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Disease Atlas · 眼科 · 疾患

春季カタル

Vernal keratoconjunctivitis

別名
VKCvernal conjunctivitis
臓器系
眼科免疫・膠原病小児
科目
Internal MedicinePharmacology
トピック
内科学 R-14:アレルギー薬理学 B26:ヒスタミンおよび抗ヒスタミン薬
上位概念
アレルギー性結膜炎
治療薬
ケトチフェンオロパタジンシクロスポリンAタクロリムス
症状
掻痒感羞明角膜潰瘍

🧠 全体像:(VKC)は、の中で角膜まで巻き込み視力を脅かしうる重症型である。小児・若年男性に多く、温暖な気候で悪化するという疫学的な癖を持ち、の()、のTrantas斑、進行すると角膜上部にできるド潰瘍()という3つの所見が診断の核になる。のI型反応だけでなく、CD4陽性Tヘルパー細胞によるIV型(遅延型)反応も併走する点が、季節性・の「だけの」と一線を画す理由である。

疫学

小児期、とくに人生最初の10年で発症することが多く、男児が女児より多い(報告により男女比2.5対1程度)1。温暖・乾燥した気候で悪化し、発症は春〜夏にピークを示す2。

⭐ には大きな地域差があり、地中海沿岸・アフリカ・中東・インド亜大陸など温暖な地域に多い。 エチオピアで5.2〜7.3%、エジプトで3.3%、ルワンダ(7〜14歳)で4.0%と報告される一方、イタリアでは0.27%にとどまる1。「温暖な気候で悪化する」という機序が、そのままの地理的分布として現れている。

病態

すべてのに共通するのI型過敏反応に加え、ではCD4陽性Tヘルパー細胞によるIV型(遅延型)過敏反応がに進行する2。この持続的な炎症が、季節性・のでは起こらないの線維化と角膜合併症を生む。

臨床像

臨床病型は3つに分けられる1。

病型 主な所見
眼瞼型 の(1 mm超、隔壁の破綻により生じるの外観)
輪部型 の浸潤、Trantas斑(好酸球と上皮変性物からなる白色結節)
混合型 眼瞼型・輪部型の所見が併存し、角膜への影響も加わる

⚠️ 強い・・粘稠な糸を引く分泌物が特徴で、を経て進行するとド潰瘍()に至る2。ド潰瘍は角膜上方に生じる浅い灰白色の潰瘍で、露出したBowman膜の上に分泌物とが付着するため治癒が遅れ、瘢痕を残しやすい2。

診断

臨床診断が基本で、の、のTrantas斑というの組み合わせで確定する。疼痛・・を伴えば、ド潰瘍による角膜合併症を積極的に疑いで確認する。

治療

治療は重症度に応じて段階づける。

⚠️ 局所ステロイドの漫然とした継続は避ける。 ・・易感染性のリスクがあるため、でステロイドを節約する方針に切り替える。

合併症

ド潰瘍は治癒が遅れ瘢痕を残しやすく、・の原因になりうる。診断・治療が遅れるほど不可逆な角膜合併症のリスクが高まるため、強いを訴える小児で疼痛・・角膜所見を伴う場合は速やかに眼科へ紹介する。

まとめ

  • はの重症型で、小児・若年男性に多く、温暖な気候・地域でが高い。
  • のI型反応に加えCD4陽性Tヘルパー細胞によるIV型反応がに進行し、の線維化と角膜合併症を来す。
  • 臨床病型は眼瞼型()・輪部型(Trantas斑)・混合型に分かれる。
  • 進行するとド潰瘍(角膜上方の浅い潰瘍)に至り、治癒が遅れ瘢痕を残しやすい。
  • 治療は・抗ヒスタミン薬点眼が第一選択で、には局所ステロイド、反復・難治例には・でステロイドを節約する。

出典

  1. 1.Vernal Keratoconjunctivitis: A Systematic Review(Clinical Reviews in Allergy & Immunology・2023)春季カタルの臨床病型が、上眼瞼の乳頭を特徴とする眼瞼型(tarsal型)、輪部のゼラチン様浸潤とTrantas点を特徴とする輪部型(limbal型)、角膜と眼瞼結膜の両方が侵される混合型に分かれること、多くが人生最初の10年で発症し若年者に多いこと、ある研究では男女比が2.5対1であったこと、有病率がエチオピアで5.2〜7.3%、エジプトで3.3%、ルワンダ(7〜14歳)で4.0%、イタリアで0.27%と報告され地域差が大きいことを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Vernal Keratoconjunctivitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)春季カタルが男児に女児より多く5歳以降に多く見られ温暖乾燥な気候で悪化し春〜夏に発症のピークを示すこと、上眼瞼結膜の1mmを超える巨大乳頭が隔壁の破綻によって生じ敷石状の外観を呈すること、角膜輪部にHorner-Trantas点と呼ばれる白色の細胞集塊が形成されること、シールド潰瘍がBowman膜の露出とその上への粘液性分泌物・リン酸カルシウムの付着によって形成され治癒しにくく瘢痕化しやすいこと、機序がIgE介在性反応とCD4陽性Tヘルパー細胞によるIV型(遅延型)過敏反応の両方から成ること、治療は肥満細胞安定薬・抗ヒスタミン薬点眼を第一選択とし急性増悪には局所ステロイドを用い、シクロスポリン・タクロリムスがステロイド節約のため反復例に推奨されることを確認した閲覧 2026-09-06