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EASI(湿疹面積・重症度指数)

EASI

別名
Eczema Area and Severity Index
臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 1-06:アトピー性皮膚炎
構成:症状
紅斑浮腫丘疹掻破痕苔癬化
適用疾患
アトピー性皮膚炎

🧠 全体像:(Eczema Area and Severity Index、)は、が診察しての重症度を数値化する評価尺度である。体を4部位に分け、部位ごとに紅斑・浸潤/丘疹・・という4つの皮疹所見を採点し、病変の広がり(面積)と部位別の重みづけを掛け合わせて合算する。患者の症状(かゆみ・睡眠障害)は一切問わない評価専用の指標であり、この点がSCORAD・POEMとの最大の違いになる。

目的と適用場面

内容
目的 の病変の広がりと強度をの診察所見から数値化する重症度指標
対象 成人・小児の患者(7歳以下では頭頸部・下肢の係数が異なる)
使う場面 における重症度評価の、生物学的製剤・阻害薬の効果判定、外来での経過追跡
位置づけ ではない。既に診断された患者の重症度と治療反応を追跡する尺度である

は2001年に評価尺度として開発され、評価者内・評価者間のが検証されたのち、と並んで湿疹ので最も広く使われる評価尺度の一つになった1。

構成要素と配点

体を頭頸部・体幹・上肢・下肢の4部位に分けて独立に採点する。で4つの皮疹所見を評価し、とを掛け合わせて部位ごとの点数を求め、4部位分を合計する2。

4つの皮疹所見(0〜3点、4所見共通の基準)

所見 0点 1点 2点 3点
紅斑 なし 軽度 中等度 重度
浸潤(浮腫)・丘疹 なし 軽度 中等度 重度
なし 軽度 中等度 重度
なし 軽度 中等度 重度

4所見はいずれもこの共通の尺度で評価し、部位ごとの合計は0〜12点になる2。同じ部位の中で所見の強さがばらつくときは、病変のある部分だけを通して平均した重症度を採る32。

⚠️ 第2の所見に「」を入れない。 開発者自身によるの手引きは全文を通じて induration を使わず edema/papulation と書き、日本学会・日本アレルギー学会のガイドライン2024の表3も「浸潤・丘疹」で、硬化は現れない23。⭐ の正本表記は「浸潤/丘疹」である(英語側は原著の infiltration/papulation と現行手引きの edema/papulation の2通りが流通しており、「浸潤」はこのうち前者に対応する訳語)。

💡 算入してよい病変が決まっている。 乾燥()・・・蕁麻疹・は、その下に活動性の湿疹が無ければ採点に入れない。一方、への反応としてできた痒疹結節はとして採点する2。

(0〜6点)

スコア に占める割合
0点 病変なし
1点 1〜9%
2点 10〜29%
3点 30〜49%
4点 50〜69%
5点 70〜89%
6点 90〜100%

は、ののうち活動性のある湿疹病変が占める割合を上記の段階に丸めたものである。⚠️ 開発者の手引きが列挙しているのは1〜6の6段階で、0点は定義されていない(0点を明示しているのは日本のガイドラインの表3のほう)23。⚠️ ここでいう割合は「その部位を100%としたときの割合」であって、全身のに占める割合ではない。のやとは数え方が違うので、同じ診察で両方を採るときに取り違えやすい2。

身体部位別係数

⚠️ 係数が年齢で変わるのは頭頸部と下肢だけで、体幹・上肢は共通である。境目は8歳で、8歳以上が成人の係数、7歳以下が小児の係数を使う3。

部位 8歳以上の係数 7歳以下の係数
頭頸部 0.1 0.2
体幹 0.3 0.3
上肢 0.2 0.2
下肢 0.4 0.3

のスコアは「4所見の合計点(0〜12点)×(0〜6点)×その部位の係数」で求め、4部位分を合計する。係数の合計はどちらの年齢でも1.0になるため、合計点の範囲は年齢によらず0〜72点である23。

⚠️ 半点は「1と3のあいだ」でだけ使う——1.5と2.5は使ってよいが、0.5は使わない。 所見が少しでも在れば最低でも「軽度(1点)」として扱う、という規約による23。同じ部位の中で強弱が混ざるときの平均値としても半点が役に立つ。

解釈とカットオフ

⚠️ 点数帯は「に付属する定義」ではなく、後から別々の研究が当てはめたものである。代表的な2組で境界が違う。

重症度 Leshem 2015(κ=0.75)4 Chopra 2017(κ=0.69)5
病変なし 0点 0点
ほぼ病変なし 0.1〜1.0点 (区分を置かない)
軽症 1.1〜7.0点 0.1〜5.9点
中等症 7.1〜21.0点 6.0〜22.9点
重症 21.1〜50.0点 23.0〜72点
最重症 50.1〜72.0点 (区分を置かない)
  • Leshem 2015 は小児・成人の患者の後ろ向き解析で、の全般評価(IGA)をアンカーに6段階を導いた4。
  • Chopra 2017 は13歳以上の青年・成人673例を外来で診察し、4段階のIGAをアンカーに4段階を導いた。論文の目的は既報の帯を確認することだったが、について得られた境界は一致しなかった5。

