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Ottawa Ankle Rules

Ottawa Ankle Rules

別名
オタワ足関節ルール
臓器系
運動器
科目
Traumatology and OrthopedicsMacroscopic Anatomy and Embryology (Macroscopic Anatomy)
トピック
外傷学 32:足関節捻挫の診察・治療と足関節骨折の合併症解剖学 6.5:下肢:足関節と足
構成:症状
圧痛
適用疾患
足関節骨折足関節捻挫第5中足骨基部骨折

🧠 全体像:Ottawa Ankle Rulesは、点数を足して重症度を出すスコアではなく、「単純X線を撮らなくてよい人」を選ぶための除外規則である。構造は単純で、領域の痛み(AND)+3項目のいずれか1つ(OR)——これを満たさなければ撮影を省略してよい。撮影と足部撮影は別々の規則で、痛みの領域もも違う。両方に共通するのは「4歩歩けない」という荷重の項目だけである。感度はほぼ100%だが特異度は中等度なので、規則が陽性でも骨折があるとは限らない——陽性は「撮る」であって「骨折している」ではない。

目的と適用場面

内容
目的 急性・足部外傷で、単純X線を省略できる患者を選び出す
対象 受傷後まもない急性の・足部外傷。成人で開発・検証された
使う場面 初診時のの段階。撮影オーダーを出す前
判定するもの 撮影の要否のみ。骨折の有無・靱帯損傷の重症度・は判定しない
評価しないもの 靱帯損傷のGrade、の安定性、などの軟部・軟骨病変

⭐ 除外規則であることが、この規則のすべてを決めている。 除外規則は「見逃さない」ことに最適化されているので感度を最大に振り、その代償として特異度を捨てる。だから陰性の価値(撮らなくてよい)は高く、陽性の情報量は乏しい。

判定項目

⚠️ 撮影と足部撮影は独立した2つの規則である。 どちらか一方だけが陽性になることがあり、そのときは陽性になった側だけを撮る。

足関節撮影の規則

領域に痛みがあり(AND)、次の3項目のいずれか1つ以上(OR)があれば単純X線を撮影する1。

項目 内容
外側の骨性圧痛 後縁の遠位6 cm、またはの先端
内側の 脛骨後縁の遠位6 cm、またはの先端
受傷直後と診察時の両方で、4歩の荷重歩行ができない

足部撮影の規則

領域に痛みがあり(AND)、次の3項目のいずれか1つ以上(OR)があれば足部単純X線を撮影する1。

項目 内容
外側の
内側の
受傷直後と診察時の両方で、4歩の荷重歩行ができない

💡 「6 cm」も「4歩」も、原著が20の予測を再帰分割して絞り込んだ結果の操作定義である2。数字の由来を意味づけで覚えるのではなく、境界の位置をそのまま覚える。

⚠️ 荷重の項目だけは内部がORではなくANDである。 「受傷直後と診察時の両方」で4歩歩けないことを求める。していても4歩歩ければ「荷重できる」と判定する。

⚠️ は手の舟状骨とは別の骨である。 足部規則のはの舟状骨(の内側、の頂点付近)で、の舟状骨ではない。

flowchart TD
    A["急性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ankle joint'>足関節</span>・足部外傷"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malleolar region'>果部</span>領域に痛みがあるか"}
    A --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midfoot'>中足部</span>領域に痛みがあるか"}
    B -->|"あり"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral malleolus'>外果</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medial malleolus'>内果</span>の後縁6 cm・先端の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bony tenderness'>骨性圧痛</span><br>または4歩の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unable to bear weight (non-weight-bearing)'>荷重不能</span>があるか"}
    B -->|"なし"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ankle joint'>足関節</span>撮影を省略できる"]
    C -->|"あり"| E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='base of the fifth metatarsal'>第5中足骨基部</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='navicular'>足根舟状骨</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bony tenderness'>骨性圧痛</span><br>または4歩の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unable to bear weight (non-weight-bearing)'>荷重不能</span>があるか"}
    C -->|"なし"| I["足部撮影を省略できる"]
    D -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ankle joint'>足関節</span>単純X線を撮影"]
    D -->|"なし"| G
    E -->|"あり"| H["足部単純X線を撮影"]
    E -->|"なし"| I

解釈

陰性(規則を満たさない)=撮影を省略してよい。 改訂版を前向きに検証した第2段階(453例)では、領域骨折50例・領域骨折19例のいずれに対しても感度1.0で、規則が陰性のときの骨折確率は0%(95%CI 0〜0.8%)・足部0%(0〜0.4%)と推定された。撮影の削減見込みはで34%、足部で30%である2。

27研究15,581例のでは、統合が・とも0.08で、骨折15%の集団に当てはめると規則陰性例の骨折確率は1.4%未満になる。感度はほぼ100%、特異度は中等度で、不要な撮影を30〜40%減らしうるとされた3。

判定 意味 次にすること
陰性 骨折の可能性が十分低い 撮影を省略し、として機能的治療へ進む。悪化・改善しない場合の再診を必ず伝える
陽性 骨折を否定できない 該当する部位の単純X線を撮る。骨折があるという意味ではない

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 陽性の情報量は乏しい。 感度がほぼ100%である一方で特異度は中等度にとどまる3ため、陽性例の多くは撮影しても骨折がない。陽性を「骨折の可能性が高い」と読み替えない。

