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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬 · 必修

クロロキン

chloroquine

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(EU)
Resochin
科目
Pharmacology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugsB29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)
禁忌疾患
尋常性乾癬
標的微生物
Plasmodium vivaxPlasmodium ovalePlasmodium malariaeEntamoeba histolytica
副作用
掻痒視力低下
対象疾患
関節リウマチ全身性エリテマトーデス
原因となる疾患
扁平苔癬

🧠 全体像を理解する軸は「地理」である。は世界の地域ごとに大きく異なり、この耐性分布そのものが治療薬選択のロジックを決める——耐性のない地域・菌種(P. vivaxP. ovaleP. malariae、一部地域のP. falciparum)にはいまも第一選択になりうるが、P. falciparumは世界的に広範に拡大しており、そこではACT()に主役を譲る。もう一つの顔は、マラリアとは自己免疫疾患の免疫調節薬という二面性で、この文脈では現在は同系統のに置き換わっていることが多い。

薬効群の中での位置づけ

薬のうち、は最も古典的な血中型薬である。

グループ 代表薬 使い分けの軸
薬(感受性) 耐性のない地域・菌種の第一選択
薬(地域) P. falciparum地域
ACT 世界的に広範な耐性を踏まえた標準治療
を叩く薬 P. vivax/P. ovaleの根治に併用

には、それ以外はACT」という地理依存の使い分けが、薬選択の出発点になる。 P. falciparumは東南アジアで最初に確認されて以降、アフリカ・南米を含め世界的に拡大し、現在ではもはや第一選択にならない地域が大半を占める。一方、P. vivaxP. ovaleP. malariaeでは耐性がまだ限定的な地域が多く、が使われ続ける。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chloroquine'>クロロキン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='weak bases'>弱塩基</span>として<br>寄生虫の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='digestive vacuole'>消化食胞</span>(酸性)に蓄積"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='food vacuole'>食胞</span>内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='protonation'>プロトン化</span>され<br>膜を通過できず閉じ込められる(イオントラップ)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heme polymerase'>ヘムポリメラーゼ</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heme polymerization'>ヘム重合</span>)反応を阻害"]
    C --> D["ヘモグロビン消化で生じた<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='free heme'>遊離ヘム</span>(毒性)が重合されず蓄積"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative stress'>酸化ストレス</span>・膜障害で虫体死滅"]
    F["自己免疫疾患での作用"] --> G["リソソーム内pH上昇により<br>抗原提示・TLR7/9シグナルを抑制"]
    G --> H["自然免疫の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperactivation'>過剰活性化</span>を鎮める"]

💡 が酸性区画に閉じ込められる」というイオントラップの原理は、作用と免疫調節作用の両方に共通する土台。 ではという酸性小器官に蓄積してを止め、自己免疫疾患ではリソソーム・のpHを上げてTLR7/9を介した自然免疫シグナルを鈍らせる——標的は違うが「酸性区画に潜り込んでpHを乱す」という物理化学的な性質は共通している。

薬物動態

項目 値・特徴
良好(約70〜80%)
分布 組織移行が非常に広くが極めて大きい(肝・脾・腎・肺・メラニン含有組織に高濃度で蓄積)
半減期 非常に長い(数週間〜1か月以上)——組織からの緩徐なによる
代謝・排泄 あり)との両方に関与

半減期が極端に長いため、では週1回投与で足り、網膜への蓄積も長期投与例で問題になる。 組織への強い親和性(特にメラニンを含む)が、有効性の持続とリスクの両方を生む二面性の根拠になる。

適応

領域 使いどころ
マラリア 感受性地域のP. vivaxP. ovaleP. malariaeP. falciparumの治療・予防
消化器 Entamoeba histolyticaによる(メトロニダゾール抵抗例・追加治療)
自己免疫疾患 関節リウマチ現在は同系統のが網膜安全性の観点から優先されることが多い

用法・用量

マラリア:短期の(初回+追加投与)で数日間投与する。自己免疫疾患:低用量を長期にわたり継続投与し、定期的な眼科フォローを組み込む。実際の用量は適応・体重・腎機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌・視野異常の既往、(重篤な増悪・膿疱化を誘発しうる)
  • ⚠️ 長期投与では定期的な眼科検査が必須。 への蓄積により不可逆的な)を来しうる。リスクは・投与期間に相関する
  • G6PD欠損:溶血のリスクがあるため注意
  • QT延長を来す薬剤との併用に注意(の既往でも慎重投与)

副作用

頻度 内容
高頻度 掻痒(特にアフリカ系患者で高頻度)、消化器症状
注意 (長期投与)、QT延長
重篤・まれ G6PD欠損での溶血、、稀に精神症状

まとめ

  • として寄生虫のに蓄積し(イオントラップ)、を阻害して虫体を殺す血中型薬。
  • の地域差を決める:感受性地域・菌種では第一選択になりうるが、P. falciparumの世界的な耐性拡大によりACTに主役を譲る場面が多い。
  • 消化器領域ではの追加治療、免疫領域では関節リウマチ・SLEの免疫調節薬としても使われるが、後者は現在に置き換わりつつある。
  • 半減期が数週間と非常に長く、組織(特に)への蓄積が長期投与でのリスクを生む——定期眼科フォローが必須。
  • では重篤な増悪を誘発しうるため禁忌。G6PD欠損での溶血、QT延長にも注意する。