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Drug Atlas · C9 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

セフトリアキソン

ceftriaxone

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
ロセフィン
商品名(EU)
Rocephin
科目
Pharmacology
トピック
C9: Cephalosporins
禁忌疾患
新生児黄疸・高ビリルビン血症
標的微生物
Neisseria gonorrhoeaeNeisseria meningitidisStreptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeEscherichia coliBorrelia burgdorferi
副作用
皮疹下痢
影響検査値
ビリルビン
自然耐性の微生物
Acinetobacter baumanniiBacillus cereusChlamydia psittaciChlamydia trachomatis A, B, CChlamydia trachomatis D–KChlamydia trachomatis L1–3Chlamydophila pneumoniaeCoxiella burnetiiEnterococcus faecalisEnterococcus faeciumListeria monocytogenesMycoplasma genitaliumMycoplasma hominisMycoplasma pneumoniaeOrientia tsutsugamushiPseudomonas aeruginosaRickettsia prowazekiiRickettsia rickettsiiRickettsia typhiUreaplasma urealyticum
対象疾患
Caroli病S状静脈洞血栓症Waterhouse-Friderichsen症候群Whipple病イレウス・腸閉塞グラデニーゴ症候群クループ・急性喉頭蓋炎・細菌性気管炎ノカルジア症ヒルシュスプルング病ベゾルド膿瘍ライム病ラット咬傷熱レプトスピラ症咽後膿瘍横隔膜下膿瘍化膿性関節炎(敗血症性関節炎)化膿性仙腸関節炎海綿静脈洞血栓症感染性心内膜炎眼窩蜂窩織炎急性胸部症候群急性腎盂腎炎・腎膿瘍急性胆管炎急性虫垂炎急性乳様突起炎骨髄炎骨盤内炎症性疾患骨膜下膿瘍細菌性肝膿瘍細菌性急性胃腸炎細菌性髄膜炎産褥敗血症・産褥感染市中肺炎消化管出血(上部・下部)常染色体優性多発性嚢胞腎食道静脈瘤新生児眼炎新生児敗血症髄膜炎菌感染症精巣上体炎・精巣炎赤痢前立腺炎胆石症腸チフス腸間膜虚血(急性・慢性、虚血性大腸炎を含む)腸重積症特発性細菌性腹膜炎内耳炎(迷路炎)軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫症・鼠径肉芽腫尿路感染症尿路結石症脳膿瘍膿腎症副咽頭膿瘍腹膜炎・消化管穿孔卵管卵巣膿瘍卵巣炎淋菌感染症涙嚢炎脾摘後重症感染症
原因となる疾患
クロストリディオイデス・ディフィシル感染症薬剤性免疫性溶血性貧血

🧠 全体像:セフトリアキソンは第3世代の代表格で、この世代で共通の「グラム陽性は弱まりグラム陰性・が強まる」を最も広く体現する薬。半減期が長く1日1回投与で足りる利便性から「便利な第3世代」として外来・入院を問わず頻用される一方、新生児での使用制限という13薬剤の中でも屈指の頻出ポイントを持つ(禁忌の線の引き方は国で異なる)。

薬効群の中での位置づけ

同じ第3世代のとほぼ同じを持つ「双子」だが、決定的に違うのは新生児への使いやすさ。セフトリアキソンは新生児で禁忌になりうる場面があり、はそこで代わりに選ばれる——この対比が両薬を理解する軸になる。もう一つの第3世代の例外がセフタジジムで、唯一緑膿菌に活性を持つ代わりにグラム陽性が世代の中でも際立って弱い。経口で使える第3世代はだけ。

機序

セファロスポリン共通の阻害による(の項を参照)。第3世代は側鎖の改造でグラム陰性菌の外膜透過性・βラクタマーゼ安定性が高まった一方、への親和性の変化でグラム陽性菌への活性は第1世代より弱くなる——これが世代間の正体。

薬物動態

項目 値・特徴
静注・(欧米では筋注も。日本の電子添文は静注・のみで筋注の記載がない1)
蛋白結合 非常に高い(約85〜95%、に変動)
分布 髄液へは炎症時に良好に移行。胆汁排泄が約40%と高い
半減期 約6〜8時間 → 1日1回投与が可能
排泄 と胆汁排泄の二重経路。軽〜中等度腎機能低下では減量不要なことが多い

適応

領域 使いどころ
中枢神経 (S. pneumoniae・N. meningitidis)
性感染症 の第一選択(単回投与。は地域差があり、米国・英国BASHHは筋注、日本の添付文書は静注・で筋注の記載はない1)
呼吸器 重症の
腹部・胆道 、腹膜炎・消化管穿孔
感染症 ライム病(中枢神経病変・心臓病変を伴う例)
泌尿生殖器 、前立腺炎
骨・関節 骨髄炎

用法・用量

静注または筋注、1日1回が基本(重症髄膜炎では1日2回に分割することもある)。成人では市中感染症に1回1〜2 g、髄膜炎では高用量が必要。は単回投与だが、は地域で異なる——米国・英国BASHHは筋注(500 mg〜1 g)を用いるのに対し、日本の添付文書は静注・のみを規定し筋注の記載がない(咽頭・、尿道炎、、は1 g単回、・は1日1回1 g)1。実際の用量は適応・年齢・体重で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ の新生児には投与しない。 蛋白結合率が高くアルブミンからビリルビンを追い出す(置換する)ため、が増えて()のリスクが上がる。これは3極の文書に共通する唯一の禁忌である213。

