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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬

イボシデニブ

ivosidenib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
ティブソボ
商品名(EU)
Tibsovo
科目
Internal MedicinePathology
トピック
H-28: Acute Myeloid LeukemiaC/52: Inflammations and tumors of the biliary system and gallbladder
承認適応
急性骨髄性白血病胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)
副作用
発熱呼吸困難浮腫低血圧下痢
監視検査値
QT延長血小板数ヘモグロビン
影響検査値
QT延長血糖カリウム(K)

🧠 全体像:イボシデニブは、AMLの一部で認められるIDH1が新生的に作る異常2-ヒドロキシグルタル酸()を標的とし、酵素そのものを選択的に阻害することでを解除する薬である。細胞を殺す従来のと異なり、芽球を成熟させて分化させるという機序が最大の特徴で、その効果が行き過ぎると「」という薬効の裏返しの副作用を起こす。同じ標的()を作るIDH2変異には効かず、エナシデニブという別の薬が対応する。

IDH1とIDH2、エナシデニブとの違い

項目 イボシデニブ エナシデニブ
標的 IDH1 IDH2
機序 →低下→ 同じ(標的酵素が違うだけ)
主な適応(米国) IDH1変異陽性(未治療・再発治療抵抗性)、IDH1変異 IDH2変異陽性の再発・治療抵抗性
用量 500 mg 1日1回 (エナシデニブのノート参照)
特徴的な副作用 、延長 、

⭐ 「IDH1=イボシデニブ、IDH2=エナシデニブ」と対で覚える。 変異している酵素のがそのまま薬剤選択を決める。

適応・用法

米国添付文書は、IDH1変異陽性の未治療(併用、または75歳以上・強力にな例では単剤)、再発・治療抵抗性、再発・治療抵抗性、既治療の局所進行・転移性()の4区分に適応を持つ1。日本は2025年3月に承認されたばかりで、適応は「IDH1遺伝子変異陽性の」という一区分にまとめられ、併用のみが承認されており米国のようなの区分はない2。用量はいずれも500 mgを1日1回経口(は避ける)で、/では臨床反応を得るために最低6か月継続する1。

⭐ の治療強度の分類では「低強度治療」の代表例として扱われる。 ELNの評価に関する2025年の勧告は、強力化学療法にな患者への低強度治療の選択肢として、・低用量(単独またはグラスデギブ併用)と並び、イボシデニブまたはエナシデニブの単剤もしくは併用を挙げている(詳細はノートを参照)。

では、既治療のIDH1変異陽性・例を対象とした第3相ClarIDHy試験で、に比べ中央値を有意に延長した(2.7か月対1.4か月、0.37)。IDH1変異はの約13%にみられる分子標的である。

禁忌・注意・副作用

  • 正式な禁忌は米国添付文書に記載がない(「None」)1。
  • ⚠️ :投与後1日目から3か月まで、の有無にかかわらず発症しうる。発熱・呼吸困難・低酸素・・胸水/・急激な体重増加・末梢浮腫・低血圧・肝腎多臓器障害を来しうる。10 mgを12時間ごとに静注し血行動態をモニタリングする。を伴う場合はやを追加し、開始後48時間を超えて重症症状が続く場合はする1。💡 ・でもの症候群が起こるが、いずれも「分化を促す薬」に共通する副作用であり、機序を理解していれば初見の薬でも対応が読める。
  • ⚠️ 延長:で平均17ミリ秒延長する。阻害薬やQT延長薬の併用でリスクが増す。投与前・投与中は定期的に心電図を確認し、重症度に応じて・減量・中止する1。
  • 高頻度(、25%以上):、下痢、ヘモグロビン低下、血小板減少、血糖上昇、倦怠感、ALP上昇、浮腫、カリウム低下、悪心・嘔吐1。
  • 日本の製造販売後調査では、について引き続き検討が必要とされている2。

まとめ

  • イボシデニブはIDH1を選択的に阻害し、を低下させて分化を誘導する薬で、IDH2を標的とするエナシデニブと対で理解する。
  • 米国は(未治療・再発治療抵抗性)とIDH1変異に適応を持つが、日本の適応(2025年承認)は併用ののみで、の区分は無い。
  • Boxed Warningはの1本だけである(延長は5.2、は5.3の「および使用上の注意」であってではない)1。は・と共通する「分化を促す薬」特有の副作用である。
  • の治療強度の分類では、エナシデニブ・グラスデギブ併用低用量などと並ぶ低強度治療の代表例として扱われる。

出典

  1. 1.TIBSOVO (ivosidenib) tablet, film coated — full prescribing information(Servier Pharmaceuticals / DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2025)機序(変異型IDH1酵素の阻害により2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)を低下させ骨髄系分化を誘導すること)、米国での適応(IDH1変異陽性の未治療AML〔アザシチジン併用または75歳以上・強力導入化学療法不適格例の単剤〕、再発・治療抵抗性AML、再発・治療抵抗性骨髄異形成症候群、既治療の局所進行・転移性胆管癌)、Boxed Warningとしての分化症候群(投与後1日目〜3か月に白血球増加の有無にかかわらず発症しうること、発熱・呼吸困難・低酸素・肺浸潤・胸水心嚢水・急激な体重増加・末梢浮腫・低血圧・肝腎多臓器障害を来しうること、デキサメタゾン10 mgを12時間ごと静注し血行動態モニタリングを行い、白血球増加合併時はヒドロキシ尿素や白血球アフェレーシスを追加し、コルチコステロイド開始後48時間を超えて重症症状が続く場合は休薬すること)、濃度依存性のQTc延長(平均17ミリ秒延長、CYP3A4阻害薬・QT延長薬併用でリスク増大、心電図のベースライン・定期モニタリングを要すること)、用法・用量(500 mgを1日1回経口、高脂肪食は避ける、AML/MDSでは臨床反応を得るため最低6か月継続)、正式な禁忌は「None」であることを確認した。⚠️ 枠組み警告の本数については、同じSPL(openFDA の drug/label API、set_id 65d254c0-67ad-42c4-b972-ad463b755b2d、effective_time 20251222、version 11)の boxed_warning フィールドが「WARNING: DIFFERENTIATION SYNDROME IN AML AND MDS」の1本だけであり、QTc延長は「5.2 QTc Interval Prolongation」、ギラン・バレー症候群は「5.3 Guillain-Barré Syndrome」として Warnings and Precautions に置かれていて枠組み警告ではないことを確認した。閲覧 2026-09-17
  2. 2.ティブソボ錠250mg(イボシデニブ)審査報告書・審議結果報告書(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)令和7年(2025年)2月18日付の審査報告書が、承認された効能又は効果を「IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」(米国と異なり未治療・再発治療抵抗性を区分しない一区分)、用法及び用量を「アザシチジンとの併用において、通常、成人にはイボシデニブとして1日1回500 mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」とし(日本では単剤療法の承認区分は無い)、令和7年(2025年)3月4日の審議結果で承認して差し支えないとされたこと、製造販売後調査でギラン・バレー症候群についてさらに検討が必要とされたことを確認した。閲覧 2026-09-17