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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬 · 必修

プリマキン

primaquine

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬
科目
Pharmacology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs
禁忌疾患
遺伝性・後天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症・G6PD欠乏症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)
標的微生物
Plasmodium vivaxPlasmodium ovalePlasmodium falciparum
副作用
腹痛
対象疾患
マラリア
原因となる疾患
メトヘモグロビン血症

🧠 全体像薬のほとんどは赤血球内の原虫(血中型)を狙うが、だけはで何年も眠っているという別の標的を持つ。P. vivaxP. ovaleだけがこのを作り、治療でを一掃してもが生き残れば数か月〜数年後に再発する——これをする(radical cure、根治)薬は現行、と新しいタファの2剤しかない。そして、この薬が持つ効果の裏返しとしてG6PD欠損患者での重篤な溶血があり、「投与前にG6PD活性を確認する」というルールがこの薬の臨床運用のほぼすべてを規定している。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 狙う病期 特徴
血中型を狙う薬 など 赤血球内 発熱発作の原因を叩くがには無効
を狙う薬(8-aminoquinoline系) 、タファ P. vivax/P. ovale唯一の根治薬、要G6PD確認
予防・葉酸/ミトコンドリア阻害薬 〜赤血球内 主に予防

「血中型を叩く薬」と「を叩く薬」は必ずセットで使う。 は血中型への効果が乏しいため単独では発熱発作を止められず、通常は(感受性地域)またはACT(耐性地域)でを治療したうえで、を追加する2段構えになる。タファは単回投与で済む後発の8-aminoquinolineだが、本コーパスではまだ扱っていない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primaquine'>プリマキン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='in the hepatocyte'>肝細胞内</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnozoite'>休眠体</span><br>(hypnozoite)へ到達"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative metabolism'>酸化的代謝</span>を受け<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>を生成"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ROS'>活性酸素種</span>を発生させる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnozoite'>休眠体</span>のミトコンドリア機能を障害"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypnozoite'>休眠体</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='radical cure'>根絶</span>"]
    F["G6PD欠損赤血球ではROS消去能が低い"] -.->|"同じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative stress'>酸化ストレス</span>が標的を外れて波及"| G["赤血球膜・ヘモグロビンが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative damage'>酸化障害</span>"]
    G --> H["溶血性貧血"]

⚠️ を殺す仕組み()そのものが、G6PD欠損患者の赤血球を巻き込んで溶血を起こす。 G6PD酵素はでNADPHを供給し、から赤血球を守る防御系の要である。この防御系が欠損していると、が生むに赤血球が耐えられず、急速な溶血を来す——投与前のG6PD活性スクリーニングが省略できない理由がここにある。

薬物動態

項目 値・特徴
良好
代謝 肝臓でCYP2D6を介しへ変換される(代謝活性化を要する的性質
半減期 約4〜7時間と短いため連日投与が必要
CYP2D6の影響 CYP2D6のpoor metabolizerではの生成が不十分となり、radical cureの失敗(再発)につながりうる

💡 CYP2D6の代謝活性のになりうるという点は、他の多くの薬とは逆方向の注意点。 通常CYP2D6 poor metabolizerは薬の血中濃度が上がり過量になりやすいが、では逆にが作られず効果不足になる——特有の落とし穴である。

適応

領域 使いどころ
マラリア(根治) Plasmodium vivaxPlasmodium ovaleマラリアの——血中型治療薬との併用が前提
マラリア(伝播阻止) P. falciparumマラリアでの単回低用量投与によるgametocyte(配偶子)除去——地域の伝播を減らす目的

用法・用量

radical cure(P. vivax/P. ovale:G6PD活性を確認したうえで、成人ではおおむね0.25〜0.5 mg/kg/日を14日間連日投与するのが標準的なレジメン(G6PD軽度欠損例では週1回の減量法が用いられることもある)。gametocyte除去(P. falciparum:単回の低用量投与で足りる。妊娠中は胎児のG6PD欠損状態が不明であるため投与しない。実際の用量・期間は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 腹痛、悪心などの消化器症状
注意 (軽度は無症状のことも)
重篤・まれ G6PD欠損患者での急性溶血性貧血(投与前スクリーニングで予防すべき最重要リスク)

まとめ

  • 8-aminoquinoline系。赤血球内の血中型ではなくを標的にできる唯一の実用的な根治薬(radical cure)——タファとともに2剤しかない。
  • 標的がだけであるP. vivaxP. ovaleマラリアの再発予防に必須で、単独では血中型を叩けないため血中型治療薬と併用する。
  • 機序はによるROS生成で、これがG6PD欠損患者での溶血という最重要の禁忌・副作用と表裏一体になっている——投与前のG6PD検査は省略できない
  • CYP2D6のpoor metabolizerではが作られにくく、(再発)の原因になりうる。
  • P. falciparumマラリアでは単回低用量投与によるgametocyte除去(伝播阻止目的)にも使われる。
  • 妊娠中は胎児のG6PD状態が不明なため投与しない。