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Lab values · Published

γ-GTP

Gamma-glutamyl transferase

別名
γ-グルタミルトランスペプチダーゼGGTγ-GTガンマGTP
臓器系
肝胆膵
科目
PathophysiologyInternal MedicineBiochemistry
トピック
病態生理学 P-1-5:肥満・糖尿病 症例1内科学 I-12:腹腔内感染症:胆管炎・胆嚢炎・腹腔内膿瘍・憩室炎・腹膜炎内科学 L-51:黄疸の鑑別診断生化学 7/1:窒素平衡;タンパク質の消化;プロテアーゼの機能と調節;アミノ酸の吸収とアミノ酸輸送体;アミノ酸の異化;アンモニアの排泄;オルニチン(尿素)回路の反応と調節
関連疾患
Caroli病原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎薬剤性肝障害
監視対象薬
ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)

🧠 全体像:γ-GTPは「鋭敏だが特異度が低い」検査として捉える。ALPが高値のとき、由来が肝・胆道か骨かを切り分ける実務的な手掛かりになる一方、γ-GTP自身は単独では臓器も重症度も決められない。⭐ 飲酒・薬剤・肥満などで肝障害がなくても上がるため、健診で最も頻度の高い異常のひとつでありながら、それ単独では精査の起点になりにくい。

何を測っているか

γ-GTPは細胞膜結合酵素で、のγ-グルタミル基をペプチドやアミノ酸へ転移する反応を触媒する。この反応はアミノ酸を細胞内へ取り込むの一部を担い、肝・腎()・膵・腸など複数の臓器の細胞膜に発現する。

flowchart TD
    A["γ-GTPの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue distribution'>組織分布</span>"] --> B["肝:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='canalicular membrane'>毛細胆管膜</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile duct epithelium'>胆管上皮</span>"]
    A --> C["腎:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>"]
    A --> D["膵・腸"]
    B --> E["胆汁うっ滞・胆道刺激で血中へ逸脱"]
    C --> F["管腔(尿)側に配向し尿中へ排泄"]
    E --> G["血清γ-GTP=ほぼ肝胆道由来"]

腎には肝より多くのγ-GTPが含まれるが、上皮では酵素が管腔側(尿側)を向いて配置されており、逸脱しても尿中へ出て血中にはほとんど反映されない。この非対称性のため、「腎疾患ではγ-GTPは上がらない」という臨床上の性質が生まれる。血清γ-GTPが反映するのは実質的に肝胆道系だけと考えてよい。

基準値と単位

U/Lで表す。⭐ 他のより性差が大きいことが特徴である。日本臨床検査標準協議会の共用では男性13〜64 U/L、女性9〜32 U/Lとされ、でも0.7前後と、AST・ALT・ALPを含むの中で最も男女差が明瞭な部類に入る1

要因 内容
性差 男性が女性よりかなり高い。は性別で分けて解釈する1
施設差 測定法・試薬キットによりが施設ごとに異なる。健診票に記載されたを使う
年齢差(成人) 加齢とともにやや上昇する傾向がある1
新生児・乳児 生理的に成人基準より高い(詳細は「測定上の注意」)

高値の意味

機序で群にまとめると、ALPと重なる部分と、γ-GTPだけが反応する部分に分かれる。

機序 代表例 手掛かり
胆汁うっ滞( ALPと並行して上昇する
アルコール、フェニトイン・カルバマゼピン・、リファンピシンなど 肝障害がなくても上がる。特異度の低さの中心
脂肪性肝疾患・代謝要因 、肥満、糖尿病 や脂質異常など他の所見を伴うことが多い
・腫瘍性病変 病歴と画像で確認する
心うっ血 による肝うっ血 右心不全所見を伴う

