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Disease Atlas · 皮膚 · 症候群

ジアノッティ・クロスティ症候群

Gianotti-Crosti syndrome

別名
小児丘疹性肢端皮膚炎papular acrodermatitis of childhood
臓器系
皮膚感染症小児
科目
Medical Microbiology
トピック
微生物学 5/25:発疹(皮疹)を特徴とする小児感染症微生物学 3/14:ヘルペスウイルス:EBウイルス微生物学 5/28:肝炎の病原体とその伝播、および微生物学的診断
鑑別疾患
Eczema coxsackiumIgA血管炎パルボウイルスB19感染症手足口病多形紅斑虫刺され疥癬
原因微生物
EBウイルスB型肝炎ウイルスサイトメガロウイルスEnterovirus A, B, C, DヒトパルボウイルスB19
症状
丘疹瘙痒発熱リンパ節腫脹肝腫大

🧠 全体像:は、ウイルス感染に対する免疫反応として顔・・に左右対称の丘疹が生じ、体幹は温存されるという特徴的な分布を持つ小児の良性自然軽快性疾患である1。1950年代に丘疹性皮疹として記載され、のちにB型肝炎ウイルスとの関連が中心と考えられるようになったが、⚠️ 小児のB型肝炎ワクチン普及後は、をはじめとする多様なウイルスが原因になる非特異的な皮膚へと意味が変わっている1。単一の感染症ではなく、「この分布の丘疹疹が出たら何のウイルスが引き金かを探す」という臨床パターンの名前として理解する。

定義と分布の特徴

臨床像は1〜10 mmの扁平な丘疹が、(腕に多い)・顔・臀部・手掌・足底に左右対称に生じ、体幹と頭皮、さらに・は比較的温存されるという acral()分布をとる1。は伴わない1。

提唱されているは、①皮疹が最低10日間持続すること、②1〜10 mmの丘疹またはが、・・・臀部という4部位のうち3部位以上に分布すること、③左右対称であること、の3項目である1。診断はでつけ、特異的なはない。肝脾腫や全身性リンパ節腫脹を伴う場合は、やB型肝炎の精査を検討する1。

疫学

4〜6歳未満の小児に最も多く、春〜夏に多く発症する。小児では性差がないが、成人例ではやや女性に多い。の既往がある小児で頻度が高い1。

病因:B型肝炎からEBウイルスへ、そして「多くは不明」

1950年代に初めて記載された時点では、B型肝炎ウイルス感染との関連が中心と考えられていた1。⚠️ ただしHBs抗原()の発見は1965年であり、1950年代の原記載自体がB型肝炎ウイルスとの関連を検査で確認していたわけではない。 この関連が中心と考えられていたのは、その後の年代である。小児のB型肝炎ワクチン接種が普及した地域では、この関連はまれになっている1。

現在報告されている原因病原体は、・・・・・・・・・HHV-6・・・・・・RSウイルス・と多岐にわたる。が現在最も高頻度な原因とされるが、多くの症例では原因ウイルスを特定できない1。

⭐ の原因である感染でも、この分布様式を模倣しうる。 2011〜2012年の流行期に小児80例(うち17例はで感染を確認、残る63例は臨床基準による組み入れ)を検討したでは、76例中28例(37%)が様の・の丘疹性皮疹を呈しており2、原因ウイルスを問わずこの分布パターンに収束しうることを示している。Eczema coxsackiumでは水疱・びらんと部位への集中が主体になる点で区別する。

病態生理

正確な機序は未確定だが、またはとして、ウイルス感染に対するの皮膚反応と推定されている。の既往や高値との関連が、免疫介在説を支持する所見として挙げられる1。

💡 皮疹そのものにウイルスが直接存在するわけではない。 感染に対する反応の表現型であり、だからこそ原因ウイルスが多様でも同じ臨床像に収束する。

臨床像と経過

児は全身状態が保たれていることが多い。皮疹は軽度〜中等度のを伴い、発熱・リンパ節腫脹・・咽頭炎を伴うことがある1。

症状は通常10日〜6か月持続し、大部分は2週〜2か月で寛解する。瘢痕を残さず治癒するが、が最長6か月持続することがある。再発はまれである1。

鑑別診断

flowchart TD
    A["顔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gluteal region'>殿部</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extensor surfaces of the limbs'>四肢伸側</span>優位の左右対称な丘疹、体幹温存"] --> B{"水疱・びらんが主体か"}
    B -->|"はい"| C["Eczema coxsackiumなど他の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Coxsackievirus'>コクサッキーウイルス</span>関連皮疹を疑う"]
    B -->|"いいえ"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cheek'>頬部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slapped-cheek rash'>平手打ち様紅斑</span>が主体か"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythema infectiosum'>伝染性紅斑</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human parvovirus B19'>ヒトパルボウイルスB19</span>)を疑う"]
    D -->|"いいえ"| F{"手掌・足底・口腔内の水疱が主体か"}
    F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hand, foot, and mouth disease'>手足口病</span>を疑う"]
    F -->|"いいえ"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Gianotti-Crosti syndrome'>ジアノッティ・クロスティ症候群</span>として<br>臨床診断基準を確認"]
    H --> I{"肝脾腫・全身性リンパ節腫脹を伴うか"}
    I -->|"伴う"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Epstein-Barr virus'>EBウイルス</span>・B型肝炎の精査を検討"]
    I -->|"伴わない"| K["対症療法で経過観察"]

