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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 病態

機能性視床下部性無月経

Functional hypothalamic amenorrhea

別名
FHA視床下部性無月経
臓器系
生殖・産婦人科内分泌・代謝
科目
Translational Medicine and PathophysiologyInternal MedicineObstetrics and Gynecology (Gynecology)
トピック
病態生理 1-25:女性ホルモン調節の異常内科学 L-34:無月経婦人科 02:続発性無月経
鑑別疾患
Kallmann症候群子宮内癒着症多嚢胞性卵巣症候群
続発疾患
排卵障害にもとづく不妊症骨粗鬆症
関連疾患
スポーツにおける相対的エネルギー不足摂食症
症状
無月経
検査値
卵胞刺激ホルモン抗ミュラー管ホルモン血清プロラクチン甲状腺刺激ホルモン

🧠 全体像:(FHA)は、な原因が見つからないのに のが下がって止まる無月経である1。⭐ 「functional(機能性)」という語がこの疾患のすべてを含んでいる——原因となっている行動(・・ストレス)を是正すれば排卵機能は戻りうる、という含意そのものが病名になっている。⚠️ したがって学習の骨格は3つ。①なので、原因を落とす手順が診断の本体になる2、②ホルモンの型で読む——が低値〜低正常、は正常、エストラジオールとプロゲステロンが低い1、③主要な合併症はと不妊で、⚠️ どちらも「ホルモンを外から足せば解決する」問題ではない2。

位置づけ——どのくらい多いのか

⚠️ 隣接する3つの枠組みを混同しない

主題 このコーパスでの受け皿
FHA パルスが落ちて月経が止まった状態そのもの。診断・除外・骨・妊孕性 本ノート
(REDs)/ の低下が全身の多臓器に及ぼす影響。層別化と競技参加の判断 REDsのノート
摂食行動とそのもの のノート

💡 FHAは3つの枠組みの交点にある。 ⚠️ 以降、無月経はのに必須ではないが、両病態の重なりは依然として大きい1。「の基準を満たさないからFHAではない」も、「無月経が無いからではない」も成り立たない。

病態——エネルギーを節約するために生殖を止める

持続的なエネルギー不足は、生存に最も必要でないエネルギー多消費過程を停止させる生理的な安全装置として生殖機能を抑える1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='caloric restriction'>カロリー制限</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excessive exercise'>過剰運動</span>・心理的ストレス"] --> B["体脂肪減少<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='leptin'>レプチン</span>・血糖・インスリン・IGF-1 の低下"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypothalamic-pituitary-adrenal'>HPA</span>軸と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autonomic nervous system (ANS)'>自律神経系</span>の活性化<br>CRH・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-endorphin'>β-エンドルフィン</span>・コルチゾールの上昇"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kisspeptin'>キスペプチン</span>低下<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ghrelin'>グレリン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='growth hormone (GH)'>成長ホルモン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuropeptide Y'>神経ペプチドY</span> の上昇"]
    C --> D
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span> の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile secretion'>拍動性分泌</span>が低下する"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span> は低振幅、または夜間だけの不規則な拍動<br>(思春期早期に似た型)"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular development'>卵胞発育</span>が完成せず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anovulation'>無排卵</span><br>エストラジオール低下・プロゲステロンはほぼ消失"]
    C --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low T3 syndrome'>低T3症候群</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyrotropin-releasing hormone'>TRH</span>低値・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid-stimulating hormone'>TSH</span>正常〜低値・T3/T4低下"]
  • ⭐ がである。 にはとCRH受容体が見つかっており、軸とHPG軸を橋渡ししうると考えられている1。「ストレスで月経が止まる」を分子で説明する現在の候補がここにある。
  • ⭐ の拍動が「思春期早期に戻る」。 低振幅、または夜間だけ振幅の増した不規則な拍動という型をとる1。視床下部が発達段階を巻き戻したように振る舞うと理解すると、可逆性の説明とも矛盾しない。
  • を伴う。 が低く、は正常〜低値、T3・T4が低下する1。⚠️ これを甲状腺機能低下症として治療しない——を節約する適応である。
  • ⚠️ ⭐ 初期のは保たれ、は健常女性と同程度にとどまる1。卵巣が枯渇しているのではなく、からの指令が落ちているだけである。この一点が卵巣機能不全の末梢性の原因との決定的な違いになる。
  • 遺伝的な素因も示唆されている。に関連するFGFR1・PROKR2・GNRHR・KAL1(ANOS-1)のまれな変異・多型が、特発性のとFHAの女性の双方で認められている1。💡 同じ量のストレスで止まる人と止まらない人がいる理由の一部がここにある。