⭐ どちらか一方に寄せず、どの帯を使ったかを書くのが正しい。 6.5点は Leshem では軽症、Chopra では中等症になる。の開発者による手引きが引いているのは Leshem の帯である2。

重症度帯は治療適応の閾値ではない

⚠️ 「重症だから生物学的製剤」という読み替えをしない。 日本では、日常臨床の重症度評価に使うのは厚生労働科学研究班の「重症度のめやす」(強い炎症を伴う皮疹ので軽症〜最重症に分ける)で、とは臨床研究・で用いる、というのが現行ガイドラインの整理である3。

そして投与対象を決めるの数値は、上の重症度帯のどの境界とも一致しない。 日本のは次を要件にしている3。

薬剤 疾患活動性の要件
IGAスコア3以上 かつ EASI 16点以上、または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹(目安として頭頸部のが2.4以上、7歳以下の場合は4.8以上) かつ に占める病変の割合10%以上
成人が対象。IGAスコア3以上 かつ EASI 16点以上、または頭頸部のが2.4以上 かつ 10%以上。⚠️ 7歳以下の4.8という条項は無い
成人が対象。IGAスコア3以上 かつ EASI 16点以上、または頭頸部のが2.4以上 かつ 10%以上
EASI 10点以上(13歳以上。加えて外用4週間以上・内服2週間以上でも持続するの基準を満たすこと)

⚠️ この表は主な例であって、閉じた一覧ではない。 同ガイドラインは・ロシチニブについてもの節を設けている3。⭐ 薬剤ごとに対象年齢と条項が違うので、1つの数字に丸めない——4.8という数字はにしか無く、・は成人が対象である。

💡 16点は Leshem の帯では「中等症」のただ中である(7.1〜21.0点)。重症(21.1点以上)になるまで待つ運用にすると、適応のある患者を取りこぼす。逆に、が16点に届かなくても顔面の強い炎症だけで要件を満たす道が別に用意されている。

治療効果はベースラインからの改善率で見る

や実臨床での効果判定には、絶対点数そのものよりベースラインからの改善率が使われる。(75%以上改善)・(90%以上改善)が代表で、欧州のガイドラインでも生物学的製剤・阻害薬の成績はこの形で報告されている6。(50%以上改善)という言い方も使われるが、同ガイドラインの本文には現れない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 同じ病変面積でも、部位によって点数への寄与が異なる。 成人では下肢の係数(0.4)が頭頸部の係数(0.1)の4倍あるため、同じ面積・同じ強度の病変でも下肢に生じた方が高い点数になる。部位間の点数を単純比較しない。

⚠️ 乾燥・・掻痒・睡眠障害を評価に含まない。 これはSCORAD・POEMとの最大の違いである。は掻痒・睡眠障害を主観項目として点数に含み、は乾燥・を含む7症状の頻度を患者自身が申告する。だけでは患者が実際にどれだけ苦しんでいるかは分からない。

⚠️ 色素の濃い皮膚では紅斑の評価が過小になりうる。 紅斑は皮膚の色調変化として視認するため、暗い肌色では紅斑があっても軽く採点されやすい。の手引きは対処まで書いており、濃い色調の皮膚では紅斑の点数をしばしば1段階以上引き上げる、赤みはピンクよりもに見えることを知っておく、としている2。

⚠️ 面積と強度を同じ重みで足しているため、同じ点数でも患者像が違う。 「狭い範囲に強い病変」と「広い範囲に弱い病変」が同点になりうる。または中等度にとどまるので、追跡では同じ評価者が採るのが望ましい2。

⚠️ 患者の症状・生活の質を反映しない。 の診察所見だけに基づくため、単独では治療への患者満足度やの改善を測れない。ではPOEMのようなと併用するのが前提になる。

⚠️ ではない。 は既にと診断された患者の重症度を追跡する尺度であり、診断そのものには使わない。

まとめ

  • は、頭頸部・体幹・上肢・下肢の4部位で紅斑・浸潤/丘疹・・の4所見を0〜3点、面積を0〜6点で採点し、を掛けて合算する評価尺度である。第2の所見に「硬化」は入らない。半点は1.5・2.5だけで、0.5は使わない。
  • 係数は8歳以上(頭頸部0.1・体幹0.3・上肢0.2・下肢0.4)と7歳以下(頭頸部0.2・体幹0.3・上肢0.2・下肢0.3)で異なり、変わるのは頭頸部と下肢だけ。合計点の範囲は年齢によらず0〜72点である。
  • 点数帯は後付けで、資料により違う。Leshem 2015 は6段階(1.1〜7.0軽症/7.1〜21.0中等症/21.1〜50.0重症/50.1〜72.0最重症)、Chopra 2017 は4段階(0.1〜5.9軽症/6.0〜22.9中等症/23.0〜72重症)。どちらの帯を使ったかを書く。
  • ⚠️ 重症度帯はの閾値ではない。日本のは・でEASI16点以上、でEASI10点以上を要件にしており、16点はLeshemの帯では中等症の範囲にある。日常臨床の重症度評価には「重症度のめやす」を使う。
  • 治療効果判定にはベースラインからの改善率が使われ、・が生物学的製剤・阻害薬のの標準的な指標になっている。
  • 乾燥・・掻痒・睡眠障害を含まない評価専用の尺度であり、であるや主観項目を含むとは補完関係にある。

