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Symptoms · Published

無月経

Amenorrhea

別名
続発性無月経原発性無月経
臓器系
生殖・産婦人科内分泌・代謝
科目
Internal MedicineObstetrics and Gynecology (Gynecology)Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
内科学 L-34:無月経婦人科 01:原発性無月経婦人科 02:続発性無月経病態生理学 1-25:女性ホルモン調節の異常内科学 E-08:性腺機能異常
関連疾患
スポーツにおける相対的エネルギー不足ミュラー管無形成横腟中隔機能性視床下部性無月経高プロラクチン血症子宮内癒着症処女膜閉鎖脆弱X関連早発卵巣機能不全卵巣炎卵巣顆粒膜細胞腫頸管狭窄

🧠 全体像:無月経は病名ではなく振り分けの入口である。月経が成立するには視床下部・・卵巣・という4つの構成要素が揃っている必要があり、どれが欠けても月経は止まる1。したがってこのノートの仕事は、4層のどこで止まっているかを決めるところまでで、その先は個々の疾患ノートに委ねる。⭐ 入口は2つある。が来ていないのか(原発性)、来ていたものが止まったのか(続発性)。 原因の顔ぶれ自体はよく似ているが1、原発性では診察(子宮の有無・の有無)が、続発性では妊娠の除外とホルモン検査が最初の一手になる。

定義と評価開始の目安

患者の訴えは「月経が来ない」の一言だが、の有無で用語も進め方も変わる。

用語 定義・評価を始める目安
①が正常に発達しているのに15歳までにがない(15歳=年齢の平均13歳の+2) ②が10歳未満に始まったなら、その5年後までにがない ③13歳までにが始まらない(13歳=開始年齢の平均10歳の+2)1
①以前規則的だった月経が3か月を超えて止まった ②以前不規則だった月経が6か月止まった1

⚠️ 「16歳まで待つ」は古い。 年齢が早まる傾向を踏まえ、15歳が現在の目安である1。欧州内分泌学会の総説はこれに加えて、から3年経ってもがない場合も評価対象に挙げている2。

💡 15歳・13歳という数字は「平均+2」で引かれている——15歳は平均年齢13歳の、13歳は平均開始年齢10歳の、それぞれ+2である1。年齢そのものを暗記するより、この引き方を覚えるほうが崩れにくい。⭐ ①には「が正常に発達しているのに」という前提が付いている——そのものが始まっていないなら、を15歳まで待たずに③(13歳でなし)の線で評価に入る1。なおASRMはこの3条件を「評価が適応となる時期(timing of the evaluation)」として書いており、病名が決まる線ではなく検索を始める線である1。

⚠️ 規則的な周期の女性では、1週間の遅れでも妊娠の除外が要る1。

妊娠・授乳・閉経によらない無月経のは約3〜4%である1。

病態生理——4つの構成要素

flowchart TD
    A["①視床下部<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile secretion'>律動的分泌</span>"] --> B["②<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>の分泌"]
    B --> C["③卵巣<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular development'>卵胞発育</span>とエストラジオール産生"]
    C --> D["子宮内膜の増殖と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secretory phase'>分泌期</span>変化"]
    D --> E["④<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genital outflow tract'>生殖器流出路</span><br>子宮腔・頸管・腟の開通"]
    E --> F["月経が成立する"]
    C -->|"負のフィードバック"| A
    G["①②が働かない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypogonadotropic'>低ゴナドトロピン性</span>"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>は上がらず<br>エストラジオールも低い"]
    I["③が枯れる<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hypergonadotropic'>高ゴナドトロピン性</span>"] --> J["負のフィードバックが外れ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>が高値になる"]
    K["④が塞がる・内膜が失われる"] --> L["ホルモンは正常でも<br>血液が出てこない"]

💡 が「どちらから止まっているか」を教える。 卵巣が枯れれば負のフィードバックが外れては上がり、司令塔が働かなければはそもそも上がらない。この鏡写しの関係が、無月経を4層に振り分ける最初のになる。詳しくは卵巣機能不全を参照する。

どこで止まりやすいか——原発性と続発性で重心が違う

⭐ 同じ4層でも、原発性と続発性では占める割合がまるで違う。 これが「入口が2つある」ことの実体である1。

止まっている層 原発性 続発性 このコーパスでの主な行き先
視床下部 10〜21% 35% 、、、
1〜4% 17% 、、、
卵巣 24〜52% 40% 、、、
・子宮 15〜43% 7% 、・、、
その他 2〜8% 1% 甲状腺機能低下症をはじめとする、、薬剤、完全型

