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Drug Atlas · B9 Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬 · 必修

コレスチラミン

cholestyramine

分類
Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬
商品名(日本)
クエストラン
商品名(EU)
Questran
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tractB9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
承認適応
脂質異常症原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞
副作用
便秘腹部膨満
相互作用
ケノデオキシコール酸コール酸レボチロキシンワルファリン
対象疾患
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症薬剤性胆汁うっ滞

🧠 全体像:は、腸管内で胆汁酸を吸着するの元祖であり、など後発のと機序は同じだが、より粗く選択性の低い旧世代の樹脂という位置づけになる。適応は大きく2つ、①コレステロールを下げる(を断ってコレステロールをに消費させる)、②胆汁うっ滞性の掻痒を和らげる(皮膚に沈着する胆汁酸そのものを減らす)——ところがこの2つ目の適応、米国添付文書には明記されているのに日本の添付文書には無い。臨床ではの掻痒治療に広く使われているにもかかわらず、国によって「正式な適応」の扱いが割れているという食い違いを知っておく価値がある。

薬効群の中での位置づけ

「をどこで下げるか」という軸で整理すると、はそのものを断つ薬に位置する。

分類 代表薬 標的・機序 主な使いどころ
①肝でのコレステロール合成阻害(スタチン) 等 還元酵素阻害 低下の第一選択
②小腸での阻害 小腸輸送体阻害 スタチン併用・不耐時の代替
③の遮断(・旧世代) 腸管内で胆汁酸を吸着・排泄 全身に吸収されない旧世代の樹脂。の緩和も正式適応(米・英・西。日本の効能・効果には無い)。妊娠・授乳の扱いは国で割れる(→妊娠・授乳)
③の遮断(・新世代) 同上、選択性が高い設計 消化器がより良い
④阻害 等 機能阻害 スタチンでも未達の例

⭐ 旧世代()と新世代()の違いは「効き目」ではなく「飲みやすさと選択性」。 は・選択性がに劣り、消化器症状(便秘・)や他剤の吸着阻害がより起こりやすい粗い樹脂である。それでもの緩和が米国で正式な適応になっている数少ない薬という独自の立ち位置を長く保っている12。⚠️ ただし「米国で唯一承認された薬」ではない。 回腸(IBAT)阻害薬のマラリキシバト(LIVMARLI)とオデビキシバト(BYLVAY)も米国での適応を持つ34。ただし両剤の適応はアラジール症候群とという2疾患に限られるのに対し、の米国適応は原因疾患を限定せず「に伴う掻痒」という病態で書かれており、使える範囲の広さが違う1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholestyramine'>コレスチラミン</span>を内服(腸管内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-absorbable'>非吸収性</span>)"] --> B["腸管内で胆汁酸を吸着し複合体を形成"]
    B --> C["胆汁酸が再吸収されず便中へ排泄される"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Enterohepatic circulation'>腸肝循環</span>で肝へ戻る<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile acid pool'>胆汁酸プール</span>が減少"]
    D --> E["肝がコレステロールから胆汁酸を新規合成"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic'>肝内</span>コレステロールが消費され減少"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-density lipoprotein'>LDL</span>受容体発現が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='compensatory'>代償的</span>に増加"]
    G --> H["血中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-density lipoprotein cholesterol'>LDL-C</span>の取り込み↑→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-density lipoprotein cholesterol'>LDL-C</span>↓"]
    C -.->|"皮膚に沈着する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile acid pool'>胆汁酸プール</span>も間接的に減少"| I["胆汁うっ滞性の掻痒が軽減する"]

💡 掻痒への効果は「低下」とは別の話。 低下はコレステロール減少と受容体増加という機序で説明できるが、の正確な自体がまだ完全には解明されていない(胆汁酸だけでなく、やの関与も想定されている)。は「掻痒のそのものを厳密に狙い撃つ」薬というより、「を経由する候補物質をまとめて減らす」薬と理解する方が実態に近い。