低値の意味

低値は臨床的にほとんど意味を持たない。などで軽度に低下することがある程度で、低値そのものを手掛かりに診断へ進む場面は乏しい。

⚠️ 測定上の注意

  • 単独高値の扱い:健診で最も頻度の高い異常のひとつだが、単独では由来臓器も重症度も決められない。本来の役割はALP高値が肝胆道由来であることを確認する検査であり、他の異常を伴わない単独のγ-GTP高値だけを理由に精査を広げるべきではない2AST・ALTビリルビン・画像所見と組み合わせて評価する。
  • 飲酒の影響と半減期後の血清γ-GTPの減衰半減期は約26日(3〜4週)と算出されている3してもすぐには下がらないため、1回の値だけで直近のの有無を評価しない。
  • 骨疾患では上がらない:骨芽細胞にγ-GTPは存在しない。ALP高値でγ-GTPが正常なら骨由来を疑う根拠になる。
  • 妊娠では上がらないのALP高値は胎盤型によるもので、γ-GTPは上昇しない。この対比はALP高値の由来評価に有用である。
  • 新生児・乳児では生理的に高い:成人基準をそのまま当てはめない。

経時変化とモニタリング

単回値より推移を重視する。ALTとALPの上昇比から・混合型を分類するR値はALPを用いる指標であり、γ-GTPは使わない。定義と解釈はALPノートの「の切り分け(R値)」節を参照し、混同しないようにする。指導の経過観察では、半減期が3〜4週と長いことを踏まえ、数日〜1週間程度の再検で低下が乏しくてもの失敗と即断しない。

まとめ

  • γ-GTPは肝・腎・膵・腸に分布するが、血清中の値はほぼ肝胆道由来である。腎由来は尿中へ排泄され血中に反映されない。
  • 性差が他のより大きく、は男性13〜64 U/L、女性9〜32 U/L(JCCLS共用)。
  • 高値は胆汁うっ滞、(アルコール・薬剤)、脂肪性肝疾患・代謝要因、・腫瘍性病変、心うっ血に分けて読む。は肝障害がなくても起こる点が特異度の低さの中心である。
  • 単独高値は健診で最も多い異常のひとつだが、それ単独では臓器も重症度も決められない。ALP高値を肝胆道由来と確認する検査として使うのが本来の役割である。
  • 後の半減期は約26日で、1回の値での成否を判断しない。
  • 骨疾患・妊娠では上がらないため、ALP高値の由来を切り分ける実務的な手掛かりになる。R値はALPを用いる指標であり、γ-GTPは使わない。

出典

  1. 1.ACG Clinical Guideline: Evaluation of Abnormal Liver Chemistries(American Journal of Gastroenterology・2017)本文のRecommendation 1・13、Figure 4から、ALP高値の評価では血清GGTで確認すること、GGTは肝疾患に対する特異度を欠くため他の肝機能検査異常を伴わない単独のスクリーニング検査として用いるべきでないこと、総ビリルビンと血清トランスアミナーゼが正常でALPのみ高値の場合はまず血清GGTで確認し、GGTが正常なら非肝胆道系の病因を、異常であれば右上腹部エコー・肝毒性薬剤の評価・AMA/ANA/SMAへ進む評価順序であることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲 ―解説と利用の手引き―(日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会・2022)表1-1・表1-2(JCCLS共用基準範囲)から、γグルタミルトランスフェラーゼ(γGT)の基準範囲が男性13〜64 U/L、女性9〜32 U/Lであること、表3・図5の群間差指数(SDR)で性差が0.74〜0.77とAST・ALT・ALPを含む肝関連酵素の中でも際立って大きいこと、図6の性別・年齢変化図でγGTが男女とも加齢に伴って緩やかに上昇する傾向を示すことを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Relationship between gamma-glutamyl transpeptidase and mean urinary alcohol levels in alcoholics while drinking and after alcohol withdrawal(Alcoholism: Clinical and Experimental Research・1985)抄録から、アルコール性肝疾患患者のうち8週間の断酒を維持できた32例で、血清GGTの減衰半減期が26日と算出されたことを確認した。本文(原論文)は購読制のため未取得、抄録のみ確認。閲覧 2026-08-04