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Disease Atlas · 肝胆膵 · 疾患

原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎

Primary biliary cholangitis and primary sclerosing cholangitis

別名
PBCPSC原発性胆汁性肝硬変
臓器系
肝胆膵免疫・膠原病
科目
PathologyInternal Medicine
トピック
病理学 C-44:胆汁うっ滞性肝疾患(PBC・PSC)内科学 S-33:自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎
鑑別疾患
IgG4関連疾患自己免疫性肝炎薬剤性胆汁うっ滞
続発疾患
結節性痒疹肝硬変胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)急性胆管炎
関連疾患
シェーグレン症候群潰瘍性大腸炎
治療薬
ウルソデオキシコール酸
症状
黄疸倦怠感掻痒発熱
検査値
アルカリホスファターゼγ-GTP
適応薬
コレスチラミン

🧠 全体像:(PBC)と(PSC)は、どちらも「胆汁うっ滞パターン(優位)」で見つかる免疫が関わる胆管疾患(PBCは自己免疫性、PSCはと考えられるが診断的な自己抗体は無く、免疫抑制も効かない1)だが、侵される胆管のスケールが違う。PBCは小型のがとともに肉芽腫性に破壊される中年女性の病気、PSCは外の胆管全体が原因不明の炎症で線維性に狭窄する、男性に多く(診断時平均32〜41歳)を合併しやすい病気である。この「小 vs 大、女性 vs 男性、AMA vs 特異抗体なし、UDCAが効く vs 効かない」という対比を軸に据えると、診断アルゴリズムと治療の使い分けが自然に整理できる。

病態と分類

項目 (PBC) (PSC)
旧名称 (肝硬変に至る前の診断が増えたため2015年に改称) —
好発 中年女性(40〜50歳代がピーク) 男性に多い(男女比2:1)、診断時平均年齢32〜41歳1
侵される胆管 小〜中型の胆管のみ ・の胆管()
主な機序 自己免疫性の肉芽腫性胆管破壊 原因不明の炎症→胆管周囲線維化(「玉ねぎの皮」様)
特異的自己抗体 、PBC特異的 特異的自己抗体なし(p-陽性は非特異的)
消化管の合併症 特になし を中心とする(約60〜80%が合併)
悪性腫瘍リスク 肝硬変進行後の ・、合併時の大腸癌
合併症 シェーグレン症候群、、限局皮膚硬化型 中心の
flowchart TD
    A["AMA・抗ミトコンドリア関連自己免疫(PBC)"] --> B["小型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic bile duct'>肝内胆管</span>上皮の肉芽腫性破壊"]
    B --> C["慢性胆汁うっ滞(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alkaline phosphatase'>ALP</span>上昇)"]
    C --> D["長年かけ肝硬変・門脈圧亢進へ進行"]

    E["原因不明の胆管炎症(PSC)"] --> F["胆管周囲の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='concentric'>同心円状</span>線維化"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic'>肝内</span>外胆管の多発狭窄・拡張"]
    G --> H["反復胆管炎・胆汁うっ滞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cholangiocarcinoma'>胆管癌</span>リスク"]
    H --> D

臨床像

  • 両疾患とも掻痒が黄疸に先行するの経過をたどりやすく、初期は無症状の(・優位)で偶発的に見つかることが多い。
  • PBCは倦怠感、・(重複)、脂質異常(コレステロール上昇)、進行例で骨粗鬆症・欠乏を伴う。
  • PSCは倦怠感、間欠的な発熱・右上腹部痛・黄疸を伴う細菌性胆管炎エピソードを繰り返しやすく、の診断が先行または並行することが多い。
  • (、、関連硬化性胆管炎など)は原発性PSCと画像所見が似るため、明らかな閉塞機転や高血症を除外する。

診断

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alkaline phosphatase'>ALP</span>優位の胆汁うっ滞パターン"] --> B["超音波で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical obstruction'>機械的閉塞</span>(胆石・腫瘍)を除外"]
    B --> C["AMAを測定"]
    C --> D{"AMA陽性かつPBCに合致する像か"}
    D -->|"はい"| E["PBCと診断(生検は診断が非典型のときに限る)"]
    D -->|"いいえ・大型胆管病変を疑う"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance cholangiopancreatography'>MRCP</span>で胆管を評価"]
    F --> G{"多発狭窄・拡張・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beaded (moniliform, string-of-beads pattern)'>数珠状</span>変化があるか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary sclerosing cholangitis'>続発性硬化性胆管炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunoglobulin G4'>IgG4</span>関連疾患を除外しPSCと診断"]
    G -->|"なし・小型胆管のみ疑い"| I["small-duct PSCとして<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liver biopsy'>肝生検</span>を検討"]
  • PBC:上昇に加えAMA陽性、またはPBC特異的(抗gp210・抗sp100)陽性であれば、典型的な生化学像とあわせてなしで診断できることが多い。血清学が非典型な場合にを追加する。
  • PSC:が第一選択の画像検査であり、外胆管の多発狭窄とがに連なる「」パターンを確認する。は診断目的でなく、優性狭窄・臨床的に重要な狭窄への、細胞診・生検など介入に限って用いる。で異常がなく臨床的疑いが強い場合はsmall-duct PSCとしてを検討する。
  • PSCと診断した場合は、無症状でもでの有無を確認する(逆にUC患者のでもPSCを疑う)。