適応

領域 使いどころ
()のの補助。にを下げる——8〜12 g/日で12〜18%低下、最大用量24 g/日で最大25%低下(ただし消化器症状でされないことが多い)。⚠️ よく引かれる15〜30%という数字はAHA/ACCガイドラインがというクラスについて述べた低下率であって、自身のの数値ではない2。スタチン・禁忌例の代替という位置づけで第一選択ではない2。妊娠中の扱いは文書と脂質ガイドラインで書きぶりが違う(後述の「妊娠・授乳」)
・などの掻痒に対し、米国添付文書ではに伴う掻痒の緩和として正式に承認されており、は約80%とされる12。英国のSmPCとスペインのficha técnicaはに加えてに伴う掻痒まで適応に挙げる56。日本の添付文書にはこの適応の記載が無く、実臨床での使用は適応外にあたる7
薬物除去(日本の適応) の()をの遮断により体外へ積極的に排泄させる目的(妊娠希望時・重篤な副作用時)

用法・用量

:4gを1日1〜2回、水などの液体に懸濁して服用する(乾燥のまま服用しない)。は8〜16g/日(分2〜3)、最大24g/日まで漸増できる1。日本では1回4gを1日2〜3回として用いる用法が添付文書に記載されている7。他のとは服用時刻を数時間ずらす(本剤の1時間前または4〜6時間後が一般的な目安)ことで吸着による相互作用を減らす。実際の用法・併用薬の服用順序は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:(胆汁が腸管に出ないため吸着する胆汁酸が存在せず無効)、本剤成分への過敏症の既往17
  • :著明な、の既往
  • ⚠️ ワルファリン・・ジゴキシン・など多数のの吸収を物理的に妨げる。 治療域の狭い薬剤では特に服用時刻を厳密にずらし、必要に応じ効果をフォローする1
  • ⚠️ 腸閉塞。 高度の便秘・持続する腹痛・嘔吐が現れた場合は投与を中止する7
  • 長期投与では(A・D・E・K)の吸収低下に注意し、によるをフォローする

妊娠・授乳

⚠️ 「全身に吸収されないから妊娠中も安全」は、文書の裏づけではない。 4つの文書のどれも安全性が確立しているとは書いていない。全身に吸収されないことは各文書とも認めているが、そのうえでの吸収阻害という経路で母児に影響しうる点を注意として残しており、の書きぶりは国によって割れる。

文書 妊娠 授乳
米国 添付文書(PRECAUTIONS) C。妊婦での適切かつ十分に管理された試験は無く、妊娠中・授乳中・の女性への使用は有益性と母児への危険性を比較して決める。全身には吸収されないがの吸収を妨げるため、通常の妊婦向けビタミン補充では足りないことがある1 へ投与するときは慎重に。上のビタミン吸収低下が乳児に影響しうる1
日本 電子添文 9.5/9.6 妊婦・妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する(いわゆる有益性投与。禁忌ではない)7 治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続・中止を検討する7
英国 SmPC 4.6 妊娠中・授乳中の安全性は確立していないとし、の吸収阻害の可能性を考慮するよう求める(禁忌ではないが、使えるとも書いていない)5 同じ一文で妊娠とまとめて扱われる(上に同じ)5
スペイン ficha técnica(Resincolestiramina 4g) 安全性が確立しておらず、妊娠中は使用しないことと明記する。理由づけとして、樹脂は全身に吸収されないので胎児への直接の害は考えにくいが、の吸収阻害により胎児・新生児に有害な影響が生じうる、と書いている6 授乳中も使用しない6

💡 それでも「妊娠中のといえば」と教えられるのは、文書ではなく脂質のガイドライン側の話である。 スタチンが使えない以上、薬物療法を続けるなら全身に吸収されない薬しか残らないという消去法で、米国のNational Lipid Associationの指針を引くStatPearlsはを妊娠中に優先される選択肢としており、授乳についてもで母乳へ移行しないことを理由に許容されるとしている2。⚠️ ただしこれは薬効群()についての推奨であって、個々の承認内容が妊娠中の使用を支持しているわけではない。 の補充と母体のを含めて個別に判断する。

