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Drug Atlas · C17 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

テイコプラニン

teicoplanin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
タゴシッド
商品名(EU)
Targocid
科目
Pharmacology
トピック
C17: Glycopeptides. Lipopeptides. Bacitracin. Mupirocin
承認適応
丹毒・蜂窩織炎骨髄炎化膿性関節炎市中肺炎尿路感染症感染性心内膜炎腹膜炎・消化管穿孔クロストリディオイデス・ディフィシル感染症
標的微生物
Staphylococcus aureusStaphylococcus epidermidisEnterococcus faecalis
副作用
皮疹
監視検査値
クレアチニン
影響検査値
血小板減少

🧠 全体像バンコマイシンと同じD-Ala-D-Ala結合機序を持つの兄弟薬だが、分ける点はにほぼ集約される——半減期が桁違いに長く(最近の研究では100〜170時間)1日1回投与で足り、IM(筋注)投与も可能という運用面の違いが最大の特徴で、時の(旧称)の頻度もバンコマイシンより低いとされる。欧州では在宅・外来でのにも使いやすい薬として位置づけられる。

バンコマイシンとの違い

項目 バンコマイシン
半減期 約4〜6時間 約100〜170時間(8〜35日間の採血を行った近年の研究による。採血期間が短い旧来の報告では45〜70時間程度と短めに見積もられていた)1
投与回数 6〜12時間ごと 負荷投与後は1日1回
IVのみ IV・IMいずれも可能
(旧称)の頻度 で比較的多い バンコマイシンより頻度が低いとされる2
TDM目標値 AUC24/MICベースへ移行(2020年以降) 欧州SmPC:通常感染10 mg/L以上・心内膜炎等重症15〜30 mg/L(1。日本化学療法学会・日本TDM学会の2022年合同ガイドラインは非MRSA感染15〜30 mg/L・/重症MRSA感染20〜40 mg/L、Day 4での評価を推奨する3
経口製剤でのC. difficile適応 あり(経口は吸収されず腸管内で 欧州SmPC上は代替治療として承認(100〜200 mgを1日2回、7〜14日間)1だが、エビデンス・使用実績はバンコマイシンより乏しく実地では優先されにくい
日本での承認 承認済み(後発品が主体) 承認済み(タゴシッド)

同じD-Ala-D-Ala結合薬でも、半減期の違いが臨床運用を大きく変える。 バンコマイシンは頻回投与とTDMの手間を要するが、は1日1回・IM投与も可という利便性を武器にする。経口C. difficile治療は欧州SmPC上はにも適応があるが、実地でのエビデンスの蓄積・使用頻度はバンコマイシンが圧倒的に多い。

適応・用法

MRSAを含む重症グラム陽性菌感染が適応で、バンコマイシンとほぼ同じ守備範囲を持つ。欧州SmPCが列挙する適応は、・蜂窩織炎など)、骨髄炎などの尿路感染症、CAPD()関連腹膜炎、およびこれらに伴う菌血症である1。長い半減期を活かし、負荷投与後に1日1回のへ移行するのが標準的な使い方——欧州SmPCでは、皮膚軟部組織感染など多くの適応で6 mg/kgを12時間ごと3回、など重症例では12 mg/kgを12時間ごと3〜5回を負荷投与とし、以後は同用量を1日1回で維持する設計になっている1。日本化学療法学会・日本TDM学会の2022年合同ガイドラインは負荷投与をさらに細かく規定し、目標15〜30 mg/Lなら開始3日間で10 mg/kgを5回または12 mg/kgを4回、目標20〜40 mg/Lなら12 mg/kgを5回を投与したうえで6〜6.7 mg/kg/日へ移行するよう推奨する3。実際の用量は適応・重症度・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意・副作用

