微生物ノート一覧へ

Microbe Atlas · 細菌

Enterococcus faecium

分類
G+ 球菌 / Gram+ cocciEnterococcus
性状
Gram陽性 (G+)球菌 Cocci
科目
Medical Microbiology
トピック
2/5: Streptococcus agalactiae, Enterococcus genus
自然耐性薬
セフトリアキソンセフォタキシムセフタジジムセフェピムスルファメトキサゾール+トリメトプリム
作用する薬剤
アンピシリンエラバサイクリンオリタバンシンキヌプリスチン/ダルフォプリスチンダプトマイシンチゲサイクリンバンコマイシンリネゾリド

🧠 全体像:E. faeciumはの中では少数派(5〜15%)だが、E. faecalisより病原性・耐性ともに強いという一点で臨床的重みが逆転する菌である。属に共通する性状(高塩濃度・、セファロスポリン)はE. faecalisのページにまとめてあるので参照し、本稿はを中心に本種固有の内容へ絞る。

微生物学的な特徴

、短い連鎖またはペア。、高塩濃度(6.5% NaCl)・胆汁への耐性、陽性という基本性状はE. faecalisと共通する。菌種の鑑別は生化学的性状パネル・(MALDI-TOF)で行う。

病原性の仕組み

  • E. faecalisと同様、外毒素ではなく環境耐性の強さそのものが病原性因子——による異物定着が病態の中心
  • アンピシリン耐性の頻度がE. faecalisより著しく高いの変化により、天然のセファロスポリン耐性に加えてアンピシリンにも耐性化しやすい
  • vanAvanB遺伝子によりの末端がD-Ala-D-Alaから親和性の低いD-Ala-D-Lacへ置換され、バンコマイシンが標的に結合できなくなる。院内感染株ではE. faecalisよりVREの頻度が高い

感染経路と疫学

  • 消化管の常在菌で、抗菌薬曝露(特に広域セファロスポリン・バンコマイシンの長期使用)や医療器具留置が院内での定着・伝播を助長する
  • 院内では患者間の接触・環境表面を介した伝播が起こりやすく、VREの隔離・が感染対策の要になる

起こす疾患

臨床像はE. faecalisと重なる(尿路感染症、、菌血症、)が、免疫抑制患者・長期入院患者・既往のある患者での院内感染として顕在化する頻度が高い。

診断

  • 血液培養・尿培養などでと同定した後、バンコマイシンを必須で行う——VREかどうかで治療薬の選択が根本的に変わる
  • アンピシリン感受性も個別に確認する(E. faecaliusでは省略されがちだが本種では必須)

治療と予防

⚠️ 共通のへのE. faecalisのページを参照。E. faeciumはこれに加えてアンピシリン耐性・(VRE)の頻度が高く、治療の選択肢が狭い。

まとめ

  • の中では少数派だが、E. faecalisより病原性・耐性ともに強い。
  • への属共通のに加え、アンピシリン耐性・(VRE)の頻度が高い。
  • VREの機序はvanA/vanBによるD-Ala-D-Lacへの置換で、バンコマイシンが標的に結合できなくなる。
  • VREの第一選択はリネゾリド。/などが代替になる。
  • 院内感染・の対象として、免疫抑制患者・長期入院患者での伝播に注意する。