⚠️ は「子宮が無い」ので流出路の枠に見えるが、ASRMの表では『その他』に置かれている(がの約15%を占めるのに対し、は約5%)1。💡 診察での振り分け(子宮の有無)と、原因の分類枠は一致しない。 ・子宮欠損という所見は両者に共通で、分けるのは核型と血清テストステロンである。

⭐ 原発性では解剖(流出路・子宮)が15〜43%を占めるのに、続発性では7%まで下がる。逆に視床下部は10〜21%から35%へ跳ね上がる1。原発性でまず「診察して子宮を確かめる」のも、続発性でまず「妊娠と体重・ストレスを聞く」のも、この重心の差から出てくる。

⚠️ ただしASRM自身が留保を付けている。 の病因調査の多くは古く、の拡大と肥満の増加により、今日はより多くがに分類されうるとしている1。順位の感覚として使い、割合そのものを覚えない。

💡 原因の一覧を覚えるより6つを覚える。 ASRMは、無月経の大半が・・・・・解剖学的異常の6病態で説明されるとしている1。

⚠️ 見逃してはいけないもの

危険度の順に置く。頻度の順ではない。

  1. ⚠️ 妊娠。 では鑑別の最前列に置く。の偽陰性がありうるので、状況によってはを測る1。を否定するまで先へ進まない。
  2. ⚠️ 下垂体・視床下部の。 頭痛・()・他のの異常があれば、体重減少歴があっても機能性と決めつけない。
  3. ⚠️ 。 の既往に続く無月経で疑う1。⚠️ 下垂体性のではの解釈が限られるので、free T4を併せて測る1。
  4. ⚠️ 。 男性化の症状が数か月という短期間で急速に進むなら、卵巣・副腎の腫瘍を除外する1。緩徐に進むとは扱いが違う。
  5. ⚠️ 。 血圧が高ければ、腹壁の紫色のと後頸部の脂肪蓄積を探す1。
  6. ⚠️ Y染色体を持つ。 Y染色体を持つ女性の約25%にが生じる1。とは性腺の扱いが逆になるので、方針はに委ねる。
  7. ⚠️ 長期の。 命には関わらないが、は取り返しがつきにくい。

鑑別の進め方

続発性無月経

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary amenorrhea'>続発性無月経</span>"] --> B["妊娠検査(必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum hCG'>血中hCG</span>)"]
    B -->|"陽性"| C["妊娠の部位と経過を評価する"]
    B -->|"陰性"| D["病歴・診察<br>体重変化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='momentum'>運動量</span>・ストレス・薬剤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='history of intrauterine instrumentation'>子宮内操作歴</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postpartum hemorrhage, PPH'>産後出血</span>歴"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>・エストラジオール・プロラクチン・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thyroid-stimulating hormone'>TSH</span><br>可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic ultrasound'>骨盤超音波</span>"]
    E --> F{"プロラクチンが持続高値か"}
    F -->|"はい"| G["薬剤・甲状腺・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macroprolactin'>マクロプロラクチン</span>を確認してから<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pituitary MRI'>下垂体MRI</span>"]
    F -->|"いいえ"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>が高くエストラジオールが低いか"}
    H -->|"はい"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ovarian'>卵巣性</span>。40歳未満なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary ovarian insufficiency, POI'>原発性卵巣機能不全</span>を評価"]
    H -->|"いいえ"| J{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='signs of hyperandrogenism'>高アンドロゲン徴候</span>があるか"}
    J -->|"あり"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyendocrine metabolic ovarian syndrome, PMOS (formerly polycystic ovary syndrome, PCOS)'>多嚢胞性卵巣症候群</span>を疑い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital adrenal hyperplasia, CAH'>先天性副腎過形成</span>・腫瘍・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cushing syndrome'>クッシング症候群</span>を除外"]
    J -->|"なし"| L{"エストラジオールが30 pg/mL未満で<br>体重減少・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excessive exercise'>過剰運動</span>・ストレスがあるか"}
    L -->|"あり"| M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional hypothalamic amenorrhea (FHA)'>機能性視床下部性無月経</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic (structural, as opposed to functional)'>器質的</span>原因を除外したうえでの診断)"]
    L -->|"なし"| N["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='history of intrauterine instrumentation'>子宮内操作歴</span>と内膜の厚さを確認し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrauterine adhesions (Asherman syndrome)'>子宮内癒着症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical stenosis'>頸管狭窄</span>を評価"]

