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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 先天性疾患

副乳・多乳頭症

Accessory breast and polythelia

別名
副乳房多乳頭polymastia
臓器系
生殖・産婦人科皮膚小児
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
発生学 20.2:外皮系:付属器発生学 20.4:外皮系:臨床
合併症
乳癌

🧠 全体像:・は、に腋窩からにかけて帯状に形成されるの遺残である。正常発生では胸部の1対を除いては退行するが、⭐ 退行が不完全に終わった箇所に、の走行上のどこでも余分な乳腺組織()・余分な乳頭()が生じうる——から外れた部位に生じることはない、という発生学的ながそのまま好発部位の説明になる1。

発生学的背景

妊娠第5週ごろ、外胚葉性のが腋窩からにかけて帯状に肥厚して形成される。正常発生ではその後の妊娠週数を通じての大部分が退行し、胸部の2領域だけが残って左右一対の乳房になる1。マウスでの発生学的研究では、この帯が胚齢10日に前から後へ走る左右一対として現れ、11.5日までに定まった位置の5対のへ分解することが示されており、が単一の連続構造ではなく複数の形成部位にする過程であることを裏づける(ヒトでのの範囲と退行過程そのものはこの研究では述べられていない)2。の形成・退行のは発生学 20.2:系:付属器を参照。

💡 「」と「」は、上に遺残する組織の中身が違う。 乳腺実質(腺組織)まで遺残すれば(房)、乳頭・のみが遺残すればと呼ぶ——同じ発生学的異常のスペクトラムであり、しばしば合併する。

頻度・好発部位

  • は人口のおよそ1〜6%に観察される13。
  • 女性では60〜70%が上のいずれかの部位に組織を持ち、20%が腋窩に組織を持つと報告されている1。
  • ⭐ 好発部位は腋窩である。に沿った他の胸腹部の部位にも生じうる13。
  • 男性での頻度は報告が無く、女性よりはるかにまれである1。
  • ⚠️ ・と腎・の関連は、・小児科領域の教育資料でしばしば言及されるが、その関連の強さを裏づける一次資料は今回のセッションでは確認できていない(未確認)。個々の患者で他のを伴う場合や家族性の場合に腎・尿路の評価を検討するという記述を複数の二次資料で見かけたが、原著論文の全文には当たれていないため本文には数値を書かない。

合併症

⚠️ 組織そのものにも乳癌が生じうる。 まれな乳癌の一型で、頻度はおよそ0.3〜0.6%と報告されている1。腋窩の腫瘤を単純な組織の腫大やと決めつけず、乳癌の可能性を鑑別に残す必要がある。

診断・治療

段階 内容
画像検査 腋窩腫脹のでが可能1
確定診断 細胞診(FNAC) 1
治療 無症候性であれば治療は不要。症候性(疼痛・整容上の問題・周期的な腫脹など)の組織は外科的切除が勧められる1

まとめ

  • ・は、胎生5週に形成されるの遺残による先天性の異常で、の走行(腋窩〜)上にのみ生じる。
  • 乳腺実質まで遺残すれば、乳頭・だけならで、同じスペクトラムに属する。
  • 頻度はおよそ1〜6%、女性では60〜70%が上のどこかに、20%が腋窩に組織を持つ。男性はまれ。
  • ⚠️ 腎・との関連はしばしば言及されるが、今回の執筆で一次資料による確認には至らず、本文では数値を挙げていない。
  • 組織にも乳癌が生じうる(頻度0.3〜0.6%)。無症候性なら経過観察でよいが、症候性なら切除を検討する。

出典

  1. 1.Unilateral Enlarged Right Accessory Axillary Breast Tissue in a Male: A Case Report(Cureus・2024)全文で確認した。妊娠第5週に外胚葉性の乳堤(mammary ridge)が肥厚して形成され、乳堤は腋窩から鼠径部まで伸びること、正常では妊娠後期にかけて2つの胸部領域を除いて完全に退行し左右一対の乳房になること、副乳がおよそ1〜6%に観察されること、女性では60〜70%が乳堤上のどこかに副乳組織を持ち20%が腋窩に副乳組織を持つと報告されている一方で男性での頻度は未報告できわめてまれであること、余剰乳腺は多くが両側性で腋窩や胸腹部の他部位に位置すること、副乳に生じる乳癌(accessory breast cancer)はまれな乳癌の一型で頻度は0.3〜0.6%と報告されていること、腋窩腫脹の超音波検査で暫定診断が可能で確定診断はFNACで行うこと、無症候性の副乳腋窩組織には治療を要さないが症候性の組織は切除が勧められることを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Mammary gland development(WIREs Developmental Biology・2012)既存id・claimを再利用(topics/embryology-y1/20-2-appendages.mdの出典と同一)。「EMBRYONIC MAMMARY GLAND DEVELOPMENT」節が、乳腺の上皮区画は外胚葉に、周囲の間質区画は中胚葉に由来すると述べ、マウスでは胚齢10日に前肢芽から後肢芽へ走る左右一対の多層化外胚葉の帯(milk line)が生じ、11.5日までにこの帯が定まった位置の5対のプラコードへ分解すると記す。ヒトの乳堤の範囲と退行については述べていない。閲覧 2026-09-07
  3. 3.The ABCs of accessory breast tissue: basic information every radiologist should know(American Journal of Roentgenology・2014)抄録で、胎生期に遺残した乳腺組織である副乳組織がおよそ人口の6%に見られ、最も多いのは「乳堤」に沿った腋窩であることを確認した(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)。閲覧 2026-09-07