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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬

エナシデニブ

enasidenib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
科目
Internal MedicinePathology
トピック
H-28: Acute Myeloid LeukemiaB-12: Epigenetic changes (DNA methylation, microRNAs) and role in carcinogenesis
承認適応
急性骨髄性白血病
副作用
発熱呼吸困難浮腫下痢悪心
監視検査値
ビリルビン
影響検査値
ビリルビン

🧠 全体像:エナシデニブは、AMLの一部で認められるIDH2が新生的に作る異常2-ヒドロキシグルタル酸()を標的とし、酵素そのものを選択的に阻害することでを解除する薬である。同じ発想でIDH1を狙うイボシデニブと対になる薬剤で、標的が違うだけで機序は同一——の蓄積による・ヒストンの過剰メチル化がの分化を止めているという病態を、によって解除する。

イボシデニブとの違い

項目 エナシデニブ イボシデニブ
標的 IDH2(R140Q・R172S・R172K) IDH1
機序 →低下→ 同じ(標的が違うだけ)
適応(米国) IDH2変異陽性の再発・治療抵抗性のみ 未治療・再発治療抵抗性・の3系統
用量 100 mg 1日1回 500 mg 1日1回
特徴的な副作用 、(81%) 、延長

⭐ 「IDH2=エナシデニブ、IDH1=イボシデニブ」と対で覚える。 適応の範囲はイボシデニブの方が広く(未治療例・にも適応)、エナシデニブは再発・治療抵抗性に限られる。

適応・用法

米国添付文書は、承認検査でIDH2変異が確認された再発・治療抵抗性成人患者に適応を持つ。用量は100 mgを1日1回経口で、疾患進行または許容できない毒性が出るまで継続し、反応評価のため最低6か月は継続する1。

⭐ の治療強度の分類では低強度治療の代表例として扱われる。 ELNの評価に関する2025年の勧告は、強力化学療法にな患者への低強度治療の選択肢として、・低用量(単独またはグラスデギブ併用)と並び、エナシデニブまたはイボシデニブの単剤もしくは併用を挙げている(詳細はノートを参照)。

第I/II相試験では、再発・治療抵抗性患者のが40.3%であり、寛解はの分化・成熟を伴っていた——細胞を殺すのではなく成熟させてに至るという機序を裏づける結果である2。

禁忌・注意・副作用

  • 正式な禁忌は米国添付文書に記載がない(「None」)1。
  • ⚠️ :投与後1日目から5か月まで発症しうる。発熱・呼吸困難・急性呼吸窮迫・・・・急激な体重増加や末梢浮腫を来しうる。10 mgを12時間ごとなどのとを行い、重症の肺・が開始後48時間を超えて続く場合はする1。💡 イボシデニブ・・でもの症候群が起こる、「分化を促す薬」に共通する副作用である。
  • ⚠️ :81%と高頻度に発現し、37%が基準値上限の2倍以上に達する。ただし投与中止に至ったのは1.4%のみで、多くは・減量で管理可能である1。UGT1A1阻害による障害が背景と考えられ、を示す他のの上昇とは区別して評価する。
  • 高頻度(20%以上):悪心、嘔吐、下痢、ビリルビン上昇、食欲低下1。

まとめ

  • エナシデニブはIDH2を選択的に阻害し、を低下させて分化を誘導する薬で、IDH1を標的とするイボシデニブと対で理解する。
  • 米国での適応はIDH2変異陽性の再発・治療抵抗性に限られ、イボシデニブより適応範囲が狭い。
  • Boxed Warningはで、・・イボシデニブと共通する「分化を促す薬」特有の副作用である。
  • が81%と高頻度に発現するが、多くは・減量で管理でき、恒久的な投与中止に至るのは少数である。

出典

  1. 1.IDHIFA (enasidenib mesylate) tablet, film coated — full prescribing information(Celgene Corporation / DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2025)機序(変異型IDH2酵素(R140Q・R172S・R172K)の阻害により2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)を低下させ骨髄系分化を誘導すること)、適応(FDA承認検査でIDH2変異が確認された再発・治療抵抗性AML成人患者)、用法・用量(100 mgを1日1回経口、最低6か月投与して反応を評価)、Boxed Warningとしての分化症候群(投与後1日目から5か月まで発症しうること、発熱・呼吸困難・急性呼吸窮迫・肺浸潤・腎機能障害・骨痛・急激な体重増加/浮腫を来しうること、デキサメタゾン10 mgを12時間ごとなどのコルチコステロイドと血行動態モニタリングを行い、重症の肺・腎機能障害がコルチコステロイド開始後48時間を超えて続く場合は休薬すること)、高頻度有害事象(悪心・嘔吐・下痢・ビリルビン上昇・食欲低下がいずれも20%以上、高ビリルビン血症は81%に発現し37%は基準値上限の2倍以上に達したが投与中止に至ったのは1.4%のみであること)、正式な禁忌は「None」であることを確認した。閲覧 2026-09-17
  2. 2.Enasidenib in mutant IDH2 relapsed or refractory acute myeloid leukemia(Blood・2017)変異型IDH2蛋白が新生的に2-ヒドロキシグルタル酸を合成し、DNA・ヒストンの過剰メチル化と細胞分化の停止をもたらすこと。選択的変異型IDH2阻害薬エナシデニブの第I/II相試験で、再発・治療抵抗性急性骨髄性白血病患者の奏効率が40.3%であり、寛解は骨髄芽球の分化・成熟を伴っていたこと閲覧 2026-08-27