原発性無月経

原発性ではまず診察である。は約15%で異常所見を明らかにし、や腟の欠如は流出路閉塞または子宮の先天欠損を示す1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary amenorrhea'>原発性無月経</span>"] --> B["妊娠検査・病歴・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic examination'>骨盤診察</span><br>(実施できなければ腹部超音波で子宮を確認)"]
    B --> C{"子宮はあるか"}
    C -->|"ない"| D["核型と血清テストステロンを測る"]
    D --> E["46,XXで女性域のテストステロン<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Müllerian agenesis'>ミュラー管無形成</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital anomalies of the kidney and urinary tract'>腎尿路奇形</span>も評価)"]
    D --> F["46,XYで男性域以上のテストステロン<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='complete androgen insensitivity syndrome, CAIS'>完全型アンドロゲン不応症</span>"]
    C -->|"ある"| G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thelarche'>乳房発育</span>はあるか"}
    G -->|"ない"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>を測る"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>高値<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadal dysgenesis'>性腺形成不全</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary ovarian insufficiency, POI'>原発性卵巣機能不全</span>"]
    H --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>低値〜正常<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='constitutional delay of puberty'>体質性思春期遅発</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonadotropin-releasing hormone'>GnRH</span>欠損症・中枢神経病変・機能性"]
    G -->|"ある"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary amenorrhea'>続発性無月経</span>と同じ検査へ進む"]

⭐ があることは「エストロゲンが働いた歴史がある」という意味である1。だからがあるのに月経が無ければ、原因は卵巣より下流(子宮・流出路)か、卵巣機能が後から落ちたかのどちらかに寄る。

検査の読み方

検査 読み方
FSHとエストラジオール (高値・エストラジオール低値)と、それ以外を分ける最初の一手1
LHとの比 ではがに比して不釣り合いに低い。では逆にが不釣り合いに高いことが珍しくない1
プロラクチンとTSH プロラクチンは15〜20 ng/mL未満ならを除外できる。 20〜40 ng/mLの軽度上昇は再検し、なお軽度高値で無症状ならを考える。は甲状腺症状が無くても測る1
テストステロン・DHEA-S・ があるときだけ進む。 卵巣由来と副腎由来を分け、を拾う1。(ASRM自身が「必要でないことが多い」とする)とは場面が限られる1
内膜の厚さと三層構造がをよく反映する。続発性では早い段階に置く価値がある。 内膜が菲薄ならは起こらないと予測でき、の代わりになる1
プロラクチンが持続高値なら行う。 の女性での頻度は50〜60%、しかもプロラクチン値の高さと腫瘍の有無は相関しない1

⚠️ が無いことを根拠にを否定しない。 の女性の約3分の1にしかは出ない1。

「月経を戻すこと」自体は目的にならない

無月経は原因のシグナルであって、周期を薬で作っても原因は残る。とくにでは、根本にあるのはエネルギー不足である。ガイドラインはこれを原因によらないでストレス・体重減少・と結び付くと定義し、内科・栄養・メンタルヘルスを組み合わせたを求めている3。⚠️ 主要な合併症はと不妊だが、それに対する適切な治療法はなお議論と研究の途上にあるとガイドライン自身が述べている3——外からエストロゲンを足せば骨が守れるという単純な図式は支持されていない。⚠️ 同ガイドラインは、月経を取り戻すことや骨密度を上げることのみを目的とした経口避妊薬の使用に反対を示唆している(推奨3.4)。避妊のために使う場合も、経口避妊薬が自然月経の再開を覆い隠しうること、エネルギー不足が続けばは進みうることを説明するよう求めている(推奨3.5)。栄養・心理・の介入を十分に試みても月経が戻らないときに示唆されるのは、経口避妊薬やではなく、と周期的な経口の短期使用である(推奨3.6)3。

