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Disease Atlas · 運動器 · 疾患

歯突起冠状石灰化症候群

Crowned dens syndrome

別名
Crowned dens症候群
臓器系
運動器神経
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 R-15:関節炎の鑑別診断
上位概念
CPPD結晶沈着症(偽痛風)
鑑別疾患
細菌性髄膜炎脊椎椎間板炎(化膿性脊椎炎)
治療薬
インドメタシンナプロキセンコルヒチンプレドニゾロン
症状
発熱頭痛圧痛
検査値
CRP赤沈

🧠 全体像:Crowned dens syndrome()は、CPPD症()が・周囲という特殊な部位で暴れたときの姿である。高齢女性に多い急性の発熱性という臨床像は髄膜炎・と紙一重で、での周りに「冠(クラウン)」状の石灰化を見つけて初めて診断が確定する。2023年のがこの症候群を結晶の確認と並ぶ「それだけで分類できる」十分条件に位置づけたことは、この画像所見の特異性の高さを裏づけている。

病態

CPPD結晶が周囲、とくにを取り囲む・翼状靭帯に沈着し、局所のを引き起こす。炎症が周囲の神経根を刺激し、急性のと可動域制限を来す1。機序は他部位のCPPD結晶関節炎()と同じだが、がという特殊な位置にあるために「crowned dens(冠をかぶった)」という固有の名称と症候群を与えられている。

flowchart TD
    A["CPPD結晶が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atlanto-axial joint'>環軸関節</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dens (odontoid process)'>歯突起</span>周囲の靭帯へ沈着"] --> B["局所の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aseptic inflammation'>無菌性炎症</span>"]
    B --> C["周囲の神経根への刺激"]
    C --> D["急性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuchal pain'>項部痛</span>・後頭部頭痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nuchal rigidity (neck stiffness)'>項部硬直</span>"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic inflammatory response'>全身性炎症反応</span>:発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate'>ESR</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C-reactive protein'>CRP</span>上昇"]
    D --> F["髄膜炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyogenic spondylitis'>化膿性脊椎炎</span>に類似した臨床像"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical vertebra'>頸椎</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>(C1/C2に焦点)で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dens (odontoid process)'>歯突起</span>周囲の冠状石灰化を確認"]

疫学・臨床像

⭐ 高齢女性に偏る。 18例のでは60歳以上の女性にとくに多くみられ2、別の文献レビューでは平均発症年齢71.4歳・女性が60%を占めた1。

典型的な臨床像は、急性の発熱性、後頭部頭痛、多方向性のと可動域制限で、CRP・などのを伴う21。

⚠️ この臨床像は髄膜炎・とほとんど区別がつかない。 発熱・・という3つが揃うため、や投与へ進む前に、この鑑別を思い出せるかどうかが診療の分かれ目になる。

診断:CTが鍵

確定診断は(C1/C2関節に焦点を当てた撮影)による周囲の冠状・halo状の石灰化の確認である。文献レビューでは診断率97.1%と単純X線・より高いとされる一方1、18例の研究では周囲の石灰化を約80%で確認したと報告されており、報告により数値に幅がある2。は石灰化そのものの描出には不向きだが、や()といった緊急疾患を除外する目的で併用される。

には他疾患の除外が含まれ、感染症・腫瘍・外傷などを来す他の病態を否定したうえで、所見と組み合わせて診断する1。

2023年ACR/EULAR分類基準での位置づけ

⭐ 2023年のは、crowned dens syndromeを中のCPP結晶確認と並ぶ「十分条件」に位置づけた。 どちらかを満たせば、それだけで症候性CPPD疾患として分類できる。これらを欠く場合は、年齢・代謝性/遺伝性危険因子・の合併といった臨床的特徴に画像・所見を加えた重み付けスコアで56点を超えることを要する3。💡 crowned dens syndromeが単独で十分条件になるということは、この画像所見がCPPDに対してきわめて特異的であるとみなされていることを意味する。

治療

選択肢 位置づけ
・などの 第一選択
短期の と並ぶ第一選択の一つ
難治例に用いる
C1/C2病変への 難治例に用いる

(いずれもPMC8818851による1)

多くの症例は数週間〜数か月で軽快する。ある症例報告では、治療開始1週間で症状が改善し、2週間後の外来で疼痛消失を確認している1。

まとめ

  • Crowned dens syndromeはCPPD症が・周囲で暴れた病態で、急性の発熱性・後頭部頭痛・を来す。
  • 60歳以上の女性に多く、を伴うため髄膜炎・との鑑別が臨床上の課題になる。
  • 確定診断はC1/C2に焦点を当てたでの周囲の冠状石灰化で、他疾患の除外を要する。
  • 2023年ではCPP結晶確認と並ぶ「十分条件」に位置づけられている。
  • 治療は・短期が第一選択で、難治例にやを用いる。多くは数週間〜数か月で軽快する。

出典

  1. 1.Crowned Dens Syndrome: A Case Report and Literature Review((症例報告・文献レビュー)・2022)crowned dens syndromeがCPPD結晶の環軸関節周囲への沈着により局所の無菌性炎症と神経根刺激を来す病態であること、文献レビューでの平均発症年齢が71.4歳で女性が60%を占めること、典型的な臨床像が発熱・項部硬直・可動域制限を伴う急性項部痛とESR/CRP上昇であること、CT所見が歯突起周囲の冠状・halo状の石灰化沈着で診断率97.1%と単純X線・MRIより高いこと、診断基準に他疾患の除外が含まれること、治療がNSAIDsまたは短期コルチコステロイドを第一選択とし難治例にコルヒチンやC1/C2病変への局所ステロイド注射を用いること、症例では治療開始1週間で症状が改善し2週間後の外来で疼痛消失を確認したことを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.Eighteen cases of crowned dens syndrome: Presentation and diagnosis(Neurochirurgie・2013)crowned dens syndrome18例の後方視的研究で、臨床像が急性の発熱性項部痛・後頭部頭痛・多方向性の項部硬直で60歳以上の女性にとくに多くみられたこと、頸椎CT(環軸関節に焦点を当てたもの)で約80%の症例に十字靭帯周囲の石灰化を認めたこと、治療がNSAIDs・コルヒチン・コルチコステロイドを基本とすることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-06
  3. 3.The 2023 American College of Rheumatology/European Alliance of Associations for Rheumatology Classification Criteria for Calcium Pyrophosphate Deposition (CPPD) Disease(American College of Rheumatology / European Alliance of Associations for Rheumatology(Abhishek A, et al.)・2023)症候性CPPD疾患の2023年ACR/EULAR分類基準において、関節液中のCPP結晶確認とならび、crowned dens syndromeを満たすことが単独で分類可能な「十分条件」の一つとされていること(それ以外は年齢・代謝性/遺伝性危険因子・変形性関節症の合併などに画像・関節液所見を加えた重み付けスコアが56点を超えることを要する)、これは診断基準ではなく分類基準であることを確認した。閲覧 2026-09-06