⚠️ 前提が崩れる患者には適用しない。 判定はどれも患者のと協力に依存する(痛みの部位を答える、圧痛を訴える、4歩歩く)。意識障害・中毒、他部位の強い疼痛による注意のそらし、感覚障害・麻痺、指示に従えない状態では、いずれの項目も信用できない。妊娠中はの考え方が変わるため、規則の適用より個別の判断が優先される。

⚠️ 適用の下限年齢は報告により幅がある。 原著の検証コホートは成人である2。小児では統合0.07という報告があり3、1歳を超える小児にも同等の感度で適用できるとする level I の推奨もある1が、の損傷を含む小児外傷では施設の方針を確認する。

⚠️ 受傷から時間が経った例では前提が変わる。 受傷後48時間以内の適用で感度が高いことが示されている1。数日以上経ってから受診した例、すでに他院で撮影済みの例は対象外である。

⚠️ この規則は骨折の除外規則であって、外傷の除外規則ではない。 陰性でもに至る靱帯損傷、、、損傷は否定できない。とくには近位の骨折であり、が規則の見る範囲(後縁遠位6 cm)の外にあるため、規則を満たさなくても見逃されうる。機転・脛腓間の圧痛・の圧痛があれば、規則とは別に近位まで触診して撮影範囲を広げる。

⚠️ 「Ottawa」を冠する臨床ツールは複数あり、互いに全くの別物である。 本規則(・足部のX線適応)のほかに、膝外傷のX線適応を決めるOttawa Knee Rule、の除外に用いるOttawa SAH Rule、そして癌関連の再発リスクを層別化する(再発)がある。開発チームの所在地が同じというだけで、も目的も共有していない。

まとめ

  • Ottawa Ankle Rulesは撮影を省略してよい人を選ぶ除外規則で、点数を合計するスコアではない。
  • 構造は「領域の痛み(AND)+3項目のいずれか1つ(OR)」。撮影と足部撮影は独立した2つの規則で、共通するのは「受傷直後と診察時の両方で4歩歩けない」という荷重の項目だけである。
  • :領域の痛み+/の後縁遠位6 cmまたは先端の、あるいは。足部:領域の痛み+またはの、あるいは。
  • 感度はほぼ100%、統合0.08、撮影を30〜40%削減しうる。特異度は中等度で、陽性は「撮る」を意味するだけである。
  • 意識障害・中毒・感覚障害・注意をそらす他部位損傷・妊娠、受傷から日数が経った例では適用の前提が崩れる。小児の下限年齢は報告により幅がある。
  • 陰性でも靱帯損傷・・近位のは否定できない。
  • Ottawa Knee Rule・Ottawa SAH Rule・再発のとは別物である。

出典

  1. 1.Diagnosis and treatment of acute ankle injuries: development of an evidence-based algorithm(Orthopedic Reviews・2012)足関節撮影は果部領域の痛みに加えて「脛骨後縁遠位6 cmまたは内果先端の骨性圧痛」「腓骨後縁遠位6 cmまたは外果先端の骨性圧痛」「受傷直後と救急外来の両方で4歩の荷重歩行ができない」のいずれか1つがあるときに行い、足部撮影は中足部領域の痛みに加えて「第5中足骨基部の骨性圧痛」「舟状骨の骨性圧痛」「同じ4歩の荷重不能」のいずれか1つがあるときに行うこと、足関節正面像は関節裂隙の評価のため内旋10〜20°で撮ること、受傷後48時間以内に適用したときの感度が99.6%であり1歳を超える小児にも同等の感度で適用できるとする level I の推奨を示していること、足関節捻挫の診断にストレス撮影は推奨されないこと(原著の記載では足関節規則の第i項が「脛骨後縁または外果先端」となっているが、脛骨後縁は内果に対応するため本ノートでは内果・外果を解剖どおりに記した)閲覧 2026-09-02
  2. 2.Decision rules for the use of radiography in acute ankle injuries. Refinement and prospective validation(JAMA・1993)急性足関節外傷の成人を対象に改訂したOttawa Ankle Rulesを前向きに検証した第2段階(453例)で、果部領域骨折50例に対する感度1.0(95%CI 0.93〜1.0)、中足部領域骨折19例に対する感度1.0(0.83〜1.0)であったこと、規則が陰性のときの骨折確率が果部で0%(0〜0.8%)・足部で0%(0〜0.4%)と推定されたこと、X線撮影の削減見込みが足関節撮影で34%・足部撮影で30%であったこと、第1段階(1,032例)では原版の感度が果部骨折121例に対し1.0(0.97〜1.0)・中足部骨折49例に対し0.98(0.88〜1.0)で、116例での判定一致のκが足関節規則0.56・足部規則0.69であったこと、改訂版の判定項目が20の予測変数の再帰分割によって導かれたものであること(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-02
  3. 3.Accuracy of Ottawa ankle rules to exclude fractures of the ankle and mid-foot: systematic review(BMJ・2003)27研究15,581例を統合したシステマティックレビューで、Ottawa Ankle Rulesの統合陰性尤度比が果部・中足部いずれも0.08(95%CI 0.03〜0.18/0.03〜0.20)、小児では0.07(0.03〜0.18)であり、骨折の有病率15%に当てはめると規則陰性例の骨折確率は1.4%未満になること、感度はほぼ100%で特異度は中等度にとどまり、不要なX線撮影を30〜40%減らしうること(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-02