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Drug Atlas · C17 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

オリタバンシン

oritavancin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(EU)
Tenkasi
科目
Pharmacology
トピック
C17: Glycopeptides. Lipopeptides. Bacitracin. Mupirocin
標的微生物
Staphylococcus aureusStreptococcus pyogenes / GASEnterococcus faecalisEnterococcus faecium
副作用
皮疹

🧠 全体像:は同じの・と並ぶが、耐性回避の設計が一枚上という点で際立つ。のD-Ala-D-Ala末端に結合するだけでなく、構造修飾により(VanA型)が持つD-Ala-D-Lac末端にも一定の親和性を保つうえ、が膜へしてを破綻させる——複数のを同時に持つことで、単一のだけでは逃げ切れない設計になっている。半減期は約10日と3剤の中でも最長級で、1回のだけで皮膚軟部組織感染の治療コースが完結する。

薬効群の中での位置づけ

クラス 代表薬 半減期・投与回数 特徴
(原型) バンコマイシン・ 数時間〜数十時間、複数回投与 D-Ala-D-Ala結合のみ。(VanA型)には無効
約14日、単回〜週1回 D-Ala-D-Ala結合+軽度の膜作用
約10日、単回投与のみで完結 D-Ala-D-Ala+D-Ala-D-Lacにも親和性、も破綻させる——一部のに活性
約8時間、1日1回 腎毒性・QT延長に注意。の適応を持つ

⭐ 「の一部にも作用する」根拠は、標的そのものの二重化にある。 バンコマイシンが結合できなくなったD-Ala-D-Lac末端にも一定の親和性を保つため、単純なVanA型変異だけでは逃げ切れない——同じでもにはこの性質はない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oritavancin'>オリタバンシン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptidoglycan precursor'>ペプチドグリカン前駆体</span>の<br>D-Ala-D-Ala末端に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transglycosylase'>トランスグリコシラーゼ</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='transpeptidase'>トランスペプチダーゼ</span>反応を阻害(バンコマイシンと共通)"]
    C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrophobic side chain'>疎水性側鎖</span>が細菌の細胞膜に直接挿入"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane permeability'>膜透過性</span>が破綻し脱分極"]
    E["構造修飾によりVanA型耐性菌が持つ<br>D-Ala-D-Lac末端にも一定の親和性を保持"] --> F["単一の標的変異だけでは<br>逃げ切れない"]
    B --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell wall synthesis inhibition'>細胞壁合成阻害</span>+膜障害の<br>複数機序が同時に働く"]
    D --> G
    F --> G
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vancomycin resistance'>バンコマイシン耐性</span>菌の一部にも活性"]

💡 なぜ耐性を回避できるのか——単一の結合様式だけに依存しない「マルチ設計」そのものが、次世代グリコペプチドのを体現している。と膜障害という異なる2つの攻め方を同時に持つため、片方に対する耐性が生まれても他方が効き続ける。

薬物動態

IVのみ、半減期は約10日と非常に長く、組織内へのも高い。この性質のおかげで単回1200 mg・3時間かけてのだけで、皮膚軟部組織感染の1コースが完結する。長期にわたって体内に残るため、副作用が生じた場合も遷延しうる点は覚えておく必要がある。

適応

(を含むグラム陽性菌、上はバンコマイシン感受性のEnterococcus faecalisも含む)が中心。(VanA型)に対するin vitro活性は注目されるが、確立されたはあくまでABSSSIであり、感染症そのものへの適応として過大評価しないよう注意する。

用法・用量

1,200 mgを単回静注し、これで1コースの治療が完結する設計である。他ののような2回投与・週1回投与は不要。

⚠️ 注入時間は製剤で違う。 用量は同じ1,200 mg単回だが、ORBACTIVは逐語「over 3 hours」、KIMYRSAは逐語「over 1 hour」である1。「=3時間」と一律に覚えない。

禁忌・注意

  • 禁忌・慎重投与:への過敏症
  • ⚠️ 半減期が非常に長いため、副作用が生じた場合も体内から消失するまで長期間影響が続きうる
  • ⚠️⚠️ 静注は投与後120時間(5日間)禁忌。 逐語は「Use of intravenous unfractionated heparin sodium is contraindicated for 120 hours (5 days) after KIMYRSA administration」2
  • ⚠️ への干渉は検査ごとにが違う。 「48時間」とひとまとめにしない——逐語は「may artificially prolong for up to 120 hours, and may prolong and for up to 12 hours and ACT for up to 24 hours」で、()は120時間、・(/)は12時間、(ACT)は24時間である2
  • で(紅斑・掻痒)を起こしうる

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、頭痛
注意 皮疹、
重篤・まれ 骨髄炎(⚠️の第3相ABSSSI試験内でバンコマイシン群より多く報告された。適応外長期使用の話ではない。確定・疑いがあれば代替の抗菌薬へ切り替える)、過敏症反応

まとめ

  • 。D-Ala-D-Ala結合に加え、D-Ala-D-Lacへの親和性との破綻という複数機序を持つ。
  • 半減期約10日で、単回投与だけで皮膚軟部組織感染の治療が完結する。
  • 複数のを持つ設計により、in vitro では菌(VanA型)の一部にも活性を示す。⚠️ ただし腸球菌については適応・in vitro欄とも逐語「vancomycin-susceptible isolates only」で、バンコマイシンに限られる——in vitro活性とを混ぜない。
  • への干渉は検査ごとに別の時間( 120時間・/ 12時間・ACT 24時間)で、⚠️ 静注は120時間禁忌である。
  • 半減期が非常に長いため、副作用も遷延しうる点を踏まえて経過観察する。

出典

  1. 1.ORBACTIV (oritavancin) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(Melinta Therapeutics(米国添付文書、DailyMed収載)・2025)openFDAのラベルAPIで本文を取得して確認した。⚠️ オリタバンシンには**注入時間の異なる2製剤**があり、平坦化してはならない。ORBACTIVは逐語 "1,200 mg of ORBACTIV as a single dose by intravenous infusion over 3 hours"、KIMYRSAは逐語 "1,200 mg of KIMYRSA as a single dose by intravenous infusion over 1 hour" で、**用量は同じ1,200 mg単回だが注入時間が3時間と1時間で異なる**。凝固検査への干渉とヘパリン禁忌は両製剤に共通する閲覧 2026-09-23
  2. 2.KIMYRSA (oritavancin) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(Melinta Therapeutics(米国添付文書、DailyMed収載)・2025)openFDAのラベルAPIで本文を取得して確認した(陽性対照として同一文書内に oritavancin が207回出現する)。⚠️ 凝固検査への干渉は検査ごとに持続時間が違い、逐語で "may artificially prolong aPTT for up to 120 hours, and may prolong PT and INR for up to 12 hours and ACT for up to 24 hours" である。⚠️ さらに逐語 "Use of intravenous unfractionated heparin sodium is contraindicated for 120 hours (5 days) after KIMYRSA administration" =**静注未分画ヘパリンは120時間禁忌**である。骨髄炎は逐語 "In Phase 3 ABSSSI clinical trials, more cases of osteomyelitis were reported in the oritavancin treated arm than in the vancomycin-treated arm" で、**承認適応の第3相試験内**の観察であり適応外長期使用の話ではない。対応は逐語 "Institute appropriate alternate antibacterial therapy in patients with confirmed or suspected osteomyelitis"。腸球菌については適応・in vitro欄とも逐語 "vancomycin-susceptible isolates only" で、**バンコマイシン感受性株に限られる**閲覧 2026-09-23