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Disease Atlas · 運動器 · 外傷

第5中足骨基部骨折

Fifth metatarsal base fracture

別名
Jones骨折第5中足骨結節骨折
臓器系
運動器
科目
Traumatology and OrthopedicsMacroscopic Anatomy and Embryology (Macroscopic Anatomy)
トピック
外傷学 33:足関節骨折の種類と治療解剖学 6.5:下肢:足関節と足
鑑別疾患
足関節骨折足関節捻挫腓骨筋腱脱臼・断裂
合併症
偽関節
関連疾患
疲労骨折
症状
疼痛腫脹圧痛
スコア
Ottawa Ankle Rules

🧠 全体像:は、「1つの骨の基部」という名前に反して3つの別々の骨折として理解したほうがよい。⭐ 分かれ目は場所で、・-移行部(Zone 2=)・(Zone 3)では機序も血流も治療も違う1。この部位はOttawa Ankle Rulesの足部規則のそのものでもあり、と間違えられやすい外側の痛を見たら、まずこの3ゾーンのどこに圧痛があるかを確認する。

解剖と3ゾーン分類(Lawrence-Botte分類)

ゾーン 部位 通称
Zone 1 結節部。は第4-5間関節より近位にとどまる (pseudo-)
Zone 2 -移行部。が第4-5間関節に達するか越える
Zone 3 結節から1.5 cm以内の。は通常同関節より遠位に出る 型

1

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='forefoot'>前足部</span>外側の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='weight-bearing pain'>荷重時痛</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='base of the fifth metatarsal'>第5中足骨基部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tender point'>圧痛点</span>を確認"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fracture line'>骨折線</span>はどこにあるか"}
    C -->|"結節部<br>(第4-5<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metatarsals'>中足骨</span>間関節より近位)"| D["Zone 1:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='avulsion fracture'>裂離骨折</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibula'>腓骨</span>短筋腱付着部"]
    C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metaphysis'>骨幹端</span>-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphysis'>骨幹</span>移行部<br>(同関節に達する/越える)"| E["Zone 2:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Jones fracture'>Jones骨折</span><br>血流の乏しい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='watershed zone'>分水嶺領域</span>"]
    C -->|"結節から1.5 cm以内の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphysis'>骨幹部</span><br>(同関節より遠位)"| F["Zone 3:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stress fracture'>疲労骨折</span>型"]

⚠️ 「=」ではない。 はZone 2だけを指す用語で、頻度の高いZone 1とは機序・血流・治療のすべてが異なる。

なぜゾーンで血流と予後が変わるのか

💡 Zone 2に血流のがある。 側と側それぞれのが別々にこの部位を灌流しており、両者の境界であるZone 2は相対的に血流が乏しい。これがの偽関節率15〜30%という高さの理由である1。

⭐ は短筋腱の付着部に起こる。 で後足部が強制的にされると、短筋腱が付着する結節部が牽引されする。性の血流に富み、保存治療で治りやすい1。

Zone 1() Zone 2() Zone 3(型)
機序 での 踵を挙げた状態での強い内転力・急な方向転換 数か月にわたる慢性反復性
血流 性血流が豊富 で乏しい と同じ慢性障害の
偽関節リスク 低い 高い(15〜30%) Torg分類で評価

1

臨床像と診察

外側の、荷重活動で増悪する疼痛を訴える。診察では圧痛・腫脹・皮下出血に加え、足を的にさせたときの疼痛(の緊張による)を認める。⚠️ 靱帯損傷やLisfranc損傷の合併を見逃さない——が重なるため、だけでなく・全体を診察する1。

⭐ このはOttawa Ankle Rulesの足部規則そのものである。 領域の痛みに加えて「の」「の」「受傷直後と救急外来の両方での4歩の」のいずれか1つがあれば足部X線を撮る、という規則の陽性項目にの圧痛が直接入っている2。

診断

初期評価は正面・側面・の単純X線である。はTorg分類での性状を評価する1。

Torg分類 所見
I型 早期。鋭く明瞭な
II型 遅延。の開大
III型 偽関節。硬化の完成

治療——ゾーンで方針が分かれる

⭐ Zone 1は保存治療で十分なことが多い。 非転位であれば、硬底靴・またはによる保護下荷重を3〜6週間行う1。

⚠️ Zone 2()は保存と手術の選択が要る。 保存治療はによる完全を6〜8週間行う。一方、高いパフォーマンスを要求されるアスリートや転位例では、偽関節リスクを減らすため髄内を行う1。