  • 禁忌への過敏症(バンコマイシンとのに注意)
  • ⚠️ 腎毒性はバンコマイシンと同様に存在し、モニタリングを行う。目標は適応で異なり、欧州SmPCは通常感染で10 mg/L以上(法)、心内膜炎・など重症例では15〜30 mg/Lとより高い値を設定する1。日本化学療法学会・日本TDM学会の2022年合同ガイドラインは非MRSA感染で目標15〜30 mg/L、骨髄炎など・重症MRSA感染で目標20〜40 mg/Lとし、定常状態に達する前のDay 4で負荷投与を評価するよう推奨する(2012年の単施設データに基づく旧指針を置き換えた版)3
  • 時に(旧称からのによるIgE非依存性の反応で、バンコマイシンの項で述べる「」と同じ機序)を起こしうるが、バンコマイシンより頻度は低いとされる2の英国SmPC(2025年12月改訂)では現行版でもなお「red man syndrome」という表記が用いられている1
頻度 内容
高頻度
注意 皮疹
重篤・まれ 血小板減少、過敏症反応

まとめ

  • バンコマイシンと同じ。D-Ala-D-Ala結合によるという機序を共有する。
  • 半減期が大幅に長く(近年の研究では100〜170時間)1日1回投与、IM投与も可能という運用面の利便性が最大の違い。
  • (旧称)の頻度はバンコマイシンより低いとされるが、機序自体はバンコマイシンの反応と共通する。
  • によるC. difficile治療は欧州SmPC上にも適応があるが、エビデンス・使用実績はバンコマイシンが圧倒的に多く、実地で優先されるのは(または現行第一選択の)である。
  • TDMの目標は適応・重症度で異なり、欧州SmPC(通常10 mg/L以上・重症15〜30 mg/L)と日本の2022年合同ガイドライン(非15〜30 mg/L・/重症20〜40 mg/L、Day 4評価)で設定が異なる点に注意する。
  • 適応範囲(皮膚軟部組織感染・・肺炎・・CAPD関連腹膜炎・これらに伴う菌血症)はバンコマイシンとほぼ重なる。

出典

  1. 1.Targocid 400 mg powder for solution for injection/infusion — Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic Medicines Compendium (UK) / Sanofi(EU由来のSmPC)・2025)4.1適応(皮膚軟部組織感染、骨関節感染、院内・市中肺炎、複雑性尿路感染、感染性心内膜炎、CAPD(腹膜透析)関連腹膜炎、これらに伴う菌血症)、および経口投与でのClostridium difficile感染症関連下痢・大腸炎の代替治療(100〜200 mgを1日2回、7〜14日間)を確認した。半減期は最近の研究(8〜35日間の採血)で100〜170時間とされること、負荷投与は多くの感染症で6 mg/kgを12時間ごと3回・骨関節感染や心内膜炎等の重症例では12 mg/kgを12時間ごと3〜5回であること、TDMの目標トラフ値は通常感染で10 mg/L以上(HPLC)/15 mg/L以上(FPIA)、心内膜炎・重症感染で15〜30 mg/L(HPLC)/30〜40 mg/L(FPIA)であること、なお「red man syndrome」という表記が現行版でも用いられていることを確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Clinical practice guidelines for therapeutic drug monitoring of teicoplanin: a consensus review by the Japanese Society of Chemotherapy and the Japanese Society of Therapeutic Drug Monitoring(Journal of Antimicrobial Chemotherapy/日本化学療法学会・日本TDM学会 合同ガイドライン委員会・2022)日本化学療法学会・日本TDM学会の2022年合同ガイドラインは、非複雑性MRSA感染で目標トラフ値15〜30 mg/L(Grade I)、感染性心内膜炎・骨髄炎など複雑性・重症MRSA感染で20〜40 mg/L(Grade III-A、エビデンス不十分)を推奨し、定常状態に達する前のDay 4トラフ値を負荷投与の評価指標とすることを確認した。負荷投与は目標15〜30 mg/Lなら初日から3日間で10 mg/kgを5回または12 mg/kgを4回、目標20〜40 mg/Lなら12 mg/kgを5回とし、維持量は6〜6.7 mg/kg/日である。2012年の単施設10施設204例に基づく旧指針(目標20〜30 μg/mL)を置き換える版であることを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.Vancomycin Infusion Reaction(StatPearls Publishing (NCBI Bookshelf)・2025)かつて「red man syndrome」と呼ばれた反応は現在「vancomycin infusion reaction」と呼ばれ、IgE性アレルギーではなく肥満細胞・好塩基球からの直接的なヒスタミン遊離によるもので、投与速度(目安1 g/h以下)に依存することを確認した。グリコペプチド共通の機序として、テイコプラニンでも頻度は低いが同様の反応が起こりうる。閲覧 2026-08-03