鑑別には、、、、、、、、、、IgA血管炎が挙げられる1。

治療

対症療法が中心である。や抗ヒスタミン薬でを管理し、それでも軽減しない場合は弱〜中等度のを検討する1。基礎にB型肝炎などの感染症が確認された場合は、その原疾患の管理を行う。

まとめ

  • は、顔・・優位で体幹を温存する左右対称な丘疹疹という分布パターンの名前であり、単一の感染症ではない。
  • 1950年代に丘疹性皮疹として記載され、のちにB型肝炎ウイルスとの関連が中心と考えられるようになったが(HBs抗原の発見は1965年で原記載自体が検査で確認したものではない)、ワクチン普及後はが最多の原因になり、多くは原因不明である。
  • 感染など他のウイルス感染でも同様の分布を模倣しうるため、水疱・びらん優位ならEczema coxsackiumなど別診断を考える。
  • 臨床診断で、皮疹が10日以上持続し4部位中3部位以上に左右対称に分布することが目安になる。
  • 良性・自然軽快性で、通常2週〜2か月で寛解する。治療は対症療法にとどめる。

出典

  1. 1.Papular Acrodermatitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)ジアノッティ・クロスティ症候群(papular acrodermatitis of childhood)が4〜6歳未満の小児に最も多く、春〜夏に多く発症すること、小児では性差がないが成人ではやや女性に多いこと、アトピー疾患の既往がある小児で頻度が高いこと、1950年代に初めて記載された時点ではB型肝炎ウイルスとの関連が中心と考えられていたが小児B型肝炎ワクチンの普及した米国ではこの関連がまれになったこと、現在報告されている原因病原体にEBウイルス・サイトメガロウイルス・コクサッキーウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルス・エンテロウイルス・エコーウイルス・A型肝炎ウイルス・単純ヘルペスウイルス・HHV-6・HIV・ムンプスウイルス・パラインフルエンザウイルス・ヒトパルボウイルスB19・痘瘡ウイルス・RSウイルス・ロタウイルスが含まれること、米国ではEBウイルスが最も高頻度だが多くは原因不明であること、病態生理が免疫複合体または遅延型過敏反応と推定されているが未確定であること、皮疹が1〜10mmの扁平な丘疹で四肢伸側(腕優位)・顔・臀部・手掌・足底に左右対称に生じ体幹と頭皮・膝窩・肘窩は比較的温存されること、粘膜疹を伴わないこと、軽度〜中等度の瘙痒を伴うこと、発熱・リンパ節炎・肝脾腫・咽頭炎を伴いうること、提唱されている診断基準が皮疹が最低10日間持続すること、1〜10mmの丘疹または丘疹小水疱が前腕伸側・下腿伸側・頬部・臀部の4部位中3部位以上に左右対称に分布することであること、診断は臨床診断で特異的検査所見はなく肝脾腫や全身性リンパ節腫脹があればEBウイルスやB型肝炎の精査を検討すること、鑑別に伝染性紅斑・手足口病・虫刺症・疥癬・蕁麻疹様丘疹症・アトピー性皮膚炎・多形紅斑・ランゲルハンス細胞組織球症・苔癬様皮疹・IgA血管炎が挙げられること、治療は対症療法が中心で保湿剤・抗ヒスタミン薬を用い症状が軽減しない場合は弱〜中等度の外用ステロイドを検討すること、良性で自然軽快する疾患であり症状は通常10日〜6か月持続し大部分は2週〜2か月で寛解すること、再発はまれで炎症後色素異常が最長6か月持続しうることを確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2."Eczema Coxsackium" and Unusual Cutaneous Findings in an Enterovirus Outbreak(Pediatrics(Mathes EF, Oza V, Frieden IJ, et al.)・2013)2011年7月から2012年6月に7施設で診療した小児80例(うち17例はコクサッキーウイルスA6を塩基配列決定で確認し、残る63例は臨床基準による組み入れ)の後方視的症例集積で、76例中28例(37%)がジアノッティ・クロスティ症候群様の四肢伸側・頬部の丘疹性皮疹を呈したことを確認した。閲覧 2026-09-02