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Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)

Biliary tract cancer (cholangiocarcinoma and gallbladder cancer)

臓器系
腫瘍肝胆膵
科目
Internal MedicineSurgeryPathology
トピック
内科学 L-78:膵・胆道悪性腫瘍外科学 B/12:胆道腫瘍(胆管癌・胆嚢癌)外科学 S-11:胆嚢・胆道の悪性疾患病理学 C/52:胆道系・胆嚢の炎症と腫瘍
鑑別疾患
IgG4関連疾患膵癌
続発疾患
急性胆管炎
治療薬
ゲムシタビンシスプラチンデュルバルマブペムブロリズマブカペシタビン
症状
悪心圧痛右季肋部痛黄疸倦怠感食欲不振心窩部痛掻痒体重減少発熱
検査値
CA19-9CEA
画像所見
石灰化磁器様胆嚢超音波内視鏡
原因となる疾患
Caroli病ウイルス性肝炎肝硬変原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎総胆管嚢腫胆石症
禁忌薬
テデュグルチド

🧠 全体像は、または胆嚢粘膜から発生する腺癌を「どの高さで発生したか」で捉えるである。)・の4亜型は、共通して早期は無症状〜非特異的で発見が遅れやすく予後不良という点で似ているが、典型的な臨床像と根治術式は亜型ごとにまったく異なる。部・は進行性ので見つかりやすく、に対する後の病理標本で偶発的に見つかることが多い。根治可能性を左右するのは常に「ができるか」であり、・転移例では+シスプラチンにまたは)を加える治療が現在の第一選択である。

概念と分類

は発生部位によって、(二次胆管より末梢の内から発生)、(さらにに分かれる)、に大別される。より頻度が高い。好発年齢はともに60〜70歳台で、はやや女性に多い。

flowchart TD
    A["胆道上皮由来の腺癌"] --> B{"発生部位はどこか"}
    B -->|"二次胆管より末梢の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic parenchyma'>肝実質</span>内"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic cholangiocarcinoma, ICC'>肝内胆管癌</span>"]
    B -->|"左右肝管<span class='jp-term jp-term-diagram' title='confluence (duct junction)'>合流部</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perihilar cholangiocarcinoma'>肝門部胆管癌</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Klatskin tumor'>Klatskin腫瘍</span>)"]
    B -->|"膵内胆管を含む<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common bile duct (CBD)'>総胆管</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pars distalis'>遠位部</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='distal cholangiocarcinoma'>遠位胆管癌</span>"]
    B -->|"胆嚢粘膜"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gallbladder cancer'>胆嚢癌</span>"]
    C --> G["非特異的症状で発見されやすい<br>(黄疸は稀)"]
    D --> H["進行性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='painless jaundice'>無痛性黄疸</span>で発見されやすい"]
    E --> H
    F --> I["早期は無症候<br>胆嚢摘出標本での偶発診断が多い"]

⭐ 4亜型は「同じ胆道上皮系の腺癌」という共通項を持ちながら、発生部位によって症状の出方と標準術式が大きく異なる点を学習の軸にする。

亜型 主な発生部位 典型的な臨床像 標準的な
二次胆管より末梢の 非特異的(感、体重減少、不快感)。黄疸は稀 肝切除+領域リンパ節評価
左右肝管 進行性の 胆管切除を伴う肝/拡大肝切除(で切除範囲を決定)、を検討
膵内胆管を含む 進行性のと同様の解剖学的位置で胆道閉塞をきたす)
胆嚢粘膜 早期は無症候。胆嚢摘出標本での偶発診断が多く、進行例では・体重減少・黄疸・腫瘤・腹水 (T)に応じて〜肝床切除・拡大肝切除+リンパ節郭清

