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Disease Atlas · 運動器 · 疾患

骨髄炎

Osteomyelitis

臓器系
運動器感染症
科目
PathologyInternal Medicine
トピック
病理学 C-92:骨髄炎/Paget病内科学 L-69:骨髄炎
鑑別疾患
顎骨壊死結核性脊椎炎骨肉腫・ユーイング肉腫
合併症
感染性心内膜炎
続発疾患
化膿性関節炎
関連疾患
偽関節腸腰筋膿瘍
治療薬
バンコマイシンダプトマイシンリネゾリドリファンピシンジクロキサシリンフルクロキサシリンクリンダマイシンセフトリアキソンシプロフロキサシンピペラシリンメトロニダゾール
原因微生物
Staphylococcus aureusStaphylococcus epidermidisEscherichia coliSalmonella entericaPseudomonas aeruginosaPasteurella multocida
症状
悪寒圧痛倦怠感腫脹発熱疼痛亀背
検査値
C反応性蛋白(CRP)プロカルシトニン血算白血球数
元疾患
ブルセラ症菌血症褥瘡
原因となる疾患
鎌状赤血球症
適応薬
テイコプラニン

🧠 全体像:骨髄炎は「骨+骨の感染症」であり、細菌が骨に到達する経路(・隣接組織からの進展・直接接種)によって好発部位と背景が決まる。起因菌はStaphylococcus aureusが全経路を通じて第1位で、新生児・鎌状赤血球症・関連ではそれぞれ特徴的な菌を考える。診断の柱はMRIによる病変範囲の評価と、抗菌薬投与前の血液培養・骨生検による起因菌同定であり、治療は起因菌に応じた抗菌薬(壊死骨・膿瘍・があればを併用)を、部位に応じた期間(成人ではおおむね6週)投与する。

病態

細菌侵入の経路と好発部位

骨に細菌が到達する経路は3つに分けられ、年齢・背景によって優位な経路が異なる。

経路 特徴
小児で最多。に好発(血流が豊富で付近がになりやすいため)。成人では椎体に好発する
隣接組織からの進展 隣接する関節・軟部組織感染(など)からの直接波及。しばしば
直接接種 外傷、手術、開放骨折、人工関節・骨接合材料の留置に伴う汚染

起因菌

背景ごとに想定すべき起因菌が異なり、経験的抗菌薬選択の起点になる。

背景 主な起因菌
全経路共通・最多 Staphylococcus aureus(接着タンパクによりへの結合性が高い)
新生児 E. coli、B群S. agalactiae)、淋菌(N. gonorrhoeae
鎌状赤血球症(鎌状赤血球症 Salmonella属
、足底穿 緑膿菌
イヌ・ネコ咬傷 Pasteurella multocida
関連(人工関節・ S. aureus(S. epidermidis等)により難治化する
開放骨折・ しばしば(グラム陰性桿菌・嫌気性菌を含む)

化膿性骨髄炎の形態

によりの細胞死が起こり、が形成されると骨表面に沿って広がり、を破裂させてへ至る。壊死した骨片をを取り囲むように形成される反応性の新生骨殻をと呼ぶ。炎症細胞は感染から1週間ほどで出現し、放出されるサイトカインがを引き起こす。された骨内膿瘍はと呼ばれ、亜急性〜慢性の経過をとる。乳児では部の感染がへ波及し、を合併しうる。

⚠️ 慢性骨髄炎の路は長期の炎症刺激を受け続けるため、まれにを生じる()。

結核性骨髄炎

肺結核の合併症として、血行性経路または近接からの直接進展で骨に達する。より破壊的かつ治療抵抗性である。・椎体に好発し、椎体の結核はと呼ばれ、椎体の変形・圧潰、などの隣接、鋭い角状)を来す。滑膜も侵され、を伴う典型的なを呈する。

臨床像

臨床像は経過(急性・亜急性・慢性)と部位によって幅がある。

  • 急性〜亜急性:局所痛、圧痛、腫脹、熱感、発熱・悪寒。軽度の発熱・局所痛にとどまることもあれば、感を伴う疼痛など急性の様相を呈することもある。
  • 慢性:疼痛の反復、瘻孔()、変形、創治癒不良が中心で、全身症状を欠くことが多い。
  • 合併症:急性から慢性へ移行しうるほか、、敗血症、、慢性路からのを来しうる。