💡 Zone 3のは治療期間が長い。 を最長20週間要することがあり、Torg II型・III型や競技継続を要するアスリートには髄内スクリューやを伴う手術を検討する1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fifth metatarsal base fracture'>第5中足骨基部骨折</span>"] --> B{"どのゾーンか"}
    B -->|"Zone 1"| C["保護下荷重<br>硬底靴/ブーツ/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cast (plaster cast)'>ギプス</span> 3〜6週"]
    B -->|"Zone 2(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Jones fracture'>Jones骨折</span>)"| D{"アスリート/転位あり"}
    D -->|"いいえ"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='short leg cast'>短下肢ギプス</span>で完全<span class='jp-term jp-term-diagram' title='off-loading (non-weight-bearing)'>免荷</span> 6〜8週"]
    D -->|"はい"| F["髄内<span class='jp-term jp-term-diagram' title='screw fixation'>スクリュー固定</span>"]
    B -->|"Zone 3(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stress fracture'>疲労骨折</span>)"| G{"Torg II/III または<br>競技継続希望"}
    G -->|"いいえ"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-weight bearing'>非荷重</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cast (plaster cast)'>ギプス</span> 最長20週"]
    G -->|"はい"| I["髄内スクリュー/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone grafting'>骨移植</span>"]

合併症

偽関節が主要な合併症で、とくに(Zone 2)で問題になる。スクリュー径が4.5 mm未満の場合や、指示の不遵守・早期の荷重再開があると固定失敗率が上がる1。

鑑別

鑑別 決め手
が前方の上にある。のがあれば本症を疑う
が領域(・)にある。が重なるため合併を確認する
・ 圧痛が腱の走行上にあり、抵抗下で疼痛と不安定感を訴える。はの牽引で起こるため合併しうる

まとめ

  • はLawrence-Botte分類でZone 1(結節部の)・Zone 2()・Zone 3(型)の3つに分かれ、「」はZone 2だけを指す。
  • ⭐ Zone 2には側と側のが作る血流の乏しいがあり、これが偽関節率15〜30%という高さの理由になる。
  • この部位のはOttawa Ankle Rulesの足部規則の陽性項目そのもので、領域の痛みと合わせて足部X線の適応を決める。
  • 治療はゾーンで分かれる。Zone 1は保護下荷重3〜6週間で足りることが多いが、Zone 2はアスリート・転位例で髄内を検討し、Zone 3のは期間が最長20週に及ぶこともある。
  • ・・とが重なるため、の位置で鑑別し合併損傷を見逃さない。

出典

  1. 1.5th Metatarsal Fracture(StatPearls(NCBI Bookshelf)/Smidt KP, Massey P・2023)Lawrence-Botte分類が第5中足骨基部をZone 1(結節部、骨折線が第4-5中足骨間関節より近位にとどまる)・Zone 2(骨幹端-骨幹移行部=Jones骨折、骨折線が第4-5中足骨間関節に達するか越える)・Zone 3(結節から1.5 cm以内の骨幹部、骨折線が通常同関節より遠位に出る)の3つに分けること、Zone 2には骨幹端と骨幹の栄養血管が作る血流の乏しい分水嶺(watershed)領域が存在しこれが同部の偽関節率15〜30%という高さの理由であること、受傷機転がZone 1では底屈位での後足部内反(捻り損傷)、Zone 2では踵を挙上した状態での強い内転力や急な方向転換、Zone 3では数か月にわたる慢性の反復性微小外傷であること(爪先立ち姿勢での回転により生じるダンサー骨折を含む)、臨床像が前足部外側の荷重時に増悪する疼痛で診察上は圧痛・腫脹・皮下出血と足の他動的外反に対する抵抗時痛を認め足関節靱帯損傷やLisfranc損傷の合併を除外する必要があること、初期画像診断が正面・側面・斜位の単純X線であり疲労骨折はTorg分類(I型:早期の鋭い骨折線、II型:遅延・骨折線の開大、III型:偽関節・硬化の完成)で評価すること、治療がZone 1の非転位骨折では硬底靴・ウォーカーブーツまたはギプスでの保護下荷重を3〜6週間行う一方、Zone 2(Jones骨折)では保存治療として短下肢ギプスでの完全免荷を6〜8週間行うか高いパフォーマンスを要するアスリートや転位例では偽関節リスクを減らすため髄内スクリュー固定を行うこと、Zone 3の疲労骨折では非荷重ギプスを最長20週間要することがありTorg II型・III型や競技継続を要するアスリートには髄内スクリューや骨移植を伴う手術を行うこと、偽関節が主要な合併症でありスクリュー径が4.5 mm未満の場合や免荷指示の遵守不良・早期の荷重再開があると固定失敗率が上がることを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.Diagnosis and treatment of acute ankle injuries: development of an evidence-based algorithm(Orthopedic Reviews・2012)Ottawa Ankle Rulesの足部規則が中足部領域の痛みに加えて第5中足骨基部の骨性圧痛・足根舟状骨の骨性圧痛・受傷直後と救急外来の両方での4歩の荷重不能のいずれか1つがあるときに足部のX線撮影を行うと定めており、第5中足骨基部の骨性圧痛がこの規則の陽性項目そのものであることを確認した。閲覧 2026-09-06