疫学・危険因子

は危険因子が異なり、前者は主に慢性の胆道結石・炎症、後者は慢性胆汁うっ滞と胆道感染を共通の背景に持つ。

亜型 主な危険因子
長期の(特に大きな結石)、、10 mm以上・増大傾向・、膵・胆管合流異常、慢性の細菌・
共通) )、症、Clonorchis sinensis)感染、慢性胆道感染・胆道狭窄、肝硬変・慢性ウイルス性肝炎

の悪性リスク評価、無症候性胆石を一律に手術しない考え方はのノートで詳述した基準に準じる。の癌リスクは石灰化様式で異なり、石灰化があるだけで一律に癌または手術適応とはしない。

病理

は大部分が腺癌で、一部に扁平上皮癌がある。組織型は平坦・硬性・浸潤性型(低分化)とポリープ状・隆起性型(高分化)に分けられ、多くは診断時にすでに領域リンパ節または隣接臓器へ浸潤・転移している。も胆道分化を示す腺癌が大部分を占め、いずれの亜型も慢性胆汁うっ滞と慢性炎症を共通の発生背景に持つ。

臨床像

  • 部・:進行性のが典型的で、感染を合併すれば胆管炎を来す。(無痛性・非圧痛性に触知できる腫大胆嚢)を伴うことがある。
  • :鈍い右上腹部痛または感、体重減少、発熱など非特異的な症状にとどまり、黄疸は末期まで目立たない。
  • :早期は無症候で、に対する後の病理検査で偶発的に診断されることが多い。進行例では、体重減少、悪心、黄疸、腫瘤触知、腹水が出現する。

💡 と同じ解剖学的な高さで胆道を閉塞するためという臨床像が重なるが、は胆管の腫瘍であるのに対し、は周囲から胆管をする点でが異なる。画像・病理でどちらが原発かを慎重に鑑別する必要がある。

診断

腹部超音波を最初の検索とし、閉塞部位・胆嚢病変を確認したうえで造影CT、MRI/MRCPで進展範囲、、肝萎縮、残肝容量、リンパ節・遠隔転移を評価する。ERCPまたはは、細胞診・生検やが必要な場合に行う(診断だけを目的に必須ではない)。

flowchart TD
    A["黄疸・胆道閉塞または胆嚢病変を疑う"] --> B["腹部超音波で閉塞レベル・胆嚢病変を確認"]
    B --> C{"閉塞・腫瘤の局在は"}
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic bile duct'>肝内胆管</span>の末梢"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic cholangiocarcinoma, ICC'>肝内胆管癌</span>を疑う"]
    C -->|"左右肝管<span class='jp-term jp-term-diagram' title='confluence (duct junction)'>合流部</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perihilar cholangiocarcinoma'>肝門部胆管癌</span>を疑う"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common bile duct (CBD)'>総胆管</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pars distalis'>遠位部</span>"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='distal cholangiocarcinoma'>遠位胆管癌</span>を疑う"]
    C -->|"胆嚢内腫瘤・壁肥厚"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gallbladder cancer'>胆嚢癌</span>を疑う"]
    D --> H["造影CT+MRI/MRCPで進展範囲・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular invasion'>血管浸潤</span>・遠隔転移を評価"]
    E --> H
    F --> H
    G --> H
    H --> I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='R0 resection'>R0切除</span>が見込めるか"}
    I -->|"はい"| J["亜型別の根治切除へ"]
    I -->|"いいえ(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unresectable'>切除不能</span>・転移)"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biliary drainage'>胆道ドレナージ</span>+<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gemcitabine'>ゲムシタビン</span>+シスプラチン+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune checkpoint inhibitor (ICI)'>免疫チェックポイント阻害薬</span>"]
    K --> L["進行例では分子プロファイリングで治療標的を検索"]
  • CA19-9CEAを用いるが、いずれも・胆道感染だけで上昇するため単独でスクリーニングや確定診断には使わない。CA19-9は胆汁うっ滞で、Lewis抗原陰性者では産生されずになる。治療前としての測定と、治療後の経過観察への利用が主な役割である。
  • と判断されたでは、を招きうるを安易に行わない。手術戦略は肝胆膵外科チームで統合的に決め、・転移性でを行う場合にのみ断を得る。