⚠️ 慢性例は全身症状が乏しくても骨髄炎自体は否定できない。菌血症を伴う血行性骨髄炎ではの合併・原因検索も念頭に置く。

診断

血液検査(WBC・ESR・)は非特異的だが炎症の存在を示唆する。画像は単純X線から開始するが早期は正常像を示しうるため、病変の広がりを最も鋭敏に捉えるのはMRIである。確定診断には血液培養と骨生検が重要であり、原則として抗菌薬投与開始前に採取する。表面の創部のみでは深部の起因菌を確定できない。

flowchart TD
    A["局所痛・発熱・難治性創など骨髄炎を疑う臨床像"] --> B["血算・ESR/CRP、血液培養2セット"]
    B --> C["単純X線(早期は正常のことがある)"]
    C --> D["MRIで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow edema'>骨髄浮腫</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cortical destruction'>皮質破壊</span>・軟部組織/膿瘍を評価"]
    D --> E["可能なら抗菌薬投与前に骨生検で組織・培養"]
    E --> F["起因菌と感受性に応じて抗菌薬を選択"]

に伴う骨髄炎では、(骨まで達する潰瘍の触知)と単純X線・ESR/CRP/などの組み合わせを初期評価とし、診断が確定しない場合にMRIを追加する(MRIが困難な場合はPET、白血球、SPECTを代替として検討する)。培養は表面ではなく、術中または経皮的に採取した骨検体で行う。

治療

抗菌薬

起因菌に応じて抗菌薬を選択し、化する。

起因菌・状況 主な選択肢
感受性S. aureus(MSSA) などのセフトリアキソンクリンダマイシン
MRSA バンコマイシンリネゾリド
関連(菌) 上記に加えリファンピシンを併用し、へのを高める
グラム陰性菌・、開放骨折など) 配合)、嫌気性菌カバーにメトロニダゾール

敗血症、神経障害、急速進行例では培養検体採取後に直ちに経験的抗菌薬を開始する。MRSAリスク、グラム陰性菌リスク、感染経路、地域の耐性状況に応じてを選び、が判明次第、化する。

投与期間:成人のなどでは一般に約6週間を目安とする。の骨髄炎では、骨切除・切断を行い断端培養が陰性であれば約3週間、骨切除を行わない場合は約6週間を目安とする。近年はOVIVA試験などのエビデンスにより、初期の静注治療後にの高いへ早期に切り替える方針も広く受け入れられている。

外科的治療

膿瘍、壊死骨()、感染、脊髄圧迫、不安定性、内科治療不応では・排膿を行う。感染では、感染時期・安定性・起因菌・軟部組織の状態を踏まえ、温存+、一段階/二段階での交換、のいずれかを選択する。では血流評価、、創管理、も治療の柱となる。

結核性骨髄炎

を含むは、肺結核に準じたによる長期治療を要し、脊柱の不安定性・神経症状を伴う場合は外科的介入を検討する。

まとめ

  • 骨髄炎は(小児は、成人は椎体)、隣接組織からの進展、直接接種のいずれかで発症し、起因菌はS. aureusが全体で第1位である。
  • 背景により起因菌が異なる:新生児はE. coli・B群・淋菌、鎌状赤血球症Salmonella属緑膿菌、イヌ・ネコ咬傷はPasteurella multocida関連はを含む。
  • 形態学的特徴としてがあり、慢性路からはまれにSCCを生じる。
  • )は化膿性より破壊的で、椎体の変形・圧潰とを来す。
  • 診断はMRIによる病変範囲評価と、抗菌薬投与前の血液培養・骨生検による起因菌同定が中心である。
  • 治療は起因菌に応じた抗菌薬(MRSAにはバンコマイシンリネゾリドにはリファンピシン併用)と、必要に応じた処理を組み合わせる。投与期間は部位・術式により異なり、では約6週が目安である。