結果、治療終了6か月後の良好な転帰が98/109例(90%、95%CI 82.7-94.9%)であったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: treatment and care, second edition(World Health Organization・2026)2026-09-27に第2版(ISBN 978-92-4-012512-4)のPDF本体で確認した。推奨B1.1(更新)がMDR/RR-TBに6か月のBPaLM(ベダキリン・プレトマニド・リネゾリド・モキシフロキサシン)を9か月・18か月レジメンより提案し、B1.1a・B1.1b(新規)が肺pre-XDR-TBのうち非重症にBPaL、重症にクロファジミンを加えたBPaLCを提案すること(いずれも conditional recommendation, very low certainty of evidence)。備考で、適用が14歳以上であること、プレトマニドの妊娠中の安全性データが限られるため妊娠・授乳中の女性には適用しないこと、リネゾリドは3レジメンとも1日1回600 mgであることを定める。閲覧 2026-09-27
  3. 3.PRETOMANID tablets, for oral use, full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2024)米国添付文書(2024年11月改訂)は、プレトマニド錠がベダキリン・リネゾリドとの併用レジメン(BPaL)の一部としてのみ承認されており、ベダキリン・リネゾリド以外の薬剤との併用における安全性・有効性は確立されていないと明記していることを確認した。閲覧 2026-08-27