診断——「いつ調べ始めるか」から始まる

⭐ 評価を始める閾値がガイドラインに明記されている。が45日を超える場合、または3か月以上の無月経である(推奨1.2)2。

💡 45日という数字には裏づけがある。 後まもない時期であっても、報告されるの90%超は45日を超えない1。⚠️ 「思春期だから不規則で当たり前」で片づけない。

検査の組み立て

段階 内容
スクリーニング(2.3) β-、血算、電解質、血糖、、、クレアチニン、肝機能
内分泌(2.4) 、遊離T4、プロラクチン、、、エストラジオール、
追加(2.5) なエストロゲン曝露の確認に試験
画像(2.6) ⚠️ 頭部MRIは全例ではない。 強い頭痛・持続する嘔吐・・下垂体異常を示唆する所見があるとき
骨(2.7) ⭐ 6か月以上続く無月経ではをベースラインとして測定する
原発性なら(2.8) 系の形態異常の評価

出典は推奨番号つきの一覧2。

  • ⚠️ 診断は最後に置く。 解剖学的・な無月経の病態を除外したうえでのみFHAと診断する(推奨1.1)2。
  • 心理的子のスクリーニングを行う(推奨1.3)。病歴では食事・・運動・体重変化・睡眠・ストレス・気分を扱う(推奨2.1)2。
  • 💡 頭部画像の閾値は総説側でも同じである。 (±)、頭痛、視野変化が無ければ通常・は要らない1。
  • ⚠️ が正常でも安心しない。 が異常に低い状態は、それ自体が・無月経と関連する。による測定が、強く運動する女性や制限食の女性の層別化に役立つ1。
  • 骨評価では、に加えて無症候性を検出するためのが勧められる1。

⚠️ ホルモンは「絶対値」ではなく「型」で読む

診断は、が低値〜低正常、は正常、エストラジオールとプロゲステロンが低下していることで確立できる。刺激に対する急性ゴナドトロピン反応は保たれる1。

  • ⚠️ ゴナドトロピンとエストラジオールの明確なも、確定的なも定まっていない1。数値で切るを探して覚えようとしない。
  • ⚠️ エストラジオールは一時点の値にすぎず、単独では診断を確定できない1。

鑑別

相手 決め手
⭐ FHAではが低値〜低正常では正常にとどまる1。PCOSではがに比して不釣り合いに高いことが珍しくなく、の有無も分かれ目になる
⭐ の向きが正反対。 FHAは中枢の指令不足でが低値〜正常、は卵巣枯渇でが高値。詳細は卵巣機能不全へ
先天性ので、を伴う。として現れる
・ プロラクチン高値。持続高値ならへ
の既往。他のも落ちる
(流出路性) ⚠️ ホルモン軸が正常なのに月経が無いときに疑う。 などの子宮内操作の既往があり、はを保ち周期性の症状はあるのに出血だけが無い

⚠️ PCOSとの併存がありうる。 ガイドラインは、を併存するFHA患者には固有の監視を行うよう述べている(推奨2.9)2。「PCOSがあるからFHAではない」と切り捨てない。

