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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

紅色陰癬

Erythrasma

臓器系
皮膚感染症
科目
Medical MicrobiologyDermatology
トピック
微生物学 2/32:ジフテリア菌、ジフテロイド、プロピオニバクテリウム属皮膚科 1-15:癜風
鑑別疾患
皮膚糸状菌症(白癬)
治療薬
クロトリマゾールフシジン酸クリンダマイシンエリスロマイシンクラリスロマイシンムピロシン
症状
掻痒

🧠 全体像:⚠️ 「陰癬」という名前に反して、は真菌症ではなく細菌感染症である。 起因菌Corynebacterium minutissimumが産生するにより、病変が下で特徴的なの蛍光を発する——この一点で・カンジダ症・といった見た目の似た疾患から一発で区別できる、臨床上もっとも実用的な鑑別点である。

病原体と病態

  • 起因菌は皮膚のにも含まれる Corynebacterium minutissimumで、19世紀には真菌症と誤認されていた経緯がある1。
  • に定着した菌がを産生し、これが(紫外線)に反応してに蛍光する。
  • 高温多湿、多汗、肥満、密着した皮膚同士の摩擦()、糖尿病、免疫抑制状態が定着・増殖の危険因子になる。
flowchart TD
    A["Corynebacterium minutissimumが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intertriginous (area)'>間擦部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stratum corneum'>角層</span>に定着"] --> B["高温多湿・摩擦・多汗などが増殖を助長"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coproporphyrin III'>コプロポルフィリンIII</span>を産生"]
    C --> D["境界明瞭な紅褐色・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scaly'>鱗屑性</span>局面"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Wood&#39;s lamp'>Wood灯</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coral-red'>珊瑚赤色</span>蛍光"]

臨床像

  • 好発部位はが最多で、次いで・腋窩・などに生じる1。
  • 境界明瞭な紅褐色〜褐色の局面で、軽度の鱗屑を伴う。掻痒は軽度〜無症状のことが多い。
  • 進行すると乾燥・を伴う色素沈着局面となり、長期放置例では気づかれず慢性化しやすい。

診断

⭐ 検査での蛍光を確認するのが最も実用的で決定的な所見である2。

  • ⚠️ 入浴・洗浄直後は水溶性のが洗い流され、蛍光が消失し偽陰性になりうる。 検査前は患部を洗浄しないよう指導し3、疑わしい場合は翌日など時間を空けて再検を行う。
  • 皮膚生検は病変の可視化が難しくやを要するため、日常診断には実用的でない2。
  • は陰性となり、・カンジダとの鑑別に有用である。ただし⚠️ ・カンジダとの合併感染も時に起こるため、が確認できても症状がなら改めて標本で合併感染の有無を評価する1。

鑑別診断

疾患 鑑別のポイント
() で菌糸を検出。は通常陰性
中心の紅斑に加え周囲のが特徴。で・酵母を検出
(Malassezia感染) で蛍光(のとは色調が異なる)
頭皮・などの多い部位に好発。陰性

⚠️ の蛍光色は疾患ごとに異なる——は、は、緑膿菌感染は緑色。色調そのものが鑑別情報になる。

治療

⚠️ 見逃してはいけないもの

  • 合併感染を見落とさない。 のはと部位が重なりやすく、・カンジダとの合併感染が時に起こる。が確認できても、鱗屑や掻痒が強いなどな所見があれば標本で合併感染を再評価する1。
  • 免疫抑制患者では軽症の皮膚感染ととどまらないことがある。 C. minutissimumが急速に播種し、心内膜炎、膿瘍形成、、蜂窩織炎、腎盂腎炎を来しうる。免疫抑制患者のは紹介を含め慎重に経過を追う1。
  • 肥満・糖尿病などの誘因を是正しなければ再発を繰り返す。 治療の成功は薬剤選択だけでなく、乾燥保持と誘因管理にかかっている1。

まとめ

  • はCorynebacterium minutissimumによる細菌感染症であり、真菌症ではない。
  • での蛍光(産生による)が最も実用的な診断所見だが、⚠️ 入浴直後は偽陰性になりうる。
  • 好発部位は・・腋窩・などので、⚠️ 型はとの合併感染に注意する。
  • ・・とは、所見との蛍光色( vs )で鑑別する。
  • 治療は外用・クリンダマイシン・・または外用、広範囲例では内服単回1gまたは1日1g・分割・14日間を用いる。誘因管理を怠ると再発しやすい。

出典

  1. 1.Erythrasma(StatPearls Publishing・2026)紅色陰癬の原因菌が*Corynebacterium minutissimum*(グラム陽性・カタラーゼ陽性桿菌)という細菌であり19世紀に真菌症との誤認が訂正された経緯があること、コプロポルフィリンIIIによりWood灯で珊瑚赤色蛍光を呈すること、好発部位が趾間に最も多く続いて鼠径部・腋窩・乳房下であること、鑑別診断(脂漏性皮膚炎、逆説性乾癬、カンジダ症、皮膚糸状菌症、癜風、乾癬状粃糠疹、円板状粃糠疹)、皮膚糸状菌・カンジダとの合併感染が時に起こりKOH標本で合併感染の評価が必要なこと、治療が外用フシジン酸・クリンダマイシン・エリスロマイシンおよび広範囲病変への内服(クラリスロマイシン単回1g、またはエリスロマイシン1日1gを分割投与し14日間)であること、誘因(肥満・糖尿病)を是正しないと再発しやすいこと、免疫抑制患者では*C. minutissimum*が急速に播種し心内膜炎・膿瘍形成・カテーテル関連感染・蜂窩織炎・腎盂腎炎を来しうることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Erythrasma: Pathogenesis and Diagnostic Challenges(Cureus・2024)紅色陰癬の診断がWood灯検査による珊瑚赤色蛍光に依拠すること、生検は可視化が困難でGiemsa染色やPAS染色を要するため日常診断には実用的でないこと、外用治療の選択肢としてフシジン酸クリーム2%・ムピロシン2%・クリンダマイシン1%を確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Wood's Light(StatPearls Publishing・2023)Wood灯検査の前に患者へ患部を洗浄しないよう指導すべきであると明記しており、これがコプロポルフィリンなど水溶性の蛍光物質が洗浄で失われうることを踏まえた実施上の注意であることを確認した。閲覧 2026-08-19