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘(特に高齢者・高用量で多い)
注意 腹部膨満、、(A・D・E・K)欠乏
重篤・まれ 、腸閉塞、による、小児での1

まとめ

  • 腸管内で胆汁酸を吸着するの元祖。など新世代薬より選択性が低く、消化器でやや劣る。
  • の遮断によりコレステロールが減り受容体がに増加し、がに低下する(8〜12 g/日で12〜18%、最大用量24 g/日で最大25%)。15〜30%はクラスとしてのの数字で、自身のと混ぜない2。
  • に対しては米国で正式に承認された数少ない薬(約80%)だが、日本の添付文書にはこの適応が明記されていないという国際的な食い違いがある。⚠️ 「米国で唯一」ではない——IBAT阻害薬のマラリキシバト・オデビキシバトも同適応を持つ(ただしアラジール症候群とに限る)34。
  • ワルファリン・など多数のの吸収を物理的に妨げるため、服用時刻を数時間ずらす。
  • 便秘が最も多い副作用。腸閉塞・は特に注意・禁忌にあたる。
  • 妊娠・授乳の扱いは文書ごとに違う(米国はカテゴリーCで有益性と危険性の比較、日本は有益性投与、英国は安全性未確立、スペインは妊娠中・授乳中とも使用しない)。「全身に吸収されないから安全」と読まない——共通しているのはの吸収阻害という懸念のほうである。