治療——是正するのは行動であって月経ではない

flowchart TD
    A["FHAと診断"] --> B{"高度の徐脈・低血圧・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthostatic hypotension (postural hypotension)'>起立性低血圧</span>・電解質異常があるか"}
    B -->|"ある"| C["入院評価(推奨3.1)"]
    B -->|"ない"| D["エネルギー不均衡の是正(推奨3.2)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='energy intake'>摂取エネルギー</span>を増やす・栄養を改善する・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='momentum'>運動量</span>を減らす"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive behavioral therapy, CBT'>認知行動療法</span>などの心理的支援(推奨3.3)"]
    E --> F{"保存的介入で月経が戻るか"}
    F -->|"戻る"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recovery phase'>回復期</span>は月経が不規則になりうると説明する(推奨1.4)"]
    F -->|"戻らない"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transdermal estradiol'>経皮エストラジオール</span>+周期的な経口<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progesterone'>黄体ホルモン</span>の短期使用(推奨3.6)"]
  • ⭐ 中心は推奨3.2である——の増加、栄養の改善、の減少によってエネルギー不均衡を是正し、HPO軸の機能を改善させる2。
  • ⚠️ ⭐ 月経を取り戻すことや骨密度を上げることのみを目的とした経口避妊薬の使用には反対が示唆されている(推奨3.4)2。避妊のために使う場合は、経口避妊薬が自然月経の再開を覆い隠しうること、が続きうることを説明する(推奨3.5)。
  • 保存的介入で戻らないときの選択は、経口避妊薬でもでもなく、と周期的な経口の短期使用である(推奨3.6)2。
  • ⚠️ 骨密度を上げる目的で・・テストステロン・を用いることには反対が示唆されている(推奨3.7)2。骨折治癒の遷延と非常に低い骨密度がそろう成人のまれな状況に限って遺伝子組換えヒト1-34が示唆される(推奨3.8)。⚠️ 条件は「骨折治癒が遅い」だけではない。
  • 💡 は「効かない」のではなく「まだ推奨できない」である。 生理的用量のを36週投与した無作為化試験では、月経の回復、エストラジオール・プロゲステロンの上昇、コルチゾールの低下、の低下が報告されている1。⚠️ それでもガイドラインは骨密度改善目的の使用に反対を示唆した(推奨3.7)2。病態から期待できることと、臨床で勧められることは別である。
  • は急性投与でゴナドトロピンを上げるが、ではが生じる1。治療としてはまだ確立していない。

⚠️ 骨——「ホルモンを足せば骨は戻る」は支持されていない

ガイドラインの依頼で行われた系統的レビュー・が、この問いを直接扱っている。9研究280人(経口避妊薬を含むエストロゲン療法)を統合した結果である3。

部位 追跡中央値12か月での骨密度
統計学的に有意に増加(0.032 g/cm²、95%CI 0.017〜0.047、変化率3.30%、1.74〜4.86)
・・・全身 ⚠️ 実質的な効果なし
  • ⚠️ 有意差が出たのはだけである。 「効果がまったく無かった」と単純化しない——同じ解析がで3.30%の増加を示している3。
  • ⚠️ それでも著者らのは「骨の健康を改善することのみを目的としたは現行のエビデンスでは支持されない」である3。理由は3つ——が高い、症例数が少なく不精確、そして骨密度はにすぎない。
  • ⚠️ ⭐ 骨折の発生を報告した研究は1件も無かった3。本当に知りたい転帰が、まだ一度も測られていない。
  • を評価した研究は同定されなかった3。推奨3.7が「反対を示唆」にとどまるのは、害の証拠があるのではなくデータが無いためである。

妊孕性

  • 不妊治療の選択肢は・ゴナドトロピン・で、も考慮しうる(推奨3.9)2。⭐ 3つを並列に覚えない——推奨3.9はを第一選択として挙げている2。
  • ⚠️ ⭐ は、エネルギーバランスを是正して 18.5 kg/m²以上になってから行う(推奨3.10)2。順序が推奨に書き込まれている——妊娠を目的にしても、先に是正するのはエネルギー不足である。

まとめ

  • FHAは原因によらずのが低下して起こるで、である。
  • 思春期女子では原発性・続発性いずれの無月経でも最多の原因。妊娠を除けばの約25〜35%を占め、⚠️ 誘因で最も多いのは。
  • 病態は「生存に不要な機能から止める」安全装置。・IGF-1・が下がり、CRH・コルチゾール・が上がり、パルスが落ちる。⭐ の拍動は思春期早期に似た型に戻る。
  • ⭐ は保たれる。 卵巣は枯渇していない。とはの向きが正反対。
  • を伴うが、これは適応であってではない。
  • 評価開始は周期45日超または3か月以上の無月経。⚠️ 頭部MRIは全例ではなく、頭痛・嘔吐・・下垂体所見があるときに行う。6か月以上の無月経では。
  • ⚠️ ホルモンはではなく型で読む。 低値〜低正常・正常・E2低下で、刺激への急性反応は保たれる。
  • 治療の中心はエネルギー不均衡の是正と心理的支援。⚠️ 月経再開や骨密度のみを目的とした経口避妊薬には反対が示唆されている。 保存的介入が失敗したら+周期的経口の短期使用。
  • ⚠️ 骨:(経口避妊薬を含むエストロゲン療法)は骨密度を3.30%上げたが、・・・全身では効果なし、骨折を測った研究は皆無。 だから「骨のための」は支持されない。
  • 妊孕性は(第一選択)・ゴナドトロピン・で扱うが、⭐ は 18.5 kg/m²以上になってから。

