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Disease Atlas · 肝胆膵 · 疾患

胆嚢腺筋腫症

Gallbladder adenomyomatosis

臓器系
肝胆膵
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)Pathology
トピック
組織学 10.4:消化腺:胆嚢病理学 C/52:胆道系・胆嚢の炎症と腫瘍
鑑別疾患
気腫性胆嚢炎
合併症
胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)
関連疾患
胆石症
症状
右季肋部痛

🧠 全体像:は「正常にもある胆嚢壁の凹み()が、増殖した筋組織に囲まれて壁を厚くしただけ」の良性疾患である。大部分は無症状・偶発的に見つかり、とは別の話として扱ってよい。⭐ 例外はだけ——輪状に胆嚢を狭窄させるこの型に限っての合併率が有意に高く、「型によって扱いを変える」ことが本症の理解の核になる。

定義・病理

胆嚢粘膜が内へに陥入した構造()が、増殖した線維筋組織に囲まれて壁肥厚をきたした状態を指す。粘膜・の過形成であり、腫瘍ではない1。コレステロールの沈着による胆嚢症であるコレステローシス(いちご状胆嚢)と並ぶ、代表的な胆嚢症の一つである1。

分布のパターンにより3型に分ける。

型 分布 特徴
(底部型) 胆嚢底部に限局 最も頻度が高い
胆嚢壁を輪状に肥厚させ砂時計様に狭窄 ⚠️ の合併率が高い(後述)
胆嚢壁全体に及ぶ 広範な肥厚

1

⭐ 頻度は胆嚢摘出標本の2〜7.8% で、50歳代に多く女性にやや多い傾向がある。胆石の合併率はで最大90%、・でも約50%と高い1。

画像所見——Rokitansky-Aschoff洞をどう捉えるか

そのものが画像所見の名前の由来になっている点が本症の面白さである。

検査 所見
超音波 V字型のコメット様尾を伴う巣1
MR胆管膵管撮影() ⭐ 真珠の首飾り徴候——肥厚した胆嚢壁の中に、胆汁と同じ強い高信号を示す小円形の点が連なって見える所見。病理学的に確定した症29例と18例を比較した研究で、この徴候は症に特異的に検出された2
コットンボール(約75%で見られる)1

💡 これらの所見はすべて同じ実体()を、検査法ごとに違う形で描き出しているにすぎない。 超音波では洞内のがを、では洞内の胆汁がの点を作る。

胆嚢癌との関連——分節型だけが特別

⚠️ との関連が問題になるのはだけである。 6年間の連続無選択の胆嚢摘出3,197例を検討した古典的な研究では、症は279例(約9%)に認められた。このうち188例中12例(6.4%)にが合併し、12例すべてで癌はのより遠位(底部側)の粘膜に生じていた。以外の3,009例ではは93例(3.1%)にとどまり、症でのの頻度は有意に高かった3。・ではこのような明確な関連は示されていない1。

症状

大部分は無症状で、健診の超音波などで偶発的に見つかる。症状がある場合は右上腹部痛・が最多である1。

鑑別

紛らわしいもの 見分けるポイント
⚠️ まったく別の病態。 本症の内のによるコメット様尾と紛れうるが、は壁のガスによる急性の感染症で、発熱・強い疼痛を伴うとして発症する。本症は無症状であることが多く、迷えばでガスの有無を見る
症では合併率が有意に高く(6.4%)、除外が課題になる。真珠の首飾り徴候は症に特異的で、との鑑別に有用2

管理

症候性の症は、型によらず胆嚢摘出の適応となる。無症候性の場合、は悪性化リスクの明確な増加が示されていないため経過観察(超音波を数か月おき)でよいが、⚠️ はの除外が困難であることを理由に胆嚢摘出を検討し、も併存する悪性腫瘍の可視化が難しいことを理由に胆嚢摘出を検討する。を合併する場合も胆嚢摘出が推奨される1。

まとめ

  • は、が増殖した筋組織に囲まれて壁肥厚をきたした良性疾患で、・・の3型に分ける。
  • 頻度は胆嚢摘出標本の2〜7.8%で、大部分は無症状・偶発的に発見される。
  • 超音波のコメット様尾、の真珠の首飾り徴候、のコットンボールが特徴的画像所見で、いずれもを異なる方法で描出したものである。
  • ⭐ だけがの合併率が有意に高い(6.4% 対 3.1%)。・では明確な関連は示されていない。
  • 症候性はすべての型で胆嚢摘出の適応。無症候性では、は経過観察でよいが・は悪性腫瘍の除外が困難なことを理由に摘出を検討する。
  • ⚠️ とは超音波所見が紛れうるが、ガスによる急性感染症か無症候性の慢性所見かで見分ける。

出典

  1. 1.Adenomyomatosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)2026年1月12日更新版の全文を確認した。胆嚢腺筋腫症が胆嚢壁の粘膜・固有筋層の過形成と特徴的な上皮陥入(Rokitansky-Aschoff洞)を特徴とする良性疾患で、コレステローシス(いちご状胆嚢)と並ぶ2つの過形成性胆嚢症の一つであること、限局型(最多、通常は底部)・分節型(環状、砂時計様に狭窄)・びまん型の3型に分類されること、胆嚢摘出標本の2〜7.8%に認められ50歳代に多く女性にやや多い傾向があること、胆石の合併率が分節型で最大90%、限局型・びまん型で約50%であること、超音波でのV字型コメット様尾アーチファクトを伴う高エコー巣、MRCPでの真珠の首飾り徴候、CTでのコットンボールサイン(約75%)が特異的画像所見であること、大部分は無症状で一部に右上腹部痛を来すこと、無症状で確定診断されれば治療は不要だが胆嚢癌の除外が困難な場合・膵胆管合流異常の合併・右上腹部痛がある場合は胆嚢摘出を推奨すること、胆嚢癌の5年生存率が5%未満であるのと対比して本症自体の予後は良好であることを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.The pearl necklace sign: an imaging sign of adenomyomatosis of the gallbladder at MR cholangiopancreatography(Radiology・2003)MR胆管膵管撮影における真珠の首飾り徴候は、肥厚した胆嚢壁の中に胆汁と同じ強い高信号を示す小円形の点が連なって見える所見と定義され、ロキタンスキー・アショフ洞の存在を示す。病理学的に確定した胆嚢腺筋腫症29例と胆嚢癌18例の比較で、この徴候は腺筋腫症に特異的に検出された閲覧 2026-08-24
  3. 3.Relationship between gallbladder carcinoma and the segmental type of adenomyomatosis of the gallbladder(Cancer・1992)6年間の連続無選択の胆嚢摘出3,197例の検討で、ロキタンスキー・アショフ洞とそれを取り囲む増殖した線維筋組織からなる壁肥厚と定義した胆嚢腺筋腫症は279例に認められ、分節型・底部型・びまん型に分類された。分節型188例のうち12例(6.4%)に胆嚢癌が発生し、12例すべてで癌は分節型の輪状狭窄より遠位(底部側)の粘膜に生じていた。分節型以外の3,009例では胆嚢癌は93例(3.1%)で、分節型腺筋腫症での胆嚢癌の頻度は有意に高かった閲覧 2026-08-24