一方で、放置してよい無月経でもない。介入の目的は月経の見た目ではなく、次の3つである。

まとめ

  • 無月経は病名ではなく振り分けの入口である。視床下部・・卵巣・の4層のどこで止まっているかを決めるところまでが仕事で、その先は各疾患ノートに委ねる。
  • 原発性はが正常なのに15歳(が10歳未満に始まったならその5年後)、または13歳でなし——15歳も13歳も平均の+2である。続発性は規則的だったなら3か月超、不規則だったなら6か月。 規則的な周期なら1週間の遅れでも妊娠を除外する。
  • 原因の重心が入口で違う(原発性は解剖が15〜43%、続発性は視床下部が35%)が、割合そのものではなく順位の感覚として使う。続発性はまず妊娠を除外して・エストラジオール・プロラクチン・とで振り分け、原発性はまず診察で子宮の有無との有無を確かめる。
  • 見逃してはいけないのは妊娠・・・急速に進む男性化()・・Y染色体を持つ性腺()である。
  • 治療の目的は月経の見た目ではなく、内膜の保護・骨の保護・妊孕性である。で経口避妊薬に月経再開と骨密度改善を期待しない。

出典

  1. 1.Current evaluation of amenorrhea: a committee opinion(Fertility and Sterility(American Society for Reproductive Medicine 診療委員会)・2024)発行元ASRMが公開している本委員会意見の全文PDF(asrm.org の globalassets 配下の current_evaluation_of_amenorrhea.pdf。表紙の書誌は Fertil Steril 2024;122:52-61 で本idのDOIと一致し、本文は全10ページである)を2026-09-13に再取得して全文を閲覧した。正常な月経機能には視床下部・下垂体前葉・卵巣・生殖器流出路という4つの機能的かつ構造的な構成要素が必要でそのいずれの病変も無月経を来しうること、妊娠・授乳・閉経によらない無月経の有病率が約3〜4%であること、大半の症例が多嚢胞性卵巣症候群・甲状腺疾患・高プロラクチン血症・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症・高ゴナドトロピン性性腺機能低下症・解剖学的異常の6病態で説明されること、原発性無月経の評価が二次性徴が正常に発達しているのに15歳までに初経が無い場合・乳房発育が10歳未満に始まったならその5年後までに初経が無い場合・13歳までに乳房発育が始まらない場合に適応となること(原文は「failure to menstruate by the age of 15 in the presence of normal secondary sexual development (2 standard deviations above the mean of 13 years), or within 5 years after breast development if that occurs before the age of 10」「Failure to initiate breast development by the age of 13 (2 standard deviations above the mean of 10 years) also requires investigation」で、15歳と13歳がいずれも平均の+2標準偏差として引かれていること、およびこれが timing of the evaluation として書かれていることを逐語で確認した)、規則的な周期の女性では1週間の遅れでも妊娠の除外を要すること、続発性無月経が以前規則的だった者で3か月を超える月経消失・以前不規則だった者で6か月の月経消失と定義されること、原発性無月経の原因内訳が視床下部10〜21%・下垂体前葉1〜4%・卵巣24〜52%・生殖器流出路と子宮15〜43%・その他2〜8%であるのに対し続発性では視床下部35%・下垂体前葉17%・卵巣40%・生殖器流出路と子宮7%・その他1%であること、原発性では骨盤診察が約15%で異常所見を明らかにすること、乳房発育の存在が過去のエストロゲン作用を意味すること、ミュラー管無形成が原発性無月経の約15%を占め腎尿路奇形を伴いうること、完全型アンドロゲン不応症が原発性無月経の約5%を占め血清テストステロンが男性域以上であることで区別できること、⚠️ その完全型アンドロゲン不応症がTable 1では生殖器流出路・子宮の枠(15〜43%)ではなく「その他」(2〜8%。