出典

  1. 1.Neuroendocrine disturbances in women with functional hypothalamic amenorrhea: an update and future directions(Endocrine・2024)PMCの全文(PMC11208264)で確認した。機能性視床下部性無月経が思春期女子における原発性・続発性無月経の最も多い原因であり、妊娠を除けば多嚢胞性卵巣症候群と並んで続発性無月経の最多の原因で、続発性無月経の約25〜35%を占めること。誘因のうち最も多いのはカロリー制限で、体脂肪と循環レプチンの低下、コルチゾールとグレリンの上昇、キスペプチンの低下を伴うこと。エネルギー不足では、レプチン・血糖・インスリン・IGF-1・キスペプチンが低下し、グレリン・成長ホルモン・神経ペプチドY・β-エンドルフィンが上昇すること。ストレスは種類を問わずHPA軸と自律神経系を活性化し、CRH・β-エンドルフィン・コルチゾールの分泌増加とGABAを介してGnRHの拍動性分泌を抑制すること、KNDyニューロンにグルココルチコイド受容体とCRH受容体が見つかっておりHPA軸とHPG軸を橋渡ししうること。甲状腺ではTRH低値・TSH正常〜低値・T3およびT4低下という「低T3症候群」の型を示し、これがエネルギー消費を節約する適応と解釈されること。LHの拍動は低振幅、あるいは振幅の増した夜間の不規則な拍動という思春期早期に似た型をとること。⚠️ 一方で初期の卵胞動員は保たれAMHは健常女性と同程度にとどまること。診断はGnRHパルス頻度を乱す器質的原因が同定できない慢性無排卵として、LHが低値〜低正常、FSHは正常、エストラジオールとプロゲステロンが低下していることで確立でき、GnRH刺激に対する急性ゴナドトロピン反応は保たれること。ゴナドトロピンとエストラジオールの明確なカットオフ値や確定的なバイオマーカーは定まっておらず、絶対値よりもホルモンの型が重要で、エストラジオールは一時点の値にすぎず単独では診断を確定できないこと。初経後まもない時期であっても報告される月経周期の90%超は45日を超えないため、不規則・欠如する月経は懸念に値すること。BMIが正常でも体脂肪率が異常に低い状態は排卵障害・無月経と関連し、生体電気インピーダンスによる体脂肪率測定が層別化に役立つこと。頭部CT・MRIは、乳汁漏出(±高プロラクチン血症)、頭痛、視野変化が無ければ通常は不要であること。6か月以上の無月経、重度の栄養障害の既往、骨脆弱性がある女性ではDXAによる骨密度のベースライン測定と、無症候性椎体骨折を検出するための側面脊椎X線が推奨されること。先天性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関連するFGFR1・PROKR2・GNRHR・KAL1(ANOS-1)などの遺伝子のまれな変異・多型が、特発性の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と機能性視床下部性無月経の女性の双方で認められていること。DSM-5以降、無月経は神経性やせ症の診断基準に必須ではないが両病態の重なりは大きいこと。生理的用量のメトレレプチンを36週投与した無作為化試験で月経の回復、エストラジオール・プロゲステロンの上昇、コルチゾールの低下、骨吸収マーカーの低下が報告されたこと、キスペプチン-54の急性投与は血清ゴナドトロピンを上昇させたが反復投与では脱感作が生じたことを確認した。閲覧 2026-09-04
  2. 2.Functional Hypothalamic Amenorrhea: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline(Endocrine Society(American Society for Reproductive Medicine・European Society of Endocrinology・Pediatric Endocrine Society 共催)・2017)抄録に加えて、発行元Endocrine Societyのガイドライン資料ページに掲載された推奨文の一覧を閲覧した。⚠️ 原著の全文は未取得(DOI・出版社のPDFはいずれも取得できなかった)。