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Symptoms · Published

圧痛

Tenderness

別名
反跳痛叩打痛
臓器系
全身
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 L-54:急性腹症・腹痛の鑑別診断内科学 I-12:腹腔内感染症
関連疾患
S状静脈洞血栓症Trousseau症候群ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群ペストリンパ管炎異所性妊娠横紋筋肉腫化膿性リンパ節炎化膿性関節炎(敗血症性関節炎)外耳炎関節リウマチ偽関節偽痛風急性リンパ性白血病急性虫垂炎巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)胸部外傷(肋骨骨折・血胸・外傷性気胸・フレイルチェスト)憩室症・憩室炎結節性紅斑結節性多発動脈炎高安動脈炎骨髄炎骨盤内炎症性疾患細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)産褥敗血症・産褥感染子宮内膜症・子宮腺筋症子宮破裂自然流産常位胎盤早期剥離深部静脈血栓症精巣上体炎・精巣炎精巣捻転・卵巣捻転先天性頸部嚢胞(甲状舌管嚢胞・鰓裂嚢胞)前立腺炎鼠径ヘルニア丹毒・蜂窩織炎胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)腸間膜虚血(急性・慢性、虚血性大腸炎を含む)伝染性単核球症尿路感染症皮膚有棘細胞癌肥厚性幽門狭窄症表皮嚢腫腹壁ヘルニア(腹側・臍・瘢痕ヘルニア)腹膜炎・消化管穿孔慢性静脈不全毛巣洞良性肛門疾患(痔核・裂肛・痔瘻・肛門周囲膿瘍)淋菌感染症猩紅熱
スコア
ACR/EULAR分類基準AlvaradoスコアDAS28

🧠 全体像:圧痛は患者の訴える疼痛と違い、診察者が再現できる所見である。この再現性が価値の源で、部位を特定でき、に比較でき、複数の診察者で確認できる。ただし所見の意味は押し方で変わる——浅い触診と深い触診、離すときの反応、患者の緊張の有無で示すものが違う。圧痛の解釈は「どこが痛いか」だけでなく、腹膜が刺激されているかどうかを分けるところに本質がある。

圧痛が示すもの

種類 押し方 示唆するもの
限局性圧痛 一点を押す その直下の臓器・組織の炎症
押してから急に離す の刺激=腹膜炎
触診で腹壁が緊張する か不随意かを区別する
腹壁全体が硬い 。穿孔を強く示唆
軽く叩く 深部の炎症。腎()、肝、副鼻腔

💡 な筋緊張と不随意のは違う。 患者が緊張しているだけなら、会話で気をそらす、膝を立てさせる、温めた手で徐々に押すことで緩む。緩まない硬さが真のである。

⚠️ を確認するために強く押して急に離す手技は、患者に強い苦痛を与える。によるの確認(軽いで痛みが誘発されるか)や、咳をさせて痛みが出るかで代替できることが多い。

部位別の圧痛所見

徴候 部位・手技 示唆する病態
の圧痛 (臍と右を結ぶ外側1/3) 虫垂炎
を押しながら吸気させると吸気が止まる
背部の肋骨と脊柱の角を叩く 腎盂腎炎、
恥骨上部の圧痛 下腹部正中 膀胱炎、尿閉
で子宮頸部を動かす
の圧痛 側頭部の動脈を触れる

⭐ これらの徴候は陽性なら診断を支持するが、陰性でも否定しない。特に高齢者、免疫抑制患者、妊婦、肥満、後腹膜や骨盤深部の病変では所見が出にくい。

圧痛が出ない・あてにならない場面

⚠️ 圧痛の有無で重症度を判断できない集団がある。

集団・状況 なぜ所見が出ないか
高齢者 腹壁筋の減少と痛覚の変化で、穿孔や腹膜炎でも所見が乏しい
免疫抑制・ステロイド使用 炎症反応そのものが抑えられる
意識障害・鎮静中 訴えられない。他覚所見に依存する
内臓知覚が障害される
子宮により腹腔内臓器が押し上げられ、局在がずれる
肥満 深部の圧痛が伝わりにくい

腹壁由来の痛みと腹腔内の痛みを分ける方法がある。 患者に頭を持ち上げさせて腹壁を緊張させた状態で圧痛が増強すれば腹壁由来()、減弱すれば腹腔内由来を示唆する。不要な画像検査を避けられる。

評価の進め方

flowchart TD
    A["圧痛を認める"] --> B["浅い触診から始め<br>痛い部位は最後に押す"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritoneal signs'>腹膜刺激徴候</span>があるか"}
    C -->|"あり"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='timing'>緊急度</span>が高い<br>穿孔・虚血・腹膜炎を想定"]
    C -->|"なし"| E["限局性か、びまん性か"]
    E --> F["限局性:直下の臓器を評価"]
    E --> G["びまん性:全身状態と併せ判断"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Carnett sign'>Carnett徴候</span>で腹壁由来を鑑別"]
    D --> I["反復診察で変化を追う"]
    F --> I
    G --> I

⚠️ 診察の順序は結果を変える。痛みの最も強い部位は最後に押す。 最初に押すと患者が防御的になり、以降の所見がすべて不正確になる。

まとめ

  • 圧痛は診察者が再現できる他覚所見で、部位の特定と経時比較に使える。
  • 最も重要な区別は、腹膜が刺激されているかどうか()。
  • な緊張と不随意のは、気をそらす・膝を立てるなどで区別する。
  • などの部位別所見は、陽性なら支持するが陰性でも否定しない。
  • 高齢者・免疫抑制・意識障害・では所見が乏しく、重症度の判断に使えない。
  • で腹壁由来と腹腔内由来を分けられる。
  • 痛みの強い部位は最後に押す。順序が所見の質を決める。