治療

PBC

  • (UDCA)13〜15 mg/kg/日を全例の第一選択とし、約12か月後の生化学的反応(・ビリルビンの正常化度)でリスクを再評価する。
  • UDCAへの反応不十分例の第二選択は、国によって使える薬が違う。肝硬変の有無や有害事象プロファイルを踏まえて専門医が個別に判断し、単一の薬剤を機械的に全例へ追加しない。
    • 欧州:かつてのだったのオベチは、2024年8月30日に販売承認が取り消された2。代わって作動薬のエラフィブラノール(2024年9月)3とセラデルパル(2025年2月)4がを得ている。
    • 米国:オベチは、市販後試験が臨床的有用性を検証できず、早期病期の投与例でと死亡が過剰だったことを受けて、2025年11月24日付で承認が取り消された5。
    • 日本:2023年の診療ガイドラインは、UDCAで生化学的反応が得られず予後不良が予想される例に併用を検討するとしている(推奨度1、エビデンスの強さB)。ただしは国内ではにしか保険適用がなく、を合併しないPBCでは臨床研究として投与するのが適切とされる。治療薬の項にオベチは挙がっていない6。
  • 掻痒には(など)を第一選択とし、UDCAなど他のとは服用間隔を4時間程度空けて吸収阻害を避ける。
  • 欠乏、骨密度、甲状腺機能を定期的に監視する。

PSC

  • 進行を確実に止める薬物治療は確立していない。UDCAを13〜23 mg/kg/日程度の中等量で試みる施設もあるが、症状のない患者への一律投与でリスクが明確でなく、高用量UDCA(28 mg/kg/日超)は静脈瘤増悪などの有害事象と関連するため使用しない。
  • 細菌性胆管炎は抗菌薬に加え、臨床的に重要な優性狭窄にはによる胆道拡張・/バルーンドレナージを行う。
  • ・(画像±CA19-9)と、合併例では通常より早期からの定期によるを行う。
  • 進行した肝硬変、難治性掻痒、再発性胆管炎にはを検討する。

まとめ

  • PBCは中年女性・AMA陽性・小型の肉芽腫性破壊、PSCは男性に多く(2:1)診断時平均32〜41歳・特異抗体なし・外胆管の線維性狭窄という対比で捉える。
  • PBCは不要でAMA・生化学的パターンから診断できることが多く、PSCはの変化が診断の中心ではに限る。
  • PBCの第一選択治療はUDCA 13〜15 mg/kg/日、反応不十分例は専門施設でを検討する。
  • PSCにルーチンでや高用量UDCAを用いず、・・大腸癌のを継続する。
  • 両疾患とも進行例ではが根治的な選択肢である。

出典

  1. 1.British Society of Gastroenterology and UK-PSC guidelines for the diagnosis and management of primary sclerosing cholangitis(Gut(British Society of Gastroenterology / UK-PSC)・2019)PMC全文で、PSCは遺伝的関連・門脈域の慢性炎症・炎症性腸疾患との強い関連から免疫介在性(immune-mediated)疾患と考えられるが、信頼できる自己抗体は同定されておらず免疫抑制に明らかな反応がないこと、診断時平均年齢は32〜41歳で男女比は2:1であることを確認した閲覧 2026-09-24
  2. 2.Ocaliva (obeticholic acid): EPAR(European Medicines Agency・2025)EMAの製品ページで、Ocaliva(オベチコール酸)の欧州連合における販売承認が2024年8月30日の欧州委員会実施決定で取り消されたこと(Revoked)を確認した閲覧 2026-09-24
  3. 3.Iqirvo (elafibranor): EPAR(European Medicines Agency・2024)EMAの製品ページで、Iqirvo(エラフィブラノール)がPBCの成人に用いられ、2024年9月19日に欧州連合全域で有効な条件付き販売承認を得たことを確認した閲覧 2026-09-24
  4. 4.Lyvdelzi (previously Seladelpar Gilead) (seladelpar): EPAR(European Medicines Agency・2025)EMAの製品ページで、セラデルパル(Seladelpar Gilead、2025年4月14日にLyvdelziへ改名)が2025年2月20日に欧州連合全域で有効な条件付き販売承認を得たことを確認した閲覧 2026-09-24
  5. 5.Intercept Pharmaceuticals, Inc., et al.; Withdrawal of Approval of New Drug Application for OCALIVA (Obeticholic Acid) Tablets, 5 Milligrams and 10 Milligrams, and Three Abbreviated New Drug Applications for Obeticholic Acid Tablets, 5 Milligrams and 10 Milligrams(Federal Register(U.S. Food and Drug Administration)・2025)官報本文で、2016年にPBCへ迅速承認されたOcaliva(オベチコール酸)について、FDAが2025年8月27日に「市販後試験が臨床的有用性を検証せず、ベースラインで早期病期だった投与例で肝移植と死亡が過剰だった」と企業へ通知し、2025年11月24日付で新薬承認(および後発品3件)を取り消したことを確認した閲覧 2026-09-24
  6. 6.原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診療ガイドライン(2023年)(厚生労働省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班・2023)本文PDFで、UDCA(通常1日600 mg、効果不十分なら900 mgまで増量可)が第一選択であること、UDCAで生化学的治療反応が得られず予後不良が予想される症例にはベザフィブラート併用を検討する(推奨度1、エビデンスの強さB、2023追補)こと、ベザフィブラートは国内では高脂血症にのみ保険適用があり高脂血症を合併しないPBCには臨床研究として投与するのが適切とされていることを確認した。治療薬の項にオベチコール酸は挙がっていない閲覧 2026-09-24