抄録の結論として、機能性視床下部性無月経が同定しうる器質的原因によらない慢性無排卵であり、ストレス・体重減少・過剰運動またはその組合せとしばしば結び付くこと、除外診断であるため全身性・内分泌性の原因の評価を検査に含めるべきこと、内科・栄養・メンタルヘルスの支援を組み合わせた多職種アプローチが必要であること、医学的合併症として骨量減少と不妊があり適切な治療法はなお議論と研究の途上にあることを確認した。推奨文として、解剖学的・器質的な無月経の病態を除外したうえでのみ診断すること(1.1)、月経周期が45日を超える場合または3か月以上の無月経で評価を行うこと(1.2)、心理的ストレス因子のスクリーニングを行うこと(1.3)、回復期には月経が不規則になりうることを患者に説明すること(1.4)、食事・摂食症・運動・体重変化・睡眠・ストレス・気分を含む詳細な病歴を取ること(2.1)、妊娠と器質的原因を除外する身体診察を行うこと(2.2)、スクリーニング検査としてβ-hCG・血算・電解質・血糖・重炭酸・BUN・クレアチニン・肝機能を測ること(2.3)、内分泌検査としてTSH・遊離T4・プロラクチン・LH・FSH・エストラジオール・AMHを測ること(2.4)、慢性的なエストロゲン曝露を確認するため黄体ホルモン試験を行うこと(2.5)、強い頭痛・持続する嘔吐・視覚変化・下垂体異常を示唆する所見がある患者には頭部MRIを行うこと(2.6)、6か月以上続く無月経ではDXAによる骨密度をベースラインとして測定すること(2.7)、原発性無月経ではミュラー管系の形態異常の評価を行うこと(2.8)、多嚢胞性卵巣症候群を併存する機能性視床下部性無月経の患者には固有の監視を行うこと(2.9)、高度の徐脈・低血圧・起立性低血圧・電解質異常があれば入院評価を行うこと(3.1)、摂取エネルギーの増加・栄養の改善・運動量の減少によってエネルギー不均衡を是正し視床下部・下垂体・卵巣軸の機能を改善させること(3.2)、認知行動療法などの心理的支援を行うこと(3.3)、月経を取り戻すことまたは骨密度を上げることのみを目的とした経口避妊薬の使用に反対を示唆すること(3.4)、経口避妊薬が自然月経の再開を覆い隠しうること・骨量減少が続きうることを説明すること(3.5)、保存的介入が奏効しなかった場合に経口避妊薬やエチニルエストラジオールではなく経皮エストラジオールと周期的な経口黄体ホルモンの短期使用を示唆すること(3.6)、骨密度改善の目的でビスホスホネート・デノスマブ・テストステロン・レプチンを用いることに反対を示唆すること(3.7)、骨折治癒の遷延と非常に低い骨密度を伴う成人のまれな症例に限り遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン1-34を示唆すること(3.8)、不妊治療の選択肢が拍動性GnRH(第一選択)・ゴナドトロピン・クロミフェンクエン酸塩であり認知行動療法も考慮しうること(3.9)、排卵誘発はエネルギーバランスを是正したうえでBMI 18.5 kg/m²以上になってから行うこと(3.10)を確認した。同ページは2017年3月19日付で、より新しい版の記載は無かった。閲覧 2026-09-04
  3. 3.Treatments to Prevent Bone Loss in Functional Hypothalamic Amenorrhea: A Systematic Review and Meta-Analysis(Journal of the Endocrine Society・2017)PMCの全文(PMC5686767)で確認した。機能性視床下部性無月経(運動性・体重減少性・ストレス性の無月経/希発月経を含む)の女性における骨量減少の予防について、ホルモン療法(経口避妊薬を含むエストロゲン療法)とビスホスホネートを評価した2017年1月9日までの対照研究・非対照研究を統合した系統的レビューとメタ解析。異なるホルモン療法を受けた280人を報告する9研究が含まれ、ビスホスホネートを評価した研究は同定されなかった。追跡期間中央値12か月の時点で腰椎骨密度は統計学的に有意に増加した(加重平均差0.032 g/cm²、95%CI 0.017〜0.047、骨密度の変化率3.30%、95%CI 1.74〜4.86)が、大腿骨頸部・大転子部・Ward三角・全身骨密度には実質的な効果が無かった。エビデンスの質はバイアスリスクの高さ・不精確さ(少数例)・間接性(骨密度が代替評価項目であること)のため低かった。⚠️ 骨折の発生を報告した研究は1件も無かった。著者らは、現行のエビデンスは機能性視床下部性無月経の患者において骨の健康を改善することのみを目的としてホルモン療法を用いることを支持しないと結論している。閲覧 2026-09-04