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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 病態

排卵障害にもとづく不妊症

Anovulatory infertility

別名
排卵障害性不妊無排卵性不妊
臓器系
生殖・産婦人科内分泌・代謝
科目
Obstetrics and Gynecology (Gynecology)
トピック
婦人科 06:不妊症の原因とカップルの評価婦人科 07:不妊症の検査と治療
治療薬
クロミフェンレトロゾール
原因となる疾患
機能性視床下部性無月経多嚢胞性卵巣症候群
適応薬
クロミフェンレトロゾール

🧠 全体像:にもとづくは、「排卵していない」という一つの現象の背後に・下垂体性・という性質の異なる原因が並ぶ病態である。はHPO(視床下部-下垂体-卵巣)軸機能異常によるを実用的に分類しており、最も頻度が高く治療反応性も良いのは正ゴナドトロピン性( Group II、が代表)である1。どの群に属するかで治療の組み立て方がまったく変わる——自前のゴナドトロピン分泌が保たれている群ではで排卵を誘発できるが、視床下部・下垂体そのものが機能していない群やゴナドトロピンが既に高値の卵巣不全の群では、だけでは対応できない。

WHOによる分類

はHPO軸機能異常によるを、ゴナドトロピン・エストロゲン分泌の状態で3つの群に大別する1。

分類 ゴナドトロピン・エストロゲンの状態 代表的な原因
・下垂体性の ・低エストロゲン性 、など下垂体・視床下部の
の(正ゴナドトロピン性) ゴナドトロピンは正常範囲、エストロゲンも保たれる (PMOS)——最も頻度が高く、の主な対象
の() ・低エストロゲン性 など卵巣自体の機能低下

⚠️ 同じ「」でも、視床下部・下垂体の機能そのものが保たれているかどうかで治療の選択肢が変わる。 自前のゴナドトロピン分泌が保たれている群(PMOSなど)は経口の薬に反応しやすいが、視床下部・下垂体の機能が失われている群ではでHPO軸を「動かす」余地が乏しく、やゴナドトロピン製剤による直接刺激が必要になる1。

診断

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ovulatory dysfunction'>排卵障害</span>を疑う病歴<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='oligomenorrhea'>希発月経</span>・無月経、不妊期間"] --> B["排卵の有無を確認"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal body temperature'>基礎体温</span>表"]
    B --> D["尿中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>キット"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transvaginal ultrasound, TVUS'>経腟超音波</span>による卵胞モニタリング"]
    C --> F["排卵の有無・時期を推定"]
    D --> F
    E --> F
    F --> G["原因検索<br>ゴナドトロピン・エストロゲン・プロラクチンなど内分泌検査"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='World Health Organization'>WHO</span>の3分類のいずれかに位置づける"]

排卵の確認には、表・尿中キット・による卵胞モニタリングを用いる1。月経歴による排卵の確認は評価の初期評価の柱の一つでもある2。原因の絞り込みには、ゴナドトロピン(・)・エストラジオール・プロラクチンなどの内分泌検査を組み合わせ、上記の分類のどこに位置するかを判断する。

代表的な原因疾患

治療

治療はの分類のどこに位置するかで組み立てが変わるが、に反応しうる正ゴナドトロピン性(PMOSなど)では以下の段階を踏む。

段階 治療
第一選択(PMOSに伴い他のが無い場合) (周期2〜3日目から1日2.5〜5 mgを5日間)13
代替・併用 (1日50〜100 mgを最大6周期)、併用1
抵抗例・/下垂体性の ゴナドトロピン製剤による卵巣への直接刺激、あるいは1

⭐ 2023年の国際PCOSガイドラインは、他のを持たないPMOSの女性におけるのをとする(強い推奨、エビデンスの質:高)。 よりを優先する推奨も同時に示されている3。⚠️ この「第一選択は」という推奨は、PMOSに伴うで他にが無い女性についてのものであり、・のなど他の原因に基づくにそのまま広げて読まない。

まとめ

出典

  1. 1.Ovulation Induction Techniques(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)2023年6月8日改訂版を確認した。視床下部-下垂体-卵巣(HPO)軸機能異常による排卵障害をWHOが実用的な分類として提示していること(Class 1:視床下部性・下垂体性の低ゴナドトロピン性無排卵、Class 2:正ゴナドトロピン性無排卵、Class 3:高ゴナドトロピン性無排卵、Class 4:高プロラクチン血症性無排卵)、排卵誘発の主な対象がWHO Group IIの無排卵周期であり多嚢胞性卵巣症候群(PMOS、本ボルトの表記)がこの分類に含まれること、排卵の評価法として基礎体温表・尿中LHキット・経腟超音波(卵胞成熟の指標として卵胞排卵前の卵胞周囲抵抗係数0.4〜0.48などの計測を含む)が挙げられること、WHO Group IIに対する治療として抗エストロゲン薬(クロミフェンクエン酸塩)・アロマターゼ阻害薬(レトロゾール)・ゴナドトロピン製剤が用いられること、クロミフェンクエン酸塩が1日50〜100 mgを最大6周期投与すること、レトロゾールが周期2〜3日目から1日2.5〜5 mgを5日間投与すること、ゴナドトロピン製剤が抵抗例や視床下部性・下垂体性の低ゴナドトロピン性無排卵に対する卵巣への直接刺激として用いられることを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Fertility evaluation of infertile women: a committee opinion(American Society for Reproductive Medicine(Fertility and Sterility)・2021)35歳以上の女性では評価開始を6か月に早めること、初期評価の柱として月経歴による排卵の確認と子宮卵管造影・生理食塩水注入超音波による卵管疎通性・子宮腔評価を挙げていることを確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.Recommendations From the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2023)排卵誘発の推奨5.3.1で「レトロゾールは、**他の不妊因子を持たない**PCOS(本ボルトの表記ではPMOS)の無排卵性不妊女性における排卵誘発の第一選択の薬物治療とすべきである」とし、GRADE強度は強い推奨・エビデンスの質は高いとされていること。推奨5.4.5.1でも同じ集団についてクロミフェンよりレトロゾールを用いるべきとしていること。クロミフェン+メトホルミンの併用はクロミフェン単独より用いうると位置づけられていること閲覧 2026-09-05