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Microbe Atlas · 節足動物

Pediculus humanus

ヒトジラミ

分類
シラミ / LicePediculus
科目
DermatologyMedical Microbiology
トピック
2-15: Pediculosis5/9: Causative agents of arthropod-borne bacterial infections (list)
原因となる疾患
シラミ症

🧠 全体像Pediculus humanusは吸血性ので、生息場所によって2つのに分かれる——頭髪に生息するP. humanus capitis(アタマジラミ)と、衣類に生息するP. humanus humanus(= P. humanus corporis)である。形態はほぼ同一で交配も可能なほど近縁だが、臨床上の重みはまったく違うだけがという3つの細菌感染症を媒介する一方、アタマジラミにはこの媒介能力が実質的に確認されていない。「同じ種の」という生物学的な近さと、「片方だけが命に関わる感染症を媒介する」という臨床的な遠さのギャップが、この種を理解する核心になる。

微生物学的な特徴

  • 体長2〜3 mm程度の翅を持たない吸血性昆虫。3対の脚の先端に鉤爪を持ち、宿主の毛や衣類の繊維をつかんで移動する
  • アタマジラミ:頭髪、特に・後頭部に生息し、頭皮に直接付着して吸血する
  • :頭髪ではなく衣類の縫い目に生息・産卵し、吸血するときだけ皮膚へ移動する——常に皮膚上にいるアタマジラミとの生態学的な違いが、後述する媒介能力の違いの土台になる
  • ケジラミ(Pthirus pubis)は別属で、体型(幅広い蟹のような体躯)・生息部位()が異なる。Pthirus pubisのノートを参照

病原性の仕組み

のみが病原体を媒介し、アタマジラミには自然条件下での媒介の裏づけがない。 病原体研究はを対象に行われており1、アタマジラミが自然界でこれらの菌を媒介するという記載は確立していない21

媒介する病原体 起因する疾患
媒介性の)
Bartonella quintana

いずれも菌そのものの刺咬による接種ではなく、の糞便または体液()が・圧潰された皮膚の傷から侵入するという共通のを取る(詳細は各菌のノートを参照)。衣類に生息し吸血のたびに皮膚へ移動するの生態が、このと噛み合っている。

感染経路と疫学

  • アタマジラミ:頭髪同士の直接接触で伝播する。衛生状態不良の徴候ではなく、小児に多いが清潔さとはに感染する3
  • 過密・不衛生な集団生活環境(難民キャンプ・刑務所・戦時下・ホームレス状態)に強く結びつく。歴史的にはナポレオン戦争・第一次世界大戦の大流行が知られ、入浴・更衣が困難な状況で衣類にが定着しやすい

起こす疾患

)として臨床像・診断・治療の詳細をまとめている。では上記3疾患の続発を常に念頭に置く。

診断

  • :生きた成虫・幼虫、または頭皮から約6 mm以内の生きた卵を確認する
  • :衣類の縫い目に虫体・卵を探す(皮膚上ではなく衣類を調べる点がアタマジラミと逆になる)

治療と予防

まとめ

出典

  1. 1.Pediculosis(StatPearls / NCBI Bookshelf (Syed HA, Wills C)・2026)コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)が塹壕熱・回帰熱・発疹チフスをヒトに媒介しうる一方、アタマジラミ(P. humanus capitis)やケジラミにはこの記載がないこと、陰毛にシラミを検出した場合は他の性感染症の評価を促すべきであることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Human Pathogens in Body and Head Lice(Emerging Infectious Diseases (Fournier PE, Ndihokubwayo JB, Guidran J, et al.)・2002)発疹チフスリケッチア・Bartonella quintana(塹壕熱)・回帰熱ボレリアに関する検討がコロモジラミを対象に行われたこと、アタマジラミでの自然界における媒介を裏づける記載がないことを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Head Lice(American Academy of Pediatrics・2022)頭ジラミ症が衛生状態不良の徴候ではなく頭髪の直接接触で伝播することを確認した閲覧 2026-08-10