整形外科学・外傷学

整形外科学・外傷学 · 32

足関節捻挫の診察・治療と足関節骨折の合併症

Ankle sprains: examination, treatment and complications of ankle fractures

前提:正常
下肢:足関節と足結合組織:固有結合組織とその種類
疾患
Maisonneuve骨折遠位脛腓靱帯損傷偽関節距骨下不安定症距骨骨軟骨損傷三角靱帯損傷足関節骨折足関節捻挫足根舟状骨疲労骨折足根洞症候群変形性足関節症慢性足関節不安定症腓骨筋腱脱臼・断裂
スコア
AOFAS後足部スコアMOXFQOttawa Ankle Rules

ポッドキャスト

🧠 全体像:では、まず骨折、、、腱損傷を除外し、その後に外側靱帯損傷の重症度を評価する。多くは短期間の保護と早期荷重・運動療法で改善するが、はと筋力低下を招く。骨折後は関節面との不整がにつながる。

足関節捻挫

受傷機転と損傷構造

機転 主な損傷
・ 、重症化すると(CFL)、
三角靱帯、を伴い得る
・ (syndesmotic sprain、)

診察

腫脹・皮下出血、、荷重能力、可動域を確認し、足部から近位まで触診する。ATFLは前方、CFLは下方に圧痛を認める。急性期は疼痛と腫脹で的不安定性評価の精度が下がるため、受傷4〜5日後の再診でとを行うと、損傷重症度をより評価しやすい。1

Ottawa Ankle Rules

次のいずれかがあれば単純X線を行う。

  • 領域痛に加え、後縁・先端6 cmまたは後縁・先端6 cmの
  • 足部中央領域痛に加え、または舟状骨の
  • 受傷直後と診察時の双方で4歩荷重できない

前向き検証では、この規則は・骨折の検出に感度100%を示し、X線撮影を約3分の1減らし得るとされた。2 この規則は撮影不要例を選別するためのものである。⚠️ 「小児には使えない」は誤りである——成人向けに開発された規則だが、では小児でも感度99.3%(特異度26.7%)、小児に限定した別のでも感度98.5%・撮影24.8%減が報告されている3。意識障害・・感覚障害など圧痛と荷重歩行を評価できない状況では、規則の前提そのものが成り立たないので臨床判断による。 や超音波は慢性不安定性、遠位脛腓靱帯、腱、骨軟骨病変を疑う場合に追加する。とくにの確認にはが推奨される。3

重症度と治療

Grade 病態 基本方針
I 微細損傷、なし 圧迫、挙上、疼痛範囲内の早期荷重・
II 、軽度弛緩 機能的、段階的荷重、筋力・
III 、明らかな不安定性 短期間の固定後に機能的治療を基本とする。急性期のルーチン手術は行わず、慢性不安定性や十分な保存治療後も症候が残る高活動例で手術を検討13

急性期は保護、圧迫、挙上、鎮痛を行い、可能な範囲で早期から荷重・可動域を戻す。は、、バランス、方向転換を訓練する。運動療法は再発予防にも有効で、時には・を利用できる。1

⚠️ 圧痛が近位まで及ぶ、ストレスで痛む、回復が遅い場合はやを疑う。

足関節骨折後の合併症

合併症 病態・対応
・不適合 偏位から負荷が増える。症候性では、再固定を検討
偽関節 血流不良、感染、固定不良などを評価し、必要に応じ再固定・
外傷後 関節面不整合が独立リスクとなる。鎮痛、、から、進行例では、固定術、人工を個別化4
腓骨筋・、。難治例ではなど
感染・創治癒障害 培養、、適切な抗菌薬、骨癒合と安定性を踏まえた管理
神経障害 、などの分布を評価し、圧迫・牽引・を検索
早期認識、、段階的運動、を組み合わせる

ほかに、、刺激がある。手術後の短期合併症は高齢者や糖尿病、慢性肺・腎・肝疾患、で増えるため、も含めてリスクを評価する。5 長期予後を左右するのは、骨癒合だけでなく関節面整復、、遠位脛腓靱帯の安定性、早期の安全な機能回復である。

まとめ

  • ではまず骨折、、、腱損傷を除外してから外側靱帯損傷の重症度を評価する。
  • ・はATFL・CFL損傷、は、・は()を来す。
  • Ottawa Ankle Rulesはの部位や4歩荷重の可否でX線撮影の要否を判定する補助規則である。
  • 重症度はGrade I〜IIIに分け、多くは短期間の保護と早期荷重・運動療法で改善する。はと筋力低下を招く。
  • 圧痛が近位まで及ぶ、ストレスで痛む、回復が遅い場合はやを疑う。
  • 後の合併症には、偽関節、外傷後、、などがある。

出典

  1. 1.Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: update of an evidence-based clinical guideline(British Journal of Sports Medicine・2018)足関節捻挫の遅延徒手診察、機能的治療、運動療法および手術適応閲覧 2026-08-09
  2. 2.Decision rules for the use of radiography in acute ankle injuries. Refinement and prospective validation(JAMA・1993)改訂したOttawa Ankle Rulesが果部・中足部骨折の検出に感度100%であり、X線撮影を約3分の1減らし得ることを前向きに検証したこと閲覧 2026-08-13
  3. 3.Diagnosis and treatment of acute ankle injuries: development of an evidence-based algorithm(Orthopedic Reviews・2012)Ottawa Ankle Rulesが小児でも感度99.3%・特異度26.7%であり、小児に限定した別のメタ解析でも感度98.5%・X線撮影24.8%減が報告されていること、遠位脛腓靱帯損傷の確認にMRIが推奨されること、早期機能的治療と保存治療について確認した。⚠️ 本論文には妊娠・意識障害・多発外傷を適用除外とする記述は無い(全文をEurope PMC PMC3348693で取得して確認)閲覧 2026-08-09
  4. 4.Post-traumatic osteoarthritis after ankle fracture fixation: A minimum three-year follow-up(Foot and Ankle Surgery・2025)足関節骨折内固定後の外傷後変形性関節症の頻度と関節面不整合閲覧 2026-08-09
  5. 5.Complications After Ankle Fracture Surgery in Finland Between 1998 and 2020(The Journal of Bone and Joint Surgery・2024)足関節骨折手術後の短期合併症と年齢・併存疾患によるリスク閲覧 2026-08-09