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Microbe Atlas · 細菌

Rickettsia prowazekii

発疹チフスリケッチア

分類
偏性細胞内寄生 / Obligate intracellularRickettsia
性状
Gram陰性 (G−)偏性細胞内 Obligate intracellular
科目
Medical Microbiology
トピック
2/35: Rickettsia, Orientia, Coxiella5/9: Causative agents of arthropod-borne bacterial infections (list)
自然耐性薬
ペニシリンGアモキシシリンセフトリアキソンメロペネムバンコマイシン
原因となる疾患
発疹チフス
作用する薬剤
クロラムフェニコールドキシサイクリン

🧠 全体像Rickettsia属の中でヒトのみをとする特異な菌で、を介さずを介したヒト-ヒト感染で流行する。過密・不衛生な環境(難民キャンプ・刑務所・戦時下)と結びつく「集団の病気」であり、治療後何年も経ってから軽症するという長期的な落とし穴も持つ。

微生物学的な特徴

Rickettsia属共通の性質(宿主依存性が高い、通常のグラム染色では観察できない、に感染して増殖する機序)はR. rickettsiiのノートを参照。本菌固有の特徴はがヒトのみであること——R. rickettsiiがマダニ・・イヌをとするのと対照的で、米国ではが二次的なとして報告されている。

病原性の仕組み

への感染・血管炎というR. rickettsiiと共通するが、媒介様式が特徴的である。

💡 の刺咬そのものでは感染しない。 本菌はの腸管内で増殖して自身を殺してしまうため、は長期のになれない。感染性を持つのは糞便で、吸血時のかゆみをした皮膚の傷口から菌が侵入する——「に刺されて感染する」のではなく「の糞を掻き込んで感染する」という経路の理解が、を防ぐ・駆除)の重要性につながる。

感染経路と疫学

  • 媒介、感染源はヒトのみ
  • 好発環境:過密・不衛生な集団生活(難民キャンプ・刑務所・戦時下の塹壕)——歴史的にナポレオン戦争・第一次世界大戦の大流行が知られる
  • :1〜3週間

起こす疾患

頭痛・高熱()で始まり、発症5〜6病日にが体幹中心から出現し末梢へ性に拡大する——手掌・足底は通常侵されない。筋肉痛・関節痛、肺炎、血管炎による脳症(めまい・から昏睡に至りうる)を呈し、未治療なら致死的である。

項目 R. prowazekii R. rickettsii
発疹の広がり 体幹→末梢( 四肢末端→体幹(求心性
手掌・足底 侵されない 侵される
ヒトのみ マダニ・・イヌ

⚠️ :急性期治療後、菌がリンパ節などに潜伏し数年〜数十年後に軽症の形でする。症状は軽いが体内には感染性のある菌が存在し、周囲にがいる環境(難民キャンプなど)では新規流行の火種になりうる。

診断

血清学・PCRが中心。Proteus属抗原OX-19との交差凝集)は歴史的検査で、現在は血清学・PCRが主流である。

治療と予防

まとめ

  • R. prowazekiiRickettsia属の中でヒトのみをとする特異な菌で、を介したヒト-ヒト感染で流行する。
  • 感染経路はの刺咬ではなく糞便をした創から。過密・不衛生な環境(難民キャンプ・戦時下)と結びつく。
  • 発疹は体幹中心から末梢へ性に拡大し、手掌・足底は侵されない——R. rickettsii(求心性、手掌足底を侵す)と対で覚える。
  • は治療後数年〜数十年を経た軽症で、感染性は保持される。
  • 治療はドキシサイクリンが第一選択で、他のと同様に検査結果を待たず経験的に開始する。