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Drug Atlas · C17 Antibiotics / 抗菌薬

ダルババンシン

dalbavancin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(EU)
Xydalba
科目
Pharmacology
トピック
C17: Glycopeptides. Lipopeptides. Bacitracin. Mupirocin
標的微生物
Staphylococcus aureusStreptococcus pyogenes / GAS
副作用
皮疹

🧠 全体像バンコマイシンと同じD-Ala-D-Ala結合機序を土台に、疎水性の脂質側鎖を付加してした薬である。この脂質鎖がを一変させ、半減期が約14日という桁違いの長さを生む。結果として皮膚軟部組織感染の治療コース全体を、外来で単回〜週1回のだけで完結できる——入院や長期の末梢/留置を避けられるという、感染症治療の運用そのものを変える性質を持つ薬である。

薬効群の中での位置づけ

クラス 代表薬 半減期・投与回数 特徴
(原型) バンコマイシン 数時間〜数十時間、複数回投与 MRSA治療の基準薬。TDM必須
約14日、単回または週1回(day1・day8)で治療完結 外来治療向き。VRE活性は確立されていない
約10日、単回投与のみで完結 D-Ala-D-Lacにも親和性を保ち一部のVREに活性
約8時間、1日1回投与 腎毒性・QT延長に注意。の適応を持つ

3剤とも「D-Ala-D-Ala結合+膜作用」を共有するが、半減期と投与回数、そして安全性プロファイルで住み分ける。 は3剤の中でもが良く、腎毒性・QT延長のような重い注意点を持たないため、長時間作用型の「まず検討する」選択肢になりやすい。

機序

バンコマイシンと同じくのD-Ala-D-Ala末端に結合し、による架橋反応を立体的に阻害する。これに加えて、付加された脂質側鎖が細菌の細胞膜に直接挿入されることで局所濃度を高く保ち、膜の安定性にも軽度に影響する——D-Ala-D-Ala結合だけに頼るバンコマイシンより多面的な攻め方になっている。

💡 半減期14日の裏側にあるのは「脂質鎖によるとの強い結合」。 高い蛋白結合率(約93%)が薬物の消失を遅らせ、組織内(特に皮膚)に長くとどまる性質を生む。これが「1回ので治療完結」という運用上の利点に直結する。

薬物動態

項目 値・特徴
IVのみ(経口製剤なし)
蛋白結合率 約93%
分布 皮膚・軟部組織への移行が良好
代謝 ほとんど受けない
排泄 腎・糞便の両方(一部未変化体)
半減期 約14日

適応

(MRSAを含むグラム陽性菌)がの中心。半減期の長さから、など長期治療が必要な場面でも利便性を理由に使われることがあるが、これらは確立されたではなく症例ごとの判断になる点に注意する。

用法・用量

1000 mg IV(day 1)+500 mg IV(day 8)の2回投与、または1500 mgの単回投与で1コースが完結する(いずれも30分かけて)。実際のレジメンは適応・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌・慎重投与への過敏症(の可能性)
  • ⚠️ でバンコマイシンのに類似した(紅斑・掻痒)を起こしうる——30分以上かけて投与する
  • 重度では代謝物の蓄積に注意(を検討)

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、頭痛
注意 皮疹
重篤・まれ 、過敏症反応

まとめ

  • バンコマイシンと同じD-Ala-D-Ala結合を土台に、脂質側鎖を付加した
  • 半減期約14日——単回または週1回投与で皮膚軟部組織感染の治療コースを完結できる。
  • 外来治療・入院回避という、感染症診療の運用そのものを変える性質を持つ。
  • 腎毒性・QT延長のような重い注意点がなく、3剤()の中では比較的が良い。
  • VRE活性は確立されておらず、が中心。