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Drug Atlas · B25 GI & hepatobiliary drugs / 消化器・肝胆道薬

コール酸

cholic acid

分類
GI & hepatobiliary drugs / 消化器・肝胆道薬
商品名(EU)
Orphacol
科目
PharmacologyPediatrics
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract50: Cholestatic liver disease in childhood
承認適応
Zellwegerスペクトラム障害
副作用
下痢悪心腹痛黄疸倦怠感
監視検査値
アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)γ-GTPアルカリホスファターゼビリルビンプロトロンビン時間
相互作用
コレスチラミンコレセベラムシクロスポリンA
対象疾患
先天性胆汁酸合成異常症

🧠 全体像:は、肝でコレステロールから作られるそのものを薬にしたものである1。合成経路の酵素が欠けている患者では、下流のが足りない(と脂質・が落ちる)と同時に、上流で毒性のあるが溜まる。を外から入れると、を介した生理的なで上流の合成が止まり、同時に不足していたが埋まる——1つの薬が「足す」と「止める」を同時にやるのが要点である。⚠️ 米国添付文書の禁忌欄は「なし」だが、禁忌欄が空であることは安全に使えることを意味しない。既存の線維化・進行した肝疾患がある患者では、がかえって肝疾患を悪化させうる2。

薬効群の中での位置づけ

薬 への働き方 主な使いどころ
欠けているそのものを補い、上流の合成をする 先天性の、の肝胆道系症状
を足しての毒性を薄める 、
・ 腸管で胆汁酸を吸着して体外へ捨てる 胆汁うっ滞に伴う掻痒、

⭐ とは正反対の方向を向いている。 併用すればレジンがを吸着してしまうため、服用間隔を空けることが添付文書上の要件になる(後述)。

機序

flowchart TD
    A["コレステロール"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary bile acids'>一次胆汁酸</span>の合成経路"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholic acid'>コール酸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chenodeoxycholic acid'>ケノデオキシコール酸</span>"]
    D["経路上の酵素が欠損"] --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary bile acids'>一次胆汁酸</span>が不足<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile flow'>胆汁流</span>低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steatorrhea'>脂肪便</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fat-soluble vitamin absorption'>脂溶性ビタミン吸収</span>低下"]
    D --> F["毒性のある<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intermediate metabolite'>中間代謝産物</span>が蓄積<br>胆汁うっ滞・肝障害"]
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholic acid'>コール酸</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral supplementation'>経口補充</span>"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile acid pool'>胆汁酸プール</span>を補填し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile flow'>胆汁流</span>を回復"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='farnesoid X receptor'>FXR</span>のリガンドとして<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile acid synthesis'>胆汁酸合成</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='feedback inhibition'>フィードバック抑制</span>"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intermediate metabolite'>中間代謝産物</span>の産生が減る"]

はのリガンドとして働き、がに関わる酵素と輸送体を調節することで、に生理的ながかかる1。

薬物動態

で吸収され、に入る。肝でグリシンまたはと抱合され、主に抱合型としてに参加する1。

適応

⚠️ 地域で承認内容が違う。 同じでも、米国と欧州で承認されている疾患の範囲が異なる。

地域・製品
①によるの治療、②肝疾患の症候・・低下による合併症を呈する(を含む)の1
またはによる合成の。生後1か月から成人まで3

⚠️ の適応は米国のもので、欧州で承認されている製剤の適応には含まれない3。

⚠️ に効く薬ではない。 米国添付文書は、これらの疾患のに対する有効性・安全性は確立していないと明記している1。の神経症状・副腎不全・難聴を治療するものではなく、あくまで肝胆道系の症状に限定したである。

用法・用量

場面 用量
通常用量(小児・成人) 10〜15 mg/kgを1日1回、または2回に分けて1
を併存する患者 11〜17 mg/kg/日1
5〜15 mg/kg/日。胆汁酸の状態に応じて個別に調整し、1日最小50 mg・最大500 mg3
  • 食事とともに服用する。噛んだり砕いたりしない1。
  • カプセルを飲み込めない患者では、開封して中身を・母乳・軟らかい食物に混ぜ、30秒撹拌して直ちに投与する1。
  • 剤形は50 mgと250 mgのカプセルである1。

禁忌・注意

⚠️ 米国添付文書の禁忌は「なし」である1。これを「安全に使える」と読み替えない。

  • 肝障害の増悪。 ではベースラインで症患者の約86%・患者の約50%が肝障害を有しており、そのうち5例(症3例・2例)が治療後にの悪化・・上の胆汁うっ滞の悪化を来した1。⚠️ 既存の線維化・進行した肝疾患がある患者では、投与が肝疾患を悪化させうる2。
  • モニタリング。 ・・γ-GTP・・ビリルビン・(由来)を、最初の3か月は毎月、次の9か月は3か月ごと、その後3年間は6か月ごと、以降は年1回測定する1。
  • 中止基準。 治療開始から3か月以内に肝機能が改善しない場合、または完全な胆道閉塞を来した場合は中止する。肝機能悪化・胆汁うっ滞を示す・が持続する場合も中止する1。
  • 相互作用。 ()阻害薬(など)との併用は避ける。やむを得ず併用する場合はとビリルビンを監視する1。・などのやとは、1時間以上前、または4〜6時間以上後(可能な限り長い間隔)に服用する1。
  • 妊娠。 ヒト・動物いずれのも行われていない。妊娠中に曝露した女性の転帰を追跡するプログラムがある1。
  • 小児。 生後3週以上の患者で有効性・安全性が確立している1。