⚠️ 「新生児は禁忌」と丸暗記しない——線の引き方が国で違う。

文書 新生児に関する禁忌
英国SmPC 4.3 修正在胎41週(在胎週数+)までの早産児は一律に禁忌。生後28日までのは、・黄疸・・アシドーシスのある場合(ビリルビン結合が障害されているため)、および静注カルシウム治療/カルシウム含有輸液を要する(見込みを含む)場合が禁忌2
日本の電子添文 2.2 禁忌は「の、新生児」のみ。早産そのものも、カルシウム含有輸液を要することも禁忌ではなく、・新生児の用法・用量(生後0〜3は1回 20 mg/kg を1日1回、生後4以降は1回 20 mg/kg を1日2回)が定められている1
米国添付文書 CONTRAINDICATIONS の新生児(とくに早産児)には投与すべきでないとし、カルシウム含有静注液(持続カルシウム輸液・を含む)を要する(見込みを含む)生後28日以下の新生児を禁忌とする3
  • ⚠️ カルシウム含有静注液との同時投与は、年齢を問わず禁じられている。 セフトリアキソン-のが肺・腎にした死亡例は新生児で報告されており、英国SmPC 4.4 は「あらゆる年齢で混合・同時投与してはならない(別ラインでも別部位でも不可)」、米国添付文書 WARNINGS も Y字管を含む同時投与を禁じ、日本の電子添文も 8.3 で年齢を限らず同時投与を禁じている。💡 年齢で違うのは「逐次投与」の可否で、生後28日を超える患者ではラインを分けるかで十分にフラッシュすれば逐次投与してよい231。新生児でリスクが高いことは漿を用いた in vitro 試験で確かめられており、新生児以外では血管内の確認報告が無いというのが根拠である(「新生児以外では起こらない」と証明されたわけではない)
  • ⚠️ ・:胆汁排泄率が高いため、高用量・長期投与でが胆嚢内にし、超音波で胆石様の陰影として見えることがある。多くは中止後に自然消退するため無症候なら経過観察でよい
  • Enterococcus・Listeriaには無効(セファロスポリン共通)。でが疑われる年齢層(新生児・高齢者・免疫不全)ではアンピシリンの併用が必須

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、注射部位反応
注意 皮疹、形成(多くは無症候性)
重篤・まれ アナフィラキシー、、(まれだが重篤)

まとめ

  • の代表。半減期が長く1日1回投与で足りる「便利な第3世代」。
  • ・・・胆道感染など適応が広い。
  • ⚠️ 新生児では蛋白結合によるビリルビン置換でリスク、カルシウム含有輸液との配合で致死的という二重の理由で使用を避ける。ただし禁忌の書き方は3極で違い、日本の電子添文では「の・新生児」だけが禁忌で、英国のように早産そのものを禁忌には置いていない。
  • ⚠️ 胆汁排泄率が高く、高用量・長期投与で()を生じうる。多くは無症候・可逆性。
  • とほぼ同じスペクトラムの「双子」だが、新生児での安全性がに軍配が上がる決定的な違い。
  • Enterococcus・Listeriaには無効。髄膜炎でが疑われる年齢層ではアンピシリン併用が必須。

出典

  1. 1.セフトリアキソンナトリウム静注用0.5g「日医工」/セフトリアキソンナトリウム静注用1g「日医工」 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/日医工株式会社・2026)2026年6月改訂(第2版)の電子添文で、禁忌は「2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」と「2.2 高ビリルビン血症の低出生体重児、新生児」の2項目だけであり、カルシウム含有注射剤・輸液との同時投与は禁忌ではなく「8.3 同時に投与しないこと」(重要な基本的注意)に置かれていること。6. 用法及び用量は投与経路を静脈内注射・点滴静注に限定し筋肉内注射を挙げておらず、淋菌感染症では咽頭・喉頭炎、尿道炎、子宮頸管炎、直腸炎に1 g(力価)の単回静注・点滴静注、精巣上体炎・骨盤内炎症性疾患に1日1回1 g(力価)とすること。未熟児・新生児の用法・用量(生後0〜3日齢は1回20 mg/kgを1日1回、生後4日齢以降は1回20 mg/kgを1日2回)も定められている。閲覧 2026-09-17
  2. 2.Ceftriaxone 1g Powder for solution for injection or infusion - Summary of Product Characteristics (SmPC)(Wockhardt UK Ltd / electronic medicines compendium (emc)・2025)英国SmPCの4.3で、セフトリアキソンは「修正在胎41週までの早産児」と「生後28日までの正期産新生児のうち、高ビリルビン血症・黄疸・低アルブミン血症・アシドーシスのある児(ビリルビン結合が障害されている状態のため)」および「静注カルシウム治療またはカルシウム含有輸液を要する(要する見込みを含む)児」に禁忌であること。4.4は、あらゆる年齢でカルシウム含有静注液と混合・同時投与してはならないが、生後28日を超える患者では別ルートまたは生理食塩液で十分にフラッシュしたうえでの逐次投与は可としていること(10. 本文改訂日は2025年1月23日)。閲覧 2026-09-17
  3. 3.CEFTRIAXONE- ceftriaxone sodium injection, solution — Prescribing Information(DailyMed (U.S. National Library of Medicine) / Baxter Healthcare Company・2026)米国添付文書のCONTRAINDICATIONSは「Neonates(生後28日以下)」の見出しの下で、高ビリルビン血症の新生児(とくに早産児)には投与すべきでないとし、カルシウム含有静注液(持続カルシウム輸液・静脈栄養を含む)を要する(要する見込みを含む)新生児を禁忌とすること。WARNINGSは、年齢を問わずカルシウム含有静注液との同時投与(Y字管を含む)を禁じたうえで、新生児以外では輸液ラインを十分にフラッシュすれば逐次投与は可としており、新生児以外の患者で同様の沈殿の報告はないと記している。閲覧 2026-09-17