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Symptoms · Published

掻痒

Pruritus

別名
瘙痒掻痒感
臓器系
肝胆膵腎・泌尿器感染症免疫・膠原病
科目
DermatologyInternal MedicineImmunology
トピック
皮膚科 3-17:肝疾患の皮膚症状内科学 S-38:ホジキンリンパ腫免疫学 7.2:過敏症I
関連疾患
アトピー性皮膚炎アレルギー性結膜炎アレルギー性鼻炎うっ滞性皮膚炎カンジダ症シラミ症セリアック病トリコモナス症ばら色粃糠疹ホジキンリンパ腫マラセチア毛包炎リーシュマニア症貨幣状湿疹外陰癌外耳炎肝硬変結節性痒疹結膜炎血清病原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)脂漏性角化症脂漏性皮膚炎自己免疫性水疱症(天疱瘡・水疱性類天疱瘡)手湿疹酒皶・口囲皮膚炎住血吸虫症食物アレルギー真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症水痘・帯状疱疹接触皮膚炎多形日光疹苔癬型薬疹胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)中心遠心性瘢痕性脱毛症日光蕁麻疹妊娠性肝内胆汁うっ滞症皮膚T細胞リンパ腫皮膚糸状菌症(白癬)慢性腎臓病慢性静脈不全慢性単純性苔癬良性肛門疾患(痔核・裂肛・痔瘻・肛門周囲膿瘍)扁平苔癬疥癬疱疹状皮膚炎癜風肛門管癌膵癌蕁麻疹
起因薬
アゼライン酸アリトレチノインアリロクマブイソコナゾールイベルメクチンインクリシランエボロクマブオルリスタットカルバゾクロムクラスコテロンクロトリマゾールクロルプロパミドクロロキンケトコナゾールシクロピロクスシルツキシマブスガマデクスバンコマイシンヒドロモルホンピレトリンフェンタニルペグバリアーゼベドリズマブペルメトリンマルスタシマブメクロレタミンモルヒネレチファンリマブロミデプシン
スコア
POEM(患者主体の湿疹評価尺度)SCORAD(アトピー性皮膚炎重症度スコア)

🧠 全体像:掻痒の診療は、皮疹の有無分布(か全身性か)という2つの軸から始める。皮膚原発性の掻痒(乾燥皮膚、など)は原因となる病変が痒みの部位に一致するのに対し、全身性の掻痒は肝胆道系・腎・内分泌・悪性腫瘍・薬剤という「皮膚の外」の原因が状として現れたものであり、しばしば明らかな皮疹を欠く。皮疹を伴わない掻痒を「原因不明の皮膚のかゆみ」で終わらせず、背景のまで遡って検索することが本症状の学習の幹である。

局所性掻痒と全身性掻痒を分ける

まず分布で大別すると整理しやすい。

分布 代表的な原因 特徴
肛門周囲()、外耳道()、(カンジダ症・)、鼻・眼( 病変が痒みの部位と一致し、局所の診察で原因が見えることが多い
全身性 肝胆道系、腎不全、内分泌、悪性腫瘍、薬剤 皮膚そのものに一次性病変がないことが多く、原因検索は全身に及ぶ

掻痒は部位ごとに原因が絞られる。

部位 疾患・所見 鑑別のポイント
肛門周囲 などの 排便との関連、脱出・出血の有無を確認する
外耳道 感染徴候()に乏しく掻痒優位なら・湿疹も考える
)、(悪臭を伴う 分泌物の性状で鑑別し、閉経後の難治性を除外する
下腿 色素沈着・浮腫・静脈瘤を伴う。重症度評価に用いる症状項目にもが含まれる
鼻・眼 くしゃみ・水様性・鼻閉を伴う発作性の四徴の1つ