副作用

頻度1%以上の副作用は、下痢・・倦怠感・黄疸・皮膚病変・悪心・腹痛・・尿路感染・末梢神経障害である1。

💡 黄疸と倦怠感は、副作用としても原疾患の増悪としても現れうる。 どちらかを決めるのは症状ではなく、上のスケジュールで測っている肝機能・凝固の推移である。

まとめ

  • はそのものを補充する薬で、不足したを埋めると同時に、を介したで上流の毒性中間体の産生を減らす。
  • 米国では①によるの治療、②肝疾患・・低下を伴う(を含む)のとして承認されている。欧州で承認されている製剤の適応は別の2つの酵素欠損症に限られ、を含まない。
  • 用量は米国で10〜15 mg/kg/日(併存例では11〜17 mg/kg/日)、欧州で5〜15 mg/kg/日(1日50〜500 mg)。食事とともに投与する。
  • 添付文書上の禁忌はないが、既存の線維化・進行した肝疾患ではむしろ肝障害を悪化させうる。肝機能・凝固を定められた間隔で追い、3か月以内に改善しなければ中止を検討する。
  • 阻害薬との併用は避け、・とは服用間隔を空ける。

出典

  1. 1.CHOLBAM (cholic acid) capsule — prescribing information(DailyMed(U.S. National Library of Medicine)/Mirum Pharmaceuticals・2026)米国添付文書(Revised 1/2026)の全文を確認した。適応が①単一酵素欠損による胆汁酸合成障害の治療、②肝疾患の症候・脂肪便・脂溶性ビタミン吸収低下による合併症を呈するペルオキシソーム障害(Zellwegerスペクトラム障害を含む)の補助療法であり、これらの疾患の肝外症状に対する有効性・安全性は確立していないこと、通常用量が小児・成人とも10〜15 mg/kgを1日1回または2回に分けて経口投与であり家族性高トリグリセリド血症を併存する患者では11〜17 mg/kg/日であること、食事とともに服用し噛んだり砕いたりせず嚥下できない患者ではカプセルを開封して人工乳・母乳・軟らかい食物に混ぜ30秒撹拌して直ちに投与すること、剤形が50 mgと250 mgのカプセルであること、禁忌が「None」と明記されていること、臨床試験で単一酵素欠損症患者の約86%・ペルオキシソーム障害患者の約50%がベースラインで肝障害を有し、そのうち5例(単一酵素欠損症3例・ペルオキシソーム障害2例)が治療後に血清トランスアミナーゼの悪化・ビリルビン上昇・肝生検上の胆汁うっ滞の悪化を来したこと、AST・ALT・γ-GTP・アルカリホスファターゼ・ビリルビン・INRを最初の3か月は毎月、次の9か月は3か月ごと、その後3年間は6か月ごと、以降は年1回モニタリングすること、治療開始3か月以内に肝機能が改善しない場合または完全な胆道閉塞を来した場合に中止すること、肝機能悪化・胆汁うっ滞の持続的な臨床・検査所見がある場合も中止すること、頻度1%以上の副作用が下痢・逆流性食道炎・倦怠感・黄疸・皮膚病変・悪心・腹痛・腸ポリープ・尿路感染・末梢神経障害であること、BSEP阻害薬(シクロスポリン等)との併用を避けること、胆汁酸吸着レジンまたはアルミニウム含有制酸薬とは1時間以上前あるいは4〜6時間以上後(可能な限り長い間隔)に服用すること、コール酸が肝でコレステロールから合成される一次胆汁酸でありFXRのリガンドとして胆汁酸合成に生理的なフィードバック抑制をかけること、受動拡散で吸収され胆汁酸プールに入り肝でグリシンまたはタウリンと抱合され主に抱合型で腸肝循環すること、妊娠についてヒト・動物の生殖試験がなく妊娠曝露のサーベイランスプログラムがあること、小児では生後3週以上で有効性・安全性が確立していることを確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2.Zellweger Spectrum Disorder(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2020)Zellwegerスペクトラム障害の対症療法にコール酸によるC27胆汁酸中間体低下療法が含まれること、ただし既存の線維化および進行した肝疾患がある患者ではコール酸投与が肝疾患を悪化させうること(原文 "Cholic acid supplementation can worsen liver disease in individuals with preexisting fibrosis & advanced liver disease")、あわせて脂溶性ビタミン・ビタミンK補充などの支持療法を行うことを確認した。閲覧 2026-09-02
  3. 3.Orphacol (cholic acid) — European public assessment report(European Medicines Agency・2013)EUで承認されているコール酸製剤Orphacolの適応が「3β-ヒドロキシ-Δ5-C27-ステロイドオキシドレダクターゼ欠損症またはΔ4-3-オキソステロイド-5β-レダクターゼ欠損症による一次胆汁酸合成の先天異常の治療」であり、ペルオキシソーム病を含まないこと、対象年齢が生後1か月から成人までであること、承認が2013年9月12日付であること、用量が体重1 kgあたり1日5〜15 mgで患者ごとに胆汁酸の状態に応じて調整し1日最小50 mg・最大500 mgとされていることを確認した。閲覧 2026-09-02