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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤 · 必修

ネモリズマブ

nemolizumab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
ミチーガ
商品名(EU)
Nemluvio
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
結節性痒疹アトピー性皮膚炎
副作用
頭痛関節痛注射部位反応

🧠 全体像は、皮膚の炎症そのもの(IL-4・IL-13・)を標的にするのに対し、そう痒(かゆみ)を伝える神経シグナルそのものを狙うという、標的レベルから異なる発想の抗体である。IL-31受容体A(IL-31RA)を狙い、末梢神経のしてかゆみの発生源を断つ——「炎症を抑えたらかゆみも治まる」という間接的な戦略ではなく、かゆみ経路への直接介入という位置づけを理解することが最大のポイント。

薬効群の中での位置づけ

標的 薬剤 作用の軸 主眼
IL-4Rα (IL-4/IL-13)を遮断 皮膚炎症全般
IL-13 IL-13シグナルを遮断 皮膚炎症全般
IL-31RA そう痒シグナル自体を遮断 かゆみへの

「そう痒にする唯一の生物学的製剤」というのがを覚える軸。 他の抗体は炎症を鎮めた結果としてかゆみが軽減するのに対し、はIL-31という「かゆみを伝えるサイトカイン」の受容体を直接遮断する。この違いから、(かゆみが主症状の疾患)にも適応を持つという臨床上の広がりが生まれる。

機序

flowchart TD
    A["活性化T細胞などがIL-31を分泌"] --> B["IL-31がIL-31RA・OSMRから成る<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterodimer'>ヘテロ二量体</span>受容体に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratinocyte'>ケラチノサイト</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dorsal root ganglion (DRG)'>後根神経節</span>(DRG)の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='C fiber'>C線維</span>末梢神経を刺激"]
    C --> D["JAK1/JAK2を介したSTATシグナル・<br>神経の脱分極"]
    D --> E["そう痒シグナルとして<br>中枢へ伝達される"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nemolizumab'>ネモリズマブ</span>がIL-31RAに選択的に結合"] -.->|"IL-31の結合を阻止"| B

💡 IL-31受容体はIL-31RAとオンコスタチンM受容体(OSMR)から成るで、だけでなくを含む末梢神経の終末にも発現している1はこのうちIL-31RAだけを標的にすることで、IL-31がを直接刺激してかゆみを誘発する経路を上流で断つ。皮膚の炎症経路(IL-4/IL-13)とは独立した「かゆみ専用の入口」を塞ぐ薬という理解が要点になる。

薬物動態

項目 値・特徴
SC皮下注射
抗体の型 ヒト化IgG2抗体
半減期 約19日2

適応

領域 使いどころ
皮膚 中等症〜重症の(12歳以上、外用薬で制御不十分な例、と併用)2
皮膚(そう痒) (成人)2——そう痒そのものが主症状となる疾患への適応が、他のType 2炎症を標的とする抗体には無い広がりを生んでいる

日本では2022年3月、に伴うそう痒に対する治療薬として世界に先駆けて承認された3

用法・用量

初回60mg(30mg製剤2本)を投与し、以後30mgを4週間隔で投与する。16週以降に状がclear/almost clearまで安定した患者では、30mgを8週間隔へ延長することが推奨される2。投与開始前に年齢相応のワクチン接種を完了させ、投与中は生ワクチンを避ける2

禁忌・注意

  • 禁忌:過敏症
  • を含む1型過敏症反応の報告があり、生じた場合は投与を中止する
  • 投与開始前に年齢相応のワクチン接種歴を確認する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛(片頭痛を含む、5%)2
注意 関節痛(1%)、蕁麻疹(1%)、筋肉痛(1%)2
低頻度 注射部位反応(導入期1.2%、0.9%)2
重篤・まれ 過敏症反応(を含む)

まとめ

  • IL-31受容体A(IL-31RA)に選択的に結合するヒト化IgG2抗体で、そう痒シグナルそのものを直接遮断するという他の生物学的製剤と異なる標的を持つ。
  • IL-31受容体はだけでなくを含む末梢神経のにも発現しており、ここへのがかゆみ改善の機序になる。
  • 適応はに加え、そう痒が主症状のにも広がる点が、炎症標的の抗体との臨床上の違い。
  • 半減期は約19日で、は4週間隔が基本、安定例では8週間隔へ延長できる。
  • 日本では2022年、に伴うそう痒への治療薬として世界に先駆けて承認された。
  • 注射部位反応はと同程度(導入期1.2%対0.9%)にとどまり、頭痛が比較的目立つ副作用である。

出典

  1. 1.NEMLUVIO (nemolizumab-ilto) for injection, for subcutaneous use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2024)適応(成人の結節性痒疹、および12歳以上の中等症〜重症アトピー性皮膚炎で外用療法により十分に制御できない例)、アトピー性皮膚炎に対する用法用量(初回60mg、以後30mgを4週間隔、16週以降に皮膚症状が安定した患者では8週間隔を推奨)、機序(IL-31RAへ選択的に結合しIL-31シグナルを阻害するヒト化IgG2抗体)、半減期約19日、投与前の年齢相応のワクチン接種完了の推奨、頭痛5%・関節痛1%などの副作用頻度を確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Nemolizumab: First Approval(Drugs(Springer Nature)・2022)ネモリズマブが2022年3月に日本でアトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合)に対する治療薬として世界に先駆けて承認されたこと、IL-31RAとオンコスタチンM受容体(OSMR)からなるヘテロ二量体受容体のうちIL-31RAを選択的に狙う機序を確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Oncostatin M suppresses IL31RA expression in dorsal root ganglia and interleukin-31-induced itching(Frontiers in Immunology・2023)IL-31受容体(IL-31RA・OSMRのヘテロ二量体)が後根神経節(DRG)を含む末梢神経のC線維終末に発現し、IL-31がここに作用することでそう痒シグナルを誘発する経路を確認した。閲覧 2026-08-10