出典

  1. 1.Cholestyramine for Oral Suspension, USP — Prescribing Information(DailyMed (U.S. FDA)・2022)米国での承認適応が原発性高コレステロール血症(食事療法の補助)と、部分的胆道閉塞に伴う掻痒の緩和の2つであること、開始用量4g・1〜2回/日から維持量8〜16g/日(最大24g/日)まで漸増する用法、禁忌(完全胆道閉塞、成分過敏症)、重大な副作用(高齢者・高用量で多い便秘、糞便塞栓、ビタミンK欠乏による出血傾向、小児での高塩素性代謝性アシドーシス)、他の経口薬は本剤の1時間前または4〜6時間後に服用するよう推奨されていることを確認した(改訂2022年12月)閲覧 2026-08-10
  2. 2.Cholestyramine Resin(StatPearls / NCBI Bookshelf・2025)コレスチラミンによる胆汁うっ滞性掻痒の奏効率が約80%であること(逐語 `A 4 g dose of cholestyramine 1 to 3 times daily is effective in 80% of the cases`)、LDL-C低下率について2段に分けて書かれていること——薬効群としては逐語 `Per AHA/ACC guidelines, bile acid sequestrants decrease LDL-C levels by 15% to 30%, depending on the dose`、コレスチラミン自身の用量反応としては逐語 `A dose of 8 to 12 g of cholestyramine is associated with a 12% to 18% reduction in LDL cholesterol` と `A maximal dose of cholestyramine (24 g) may reduce LDL cholesterol by up to 25%`(⚠️ 前任の実行はこの2段を合成して「用量依存性に約12〜30%」と書いていたが、12〜18%と最大用量で25%まではコレスチラミン自身の数値、15〜30%は胆汁酸吸着薬というクラスへのAHA/ACC由来の数値である)、National Lipid Associationの指針を引いてスタチンが脂質低下薬の第一選択であり胆汁酸吸着薬等はスタチン不耐容・禁忌例で考慮されるとしていること、同じ指針を根拠に胆汁酸吸着薬が妊娠中に優先される(bile acid sequestrants are preferred during pregnancy/can be administered to pregnant women)と述べていること、授乳については非吸収性で母乳へ移行しないため許容されるとしていることを確認した(最終更新2025年4月)閲覧 2026-08-10
  3. 3.LIVMARLI (maralixibat) oral solution — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / labeler Mirum Pharmaceuticals Inc.・2025)drugInfoページ全文を自分で取得して確認した(改訂表示は Revised 4/2025)。1 INDICATIONS AND USAGE が逐語で `the treatment of cholestatic pruritus in patients 3 months of age and older with Alagille syndrome (ALGS)` と `the treatment of cholestatic pruritus in patients 12 months of age and older with progressive familial intrahepatic cholestasis (PFIC)` の2項からなり、胆汁うっ滞性掻痒が米国の承認適応であること、ただしその対象がアラジール症候群と進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に限られ、胆汁うっ滞性掻痒一般には及ばないことを確認した閲覧 2026-09-17
  4. 4.BYLVAY (odevixibat) capsules, for oral use; BYLVAY (odevixibat) oral pellets — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / labeler Ipsen Biopharmaceuticals, Inc.・2025)drugInfoページ全文を自分で取得して確認した(改訂表示は Revised 12/2025)。1 INDICATIONS AND USAGE が逐語で `the treatment of pruritus in patients 3 months of age and older with PFIC` と `the treatment of cholestatic pruritus in patients 12 months of age and older with ALGS` の2項からなり、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬として胆汁うっ滞に伴う掻痒が米国の承認適応であること、ただしその対象が進行性家族性肝内胆汁うっ滞症とアラジール症候群に限られることを確認した閲覧 2026-09-17
  5. 5.Questran 4g/sachet Powder for Oral Suspension - Summary of Product Characteristics(Neon Healthcare Ltd / electronic medicines compendium (emc)・2024)英国SmPCの4.6を逐語で確認した——The safety of colestyramine in pregnancy and lactation has not been established and the possibility of interference with absorption of fat-soluble vitamins should be considered.(妊娠中・授乳中の安全性は確立しておらず、脂溶性ビタミンの吸収阻害の可能性を考慮する)。禁忌ではないが「使える」とも書いていない。あわせて4.1の適応が5項目で3番目が部分的胆道閉塞および原発性胆汁性肝硬変に伴う掻痒の緩和であること、4.3の禁忌が過敏症と完全な胆道閉塞の2項目であること、本文末の改訂日が27/06/2024であることを確認した閲覧 2026-09-17
  6. 6.Ficha técnica Resincolestiramina 4 g polvo para suspensión oral(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (AEMPS)・2023)REVISIÓN DEL TEXTO Febrero 2023 のficha técnicaで4.6を逐語確認した——No se ha establecido la seguridad de Resincolestiramina durante el embarazo y la lactancia. Resincolestiramina no debe utilizarse durante el embarazo y la lactancia. Aunque las resinas de intercambio no se absorben sistémicamente, por lo que no es probable que causen daño al feto, al interferir con la absorción de vitaminas liposolubles podrían producirse efectos adversos en el feto o en el neonato.(妊娠中・授乳中の安全性は確立しておらず使用しないこと。樹脂は全身に吸収されないため胎児への害は考えにくいが、脂溶性ビタミンの吸収阻害により胎児・新生児に有害な影響が生じうる)。4.1の適応に部分的胆道閉塞または原発性胆汁性肝硬変に伴う掻痒が含まれることも確認した閲覧 2026-09-17
  7. 7.クエストラン粉末44.4%(サノフィ株式会社(PMDA 医療用医薬品電子添文)・2023)2023年7月改訂(第1版)の電子添文本文を取得して確認した。効能又は効果が高コレステロール血症とレフルノミドの活性代謝物の体内からの除去の2つに限られ、**掻痒の適応が無い**こと(米国添付文書との相違)、用法・用量(高コレステロール血症はコレスチラミン無水物として1回4gを水約100mLに懸濁し1日2〜3回)、禁忌が完全な胆道の閉塞と成分過敏症の2項目であること、重大な副作用が腸閉塞(頻度不明)であること、併用注意の服用間隔(原則本剤投与前4時間若しくは投与後4〜6時間以上、フルバスタチンナトリウム等は本剤投与後少なくとも3時間、エゼチミブは本剤投与前2時間あるいは投与後4時間以上)を確認した。9.5妊婦は「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」、9.6授乳婦は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」で、いずれも禁忌ではない閲覧 2026-09-17