💡 掻痒でも原因が一目瞭然とは限らない。のような慢性性病変を漫然と外用薬だけで様子見すると、背景に潜む)の発見が遅れる典型的な失敗パターンになる。

病態生理:どこで痒みが起こるか

機序群 代表疾患 要点
皮膚原発性 、蕁麻疹、 肥満細胞由来ヒスタミンやIL-31などが関与し、抗ヒスタミン薬が効きやすい
肝胆道系(胆汁うっ滞性) 肝硬変、)、 胆汁酸単独ではなく、系など複数の経路が関与し、皮疹を欠くことが多い。抗ヒスタミン薬の効果は限定的
腎性(性) (特に 機序は完全には解明されていないが、中枢のバランスの異常や慢性炎症が想定される
内分泌・代謝性 甲状腺機能異常、糖尿病 皮膚の乾燥・血流変化・神経障害を介する
悪性腫瘍(腫瘍随伴性) 皮疹を伴わない全身性掻痒として現れうる。では由来ヒスタミン過剰による入浴後掻痒が特徴的
薬剤性 オピオイドなど を介する。の中止で改善するか確認する

⭐ 抗ヒスタミン薬が効くかどうかは機序の手がかりになる。ヒスタミン依存性(蕁麻疹、など)にはよく効くが、胆汁うっ滞性・性の掻痒は非ヒスタミン依存性の経路が主体で、抗ヒスタミン薬は睡眠を助ける程度にとどまることが多い。

見逃してはいけない掻痒

  • ⚠️ 皮疹を伴わない全身性掻痒的な原因だけで説明しようとせず、肝胆道系・腎機能・甲状腺機能に加えてを含む悪性腫瘍の検索が必要である。・B症状とともに全身性掻痒を来しうる。
  • ⚠️ 無痛性黄疸に掻痒を伴う場合は胆石よりもなどの悪性腫瘍を示唆する所見(を伴うことがある)として評価する。
  • 妊娠中期以降に優位で夜間に増悪する掻痒(皮疹を伴わない)はを疑う。掻痒の強さと胎児リスクは相関しないため、症状の軽重だけで管理方針を決めない。
  • では難治性掻痒そのものが透析導入を検討する根拠の1つになる。
  • セリアック病の皮膚型であるは、肘・膝・に左右対称の強いを伴う小水疱を来す。皮疹は除去食で軽快するが、消化器症状がなくても背景にセリアック病があることを見落とさない。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["掻痒を訴える患者"] --> B{"皮疹・一次性皮膚病変があるか"}
    B -->|"あり"| C["皮疹の性状・分布から皮膚原発性の原因を評価<br>(乾燥・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atopy'>アトピー</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scabies'>疥癬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contact dermatitis'>接触皮膚炎</span>など)"]
    B -->|"なし"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='localized'>局所性</span>か全身性か"}
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='localized'>局所性</span>"| E["肛門周囲・外耳道・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vulva'>外陰部</span>など<br>局所の診察で原因を検索"]
    D -->|"全身性"| F["肝機能・腎機能・甲状腺機能・血算を確認"]
    F --> G{"異常があるか"}
    G -->|"あり"| H["肝胆道系・腎・内分泌の原因疾患を評価"]
    G -->|"なし"| I["薬剤歴を再確認し<br>悪性腫瘍(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malignant lymphoma'>悪性リンパ腫</span>など)を検索"]

対症療法の考え方

根本治療は原疾患の治療であり、対症療法はそれまでの症状緩和に位置づける。効く薬は機序によって異なる。

機序 主な対症療法 注意点
ヒスタミン依存性 抗ヒスタミン薬 蕁麻疹・など効きやすい病態に限る
胆汁うっ滞性 など)を第一選択 他のとは服用間隔を空けて吸収阻害を避ける。難治例ではリファンピシンやを専門的に検討
などに準じた薬剤 腎機能に応じてする
機序を問わず共通 保湿、爪切りなどの対策 による皮膚バリア破壊・を防ぐ

まとめ

  • 掻痒はまず皮疹の有無と・全身性の分布で整理する。
  • 皮膚原発性はヒスタミン依存性が多く抗ヒスタミン薬が効きやすいが、肝胆道系・腎性の全身性掻痒は非ヒスタミン依存性の経路が主体で効きにくい。
  • 皮疹を伴わない全身性掻痒は、肝胆道系・腎・内分泌に加えを含む悪性腫瘍の検索が必要。
  • に伴う掻痒は悪性腫瘍を示唆し、妊娠中の優位・夜間増悪の掻痒はを疑う。
  • 難治性掻痒はにおける透析導入の判断材料の1つになる。
  • 治療の主軸は原疾患治療で、対症療法は機序(ヒスタミン依存性か否か)に応じて選ぶ。