出典

  1. 1.The eczema area and severity index (EASI): assessment of reliability in atopic dermatitis(Experimental Dermatology・2001)EASIが医師評価による4部位・4所見の重症度指標として開発され、評価者内信頼性がfair-to-good、評価者間でも15人の皮膚科医が連続2日間にわたり患者を一貫して評価できたことを確認し、臨床試験での信頼できる使用を支持したこと閲覧 2026-08-04
  2. 2.The Eczema Area and Severity Index-A Practical Guide(Dermatitis (American Contact Dermatitis Society)・2022)全文(PMC9154300)を確認した。EASIの開発者自身が「決定版の手引き」として書いた総説で、採点は4部位(頭頸部・上肢・体幹・下肢)それぞれの面積を1(1〜9%)〜6(90〜100%)で採り、徴候は erythema, edema/papulation, excoriation, lichenification の4つを0〜3点で採ると述べている。全文に induration は0件である。半点は「1と3のあいだ(1.5と2.5)で使ってよいが0.5は使わない——徴候が在れば最低でも軽度として扱うため」と明記されている。部位スコアは「4徴候の合計×面積スコア×部位別係数」、合計は0〜72点。乾燥・魚鱗癬・毛孔性苔癬・蕁麻疹・炎症後色素変化は下に湿疹が無ければ算入せず、痒疹結節は苔癬化として採点する。濃い色調の皮膚では紅斑を過小評価しやすく、しばしば1段階以上引き上げる必要があるとしている。HOMEがEASIを臨床試験の中核指標として推奨した経緯も述べている。閲覧 2026-09-13
  3. 3.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(日本皮膚科学会・日本アレルギー学会(日本皮膚科学会雑誌 134巻11号 2741-2843頁)・2024)表3「Eczema Area and Severity Index(EASI)による重症度評価法」を確認した。日本語の徴候名は「紅斑/浸潤・丘疹/搔破痕/苔癬化」で、硬化は用いていない。重症度は0なし・1軽度・2中等度・3重度で「それぞれの病変部の平均的重症度とする」、「中間の値(1.5と2.5)は使用可能であるが,0.5は用いない」と明記されている。係数が年齢で変わるのは頭部/頸部と下肢だけで、8歳以上は上段(頭頸部0.1・体幹0.3・上肢0.2・下肢0.4)、7歳以下は下段(頭頸部0.2・下肢0.3)を用いる。あわせて、日常臨床では厚生労働科学研究班の「重症度のめやす」を、臨床研究・臨床試験ではEASIまたはSCORADを用いるとよいと述べていること、最適使用推進ガイドラインの投与対象がデュピルマブ・トラロキヌマブでIGA3以上かつEASI16以上(顔面の広範な強い炎症なら頭頸部EASI2.4以上、7歳以下は4.8以上)かつ体表面積10%以上、ネモリズマブでEASI10以上であることを確認した。閲覧 2026-09-13
  4. 4.What the Eczema Area and Severity Index score tells us about the severity of atopic dermatitis: an interpretability study(British Journal of Dermatology・2015)医師による全般的重症度評価をアンカーとした検証研究により、EASIの点数帯を0点=病変なし、0.1〜1.0点=ほぼ病変なし、1.1〜7.0点=軽症、7.1〜21.0点=中等症、21.1〜50.0点=重症、50.1〜72.0点=最重症(κ=0.75)として導出したこと閲覧 2026-08-04
  5. 5.Severity strata for Eczema Area and Severity Index (EASI), modified EASI, Scoring Atopic Dermatitis (SCORAD), objective SCORAD, Atopic Dermatitis Severity Index and body surface area in adolescents and adults with atopic dermatitis(British Journal of Dermatology・2017)抄録で確認した(全文は未取得)。13歳以上の青年・成人673例を皮膚科外来で診察し、4段階のIGAをアンカーにして導出した重症度帯は「0 clear, 0.1-5.9 mild, 6.0-22.9 moderate, 23.0-72 severe(κ=0.69)」で、Leshem 2015 の6段階の帯とは境界が異なる。目的の一文は逐語で「To confirm previously reported strata for EASI, SCORAD and oSCORAD」であり、⚠️ **抄録自身は「既報と一致しなかった」とは述べていない**(Leshem 2015 との境界の違いは本監査が両抄録を並べて比較した結果である)。閲覧 2026-09-13
  6. 6.European Guideline (EuroGuiDerm) on atopic eczema: Living update(European Academy of Dermatology and Venereology (EuroGuiDerm)・2025)全文を検索して確認した。生物学的製剤・JAK阻害薬の治療効果がEASIのベースラインからの改善率によるレスポンス率として繰り返し報告されており、実際に現れるのはEASI-75(17箇所)とEASI-90(1箇所)で、EASI-50とEASI-100は本文に0件である閲覧 2026-08-04