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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 症候群

花粉-食物アレルギー症候群

Pollen-food allergy syndrome

別名
口腔アレルギー症候群PFASOAS
臓器系
免疫・膠原病消化器
科目
Medical Genetics and Immunology (Immunology)Pathology
トピック
免疫学 7.2:過敏症 I病理学 A/35:I型・II型過敏反応(即時型・細胞障害型)
上位概念
食物アレルギー
合併症
アナフィラキシー
関連疾患
アレルギー性鼻炎
治療薬
エピネフリンオマリズマブ
症状
掻痒腫脹

🧠 全体像:(PFAS、)は、の原因抗原と生の果物・野菜の抗原がレベルで似ているために起こるである。多くは口腔・咽頭の掻痒にとどまり加熱食品は食べられるが、「口腔症状だけ」と決めつけてはいけない——大豆・セロリ・ナッツ類が絡む一部の型は全身反応やアナフィラキシーに進みうる。

病態 — 交差反応の分子基盤

花粉と食品には、進化的に保存された共通のタンパク質()が含まれる。花粉抗原に感作されたが、構造の似た食品タンパクを誤って認識して肥満細胞をさせる。

flowchart TD
    A["花粉抗原(例:シラカバ Bet v 1)への感作"] --> B["花粉<span class='jp-term jp-term-diagram' title='specific IgE'>特異的IgE</span>抗体の産生"]
    B --> C["構造が類似した食品タンパクへ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cross-reactivity'>交差反応</span>"]
    C --> D{"抗原の熱・消化安定性"}
    D -->|"不安定(PR-10等)"| E["口腔粘膜のみで症状<br>加熱・消化管内で失活"]
    D -->|"安定(LTP・貯蔵タンパク等)"| F["全身に抗原が到達しうる<br>アナフィラキシーのリスク"]

中心的な原因タンパクは2系統ある1。

抗原ファミリー 代表 熱・消化安定性 臨床的意味
PR-10(10群) シラカバ花粉Bet v 1とその相同タンパク 不安定 口腔症状が主体。加熱調理品はされやすい
に広く保存された細胞骨格関連タンパク 不安定 複数の花粉・食物に汎。症状は軽度なことが多い
(LTP) モモの皮などに多い 安定 加熱後もを保ち、全身反応のリスクが相対的に高い

💡 「加熱調理すれば安全」と一般化できるのはPR-10・が主抗原の場合であり、LTPやが関与する例では加熱後も反応しうる。ただしPR-10が原因ののように、抗原の種類だけでは説明できない例もある——豆乳やスムージーのように液状のまま大量・急速に摂取すると、加熱・消化に対する不安定さを摂取量と速度が上回り全身反応につながることがある2。原因食品と抗原の組み合わせだけでなく、摂取形態・量という軸も合わせて考える。

代表的な交差反応の組み合わせ

花粉 する食物
シラカバ(カバノキ科) リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、アーモンド、ヘーゼルナッツ
ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニ)、バナナ
スギ・ヒノキ トマト
ヨモギ セロリ、ニンジン、香辛料(フェンネル、コリアンダー等)

⭐ この対応表はの原因植物からの原因を推定する、あるいはその逆の手がかりとして臨床上よく使われる。

臨床像

多くは食品接触直後から数分以内に、口唇・口腔・咽頭のかゆみ・ぴりぴり感・軽度腫脹が生じ、多くは自然に軽快する。⚠️ 一部で全身反応・アナフィラキシーに進むことがあり、報告によって全身症状の頻度は1.7〜8.9%と幅がある2。・セロリのようにLTP以外でも全身反応の報告がある食品は油断しやすいので注意する。とくにピーナッツ・木の実類が関与する型、絶食後の摂取、スムージーなど液状の形で大量・急速に摂取した場合は全身反応のリスクが高まるとされ、これにの併用・運動・アルコール・の使用・コントロール不良の喘息が補助因子として重なるとさらにリスクが上がる2。

診断

での既往と特定の生の果物・野菜での口腔症状の関連を確認する。はの食物エキスでは感度が低いことがあり、生の原因食品を用いたが診断に有用とされる2。可能な施設ではPR-10・・LTPなど個々のを測定するが、口腔症状にとどまる型と全身反応リスクが高い型の鑑別に役立つ。

治療・管理

  • 口腔症状のみの患者:原因となる生の果物・野菜の回避、または加熱調理後の摂取を試みる(PR-10・が原因の場合は多くができる)。
  • 全身反応の既往がある、またはLTP等の安定抗原に感作されている患者:原因食品の完全回避とエピネフリンの携帯を指導する。
  • 自体に対するやがPFASの症状にも一定の効果を示す報告があるが、PFAS治療そのものとしての適応確立には至っていない。

食物アレルギー・ラテックス-フルーツ症候群との位置づけ

PFASは全体の中では(への感作が先行し、後から食物へする型)に分類される。とアボカド・キウイ・バナナ・栗がするは、花粉ではなく由来タンパクが感作源になる別のであり、医療従事者など曝露が多い集団に多い。両者とも「構造が似た異なる由来の抗原を免疫系が区別できない」という同じ原理に基づくが、感作源(花粉 vs )が異なる。

まとめ

  • PFASは花粉抗原と食品抗原ので、原因タンパクの熱・消化安定性(PR-10・は不安定、LTPは安定)が症状の広がりを左右する。
  • シラカバ-リンゴ/モモ/サクランボ、-ウリ科/バナナ、スギ・ヒノキ-トマト、ヨモギ-セロリ/ニンジン/スパイスが代表的な組み合わせ。
  • 多くは口腔・咽頭症状にとどまり加熱食品はされるが、大豆・セロリ・ナッツ類などでは全身反応・アナフィラキシーを来しうるため一律に軽症と扱わない。
  • 診断は生の原因食品を用いたと、治療は原因食品の回避(型により加熱調理品は可)とエピネフリン携帯(全身反応リスク例)。
  • は感作源がである別ので、PFASとは区別する。

出典

  1. 1.Comprehensive review of pollen-food allergy syndrome: Pathogenesis, epidemiology, and treatment approaches(Allergology International・2025)PFASの原因抗原(PR-10・プロフィリン等)と花粉・食物の代表的な交差反応パターン、加熱・加工による抗原性低下の機序閲覧 2026-08-19
  2. 2.An International Delphi Consensus on the Management of Pollen-Food Allergy Syndrome: A Work Group Report of the AAAAI Adverse Reactions to Foods Committee(Journal of Allergy and Clinical Immunology In Practice・2024)PFASにおける全身反応・アナフィラキシーの頻度(報告により1.7〜8.9%)、生食プリックテストを用いた診断方針、加熱食品耐容の目安閲覧 2026-08-19