⚠️ 診断だけを目的としたルーチンのERCPやCA19-9単独判定は避け、画像でを評価したうえで、生検の要否と方法(EUS下生検、ERCP下ブラッシング、の播種リスクなど)を個別に判断する。

病期分類と治療

外科的切除が唯一のであり、切除後でも5年は10〜30%にとどまる。切除範囲は亜型と病期で決まる。

肝門部胆管癌:Bismuth-Corlette分類

切除範囲を決めるために使う。数字が大きいほど両側の肝管に及び、より広範な肝切除が必要になる。

胆管進展
I 左右肝管より下方
II まで進展するが左右には及ばない
IIIa 右肝管へ進展
IIIb 左肝管へ進展
IV 両側または多中心性に進展

胆嚢癌:深達度(Tステージ)別の術式

T 浸潤範囲 基本方針
T1a まで R0ので十分
T1b 筋層まで 追加根治切除の利益には議論があるが、適格例では肝床切除+所属リンパ節郭清を検討
T2 筋層周囲結合組織まで 肝床またはS4b・S5切除+所属リンパ節郭清
T3 漿膜、肝または隣接臓器浸潤 が見込めれば拡大切除(拡大右肝切除を含む)
T4 門脈・浸潤、または複数臓器浸潤 多くはの見込みと残肝機能、を統合して個別評価

💡 の術式は胃癌・大腸癌のようなT主導の段階的拡大というより、「肝床にどれだけ近いか=肝への浸潤度」でそのまま術式が決まる点がユニークである。胆管切除はR0達成に必要な場合にのみ追加し、ルーチンには行わない。偶発(胆嚢摘出後に病理で判明した例)では、初回標本の・断端・胆嚢穿孔・ポート部汚染を再評価して追加切除の要否を決める。

部位別の根治切除

  • :肝切除+領域リンパ節評価。
  • :胆管切除を伴う肝または拡大肝切除。を検討し、切除範囲はに基づく。厳格な選択基準・を含む専門施設プロトコル下では、早期のの一部がの対象となりうるが、一般的なすべてにを適用するわけではない。

いずれもと適切なリンパ節郭清・評価を目指し、切除後は適格例でによる補助化学療法を検討する。

切除不能・転移例

症候性の胆道閉塞にはERCPまたは、胆道する。一次シスプラチンに、であるまたはを加えるが標準選択肢であり、+シスプラチン単独を標準とする考え方は現在の診療を十分に表さない。も含めた全体でこの枠組みが用いられる。

進行例では包括的ゲノム・分子プロファイリングを行い、FGFR2融合、IDH1変異、BRAF V600EHER2NTRK、MSIなど治療可能な異常を検索する(FGFR2融合・IDH1変異は特にで重要)。全身状態、胆道感染、肝・腎機能、患者のを踏まえ、放射線治療や支持緩和医療を組み合わせる。に限り、一部施設でが局所治療の選択肢となる。は一部施設で胆道開存・局所制御の補助として検討されるが、標準の代わりにはならない。

まとめ

  • は発生部位で)・に分かれ、亜型ごとに臨床像と標準術式が異なる。
  • 部・は進行性ので見つかりやすく、を伴うことがある。は早期無症候で、胆嚢摘出標本での偶発診断が多い。
  • の危険因子は長期のの危険因子はPSC、症、感染、肝硬変・慢性である。
  • CA19-9CEAでも上昇するため単独診断には用いず、治療前と経過観察に使う。では播種リスクのあるを安易に行わない。
  • 外科的切除が唯一の根治手段で、は肝切除、に基づく肝・拡大肝切除、は膵頭十二指腸切除、はTに応じてから拡大肝切除まで段階的に決まる。
  • ・転移例では+シスプラチンにまたはを加えるが第一選択であり、進行例ではFGFR2融合やIDH1変異などの分子プロファイリングがにつながる。