甲状腺疾患・副腎疾患・薬剤と同じ枠)に分類されており、逆に続発性のTable 2では生殖器流出路・子宮の枠(7%)に挙がるのが頸管狭窄と子宮内癒着の2つであること、Y染色体を持つ女性の約25%に性腺腫瘍が生じ完全型アンドロゲン不応症と異なりこの性腺はホルモンを分泌せず診断時に摘出すべきであること、続発性ではまず妊娠を考えるべきで尿検査の偽陰性がありうるため血中hCGが望ましい場合があること、プロラクチン15〜20 ng/mL未満で高プロラクチン血症を除外でき20〜40 ng/mLの軽度上昇は再検しなお軽度高値で無症状ならマクロプロラクチンを考慮すべきこと、高プロラクチン血症の女性で下垂体腫瘍の頻度が50〜60%でありプロラクチン値の高さと腫瘍の有無は相関しないため持続高値ならMRIを行うべきこと、高プロラクチン血症の女性の約3分の1にしか乳汁漏出が無いため乳汁漏出が無いことで否定できないこと、甲状腺症状が無くてもTSHを測るべきでシーハン症候群のような下垂体性機能低下ではTSHの解釈が限られるためfree T4を追加すべきこと、高アンドロゲン徴候があればテストステロンとDHEA-Sで卵巣由来と副腎由来を見分け遅発型先天性副腎過形成の主因である21水酸化酵素欠損は17-ヒドロキシプロゲステロンでスクリーニングすること、抗ミュラー管ホルモンは卵巣予備能を反映するが必要でないことが多く解釈は慎重にすべきこと、骨盤超音波の内膜厚と三層構造がエストロゲン環境をよく反映し続発性の評価では早期に置く価値があること、男性化の症状が数か月という短期間で急速に進む場合は卵巣または副腎のアンドロゲン産生腫瘍を除外すべきこと、血圧が高ければ腹壁の紫色の皮膚線条と後頸部の脂肪蓄積を探しクッシング症候群を鑑別に挙げるべきこと、産後大量出血の既往に続く無月経ではシーハン症候群を機序として疑うべきこと、機能性視床下部性無月経ではエストラジオールが閉経域(30 pg/mL未満)でゴナドトロピンは正常〜低正常でありLHがFSHに比して不釣り合いに低いことが多いのに対し多嚢胞性卵巣症候群ではLHが不釣り合いに高いことが珍しくないこと、黄体ホルモン消退出血試験で出血があれば無排卵に矛盾せず無出血は低エストロゲン状態と内膜が反応できない状態(子宮内癒着症)の両方で起こり偽陽性も偽陰性もあるため臨床像と併せて解釈すべきで超音波で内膜が菲薄なら無出血は予測できその場合はエストロゲンと黄体ホルモンの併用のほうが両者を分けやすいこと、同試験にはなお役割がありうるものの他の手法のほうが速く正確な診断に至りうるとされることを確認した閲覧 2026-09-13
  2. 2.MANAGEMENT OF ENDOCRINE DISEASE: Diagnosis and management of primary amenorrhea and female delayed puberty(European Journal of Endocrinology・2021)抄録のみを閲覧しており全文は未取得。原発性無月経が「二次性徴が発達し発育も正常な15歳以上での初経の欠如」または「思春期発来の徴候が無い13歳以上」と定義されること、これに加えて乳房発育から3年経っても初経が無い場合あるいは乳房発育が10歳未満で始まったなら5年経っても初経が無い場合に評価を考慮すべきこと、原因が低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を来す視床下部または下垂体の異常・高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を来す性腺の異常・他の内分泌腺の異常・先天性の子宮腟の形態異常に分類できること、治癒的な治療が無い状況でも原因診断が速やかであれば妊孕性を得られることがあることを抄録で確認した閲覧 2026-09-02
  3. 3.Functional Hypothalamic Amenorrhea: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline(Endocrine Society(American Society for Reproductive Medicine・European Society of Endocrinology・Pediatric Endocrine Society 共催)・2017)抄録に加えて、発行元Endocrine Societyのガイドライン資料ページに掲載された推奨文(推奨3.4・3.5・3.6)を閲覧した。原著の全文は未取得。機能性視床下部性無月経が同定しうる器質的原因によらない慢性無排卵であり、ストレス・体重減少・過剰運動またはその組合せとしばしば結び付く除外診断であること、したがって全身性・内分泌性の原因の評価を検査に含めるべきこと、治療には内科・栄養・メンタルヘルスの支援を組み合わせた多職種アプローチが必要であること、医学的合併症として骨量減少と不妊があり、それらに対する適切な治療法はなお議論と研究の途上にあることを抄録の結論で確認した。あわせて推奨文として、月経を取り戻すことまたは骨密度を上げることのみを目的とした経口避妊薬の使用に反対を示唆すること(推奨3.4)、避妊のために経口避妊薬を使う患者には経口避妊薬が自然月経の再開を覆い隠しうること・とくにエネルギー不足が続く場合には骨量減少が進みうることを説明するよう示唆すること(推奨3.5)、栄養・心理・運動量の介入を十分に試みても月経が戻らない思春期女性および成人女性には経口避妊薬やエチニルエストラジオールではなく経皮エストラジオールと周期的な経口黄体ホルモンの短期使用を示唆すること(推奨3.6)を確認した閲覧 2026-09-02