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POEM(患者主体の湿疹評価尺度)

Patient-Oriented Eczema Measure

臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 1-06:アトピー性皮膚炎
構成:症状
そう痒不眠掻破痕皮膚の滲出・湿潤皮膚亀裂落屑皮膚乾燥
適用疾患
アトピー性皮膚炎

🧠 全体像は、直近1週間に湿疹の症状が何日あったかを患者本人(または保護者)に尋ねる7項目・合計0〜28点のである。の診察所見から重症度を数値化するのに対し、は「患者が実際に感じている症状の頻度」だけを測るため、両者の点数は乖離しうる。

目的と適用場面

内容
目的 (湿疹)について、患者本人が体験している症状の頻度を数値化する(PRO)
対象 成人・小児の湿疹患者。年少児では保護者が代理回答する
使う場面 における症状ドメインの中核的評価指標としての測定、外来での経過追跡、患者自身によるセルフモニタリング
位置づけ ではない。既に湿疹と診断された患者の症状の重さを追跡するための尺度である

は、湿疹ので測定すべき中核領域の一つである「症状」ドメインの中核的評価指標としてを採択している1が診察して採点する<a href=“/scores/scorad” class=“wikilink” data-goes-to=“”>(Scoring Atopic Dermatitis)・<a href=“/scores/easi” class=“wikilink” data-goes-to=“”>(Eczema Area and Severity Index)が病変の範囲や強度という客観所見を数値化するのに対し、は患者の症状だけを測るため、両者は補完関係にあり互いの代わりにはならない。

構成要素と配点

直近1週間について、7つの症状それぞれが何日(2番目のみ「何晩」)あったかを患者本人(または年少児では保護者)が回答する。7項目は均等に重みづけられ、共通の5段階の頻度尺度で0〜4点に採点し、単純合計する2

頻度→点数の対応(7項目共通)3

頻度 点数
0日 0点
1〜2日 1点
3〜4日 2点
5〜6日 3点
毎日 4点

7つの評価項目3

# 質問(直近1週間で…) 対応する症状
1 湿疹のせいで皮膚が何日かゆかったか そう痒
2 湿疹のせいで何晩睡眠が妨げられたか 不眠
3 湿疹のせいで皮膚が何日出血したか 皮膚出血(による)
4 湿疹のせいで皮膚から何日透明な液体がしたか
5 湿疹のせいで皮膚が何日ひび割れたか
6 湿疹のせいで皮膚が何日皮むけしたか
7 湿疹のせいで皮膚が何日乾燥・ざらついたと感じたか 乾燥・粗糙感

合計点は0〜28点で、点数が高いほど症状頻度が高い(=重症)ことを意味する2

解釈とカットオフ

合計点
0〜2点 皆無〜ほぼ皆無
3〜7点 軽症
8〜16点 中等症
17〜24点 重症
25〜28点 最重症

この点数帯は、患者によるをアンカーとした検証研究で導出された4量()はおよそ3.4点とされ、経過を追う際に「点数が下がった=改善した」と言えるかどうかの目安になる4

💡 点数帯は2004年の原版開発時点では存在せず、2013年の別の検証研究で追加された。2004年の原著論文だけを参照すると点数帯の記載がないため、経過評価に用いる際は両方の文献を踏まえる必要がある。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 患者のな自己申告に依存し、皮疹の範囲や強度そのものをに測定しない。 などが診察して採点する尺度の代わりにはならず、両者は測っているものが異なるため併用が前提になる。

⚠️ 年少児では保護者による代理回答になる。 児本人の体感と保護者の観察が乖離する可能性があり、回答者が誰かを記録しておく必要がある。

⚠️ 未回答の扱いに規則がある。 未回答が1問だけならその項目を0点として28点満点のまま合計するが、2問以上未回答なら採点してはならない。複数の選択肢に印が付いた場合は高い方の点数を採る3

⚠️ ではない。 は既にと診断された患者の症状の重さを追跡する尺度であり、診断そのものには使わない。

⚠️ 同じ「」という略称の別の医療用語と混同しない。 消化器領域のの治療手技である)や、に関連するは、本ノートのPatient-Oriented Eczema Measure()とは全く別のものである。

まとめ

  • は、直近1週間の7症状(かゆみ・睡眠障害・出血・滲出/浸出・・乾燥/粗糙感)の頻度を患者自身が0〜4点で申告し、合計0〜28点で評価するである。
  • の診察所見に基づく評価であるのに対し、は患者の症状だけを測る。が症状ドメインの中核的評価指標として採択している。
  • 合計点は0〜2点=皆無〜ほぼ皆無、3〜7点=軽症、8〜16点=中等症、17〜24点=重症、25〜28点=最重症の5段階に対応づけられる。はおよそ3.4点とされる。
  • な皮疹範囲を測らない点、小児では代理回答になる点、ではない点、の別ツール()と混同しない点に注意する。

出典

  1. 1.The Patient-Oriented Eczema Measure: development and initial validation of a new tool for measuring atopic eczema severity from the patients' perspective(Archives of Dermatology・2004)質的な患者面接で症状候補を抽出したのち大規模患者集団で定量的に絞り込み、7症状について直近1週間の頻度を5段階(0〜4点)で評価し合計0〜28点とする形式でPOEMを開発したこと、Dermatology Life Quality Index・Children's Dermatology Life Quality Index・患者による全般的重症度評価との相関(それぞれr=0.78、r=0.73、r=0.81、いずれもP<.001)、内的整合性(Cronbach α=0.88)、再検査信頼性(再検査時95%のスコアが2.6点以内の差)を確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Translating Patient-Oriented Eczema Measure (POEM) scores into clinical practice by suggesting severity strata derived using anchor-based methods(British Journal of Dermatology・2013)一次・二次医療の患者1000人(成人300人・小児700人)を対象に、POEM合計点と患者による全般的重症度の2種の指標(GQ1・GQ2、それぞれr=0.78、r=0.77、いずれもP<0.001)をアンカーとして対応づけ、0〜2点=皆無〜ほぼ皆無、3〜7点=軽症、8〜16点=中等症、17〜24点=重症、25〜28点=最重症という点数帯を導出したこと、および先行研究に基づくPOEMの臨床的に意味のある最小変化量(MCID)が3.4点程度とされていることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Patient-Oriented Eczema Measure (POEM), a core instrument to measure symptoms in clinical trials: a Harmonising Outcome Measures for Eczema (HOME) statement(British Journal of Dermatology・2017)第4回国際HOME会議で、湿疹の臨床試験における患者報告症状ドメインの中核的評価指標としてPOEMを用いることに関係者の87.5%が賛成(不明9.4%、反対3.1%)し、合意声明として採択されたことを確認した閲覧 2026-08-04
  4. 4.POEM: Patient-Oriented Eczema Measure (POEM for self-completion)(Centre of Evidence Based Dermatology, University of Nottingham)配布元が公開している質問票原本で、7問の設問がいずれも「直近1週間で何日(第2問のみ何晩)」を問う形式であり、対象がかゆみ・睡眠の妨げ・出血・透明な液の滲出/浸出・亀裂・落屑・乾燥や粗糙感であること、回答が0日=0点・1〜2日=1点・3〜4日=2点・5〜6日=3点・毎日=4点の共通尺度で採点され、7問が均等な重みで合計28点満点になること、未回答が1問なら0点として合計し2問以上なら採点しないこと、複数の選択肢に印が付いた場合は高い方の点数を採ることを確認した。閲覧 2026-08-04